「2025年の崖」とは?レガシーシステムから脱却しDXを推進する方法を解説!
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社会全体でDX推進の機運が高まるなか、「2025年の崖」というキーワードが注目されています。
しかし、
「そもそも2025年の崖とは?」
「2025年の崖を克服する際の課題は?」
「レガシーシステムからの脱却に有効なアプローチはある?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2025年を迎えた今、「2025年の崖」の概要や現状、克服に向けた課題、レガシーシステムからの脱却に有効なアプローチをご紹介します。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- 「2025年の崖」とは?
- 「2025年の崖」克服に向けた課題
- 「2025年の崖」克服のポイント
- ワークフローシステムでレガシーシステムからの脱却を推進
- ワークフローシステムでシステム刷新やDXを推進した事例
- まとめ
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●DX推進に必要な組織文化を根付かせたい方
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「2025年の崖」とは?
まずは、「2025年の崖」とはどのようなものなのか確認していきましょう。
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」と呼ばれる資料のなかで示されたシナリオのこと。
この「DXレポート」では、レガシーシステムによって引き起こされる課題を克服できない場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しています。この最悪のシナリオこそが「2025年の崖」であり、経済産業省は企業に対して早期の対策を提起しています。
(参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省))
レガシーシステムとは?
「2025年の崖」を語るうえで避けて通れないのが、レガシーシステムの存在です。
レガシーシステムとは、導入から長期間が経過したことで老朽化・複雑化・ブラックボックス化してしまった既存システムのこと。先述した「DXレポート」によれば、2025年には導入から21年以上が経過したレガシーシステムを運用している企業が6割に達するとの試算が示されています。
このレガシーシステムは、運用・保守に多くのコストや人的リソースを要するため、DXに向けた取り組みや新たなデジタル技術への投資を阻害する要因になりかねません。「2025年の崖」を回避するためにも、レガシーシステムの刷新は不可欠と言えるでしょう。
DXレポートのその後
初めて「2025年の崖」について言及したDXレポートに続き、経済産業省は2020年に「DXレポート2.0(中間とりまとめ)」、2021年には「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」、さらに2022年には「DXレポート2.2」を公開しています。
「DXレポート2.0」においては、「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進」の必要性とともに、アジャイル開発の採用などによって変化する事業環境に即応することの重要性などが示されました。
続く「DXレポート2.1」では、デジタル変革が進められた先の産業の姿や、デジタル産業を構成する企業の姿が示されています。
そして「DXレポート2.2」においては、デジタル産業への変革に向けた方向性やアクションがより具体的に示されています。
「DXレポート2.2」では、企業が取るべきアクション・行動指針として、
・デジタル技術を省力化・効率化ではなく、「新規デジタルビジネスの創出」や「既存ビジネスの付加価値向上」による収益向上に活用すること
・DX推進にあたり、経営者はビジョンや戦略だけでなく、「行動指針(社員全員がとるべきアクション)」を示すこと
・経営者自らの「価値観」を外部へ発信し、同じ価値観をもつ同志を集め、互いに変革を推進していく関係を構築すること
といったポイントを挙げています。
さらに「DXレポート2.2」では、「2025年の崖」問題の克服状況は順調でないという指摘がある一方で、DXを全社戦略のもと部門横断で推進する先行企業の割合は増加しており、DX推進の取り組みは着実に前進していると報告されています。
(参照:DXレポート2.2(概要)|(METI/経済産業省))レガシーシステムの刷新状況
「2025年の崖」を克服するにはレガシーシステムの刷新が必要だとお伝えしました。
次は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が2024年6月に公開した資料「DX動向2024」の情報をもとに、レガシーシステムの刷新状況について見ていきましょう。
この調査によれば、2022年度には「レガシーシステムはない」と回答した企業が全体の12.2%であったのに対し、2023年度には24.0%まで増加しており、徐々にではあるもののレガシーシステム刷新が着実に進んでいることが示されています。
(参照:「DX動向2024」進む取組、求められる成果と変革 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)
「2025年の崖」克服に向けた課題

徐々にレガシーシステムの刷新が進んでいるとは言え、「レガシーシステムはない」と回答した企業はいまだ4社に1社程度に留まっており、日本社会全体として「2025年の崖」への対応は十分とは言えない状況です。
では、「2025年の崖」に向け、どのような課題が存在しているのでしょうか。
(出典元:DX動向2024 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)
先述したIPAの資料「DX動向2024」では、レガシーシステム刷新における課題についてアンケートを実施しています。このアンケート調査によれば、レガシーシステム刷新の課題としてもっとも多かったのが「ほかの案件に手いっぱいで十分な要員を割けない」(39.9%)という回答でした。
次いで、「ユーザーの既存システムの操作性へのこだわりを解消できない」(28.3%)、「レガシーシステム刷新に長けたプロジェクトリーダーがいない」(24.9%)といった回答が上位を占めています。
(参照:「DX動向2024」進む取組、求められる成果と変革 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)
このことから、レガシーシステムから脱却して「2025年の崖」を克服するには、業務の無駄を解消してリソースを確保する取り組みや、新しいシステムの操作性に関する違和感や抵抗感の払拭、そしてデジタルに精通するIT人材の育成や確保などが重要になるでしょう。
「2025年の崖」克服のポイント
次は、「2025年の崖」を克服するために企業が意識するべきポイントを見ていきましょう。
DX推進ガイドラインの策定
組織としてDX推進を加速していくためのガイドラインを策定しましょう。
経済産業省は「DX推進システムガイドライン」の構成案を公開しており、DX推進を加速・実現するためのアプローチやアクション、仕組み作りのポイントなどを示しています。
また、同じく経済産業省が公開している「DX推進指標」を活用するのもいいでしょう。これは、「DX推進システムガイドライン」を具体的な指標化したもので、自社のDX推進状況を客観的に把握するのに役立てることができます。
これらを活用しつつ、自社の状況や目指す姿に応じたDX推進ガイドラインを策定していきましょう。
ITシステムの刷新
「2025年の崖」克服にはレガシーシステムからの脱却が不可欠ですが、そのためにも有効なのがITシステムの刷新です。
保守・維持が属人化し、メンテナンスに多くの工数を要したりするITシステムを刷新することで、解放されたリソースをDX推進の取り組みに充てることが可能になります。
その際、カスタマイズやアドオン開発を極力行わず、システムの標準機能や仕様に合わせて業務の進め方を変更・標準化する「Fit to standard(フィットトゥスタンダード)」の考えでシステム選定・導入を行うのも一策です。
短期間・低コストでの導入が可能でビジネス環境の変化に強く、業務標準化にも効果的であることから、レガシーシステムからの脱却にも有効なアプローチとして近年注目を集めています。
IT人材の確保・育成
「2025年の崖」を克服しDXを推進していくには、IT人材の存在が不可欠です。
一方、経済産業省の推計によれば、日本国内においては若年層の人口減少に伴いIT人材は減少していくと予想されており、2030年にはIT人材が40万~80万人規模で不足する懸念が示されています。
そうしたなか、DXを推進していくには、自社にとって必要なITスキルを整理したうえでIT人材の確保に努める必要があります。
その際、外部から採用やアウトソーシングの活用だけでなく、リスキリングなどにも積極的に取り組んで自社内の人材をIT人材として育成していく取り組みも重要です。
アジャイル組織の構築
アジリティが高い組織構造、いわゆる「アジャイル組織」の構築もまた、レガシーシステム刷新およびDX推進のポイントです。
アジャイル組織とは、組織を取り巻く状況の変化に対して柔軟かつ素早く対応可能な組織構造を指します。アジャイル開発と同様の考えで、短期間で実行とレビューを繰り替えしながら臨機応変に業務改善や新たな価値を創出する点が特徴です。
先述した「DXレポート2.0」のなかではDX推進におけるアジャイルの重要性が説明されており、DXの取り組みを成功に導くには、スモールスタート・クイックウィンで成功事例を作り出すとともに課題の早期発見・対応を繰り返す、アジャイル的なDX推進が有効だと明示しています。
DX推進を加速するパートナーの発掘
「2025年の崖」克服には、DX推進を共に加速・実現するパートナーの発掘も重要なカギとなります。
「DXレポート2.0」以降、ユーザー企業とベンダー企業の間で「低位安定」の関係が固定化されており、個々の企業単独でのDXが困難な状況があると指摘されています。
ユーザー企業とベンダー企業がDX推進を共に加速・実現していくためにも、ユーザー企業においてはIT関係業務をベンダー企業に丸投げしている状況や、ベンダー企業においては労働量の対価として報酬を得る低リスクなビジネスモデルから脱却し、収益向上に向けた共創関係を築いていくことが重要になるでしょう。
ワークフローシステムでレガシーシステムからの脱却を推進
ここまでは、「2025年の崖」の概要やよくある課題について説明してきました。
「2025年の崖」を克服するにはレガシーシステムからの脱却が不可欠ですが、具体的にどのようなアプローチが有効なのでしょうか。
次は、レガシーシステムからの脱却に有効な手段のひとつとして、ワークフローシステムをご紹介します。
ワークフローシステムとは、各種申請や稟議といった手続きをデジタル化するITシステムのことで、近年では数多くの企業で導入が進められています。
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では、ワークフローシステムがレガシーシステムからの脱却に効果的な理由を見ていきましょう。
間接業務の効率化・省力化を実現
ワークフローシステムを導入することで、間接業務の効率化・省力化を実現可能です。
企業では日々さまざまな申請・稟議が行われていますが、それらのほとんどは直接的に利益を生み出す作業ではなく、間接業務やノンコア業務に該当します。
ワークフローシステムを活用することで、そうした業務手続きを効率化・省力化することができ、間接業務に割かれていた工数を大幅に削減することが可能です。
先述した調査で「ほかの案件に手いっぱいで十分な要員を割けない」という課題が挙げられた通り、レガシーシステムの刷新にはリソースの確保が必要です。ワークフローシステムで間接業務の効率化・省力化が進めば、これまで間接業務に割かれていたリソースをレガシーシステム刷新の取り組みに集中させることができるでしょう。
業務プロセス・ナレッジの可視化を促進
ワークフローシステムの活用は、業務プロセス・ナレッジの可視化につながります。
ワークフローシステムを導入する際は、業務の棚卸しを行い、システム上に業務プロセスを再現する作業が発生します。つまり、導入の過程で業務プロセスが可視化され、属人化・ブラックボックス化している業務の特定・改善を行いやすい体制を整えることができます。
また、ワークフローシステムで処理したデータはシステム上に保存され、必要に応じて検索・参照することが可能です。過去の意思決定に関するデータがノウハウ・ナレッジとして蓄積され、スムーズにアクセスできるようになることで、従業員の育成や引き継ぎを効率化することができるでしょう。
組織を横断したシステム共通基盤として活用可能
ワークフローシステムを外部システム・ツールと連携することで、利便性をさらに高めていくことが可能です。
各業務領域で個別にシステム・ツールを導入・刷新していくと、システム・ツールごとに業務手続きが分散してしまい、データがサイロ化してしまったり、ユーザーの混乱を招いてしまう可能性が高まります。
ワークフローシステムをハブに各種システム・ツールを連携することで、分散していた手続きやデータを一元化することができ、部署部門を横断した共通基盤として活用することができます。
ノーコード製品なら運用開発の内製化も可能
ワークフローシステムは製品によってUIや操作性が異なりますが、なかにはノーコード(ノンプログラミング)で使用できる製品も存在します。
ノーコードのワークフローシステムであれば、専門的な知識がなくても直感的に操作することができ、自社が求める要件に応じたフォームを作成したり、複雑な組織構造に対応した承認ルートを設計することができます。また、使い慣れた紙の申請書をシステム上に再現することもできるため、デジタルに不慣れな方の抵抗感も軽減することができるでしょう。
これらの特徴により、デジタルに精通するIT人材が不足している企業でも安心して利用することができ、運用や開発の内製化も目指すことが可能です。
ワークフローシステムでシステム刷新やDXを推進した事例
最後に、ワークフローシステムを活用してシステム刷新やDXを推進した事例をご紹介します。
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老朽化したシステムを刷新しDX基盤を構築(東急建設)
東証プライム市場上場の総合建設会社である東急建設株式会社は、老朽化した旧システムから「AgileWorks」へとリプレイスを行いました。
同社では以前より電子決裁システムを利用していたものの、工事に関する受注決裁などの一部業務は紙ベースで申請・承認が行われていました。また、当時利用していた電子決裁システムは導入から15年ほど経過するなど老朽化が進んでおり、システムのメンテナンスに多くの工数を要しており、他システムとの連携にも多大な手間がかかる状況でした。
こうした状況に課題を感じていた同社ですが、旧システムのサポート終了が決定したことで、システム刷新に向けて本格的に動き出すこととなりました。
複数製品の比較検討した結果、多種多様なシステムとの連携が可能な拡張性、そして組織や回付ルートの設定しやすさを評価し、「AgileWorks」の導入を決断しました。
約10ヶ月の導入プロジェクトを経て、同社は300以上の部署、200ヶ所以上の作業所にAgileWorksを展開。従来は紙で運用していた申請書も含む41種類の申請書を電子化しました。汎用的な用途で使える「Web申請」を活用することで、社内の紙書類の電子化がよりスピーディに進んだほか、開発業務の効率化や標準化にもつながっています。

さらに、基幹システムや営業支援システム、電子契約システムなどの多様なシステムと「AgileWorks」を連携することで、入力作業やメンテナンス工数の削減も達成。「AgileWorks」をハブに各種業務をシームレスにつなげ、DXの実現に向けたデータ基盤づくりが進められています。
バラバラだったシステム環境を刷新してDXの土台を確立(ワタベウェディング)
リゾートウェディングのパイオニアとして知られるワタベウェディング株式会社は、子会社ごとにバラバラだったシステム環境の統合を図り全社的なシステム統合プロジェクトを実施しました。
国内71ヵ所、海外23ヵ所の拠点(2023年2月時点)を展開する同社では従来、子会社ごとや拠点ごとに多くの権限を委譲し、独立採算的な経営方針を採用していました。この経営方針は急速な組織拡大を支える原動力になっていた一方で、拠点ごとに利用しているIT端末やネットワーク、システムがバラバラであり、ガバナンス面の課題を生んでいました。この課題は申請業務においても同様であり、各社の意思決定の状況を把握するには多大な手間がかかる状況でした。
そこで同社は、既存のIT端末、ネットワーク、システムなどを刷新し、グループ各社を統合的に管理できる体制づくりに着手。このプロジェクトの要に位置づけられたのが、データ連携ツールの「ASTERIA Warp」とワークフローシステム「AgileWorks」でした。
グループ各社の担当者とのコミュニケーションを積み重ねながら、約3年間でバラバラだったシステム環境の統合を実現。

「ASTERIA Warp」と「AgileWorks」の連携により、グループ各社からのデータ集約や申請業務を標準化することに成功。グループ全体を包括するガバナンス体制が整ったと同時に、DX推進を支える強固なIT基盤を確立しました。
サポート終了を機にワークフローシステムを刷新(鈴与商事)
エネルギーの総合商社である鈴与商事株式会社は、既存システムのサポート終了を機にワークフローシステムの刷新を図り、「X-point Cloud」を導入しました。
「X-point Cloud」の導入以前、同社は経費申請や人事関係の申請に他社製のワークフローシステムを利用していました。しかし、旧システムは複雑な承認ルートを設定しにくく、ほとんどの開発作業を外部パートナーに委託しなければなりませんでした。
また、旧システムの適用範囲は極めて限定的で、バックオフィス系の申請書以外は紙の帳票で運用されていました。郵送や持ち回りに時間を要するため、決裁までに4~5日を要することも多く、業務効率化を妨げる要因に。さらに、社内便の運用費用や旧システムの外注費といったコストも課題となっていました。
そうしたなか、既存システムのサポート終了をきっかけに、同社はワークフローシステムの刷新を決断。複数の製品を比較検討した結果、システム導入の簡易さやメンテナンスの手軽さを評価し、「X-point Cloud」の導入を決めました。
既存システムで運用していた約50種類の申請書に加えて、約60種類の紙の申請書を「X-point Cloud」に移行したことで、同社のペーパーレス化は大幅に前進。また、以前は外部委託していた保守運用作業の大部分を内製化することに成功しています。従来4~5日を要していた決裁期間が最短即日に短縮されたことに加え、郵送や保守運用のコスト削減にも大きな効果を実感しています。
まとめ
今回は、対策が急務となっている2025年の崖に焦点を当て、その概要や問題点、克服するための方法について解説してきました。
2025年の崖を克服するには、レガシーシステムを刷新してDX推進の体制を整えることが必要です。そして、レガシーシステムからの脱却やDX推進の基盤づくりに役立つのが、ワークフローシステムです。
レガシーシステムからの脱却やDX推進に課題を感じている企業や、2025年の崖への対策にお困りの方は、記事内でご紹介したワークフローシステム「X-point Cloud」や「AgileWorks」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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