「社会保険の適用拡大」開始は目前!企業が取り組むことは?

2016年09月08日
「社会保険の適用拡大」開始は目前!企業が取り組むことは?

適用拡大で短時間労働者も社会保険の加入対象に

平成26年4月に施行された年金機能強化法により、平成28年10月1日から「短時間労働者に対する社会保険の適用拡大」が始まります。

現在、厚生年金保険・健康保険の加入対象は「1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上」(一般的に週30時間以上働く方)でしたが、10月からは、特定適用事業所に勤務する短期間労働者も対象となり、厚生労働省は適用拡大によって新たに対象となるのは25万人と予測しています。

“短時間労働者”にあてはまる5つの要件

対象となる“短時間労働者”とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の5つの要件すべてに該当する方を指します。

  • 週の所定労働時間が20時間以上ある
  • 雇用期間が1年以上見込まれる
  • 賃金の月額が8.8万円以上である
  • 学生でない
  • 特定適用事務所に勤めている

そのため、全パート従業員が対象になるわけではありません。ただし、任意の仕組みではないので、該当者は必ず加入することになります。また、年収130万円(被扶養者の認定基準)に達していなくても、加入対象に当てはまっていれば、被扶養者とはならず、自身で厚生年金保険・健康保険に加入しなければなりません。

対象となるのは“特定適用事業所”

今回の適用拡大の対象となる“特定適用事業所”とは、「同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所の被保険者数(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の合計が、1年で6カ月以上、500人を超えることが見込まれる事業所」です。

注意点は、同一事業主(法人番号が同一)で考えなければならない点です。
被保険者→正社員 短時間労働者→パート と置き換えて考えてみましょう。

syakaihoken
つまり、支店や店舗といった拠点ごとの被保険者数ではなく、会社全体での被保険者数となります。また、従業員数が500人を超えていても、被保険者数によっては特定適用事業所には該当しません。

施行日時点で特定適用事業所の要件を満たしている場合、8月下旬に「特定適用事業所該当事前のお知らせ」、10月初旬には「特定適用事業所該当通知書」が日本年金機構から事業所に送付されます。

施行日時点で該当していなくても、要件を満たすことが見込まれる事業所には、「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」が送付されます。要件を満たす場合は、「特定適用事業所該当届」の提出が必要です。

まずは特定適用事業所に勤務する短期間労働者が対象となりますが、社会保険の適用範囲について検討が進められます。「平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる」と法律で定められているため、対象となる短時間労働者や事業所が増える可能性も考えられます。

短時間労働者の雇用について考える

社会保険の適用拡大により、事業所側は保険料負担が増えることになります。今回対象になっていない場合でも、今後の適用拡大も視野に入れて、短時間労働者の雇用について考えていかなければなりません。

「社会保険の適用拡大が短時間労働に与える影響調査」によると、社会保険が適用拡大された場合、短時間労働者の雇用のあり方や雇用管理を見直すもしくは見直したと回答した事業所が半数を超えています。

具体的な対策としては、

  • 所定労働時間の短縮
  • 賃金設定や年収水準設定の見直し
  • 短時間労働者の人材を厳選し長時間勤務もしくは正社員雇用
  • 雇用管理に係る全体的なコスト削減

などが挙げられています。

参照・参考 :(独)労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大が短時間労働に与える影響調査」
URL:http://www.jil.go.jp/institute/research/2013/114.html

社会保険の適用拡大は、短時間労働者にとってメリットはあるものの、手取り収入に影響するため、「今までと働き方を変えたい」という従業員も出てきます。勤務時間を減らして要件に満たないように働きたい従業員や、要件を満たし手取り収入も増えるよう働く時間を増やしたい従業員など、人によって要望はさまざまでしょう。

また、保険料を抑えるために会社側から所定労働時間を短くするよう求めた際に、従業員に必ずしも受け入れられるとは限りません。社会保険加入を望んでいたり、収入を減らしたくないと考えている従業員には、労働時間の短縮は受け入れがたいものです。場合によっては、退職して他の会社を探すということも考えられるでしょう。

現時点で対象とならない事業所であっても、事業拡大により従業員数が増えたり、法改正によって対象となることも十分考えられます。あらかじめ、短時間労働者の雇用のあり方について、今後の方針を検討しておく必要があるでしょう。

適用拡大によって増える事務手続き

①短時間労働者の新規加入

今回の適用拡大により対象となった従業員の厚生年金・健康保険の新規加入手続きが必要です。従業員ひとりあたり1回の手続きとはいえ、対象者が多数の場合、処理だけでも大きな負担になります。また、加入義務の説得に時間がかかる、書類提出がスムーズに行われない、書類の記入ミスによる差し戻しの発生など、処理前でもトラブルが起こりえます。

必要な書類:対象者向けのお知らせ、被保険者資格取得届 等

②短時間労働者の被扶養者に関する手続き

被扶養者資格に関する手続きはすでに行われているかと思いますが、適用拡大によって新規加入した従業員の被扶養者に関する手続きも増えます。追加・資格再確認・削除といった手続きおよび管理が今までの業務量に上乗せになります。

必要な書類:被扶養者(異動)届、被扶養者の確認書類 等

③被保険者の被扶養者削除

自社・従業員が対象外でも、従業員の被扶養者が対象となった場合、被扶養者削除の手続きを行うことになります。そのため、適用拡大開始の10月前後に被扶養者削除手続きが例年より増えるかもしれません。10月時点では対象でなかった被扶養者も、これを機に働き方を変える可能性はおおいにあるでしょう。

必要な書類:被扶養者のいる従業員向けのお知らせ、被扶養者(異動)届 等

このように、社会保険の適用拡大によって対象事業所・対象者だけでない事業所でも手続きが増えます。今回の社会保険だけでなく、法改正など外的要因によって想定外の申請・管理業務が増えることは、これまでの業務を圧迫する恐れがあります。

社会保険の適用拡大に関しては、3年後の平成31年9月末までに検討・必要な措置が講じられることが確定しています。既に社会保険に関する申請・管理業務について改善が必要だと感じるようであれば、早めに業務フローの改善を図りましょう。

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