AgileWorks

全日空商事株式会社のワークフローシステム導入事例

共通基盤構築のワークフロー更改。システム統合・連携でグループ経営の効率化とガバナンス強化を実現。

ANAグループの多角化事業を担う総合商社、全日空商事株式会社( 以下、全日空商事)では、全日空商事グループの全社共通基盤のワークフローにAgileWorksを導入。グループ経営の効率化とガバナンスの強化に取り組んでいる。

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全日空商事株式会社における導入事例をPDFでもご覧いただけます。ご検討時の社内での共有の際にぜひご活用ください。

総合商社グループとして、ANAグループの多角化事業を担う全日空商事グループ

―全日空商事についてご紹介ください。

1970年、全日空商事はANAグループにおける唯一の総合商社として誕生しました。航空機の運航に必要な部品調達や空港店舗運営を皮切りに、半導体、広告、リテール事業など、40年以上にわたる活動の中で多彩な事業を展開しています。今では10社のグループ企業と共に、食品事業、観光土産品全般の企画・製造・卸売業、ロジスティクス事業などにも進出し、ANAグループの多角化事業を担う「エアライン系総合商社グループ」として独自の地位を確立し、国内・海外問わず数多くのお客さまから高い評価をいただいています。

グループ2,500名が利用する共通ワークフロー基盤としてAgileWorksを導入

―AgileWorksの利用状況について教えてください。

全日空商事グループにおける、稟議・申請・報告業務の共通ワークフロー基盤としてAgileWorksを導入しました。2016年8月から運用開始したところです。現段階では全日空商事のみでの稼働ですが、グループ10社での全社利用を目指し稼働準備をおこなっています。最終的にはグループ全体で約2,500名規模での利用を想定しています。フォーム数は現在約120種類です。

承認ステップ数は業務の内容によって異なります。会社をまたぐような稟議は社内だけでも20ステップにおよぶ場合もありますが、もっとも多いケースは事業部門とコーポレート部門でのやりとりで4~5ステップとなります。処理件数は、半年で約12,500件となります。

―具体的には、どのような業務をワークフローに展開しているのでしょうか。

稟議・申請・報告業務は基本的にAgileWorks上に展開する予定となっています。具体的な業務カテゴリは次のようなものがあります。

・給与・転居・家族関連 ・稟議申請
・休復職関連 ・監査報告
・福利厚生関連 ・総務関連
・共済会関連 ・経理関連
・研修・セミナー申込み ・財務関連
・スキル報告 ・CSR関連
・海外駐在員関連 ・審査関連
・出張申請/精算 ・IT関連
・経費精算関連 ※一部抜粋
※横にスワイプしてください。

―AgileWorksと連携しているシステムはありますか。

AgileWorksで処理したデータは、人事システム・勤怠システム・給与システム・経理システムなど各業務システムに引き渡しています。また、ID情報や取引先マスタなどは、各管理システムからAgileWorksに取り込んでいます。
なおシステム間の各種データ連携に関しては、AgileWorksに限らず、個別にデータのやり取りをするのではなく、独自に開発したデータ連携システムを介してフレキシブルに連携できる仕組みを導入しています。

―AgileWorksのシステム運用体制を教えてください。

システムインフラの保守運用からフォーム作成やルート設定まで、AgileWorksの実運用はIT部門に集約する体制を整えているところです。このプロジェクトを進めるにあたり、部門に紐付いてしまっていたシステム管理もIT部門へ一本化し、IT部門に集約することでリスク管理や業務負担の軽減、ノウハウの集約につなげています。
今後、どのように各業務をワークフロー化するかという設計は、業務担当とIT部門が中心となって各グループ会社と連携しながら進めていく予定です。

グループ全体での意思決定の迅速化やガバナンスの強化

―AgileWorksを導入した経緯を教えてください。

全日空商事グループではグループとしてのシナジー効果を高め、より効率的かつ品質の高い商品やサービスを提供するため、事業分野に特化した4つのカンパニーを設けています。
各カンパニーは全日空商事の各事業部とグループ会社とで構成されています。そのため、各種申請・決裁・報告業務はカンパニーの枠組みで処理するものもあれば、会社単位で処理しなければならないものもあり、とても複雑です。

全日空商事では約5年前にワークフローを導入済みです。その経験からグループ共通で利用できるワークフロー基盤を導入することで会社やカンパニーという枠に縛られず、個別の業務はもちろんグループ全体で意思決定の迅速化やガバナンスの強化を図ることができると考えました。

複雑な承認ルート設定や複雑なフォームもビジュアルに作成できる点を評価

―ワークフローリプレイスの背景を教えてください。

旧ワークフローに重大な欠陥や不満があったわけではありません。今回のリプレイスはワークフロー単体が抱えていた課題解決ではなく、グループ会社全体の統一という背景があります。そのため、操作性はもちろん、グループ経営のインフラ共通基盤として、事業拡大など企業の変化にも耐えうるワークフローが必要でした。
また、これまでシステムごとに対応してきた業務をワークフロー基盤として統合するため、最適な製品を慎重に選びたいとも考えました。

そこで、代理承認や引用申請、データ出力など、全日空商事で利用していた旧ワークフローで実現できていた機能を網羅していることを前提に、新たな要件を追加して選定をおこないました。大まかな選定ポイントは次の通りです。

【選定要件1】システム連携
他システムとの連携が可能であることが必須要件でした。自社開発したマスタ一元管理システムを通じて、組織変更、人事異動、職位変更といったデータを取り込み、変更作業の負担軽減だけでなく、ミス防止やタイムラグの発生を防ぎます。複数のシステム連携を前提とした今回のプロジェクトでは、システム間のプロトコルやコード体系を吸収する仕組みを構築することを計画していました。

【選定要件2】システム運用
ワークフローは導入後の運用、すなわち業務の変化に合わせて承認ルートやフォームもメンテナンスしていかなければ、その能力を発揮することはできません。 いくら優れたシステムを導入しても、メンテナンスや運用にかかる手間やコストが膨れ上がってしまえば本末転倒です。
そのため、グループ会社へとスムーズに横展開するためには、フォーム作成や承認ルート設定といった初期設定だけでなく、人事異動や組織変更など運用開始後に発生する企業の変化に対しても柔軟に対応できるかといった具体的な運用面も考慮する必要がありました。

【選定要件3】乱立していたシステムの統合
コーポレート管轄だけでも複数のワークフローが使用されている状態でした。今回はグループ全体での共通基盤構築のため、グループ会社間をまたぐ決裁や、条件に基づいたそれぞれの承認をきちんとルート設定できるのかといった点が選定要件のひとつでした。

―AgileWorksを採用した理由を教えてください。

275項目の要求機能(RFP)を設けて数社の製品を比較検討しました。旧ワークフロー運用時に抱えていた課題解決含め、次のようなことが可能になるシステムがAgileWorksでした。

・申請内容により複数の承認ルートが設定できる。
・コメント付承認により、承認時のコメントをメール通知できる。
・確認者画面にコメント入力欄を設けられる。
・承認画面を書類の形(見た目)で印刷できる。
・閲覧権限を人ではなく組織に紐付けられる。
・データの管理機能(検索や抽出)の向上。

また、AgileWorksにはフォームテンプレートがとても豊富に用意されており、今後活用できるかもしれないという点も採用理由のひとつです。

現場とマネジメント層間のコミュニケーションの見える化

―AgileWorksの導入効果について教えてください。

まだ運用を開始してから時間が経過しておりませんが、役員や社員からは、コメント付きで承認をした際に、その旨が起案者や処理者にメールでも送信される機能はとても気に入ってもらえました。

旧ワークフローでは、申請内容に対してコメントはできたものの、最終承認前の承認者によるコメント通知機能がなかったために申請画面を能動的に見にいかなければ承認者のコメント内容を確認することができませんでした。
また起案者が随時メモを残すこともできなかったため、承認者と起案者のやり取りを記録としてうまくコメントに残すことに苦労しました。

今ではコメント付承認・通知でタイムリーな情報共有が可能になり、良い形で効率化できていると感じています。
グループ会社をまたいだ決裁となると、起案者と承認者の所属会社も異なり、お互いに顔を知らないということもありえます。しかし、コメント付承認によって承認者の意思や指示が確実に起案者へと伝わるようになり、グループ会社間だけでなく社内でも統制の強化や決裁業務の効率化につながると考えています。デジタル決裁で最もハードルが高いとされる、起案者と承認者、現場とマネジメント層間でのコミュニケーションについても、この機能を活用することでしっかりとその履歴を残していける点が評価されました。

旧ワークフローにはなかった「回付予定」の機能も活用されています。起案された時点で承認者・決裁者には回付予定の申請が表示されるようになりました。また、申請者も滞留状況が日数表示されることにより、催促しやすくなったとの声もありました。
今後、グループ全体で利用する環境が整えば、書類の閲覧・検索性が向上することはもとより、承認や意思決定の迅速化や業務の品質向上につながる等、具体的な効果が出てくると期待しています。

AgileWorks導入は、これまでの経験を生かしたワークフロー導入ということで、前回よりも業務の効率化やワークフローの品質向上を図ることができました。前回はアナログからデジタルへの第一ステップということもあり、帳票や業務をデジタル化することで手一杯な部分もありましたが、今回は基本的な帳票フォームの共通仕様を決定してから個別のフォームに展開することができました。これにより帳票の統廃合がなされ、200種類ものフォームを削減できました。そのため、システム運用の簡素化を図ると同時に、初期コストの削減や稼働準備期間の短縮にもつながりました。
また、各セクションによってフォームが異なるといった課題が解消され、インターフェイスの共通化により、使い勝手の向上や利用者の負担軽減を図ることができました。

―今後の拡張予定があれば教えてください。

全日空商事ではワークフローの切り替えとなりましたが、グループ会社への展開はアナログからデジタルへの大きな変革となる会社もあります。業務や権限規程の見直しが必要な場合もありますが、ワークフローの導入により稟議・申請・報告業務の効率化や迅速化を図れることは明白です。今後、全日空商事における経験やノウハウを生かしながら、グループ各社への導入を進めていきたいと考えています。

また、導入に際しては、各社業務フローの見直しを行う絶好の機会と捉え、プロジェクトメンバー間での密なコミュニケーションを通じて、見直すべき点は見直し、今後のスムーズなグループ間連携、業務効率化に寄与していけたらと考えています。

※ 取材日時 2017年1月
※ 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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