捺印と押印の違いとは?意味や法的効力、脱ハンコの推進方法を解説!
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ビジネスシーンでは、文書に捺印(なついん)や押印(おういん)を施すケースが多々あります。
しかし、
「そもそも捺印や押印とは?」
「捺印と押印に法的効力の違いはある?」
「捺印や押印を廃止する方法は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、捺印と押印の意味や法的効力、脱ハンコの必要性や推進のポイントを紹介します。
捺印や押印の意味を知りたい方や、脱ハンコに課題を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- 捺印・押印の意味や違いとは?
- 捺印・押印の法的効力の違い
- 脱ハンコの必要性が高まっている理由
- ワークフローシステムが脱ハンコを加速
- ワークフローシステムで脱ハンコを推進した企業事例
- ①学校法人京都女子学園様の導入事例
- ②株式会社グリーンズ様の導入事例
- ③コニカミノルタジャパン株式会社様の導入事例
- ④東急プロパティマネジメント株式会社様の導入事例
- まとめ
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捺印・押印の意味や違いとは?
捺印(なついん)と押印(おういん)は、どちらも印鑑を押す行為に関係する言葉ですが、じつは細かな意味の違いがあります。
まずは、捺印と押印の意味について確認していきましょう。
捺印とは「署名捺印(しょめいなついん)」を省略した言葉で、自筆による署名に加えて印鑑を押す行為のことを指します。
一方の押印は「記名押印(きめいおういん)」を省略した言葉で、自筆以外の方法であらかじめ名前が記されている書面に印鑑を押す行為を指します。また、単純に印鑑を押す行為を指して「押印」と呼ぶケースもあります。
たとえば、あらかじめ名前が印字されている書類に印鑑を押す場合、捺印ではなく押印に該当します。
つまり、捺印と押印の最大の違いは、自筆で名前を記すか否かだと言えます。
詳しくは後述しますが、法的な証拠能力の面でも違いがあるため注意が必要です。
捺印・押印の法的効力の違い
捺印と押印の意味について紹介しましたが、法的効力の面で違いがあるのか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
民事訴訟法の第228条では、文書の真正性について以下のように示されています。
(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
(中略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
(後略)
(引用:民事訴訟法 | e-Gov法令検索)
つまり、文書に本人もしくは代理人による捺印・押印を施すことで、一定の法的証拠力を持たせることができると言えます。
ただし、証拠力の高さという面では違いがあることを覚えておきましょう。
先述の通り、捺印は印影だけでなく自筆による署名が施されるため、筆跡鑑定によって本人性を担保することができます。
一方の押印は、あらかじめ記名された文書に印鑑を押すだけなので、印鑑の複製や無断利用などの可能性を排除することができず、捺印よりも証拠力が劣ります。
このことから、契約書などの重要な書類に印鑑を押す場合は、押印よりも証拠力が高い捺印を行うのが一般的です。
脱ハンコの必要性が高まっている理由
ここまでは、捺印と押印の意味や法的な証拠力の違いについて解説してきました。
近年はビジネスシーンを中心に、印鑑による捺印や押印を廃止する動き、いわゆる「脱ハンコ」が注目されています。
次は、脱ハンコの必要性が高まっている理由について確認していきましょう。
テレワークの普及
脱ハンコの必要性が高まっている要因として、テレワークの急速な普及を挙げることができます。
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークへの切り替えを図る企業が増加しました。
しかし、捺印・押印のためだけに出社しなければならない状況が発生し、テレワークの定着に至らなかった企業も少なくありませんでした。
こうした状況を受け、テレワークを促進・定着させるための施策として脱ハンコに注目する企業が増えてきているのです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の活発化
脱ハンコが注目を集める理由として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが活発化している点も挙げることができます。
少子高齢化に伴う労働力不足、国際市場における日本企業の生産性低迷などを背景に、年々DXの必要性は高まってきています。
そうしたなか、紙と印鑑に代表されるアナログ業務の存在が、企業のDX促進を妨げる要因として課題視されているのです。
紙ベースの作業や捺印・押印による承認・決裁などを電子化し、業務のデジタル化を進めていくことが、DX実現のためには不可欠だと言えます。
行政でも進められている脱ハンコ
脱ハンコの取り組みは、民間企業だけでなく行政でも進められています。
たとえば、2020年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」および「規制改革実施計画」では、国民や事業者などに対して押印を求めている行政手続きの見直し方針が示されています。
また、地方公共団体が押印見直しを実施する際の参考資料として、内閣府が「地方公共団体における押印見直しマニュアル」を公開するなど、脱ハンコに積極的な姿勢を見せています。
(参照:書面規制、押印、対面規制の見直し・電子署名の活用促進について : 規制改革 - 内閣府)
ワークフローシステムが脱ハンコを加速
企業がテレワークやDXを推進していくうえで非常に重要な役割を果たす脱ハンコですが、なにから着手すればよいかわからないという方も多いことでしょう。
そのような場合、ワークフローシステムの導入から脱ハンコを推進することをおすすめします。
ワークフローシステムとは各種申請や稟議を電子化するシステムのことで、近年多くの企業で導入されています。
次は、ワークフローシステムが脱ハンコの推進に効果的な理由を確認していきましょう。
社内業務の押印・捺印を電子化
ワークフローシステムを導入することで、印鑑を押して承認・決裁していた各種申請や稟議などの社内手続きを、システム上で再現することができます。
ノートPCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスから、電子印鑑によって承認・決裁を行えるため、社内手続きにおける脱ハンコを急速に進めることが可能です。
捺印・押印のためだけに出社したり、外出先から帰社したりといった必要がなくなるため、業務の効率化やテレワークの定着にも効果が期待できます。
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システム連携で対外文書の脱ハンコも推進可能
ワークフローシステムは、外部システムと連携することでさらに利便性を高めることが可能です。
たとえば、電子契約サービスと連携することで、契約に伴う社内承認の電子化、および契約書への捺印も不要になります。
また、電子帳票システムと連携すれば、請求書や注文書などの企業間取引文書への押印も電子化することができます。
このように、ワークフローシステムと外部システムを連携することで、社内文書・対外文書の両面で脱ハンコを推進していくことができるでしょう。
ワークフローシステムで脱ハンコを推進した企業事例
最後に、ワークフローシステムを活用して脱ハンコを推進した企業事例を紹介します。
ここでは、シリーズ累計4,000社以上の導入実績を誇るワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」で郵送作業やコスト削減を実現した企業事例を見てみましょう。
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学校法人京都女子学園のX-point Cloud導入事例
京都府で幼稚園から大学・大学院までの一貫教育校を運営する学校法人京都女子学園は、根強く残る紙文化・押印文化からの脱却を図り、X-point Cloudを導入しました。
同学園では、物品購入や人事関係の軽微な申請から巨額な予算を要する建設工事の申請まで紙の稟議書で行っており、稟議書は「組織運営の要」と言える重要な書類でした。
しかし、紙ベースの稟議は承認までに20日ほどの期間を要するほか、印刷や保管の手間も大きく、業務効率化の妨げとなっていました。
そこで同学園は、X-point Cloudを活用して稟議書のペーパーレス化に着手。
紙書類のイメージを再現できるフォーム作成機能、そして電子印鑑機能を備えていたため、紙文化・押印文化に慣れ親しんだ教職員にもスムーズに定着しました。
結果として、従来20日ほど要していた承認期間が最短3日に短縮するなど、組織全体の運営スピード向上や業務効率化に大きな効果を得ています。
株式会社グリーンズのX-point導入事例
三重県四日市市に本社を置き、日本全国に約100ヶ所のホテルを展開するグリーンズは、オリジナルブランドの店舗を運営するとともに、世界45カ国に7,400店舗以上を展開するグローバルホテルブランド「チョイスブランド」のフランチャイズ運営も手がけています。
オリジナルブランドとチョイスブランド、承認経路が異なる事業ごとに申請書を使い分ける必要性から、紙帳票が最も多い時期で約200種類にも膨れ上がり、書類の回付といった押印ために発生するの作業に莫大な経費と時間がかかっていました。
そこでグリーンズでは、シーズンごとに需要が変動するホテル事業において、迅速な意思決定と戦略実行を阻害する紙帳票での押印作業を経営に直結する課題として捉え、X-pointを導入しました。
従業員が紙帳票の電子化や申請書の項目変更などを要望する改善依頼書などの独自施策を展開し、現場の従業員のX-point利用を促すと同時にアイディアを募ることで急速な紙帳票の削減に成功しました。
コニカミノルタジャパン株式会社のAgileWorks導入事例
暮らしや社会に変革をもたらすソリューションを提供するコニカミノルタジャパン株式会社は、「紙と場所に縛られない」ワークスタイルを目指しAgileWorksを導入しました。
同社では2013年に「働き方変革プロジェクト」を発足し、本社オフィスの移転やフリーアドレスの採用、フレックス勤務やテレワークの導入など、場所に縛られない働き方を実現するための取り組みを進めてきました。
しかし、紙ベースの業務プロセスが障壁となり、これらの取り組みで期待通りの成果を得ることができませんでした。
そこで同社は、場所に縛られない働き方を阻害する課題解消のため、「保管文書ゼロ化プロジェクト」をスタートし、AgileWorksの導入を決断しました。
社内のあらゆる書面を評価・査定したうえで文書の統廃合を進め、押印を伴う業務文書と利用頻度の高い文書を電子化しました。
これにより、社内申請における処理工数を年間12,000時間も削減。
さらに、テレワークでも円滑に業務を遂行できる環境が整ったことで、コロナ禍の事業継続においても影響を最小限に抑えることに成功するなど、場所に縛られない働き方の定着にも効果を実感されています。
東急プロパティマネジメント株式会社のAgileWorks導入事例
東急グループにおける不動産事業の中核を担う東急プロパティマネジメント株式会社は、承認申請業務の効率化を図り、AgileWorksを導入しました。
ワークフローシステムの導入以前、同社では稟議書や申請書を紙媒体で運用しており、承認は押印で行っていました。
しかし、承認までに多くの時間がかかることが課題視されており、地方拠点と本社間での稟議・申請においては承認までに1~2週間を要していました。
さらに、過去の稟議・申請を参照する際、倉庫の中から該当の書類を探す手間が大きく、生産性低下を招く要因となっていました。
そこで同社は、これらの課題を解消するためにAgileWorksの導入を決断。
社内のほぼすべての承認申請業務を、AgileWorksで4種類の稟議書と8種類の申請書に集約し、紙の印鑑による稟議・申請を全廃することに成功しました。
さらに、1~2週間を要していた承認期間が1~2日まで短縮し、過去の書類を速やかに参照できる環境が整うなど、大きな成果を実感しています。
まとめ
今回は、捺印・押印の意味や違い、法的効力、脱ハンコの必要性が高まっている理由などをご紹介しました。
テレワークなどの柔軟な働き方に対応したり、DXを推進したりするためには、印鑑による捺印・押印を廃止し、脱ハンコを進める必要があります。
そして、ワークフローシステムで申請や稟議を電子化することで、脱ハンコを効率的に進めることが可能になります。
現在、印鑑で捺印・押印を行っている企業は、脱ハンコの第一歩としてワークフローシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
\文書の電子化で非効率な捺印・押印から解放!/
ペーパレス化だけでは不十分!
ドキュメントDX(文書業務のデジタル化)が業務工数を大幅に削減
社内文書のペーパーレス化により業務効率や生産性を向上するためのポイントや役立つソリューションについてご紹介しています。
こんな人におすすめ
・ペーパーレス化したのに業務効率が上がらない。
・社内文書に紐づく業務が負担になっている。
・社内文書の何から電子化していいのか分からない。
「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。