ビジネスでよく聞く「ボトルネック」とは?問題点と解消方法・事例を解説!
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この記事では、ビジネスシーンでよく聞くキーワードである「ボトルネック」の意味や問題点、解消のポイントを解説します。
ボトルネックの解消に成功した企業事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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ボトルネックを解消して業務プロセスを最適化する方法とは?

こんな人におすすめ
・属人化やボトルネック化にリスクを感じている方
・業務プロセスの最適化に興味がある方
・定型業務やムダ業務の効率化を実現したい方
ボトルネックとは?

まずは、ボトルネックとはどのような状態なのかを確認していきましょう。
ボトルネックとは、瓶の首が細くなっている部分を指す「bottleneck」に由来し、ワークフロー(業務の一連の流れ)のなかで、業務の停滞や生産性の低下を招いている工程・箇所のことを指します。ボトルネックを省略して、「ネック」と呼称することもあります。
ワークフローのなかにボトルネックが存在することで、それ以外の工程で業務が円滑・スピーディーに進められていたとしても、全体の業務が完了するまでに多くの時間を要してしまいます。つまり、業務の全体最適化を図るにはボトルネックの解消が必要不可欠だと言えるでしょう。
とくに、ボトルネックになりがちなポイントが承認プロセスです。
たとえば、あるプロジェクトを進行する際、担当者が書面で稟議書を作成して、上司や関係部署に回覧を行い承認・決裁を得る場面は多々あるでしょう。
しかし、承認者や決裁者に出張や外出が多い場合、決裁までに多くの時間を要してしまい、プロジェクトの進行が停滞してしまいます。
この場合、紙の稟議書による承認プロセスがボトルネックになっていると言えるでしょう。
ボトルネックが生じる原因

業務の全体最適化の観点からボトルネックの解消が不可欠だとお伝えしましたが、そもそもなぜボトルネックが生じてしまうのでしょうか。
次は、ボトルネックの主な原因として、以下の3点をご紹介します。
人手不足による処理能力低下
ボトルネックが生じる原因のひとつに、人手不足を挙げることができます。
少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で人手不足が問題視されています。
そうしたなか、本来であれば十分な人員を割くべき業務や作業に労働力を割り当てることができず、処理能力が低下してボトルネックとなってしまうケースがあります。
業務の属人化(ブラックボックス化)
属人化もまた、ボトルネックが発生する原因のひとつです。
属人化とは、ある業務の進捗状況や作業内容を担当者しか把握できない状況のことを指し、ブラックボックス化とも呼ばれます。
属人化した業務は、担当者の代替が効かないことで業務が停滞してしまうリスクや、作業の手順や方法について客観的な評価を行うことができないことから効率性が低下しやすいという問題もあります。
紙とハンコによるアナログ業務
紙やハンコによるアナログ業務が、ボトルネックの原因となっているケースも少なくありません。
紙とハンコを使った従来のアナログ業務には、オフィスにいなければ遂行できない作業が数多く存在します。たとえば、文書の印刷や、手渡しでの回覧、押印による承認・決裁などです。
このようなアナログ業務では、承認者不在による申請・稟議の停滞が発生しやすく、在宅勤務などのテレワーク中には業務を進めることができません。また、入力漏れや誤字脱字などのヒューマンエラーも発生しやすく、業務効率の低下を招く要因となります。
ボトルネックを解消する手順とポイント

ボトルネックを解消するために知っておきたいマネジメント手法のひとつに、「TOC理論(Theory Of Constraints|制約理論)」があります。
これはイスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu Moshe Goldratt)博士が提唱した理論で、業務の流れにおける制約条件、つまりボトルネックを解消することで、全体最適化を実現できることを示したものです。
TOC理論では、ボトルネック(制約条件)を解消するための5ステップが提唱されています。
- ボトルネックの発見
- ボトルネックの徹底活用
- 他プロセスをボトルネックに従わせる
- ボトルネックの能力改善
- 新たなボトルネックへの対応
各ステップについて詳しく確認していきましょう。
(1)ボトルネックの特定
まずは、業務全体の工程のなかでボトルネックとなっている工程を特定します。
ボトルネック以外のパフォーマンスが向上したとしても、ボトルネックに手を加えなければ業務全体の生産性・スピードが改善しないためです。
業務の一連の流れを整理し、各工程を分析した上で、もっとも業務が停滞している工程を特定していきましょう。
(2)ボトルネックの徹底活用
特定したボトルネックを徹底的に活用する方法を検討します。
ここで言うボトルネックの徹底活用とは、新たに設備やシステムを導入したり、人員を強化したりといった方法ではなく、あくまで現状の設備・システムや人員のまま最大限のパフォーマンスを引き出すことを指します。
不必要な作業が発生していないか、担当者が作業に集中できる環境が整っているか、機械や担当者の稼働が止まっている時間がないかといった点を見直し、必要に応じて課題を解消しましょう。
(3)他プロセスをボトルネックに従わせる
次に、ボトルネック以外のプロセスを、ボトルネックとなっている工程に従わせます。
例として、以下のように処理能力が異なる3つの工程があるとします。
- 制作…20件/日
- 検品…10件/日
- 出荷…15件/日
この場合、1日に10件しか処理できない「2.検品」の工程がボトルネックであり、「1.制作」の工程で生産した20件のうち半分は余剰生産となってしまうほか、「3.出荷」の工程では15件という本来の処理能力を活かすことができません。
10件以上の投入は無駄になってしまうので、「1.制作」と「3.出荷」の稼働時間を制限したり、人員を削減・配置転換するなどして、無駄が生じないよう調整する必要があります。
(4)ボトルネックの強化
(2)(3)のステップを経て、はじめてボトルネックの強化を行います。
ステップ(3)で余裕が生まれた稼働工数や人員を、ボトルネックとなっている工程に充てて処理能力を高めたり、新たに設備やシステムを導入して業務の効率化・自動化を図ることが有効です。
ボトルネックの工程の処理能力が高まることで、業務全体の生産性やスピード向上が見込めます。
(5)新たなボトルネックへの対応
ボトルネックをひとつ解消したからと言って、業務プロセスの全体最適化が実現したとは言えません。
(1)~(4)のステップを経てボトルネックを解消・強化することで、新たにボトルネックとなる工程が生じるはずです。
ステップ(1)の工程に戻り、継続的にワークフローを見直しブラッシュアップしていくことが大切です。
ワークフローシステムがボトルネック解消に効果的

TOC理論をもとにボトルネック解消のポイントをご紹介しましたが、具体的になにから取り組むべきかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合、ボトルネック解消の第一歩としてワークフローシステムを導入するのも一策です。
ワークフローシステムは、社内で行われる申請や稟議などの手続きを電子化するシステムのことで、近年多くの企業で導入が進められています。
次は、ワークフローシステムがボトルネックの解消に効果的である理由をご紹介します。
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ワークフロー(業務の流れ)が可視化
ワークフローシステムを導入する際は、既存の業務の流れを見直し、整理していきます。
つまり、TOC理論のステップ(1)のように、ボトルネックとなっている工程の特定につなげることが可能です。
また、ワークフローシステムの導入により、業務の流れがシステム上で可視化されるため、継続的にボトルネックの改善を行う基盤を整えることが可能です。
間接業務の効率化
ワークフローシステムの導入により、間接業務の効率化を実現することができます。
間接業務とは、直接的に利益を生み出さない業務の総称であり、その代表例が社内で行われる申請・承認業務です。先述の通り、承認プロセスはボトルネックになりがちであり、業務の全体最適化を阻害する要因になりかねません。
ワークフローシステムを活用することで、紙の申請・承認でありがちな非効率を解消することが可能です。さらに、処理した申請を業務システムに入力・転記する作業も効率的に行うことができ、RPAを活用すればシステム間の入力・転記作業を自動化することもできるでしょう。
場所や時間による制約が解消
ワークフローシステムで承認プロセスを電子化することで、PCやタブレット、スマートフォン上で上記のような作業を完結することが可能になります。
場所や時間による制約がなくなることで、出張や外出中による承認待ちや、テレワーク中の業務手続きの停滞を解消することが可能です。
また、ワークフローシステムには承認者や決裁者への督促通知機能がついているものもあるため、意思決定スピードの向上が見込めます。
ワークフローシステムによるボトルネック解消事例
最後に、ワークフローシステムでボトルネックを解消した企業事例をご紹介します。
ここでは、シリーズ累計4,500社以上の導入実績を誇るワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」でボトルネックの解消を実現した企業事例を見てみましょう。
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懸案だった組織改編対応の効率化・内製化を達成(えがお)
熊本県熊本市を拠点に総合健康関連事業を手掛ける株式会社えがおは、「AgileWorks」へのリプレイスにより、ボトルネックとなっていた組織改編時の負担を解消しました。
2010年代の初め頃から急速な拡大期に突入した同社では組織改編が頻繁に発生しており、申請業務における対応の負担が非常に大きくなっていました。
同社では従来、経費精算などの金銭が絡む申請をワークフローシステムで運用していましたが、組織改編のたびに外部パートナーに改修依頼を行わなければならず、コストの面でも対応スピードの面でも課題となっていました。さらに、当時のシステムでは同社の組織構造や承認経路の再現が難しく、機能面でも不満を抱えている状況でした。
そこで同社は、ボトルネックとなっている組織改編時の対応を効率化・内製化するため、ワークフローシステムのリプレイスを検討開始。システム選定の結果、組織構造や承認経路を柔軟に設計できる機能や、GUIベースで操作できるメンテナンス性の高さを評価し、「AgileWorks」の導入を決めました。
「AgileWorks」へのリプレイスにより、課題の多かった従来の申請業務は大きく変化。外部パートナーに委託していたシステムの保守運用は段階的に社内へと移管され、運用開始から数年後には完全内製化を実現。ボトルネックであった組織改編への対応がスピードアップし、以前は3日ほどかかっていた改修作業を最短即日で完了できるようになりました。
また、「AgileWorks」は申請業務の効率化や意思決定の迅速化にも効果を発揮。たとえば、従来は複数部門をまたがり順々に回覧・承認を行っていた申請業務が、「AgileWorks」の導入後は並列で確認・承認できるようになり、決裁までの期間が大幅に短縮しています。
業務効率化とシステム運用の内製化を実現(刈谷豊田総合病院)
刈谷市、高浜市、豊田自動織機をはじめとするトヨタグループ8社が共同運営する愛知県刈谷市に所在する刈谷豊田総合病院。
医療現場では電子カルテや複数の医療系システムを導入するなど、デジタル化が推進されていた一方で、事務・管理業務では紙帳票が多用されており、回付やExcelへの転記作業などに多大な労力が費やされていました。
そこで、同院では既存のグループウェアのワークフロー機能を利用し、ペーパーレス化を推進しようとしますが、業界に特化したシステムということもあり、メンテナンスに専用プログラムでの記述が求められるなど、複雑なシステムがボトルネックとなり、なかなかデジタル化が進みませんでした。
そこで、既存のグループウェアのみでペーパーレス化を進めるのが難しいと判断した同社では、ワークフロー機能の部分を切り出し、専用システムである「AgileWorks」に刷新することになりました。
ノーコードで、かつ同時アクセスユーザー数に応じた料金体系である「AgileWorks」を導入することにより、約2,400名いる職員のほぼ全員が利用できる体制を構築しました。
その結果、年間3,000件以上も申請されていた、作業依頼書に紐づく業務について、作業全体のリードタイムの約20%短縮、電話での問い合わせの約80%の削減などの効果を得ています。
ボトルネックだった拠点間の稟議・申請をペーパーレス化(いえらぶGROUP)
不動産関連の各種ITシステムを提供し、「“住”領域のワンストップマーケティング事業」を展開する株式会社いえらぶGROUP様のケースを見ていきましょう。
いえらぶGROUPでは、急速な組織拡大の中で拠点間での決裁業務がボトルネックとなっていました。口頭やメールで取締役へ直接了承をもらう決裁方法が残っていたために、決裁遅延を招いていました。
「X-point Cloud」の導入により申請承認業務が整備され、決裁時間を大幅短縮。申請書がシステム上で整備されて優先度が把握できるようになったため、承認権限の切り分けが可能になりました。 これにより、決裁権限の一部を部門長に移譲し、経営層の負担になっていた承認作業の効率化に成功しました。
ボトルネックとなっていた拠点間の稟議・申請業務がペーパーレス化したことで、意思決定の迅速化と業務効率化の効果を実感されています。
懸念材料を解消し非属人的な運用を実現(学研メディカルサポート)
学研グループの一角として、医療・看護領域の教育コンテンツなどを制作する株式会社学研メディカルサポートは、「X-point Cloud」を導入して申請業務のデジタル化を実現しました。
同社では従来、紙の帳票で申請業務を運用しており、積み重なる非効率により作業の煩雑化や意思決定の遅れが生じている状況でした。とくに稟議書に関しては回付に多くの手間がかかるほか、関連書類を印刷・添付する作業が発生するなど、大きな負担となっていました。さらに、稟議書は全役員による承認が必要になるため、決裁までに2~3日を要することも珍しくありませんでした。
このような課題は組織運営に影響を及ぼすため、経営的な観点から稟議書のデジタル化が必要だと判断。同社はシステム導入に向けて製品選定を開始しました。
製品選定にあたり、同社は申請フォームや承認ルートの作成機能を重視。同社では新規事業への進出を積極的に行っており、組織改編が頻繁に行われることから、組織改編時のメンテナンス作業がボトルネックになってしまう可能性が懸念されていました。
そこで、組織改編時のメンテンナンスの手間を最小限に抑えられるシステムを検討した結果、選ばれたのが「X-point Cloud」でした。「X-point Cloud」であれば、「ユーザーグループ指定」の機能を活用することで承認者のグループ分けを行うことができ、組織改変に伴うメンテナンスを効率的かつ簡単に行える点が決め手となりました。

現在、同社では14種類の申請書を「X-point Cloud」で運用しており、年間の申請件数は5,000件に上ります。従来は2~3日を要していた決裁期間は約1日まで短縮し、意思決定の効率化と組織運営の迅速化を達成。また、申請書の処理にかかる手間が削減されたことで、年間250万円の経費削減効果が生まれています。さらに、当初懸念されていた組織改編時の対応も円滑に行われており、非属人的なシステム運用を実現されています。
まとめ
今回は、ビジネスシーンの頻出ワードのひとつであるボトルネックに焦点を当て、その意味や問題点、解消のポイントをご紹介しました。
組織全体の生産性を高めていくには、ワークフローのなかに潜むボトルネックの解消が必要です。
今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムの導入からボトルネックの解消に着手してみてはいかがでしょうか。
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。