これからの働き方を考える

はじめよう!デジタル稟議

はじめよう!デジタル稟議

規模の大小や業種を問わず、日本の企業に必ずといっていいほど存在する制度の1つに「稟議」があります。

稟議とは、自分に決定権限がない事案について文書を作成し、関係者からの承認・決裁を得るための手続きを指します。

「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源をどのように取り扱うかを決めるものであることから、稟議は企業経営と密接に関係しています。

\稟議が経営に与える影響とは/

業務の効率化!稟議のデジタル化が経営にもたらす6つの効果

ところが、その重要性とはうらはらに、稟議には「めんどうくさい」「いらない」といった意見が絶えず寄せられます。

そこで、今回は改めて稟議のメリットや課題を整理しながら、これからの稟議について言及したいと思います。

OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。

稟議は日本独特の文化

あまり知られていませんが、稟議は日本独特の文化です。

もともと島国ということもあり、他国の脅威に晒される機会が少なかった日本では、強いリーダーが率いるトップダウンよりも、ボトムアップでの意思決定が好まれました。

稟議の歴史について詳しくしる

過去の成功と国民性に学び、現代日本に必要な稟議の姿を考える

稟議で身につく力

次は稟議のメリットについてみてみましょう。

まず、前述にもあるように、稟議はボトムアップのプロセスなので組織全体を巻き込みやすいといった特長があります。

そのため、1度決定すればその後の実行がスムーズになり、結果として生産性を上げることができます。

稟議が生産性向上に役立つ理由をもっとしりたい

稟議とは生産性のレバレッジ最大化を実現する、一石三鳥の特効薬

また、稟議を通じてさまざまなビジネススキルが身につくというのも利点の1つです。

例えば、稟議で検討される事案は、程度の差があるにせよ、現在企業で抱えている課題を解決するものでなくてはなりません。そのため、稟議を通す過程で問題解決力を身に付けることができるでしょう

また、稟議を通すには稟議書を通じて上長を説得しなければなりません。

相手に分かりやすく内容を伝えるには、必然的に情報を論理的に組み立て端的にまとめる必要があるため、何度か稟議書を作成することで論理的思考が養われます。

最後に、コミュニケーション力も稟議により培うことができます。

例えば、起案した稟議に説得力が足りなかった場合、差し戻しが行われますが、このとき、多くの場合で再起案のための補足やアドバイスが行われます。

この過程で起案者は新たな発見や知恵を学び、再起案の際により適切なコミュニケーションや表現を行えるようになるでしょう。

稟議で身につくビジネススキルについてもっと知りたい

●仕事力の真髄「問題解決力」と「コミュニケーション力」は稟議という実践の場で磨かれる

●論理的思考力は稟議で試される−稟議力と仕事力の深い関係−<前編>

稟議は時代遅れ?

経営における重要性や歴史的背景から、多くの日本企業で稟議制度が文化として根付いてきた理由が分かったところで、今度は冒頭にあったような批判的な声に目を向けてみましょう。

上長への根回し、作成や回付の手間などが、「めんどうくさい」というのはもちろんそうなのですが、稟議が「いらない」とされる1番の理由は、何より従来の稟議制度が今の時代に対応できなくなってしまったことが挙げられます。

それでは、稟議制度がどのような点で現代社会にあっていないのか具体的にみてみましょう。

約8割が「稟議に関する悩みあり」

稟議書に関する実態調査(2022)

1.意思決定の遅れ

稟議の課題の1つは、意思決定の遅さです。

承認や決裁をもらうには、稟議書を直接承認者や決裁者のもとに届ける必要があります。

そのため、承認者や決裁者が不在だったり離れた場所にいる場合は、意思決定までにどうしても時間がかかってしまいます。

また、途中で不備やミスが発覚した場合、起案からやり直す必要があり、こうした点も遅れの原因となります。

情報化社会と呼ばれる現代において、意思決定の遅れは、競合に差を付けられたり、不祥事やトラブル時の初動が遅れてしまう等、致命的な影響を及ぼしかねません。

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契約の電子化がもたらす働き方の未来

2.モチベーション・生産性の低下

稟議制度の課題として業務効率の悪さも挙げられます。

申請や回付の非効率はもちろんのこと、決裁が完了した後も、ファイリングの必要があったり、集計や書類検索に時間がかかるなど、余計な手間が発生してしまいます。

こうした効率の悪さの積み重ねが、従業員が本来集中すべき業務に割く時間を圧迫することにより、結果として生産性やモチベーションの低下を招いてしまいます。

その業務の無駄じゃない?

ハンコや会議も非効率!? 無駄を見直して業務効率化を図るポイント(2022)

3.柔軟な働き方に対応できない

コロナ禍のハンコ出社からもうかがえるように、稟議制度は従業員の柔軟な働き方を阻害する要因となっています。

ワークライフバランスや働き方改革、ダイバーシティといったキーワードが声高に叫ばれる昨今において、柔軟な働き方に対応できない体制では、人材の確保やイノベーション基盤の構築という点で不利になってしまうでしょう。

テレワーク定着のハードルは稟議

テレワーク実態調査(2021)

4.BCP/リスクマネジメント

新型コロナウイルス感染症の世界的流行など不測事態をきっかけに、昨今リスクマネジメントやBCPを見直す企業が増えています。

このような状況において、書類の状態で作成・回付・保存される稟議書は、紛失や破損、改ざんなどのリスクが高く、現代にマッチしていないといえるでしょう。

予測でいない時代だからこそBCP見直しが必要

BCP(事業継続計画)の実態把握調査(2020)

ワークフローシステムで稟議革命

さて、ここまで稟議制度がなぜ時代遅れなのかについて説明してきましたが、そもそも稟議が現代社会とミスマッチになってしまった原因は、すべて稟議が「紙」で行われていることにあります。

それでは、時代遅れの稟議を今の時代にあった稟議に変えるにはどうすればいいのか。

その答えは、ワークフローシステムを導入し、紙の稟議をデジタル化することです。

ワークフローシステムとは、社内で行われている各種申請や稟議などの業務手続きを自動化するシステムです。つまり、デジタル稟議です。

ワークフローシステムについて詳しくみる

ワークフローとは?意味や役割などの基礎知識を徹底解説!

紙業務をデジタル化するツールとは?

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デジタル稟議の効果

それでは、ワークフローシステムを導入し稟議をデジタル化することで、企業にどのような変化が起こるのか具体的に見てみましょう。

業務効率/生産性の向上

ワークフローシステムの導入により、稟議における一連のプロセス(起案→承認→決裁→データの保存・活用)をすべてオンライン上で完結することができるようになります。

そのため、ミスがあると書類を1から作り直す、各承認者のもとに稟議書を持ちまわる、無数のファイルの中から該当の書類を探すといった無駄な手間を省略することができます。

また、ワークフローシステムを導入するには、既存業務を整理して可視化する必要があります。

この過程で、業務のボトルネックやムダな行程を発見し、業務プロセスを改善することができるため、業務の効率化や生産性の向上につながります。

業務の無駄をなくそう!

ワークフローを整理することが生産性向上のカギを握る

情報のナレッジ化

ワークフローシステムの中には、稟議書にコメントの入力や資料・URLの添付ができる機能を搭載しているものがあります。

このようなワークフローシステムを導入することで、承認フローが進むにつれ不足している情報を補足したり、必要に応じて情報のアップデートを行うことができるようになるため、稟議ごとに社内のナレッジを集結することができます。

また、これらのナレッジは、データとしてオンライン上で蓄積・管理されるため、必要に応じて参照することができ、属人化の防止にもつながります。

ワークフローシステムは情報の集積

ワークフローの本質とは、企業の「歴史と集合知」を経営にフィードバックすること

意思決定の迅速化

稟議をデジタル化することで、郵送・メール・FAXなどでの書類のやり取りが不要になるほか、スマートフォンや自宅PCなど、オフィス外での申請や承認作業ができるようになるため、即時決裁が可能になります。

また、申請後も進捗状況を可視化できるため、書類配布の停滞などがあれば、催促することもできます。

デジタル稟議で変わる経営の4つの場面とは

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柔軟な働き方の実現

ワークフローシステムを導入することで、オフィス以外の場所からも、パソコンやタブレット、スマホで申請書類の作成や提出、承認ができます。

そのため、テレワークの導入が可能となり、場所に縛られない柔軟な働き方を実現できるようになります。

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DX基盤の構築

昨今、デジタルツールと呼ばれるものは無数に存在しますが、そのほとんどが特定の業務のデジタル化することを目的としているため、活用できる業務や部署、従業員数が限定されてしまいます。

その一方で、ワークフローシステムは幅広い業務に紐づく業務手続きの一連のプロセスをデジタル化できるため、さまざまな部署を横断し、従業員全員で活用することが可能です。

このような点からも、ワークフローシステムを導入することで社内DXの基盤が構築できるといえるでしょう。

DX最初の1歩にはワークフローシステムがおすすめ

ワークフローからはじめる、ファーストDX

まとめ

かつての戦後復興や高度経済成長といった実績は、旧来の稟議に象徴される「全社一丸」の取り組みの賜物であることは間違いないでしょう。

しかし、2020年のコロナ禍以降、「デジタル化の遅れ」という日本企業の課題が全面的に露呈されました。

今日、日本の企業に求められるのは、デジタル技術の急速な発展や、頻発する災害、感染症の世界的流行など、私たちを取り巻く状況が目まぐるしく変化する中で、状況に応じ、スピード感を持って自らを変化し続けられる体制なのではないでしょうか。

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ワークフロー総研編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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