昨今、企業を取り巻く環境変化は日増しに激しくなっています。多くの企業が、経営戦略を実行するための内発的な組織改編だけではなく、環境変化への対応を目的とした組織改編を行い、組織力の強化を図っています。

そして、組織改編や人事異動の際には、業務フローの変更が必ず発生します。ワークフローシステムは組織と業務フローを繋ぐため、企業内システムの中でも、組織改編の影響を強く受けるシステムであると言えます。

ワークフローシステムは様々な業務手続きを電子化しており、社内規程に沿った運用のために職務権限規程や組織図に基づいて初期設定を行います。社内規程をワークフローシステムとして設定することで、従業員のポジションに合った閲覧権限や、申請内容に合わせた承認ルートが自動化されます。

組織が何も変わらなければ、設定変更なしで運用を続けられますが、組織改編時にはワークフローシステムの設定変更が必要になります。企業規模が大きいほど変更作業の負担は大きく、検証にも時間が掛かります。その一方で、ワークフローシステムによって業務が進められているので、システムを完全に停止させることはできず、業務に支障がないよう正常に動く環境を用意しなければなりません。

ワークフローシステムは組織改編にどう対応する？

「組織改編のたびに設定変更すれば問題ない」という考え方もあるでしょう。しかし、ワークフローシステムは業務手続きそのものを電子化しているため、組織改編後に不具合なく稼働しているかだけでなく、組織改編前、また移行期間中もどう運用するのかまでを考える必要があります。

改編に向けた準備や引き継ぎはもちろん、改編後に改編前の情報が使用されるケースは往々にしてあります。具体的な例として、以下のようなケースが考えられます。

• 組織改編前に発生した申請を、改編前の規程で完了まで進める
• 引き継ぎ期間中は前任、後任の2名で対応する
• 後任者が審議にあたり、前任者がどのような条件で承認していたか閲覧する

ただ設定を変更するだけであればどのワークフローシステムでもできますが、単なる設定変更ではなく、「組織改編での設定変更」ということが考慮されているかどうかによって、業務への影響は大きく変わります。上記のようなケースでも、組織改編に強いワークフローシステムであれば、システム上での対応が可能となります。

「できる」ではなく「強い」かどうか

ワークフローシステムを選定する際は、必要な機能が揃っているかだけでなく、「将来発生しうる企業の変化にも柔軟に対応できるか」という視点も持ちながら進めると良いでしょう。

組織改編が「できる」ワークフローシステムではなく、組織改編に「強い」ワークフローシステムを選ぶことが、未来を見越した基盤構築に必要だと言えます。

組織改編に強いワークフローシステムを選ぶうえで注目すべきポイントとしては、以下のような点を挙げることができます。

注目すべきポイント

• 先付けメンテナンスの可否
• 人事システムとのシームレスな連携可否
• 組織・フォーム・承認フローの履歴管理（版管理）　など

組織改編を見越したワークフローシステム導入事例

次は、組織改編を見越してワークフローシステムを導入した企業や、実際に組織改編へのスムーズな対応に成功した企業の事例を見ていきましょう。

組織の変化を見据えてワークフローシステムをリプレイス

全日空商事株式会社は、個別業務はもちろんグループ全体における意思決定の迅速化やガバナンス強化を図り「AgileWorks」を導入しました。

製品選定にあたっては、システム連携の柔軟性や運用の手間・コストの観点、そして乱立していたシステムに代わる共通基盤として機能するかどうかが基準に。

とくに運用面においては、運用開始後に発生する人事異動や組織変更などの変化に柔軟に対応できるかという点が重視されました。

「AgileWorks」導入後、帳票の統廃合が進み、各部門で乱立していた200種類のフォームを削減することに成功。ワークフローシステムの運用をIT部門に集約したことで、リスク管理や業務負担の軽減、ノウハウの集約にもつながっています。

ワークフローシステム導入事例

• グループ経営の効率化とガバナンス強化を実現 | 全日空商事株式会社

大規模組織改編へのスムーズな対応を実現

東急プロパティマネジメント株式会社は、承認申請業務の長期化を解決するため「AgileWorks」を導入しました。

「AgileWorks」の導入以前、同社の承認申請業務は紙ベースで行われており、稟議や申請には1～2週間ほどを要していました。また、過去の書類を参照する際には遠隔地の保管拠点から取り寄せなければならず大きな手間となっていました。

「AgileWorks」の導入後、稟議・申請にかかる期間が1～2日程度に短縮され、検索性の向上を実現しました。

さらに、「AgileWorks」は組織改編の際も効果を発揮。

2021年4月、同社の商号変更に伴う大規模な組織改編の際、先付けメンテナンス機能やステージング環境（検証環境）を活用することで、組織改編に関する設定変更作業を1週間ほどの短期間でスムーズに完了することに成功しています。

ワークフローシステム導入事例

• 大規模組織改編にも即時対応｜東急プロパティマネジメント株式会社