決裁とは?意味や類似用語との違い、電子化のメリットを徹底解説!
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会社組織で働くなかで、「決裁(けっさい)」という言葉を耳にする機会は少なくありません。
しかし、
「そもそも決裁って何?」
「決裁と決済は違う意味?」
「どんなプロセスで決裁されるの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、決裁の意味や類似用語との違い、決裁手順などの基礎知識を解説します。
業務効率化に役立つ「電子決裁」についてもメリットや事例を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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決裁とは?
企業では、申請・稟議といったさまざまな業務手続きが行われており、その内容を吟味・検討したうえで意思決定を行います。
この意思決定プロセスのなかで、非常に重要な役割を果たすのが「決裁」です。
まずは、決裁の意味について確認していきましょう。
決裁の意味

決裁とは、申請・起案内容に対して許可(合意)もしくは不許可(却下)という最終的な判断を下すことです。
会社組織では、物品を購入するとき、企業間で契約を締結するとき、あるいは新たなプロジェクトを立ち上げるときなど、物事を進める際には決裁が必要になります。
反対に、物事を進めるための準備が整っていたとしても、決裁が得られなければ着手することはできません。
つまり決裁は、企業における意思決定プロセスの最終工程だと言えます。
ちなみに、決裁で許可を得ることを指して「決裁が下りる」「決裁を得る」という言い方をする場合や、決裁者に決裁の判断を促すことを「決裁を仰ぐ」と言うことがあります。
決裁権と決裁者
決裁を行う権限のことを「決裁権」、決裁権を持つ人物のことを「決裁者」と呼びます。
決裁権は、基本的に職務権限表(決裁権限表)をもとに特定の役職・職位者に与えられます。
たとえば、採用稟議における決裁者は人事部長、経営方針に関する立案は取締役会による決裁が必要、といった具合に申請・稟議の内容や重要性によって決裁者が異なります。
また、決裁者が決裁権の一部を部下に分け与える「権限委譲」という仕組みもあります。
権限委譲を適切に行うことで、以下のようなメリットが期待できます。
- チームメンバーの当事者意識向上
- 決裁期間の短縮
- 決裁者の負担軽減
ただし、権限委譲を行った場合でも、決裁事項に対する最終的な責任は本来の決裁者が請け負います。
類似用語との違いをチェック!
決裁には、しばしば混同されがちな類似用語がいくつか存在します。
次は、決裁の類似用語として「決済」「稟議」「起案」「承認」の4つをピックアップし、その意味や違いを解説します。
決済
「決裁」としばしば混同される用語が、読み方が同じ「決済」です。
決済とは、簡単に言えば「支払い」のこと。
私たちは、ビジネスや日常生活のなかで、「お金と商品」や「お金とサービス」を交換する取引を行っています。
商品・サービスを受け取った対価としてお金を支払う義務を「債務」、商品・サービスを提供した対価としてお金を受け取る権利を「債権」と呼びます。
お金のやり取りによって債務・債権を解消し、取引を完了することが「決済」です。
決済と決裁の意味・違い
- 決済:お金のやり取りによって債務・債権を解消すること。
- 決裁:申請・起案された物事の可否(許可・不許可)の判断を下すこと。
稟議
稟議とは、自身の権限だけでは決定できない事案について、文書を作成して関係者に回覧し、承認・決裁を得るための手続きを指します。
事案のたびに関係者が集結しなくても承認を得ることができるので、無駄な会議の削減などに有効です。
決裁との違いについては、稟議が関係者の承認を得るための手続きであるのに対し、決裁は最終的な判断を下す行為を指します。つまり、決裁は稟議の最終段階であるといえます。
稟議と決裁の意味・違い
- 稟議:意思決定の一連の手続き。
- 決裁:稟議の一部であり意思決定プロセスの最終工程。然るべき承認を経た後に決裁を行います。
起案
起案とは、自分だけでは決定できない事案について、関係者に承認を得るために分かりやすく文書にまとめることを指します。決裁が稟議の最後の工程であるのに対し、起案は最初のプロセスであるといえます。
起案と決裁の意味・違い
- 起案:意思決定の最初のプロセス。事案を文書としてまとめる。
- 決裁:意思決定プロセスの最終工程。
承認
「承認」もまた、決裁と混同しやすい用語のひとつです。
決裁が申請や稟議の最終工程であるのに対し、承認は申請・稟議が決裁されるまでの途中で行われる工程のこと。承認を行う権限を持つ人物を「承認者」と呼びます。
一般的に、申請・起案された内容が決裁されるまでには、複数人による承認が必要になります。また、申請・稟議の種類や金額等の条件によって、承認者の人数や承認ルートは異なります。
承認と決裁の意味・違い
- 承認:意思決定プロセスの途中工程。承認後は次の承認者もしくは決裁者へと回されます。
- 決裁:意思決定プロセスの最終工程。然るべき承認を経た後に決裁を行います。

決裁の一般的な流れ

次に、決裁のプロセス・手順について確認していきましょう。
申請書・稟議書の作成
申請・起案する事項について決裁を得るために、申請書や稟議書が必要になります。
承認・決裁を得たい事柄について、その内容や理由などが明確に伝わる文書を作成しましょう。
また、申請書や稟議書などの回覧文書を作成する際は、決裁を得やすくするために意識したいポイントがあります。
以下の記事では、回覧文書のルールや書き方の基本を解説しているので、あわせてご確認ください。
文書の回付・承認
起案者によって作成された文書は、その内容に応じた承認ルートで、承認者へと回付されます。
承認者は、回付された文書の内容を確認したうえで、承認・却下・差し戻しなどの判断を下します。
承認された文書は、承認ルート上の次の承認者もしくは決裁者へと回付されます。
また、文書が差し戻しされた場合は、内容を修正・調整した後にあらためて承認者へと回付することができます。
承認者によって文書が却下された場合、その時点で回覧が終了し、不許可として処理されます。
決裁~文書保存
承認ルート上のすべての承認を得た申請書・稟議書は、最終的に決裁者のもとに回付されます。
決裁者が申請内容・稟議内容に対して許可・不許可の判断を行い、決裁プロセスは終了します。また、承認ステップと同様、文書の差し戻しを行うことも可能です。
決裁後の文書は、後から参照できるようにファイリングしたうえで、書庫などの保管スペースにて保存します。
紙の決裁にはデメリットがいっぱい
少し前に「脱ハンコ」という言葉がスポットライトを浴びました。
脱ハンコとは、その名の通り稟議書や申請書、請求書、契約書といった書類の押印を無くそうとする取り組みです。
なぜ、近年このような動きがでてきたのかというと、コロナ禍で紙ベースの決裁業務が、行政機関をはじめ多くの企業で経営の大きな足かせとなったからです。
それでは、紙ベースの決裁について具体的にどのようなデメリットがあったのかを見てみましょう。
脱ハンコについて詳しく知る
1.テレワークできない
決裁業務を紙で行う場合、稟議書や起案書の印刷、回付、押印といった作業のために出社が必要になり、テレワークなどの柔軟な働き方の定着が難しくなります。
2.業務効率の低下
紙ベースでの決裁業務には、多くの非効率が潜んでいます。例えば、書類の作成はもちろんのこと、差し戻しなどがあった場合はいちから作り直さなくてはなりません。また、承認者が不在の場合は再度出直す必要があったり、決裁が済んだ後も、ファイリングや破棄といった作業が発生してしまいます。
3.決裁遅延
紙で決裁業務を行う場合、書類の回付の際に承認者不在が発生すると、前述のような手間が発生するだけではなく、決裁遅延の恐れがあります。決裁遅延とは、すなわち業務の停滞を意味するため、経営にも少なからず影響が出てしまいます。
4.セキュリティ
紙で決裁業務を行う場合、回付状況が不明瞭になりがちです。
回付状況が不明瞭だと、書類の紛失や改ざんのリスクが高まってしまいセキュリティ上問題があるといえます。
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電子決裁とは?

ペーパーレス化やデジタル化が進むなかで、「電子決裁」という言葉が浸透しつつあります。
電子決裁とは、ワークフローシステム(電子決裁システム)を利用して、申請から決裁、文書管理までのプロセスを電子的に行うこと。
次は、電子決裁のメリットや、ワークフローシステムで電子決裁化に成功した事例をご紹介します。
ワークフローシステムについて詳しく知る
電子決裁のメリット
電子決裁には、主に以下のようなメリットが存在します。
電子決裁の主なメリット
- 意思決定の迅速化
- 過去の文書の検索性向上
- ペーパーレスによるコスト削減
- 企業全体の生産性向上
- テレワークなど柔軟な働き方への対応
では、各メリットについて詳しくご紹介します。
意思決定の迅速化
従来の紙に申請書・稟議書を用いた手続きでは、
- 回覧状況が分からない
- オフィスにいないと承認・決裁が進まない
- 記入ミスなどによる差し戻しが多い
などの理由から、業務が停滞してしまいがちです。
一方、電子決裁であれば、入力内容の自動チェック機能などによって人的ミスを防止することができ、申請内容を基に自動で承認ルートが判別されるため、速やかに承認者へと回付されます。
また、システム上で申請・稟議の進捗状況を確認可能で、督促通知を送ることもできます。
さらにノートPCやスマートフォンなどから承認・決裁を行うことができるため、承認者・決裁者がオフィスに不在でも業務が停滞することがありません。
これらの機能によって、電子決裁では意思決定を迅速化することができるのです。
申請・稟議の検索性向上
紙の申請書・稟議書の場合、決裁後の文書を閲覧する際に大量の書類のなかから該当文書を探し出さなければなりません。
一方、電子決裁であれば過去の申請書・稟議書がデータとして蓄積され、検索機能によってスピーディーに閲覧・出力することが可能です。
バックオフィス部門の業務負担が軽減され、監査などで文書の提出を求められた際も速やかに対応することができます。
ペーパーレスによるコスト削減
電子決裁によって申請書・稟議書などの社内文書が電子化されることで、ペーパーレス化が促進されます。これにより、紙ベースの業務で発生していた紙の印刷コストや、拠点間の郵送コストが不要になります。
また、文書保管のためのスペースを縮小することができるほか、文書管理にかかっていた人的コストの削減も実現可能です。
企業全体の生産性向上
先述の通り、電子決裁によって申請書・稟議書の作成や回付、承認・決裁作業、さらには決裁後の文書管理まで、大幅な業務効率改善が見込めます。
従来よりも作業時間を短縮することができるため、そのぶんの時間をより生産的な業務に充てることができ、企業全体の生産性向上につなげることができます。
柔軟な働き方への対応
業務手続きが紙ベースで行われている場合、申請書や稟議書を紙で印刷し、手渡しで回覧を行い、ハンコによる押印などを行う必要があるため、オフィスにいなければ業務が停滞してしまいます。
一方で、電子決裁であればスマートフォンやノートPCから申請内容の確認から承認・決裁を行うことができるため、在宅勤務などのテレワーク下でも円滑に業務を進めることが可能になります。
押印のためだけのハンコ出社や、紙の印刷、確認のための出社が不要になるため、柔軟な働き方の定着につながります。
ワークフローシステムによって電子決裁化した事例
次に、ワークフローシステム導入によって電子決裁化を実現した事例をご紹介します。
ここでは、シリーズ累計4,500社以上の導入実績を誇るワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」で電子決裁化を実現した企業事例を見てみましょう。
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株式会社いえらぶGROUP様の事例
不動産関連の各種ITシステムを提供し、「“住”領域のワンストップマーケティング事業」を展開する株式会社いえらぶGROUP様では、拠点間で行われる申請・承認手続きの効率化を目的に「X-point Cloud」を導入。
X-point Cloudの導入後にはどこからでもシステム上で申請承認が可能になり、拠点間での決裁時間を大幅短縮。また、決裁権限の切り分けによって、経営層に一任されていた承認業務の分担と効率化にも成功しました。
決裁スピードの迅速化に加え、業務効率化の効果も得られています。
清水建設株式会社様の事例
1804年の開業から200年以上の歴史を誇る清水建設株式会社様は、本社の移転時に会社の方針として新本社に持ち込める紙書類を制限されたため、紙資料の削減が求められた点と、「ホワイトカラーイノベーション活動(ホワイトカラーの働き方を革新すること)」の一環として「AgileWorks」を導入しました。
AgileWorksの導入から3年間で約200種類の文書を電子化し、74,000件の決済処理を実行。段ボール箱約30箱分の保管スペースと月1,200時間のコスト削減、決裁業務の効率化を実現しました。意思決定の迅速化に効果を実感しています。
東急建設株式会社様の事例
1946年の創業以来、都市開発やインフラ整備などを通じ、私たちの暮らしを支え続けてきた東急建設。
同社では、2003年ごろに導入され約15年にわたり決裁システムを利用し申請業務を行ってきましたが、いち部の申請書が電子化できず紙のまま残ってしまったために社内でなかなか定着しない、システムの老朽化によりメンテナンスや他システムとの連携に膨大な工数と手間がかかってしまう、数年先にサポート終了が控えているなど、さまざまな課題を抱えていたことから、従来の電子決裁システムに代わる新たなシステムとして「AgileWorks」を導入しました。
決め手となったのは、「拡張性」と「組織や回付ルートの設定しやすさ」で、AgileWorksを導入したことにより、これまで出来なかった人事システムや会計システム、電子契約システムなど、多種多様なシステムとの連携やこれまで紙で運用していた帳票のデジタル化を実現した。
まとめ
今回は、決裁の意味や使い方、電子決裁のメリットなどをご紹介しました。
決裁は企業が意思決定を行ううえで必要不可欠なプロセスであり、電子化することによって多くのメリットを享受することができます。
今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムを導入して電子決裁を実現してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。