タイムパフォーマンス(タイパ)とは?改善策や月143時間の工数削減に成功した事例を紹介!
- 更新 -

突然ですが、「タイパ」という言葉の意味をご存じでしょうか。
若者を中心に広まったこの言葉は「タイムパフォーマンス」の略語であり、辞書のトップメーカーである三省堂が選ぶ「今年の新語 2022」の大賞に「タイパ」が選ばれています。
じつは、タイムパフォーマンスはビジネスの観点でも重要視されており、タイムパフォーマンスの改善に取り組む企業が増えつつあります。
そこで今回は、タイムパフォーマンス(タイパ)という言葉の意味や使い方、重要視される理由、そしてタイパ改善のポイントについてわかりやすく解説していきます。
タイパ改善に効果的なITシステムや事例についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
タイムパフォーマンス(タイパ)とは?

タイムパフォーマンスとは、「費やした時間に対して得られた効果の割合(時間対効果)」を意味する言葉で、近しい意味を持つ「効率性」や「生産性」と言い換えることもできます。
もともとはZ世代(一般的には1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代)の若者を中心に広まった観点であり、タイムパフォーマンスを省略して「タイパ」と言うケースが一般的です。
タイムパフォーマンス(タイパ)の使用例
会話や文章のなかでは「タイパが良い/高い」「タイムパフォーマンスが優れている」といった使い方をします。
たとえば、再生時間が短いショート動画でありながら有益な情報が盛り込まれている場合などには、「タイムパフォーマンス(タイパ)が良い動画」のように表現することができるでしょう。
ビジネスシーンでの例としては、短い期間で多くの見込み顧客(リード)を獲得できた際などに、「タイムパフォーマンス(タイパ)が優れた施策だった」といった具合に表現することができるでしょう。
コストパフォーマンス(コスパ)との違い
タイムパフォーマンスと類似する言葉にコストパフォーマンス(コスパ)がありますが、コストパフォーマンスは「費やした金銭に対して得られた効果の割合(費用対効果)」を意味する言葉です。
費やすものが時間か金銭かという点がタイムパフォーマンスとコストパフォーマンスの違いだと言えます。
タイムパフォーマンスが低下する主な原因
ビジネスシーンにおいて、タイムパフォーマンスが低下してしまう原因としては、以下の理由が考えられます。
タイムパフォーマンスが低下する原因
- 無駄や非効率な作業が多い
- 人材のスキルや能力が活かされない配置・環境
- 作業に完璧を求めすぎている など
慣例として行われているだけの無駄な作業や非効率な作業があることで、余分な工数がかかってしまい、タイムパフォーマンスの低下につながります。
また、人材のスキルや能力が発揮できない配置・環境では、一部の業務工程がボトルネックとなってしまったり、従業員のモチベーションが低下してタイムパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。
さらに、作業に完璧を求めすぎている場合も、タイムパフォーマンスが低下してしまう可能性があります。
成果物のクオリティを高めることは重要ですが、時間を掛け過ぎることで結果としてタイムパフォーマンスの低下につながります。
タイムパフォーマンスという観点では、一定のクオリティを維持しつつ工数を抑えることも重要です。
タイムパフォーマンス(タイパ)が重要視される理由

タイムパフォーマンス(タイパ)はZ世代の若者を中心に広まったとお伝えしました。
そして近年は、ビジネスシーンにおいてもタイムパフォーマンスの観点が重要視されつつあります。
次は、タイムパフォーマンスが重要視される理由について見ていきましょう。
デジタル技術の発展
タイムパフォーマンスが重要視されるようになった背景には、デジタル技術の発展があります。
たとえば、スマートフォンが広く普及したことで、調べものをする際に速やかに情報にアクセスできるようになりました。
Webブラウザで検索を行い、結果一覧に表示されたタイトルや説明文から、自分が知りたい情報か否かを即座に判断し、気になったコンテンツにアクセスすることができます。
膨大な量の情報が溢れるなかで、いかに早く必要な情報へと辿り着けるか、効率的に情報収集できるか、という点が重要視されるようになったと言えます。
また、SNSの普及もタイムパフォーマンスの浸透に影響しています。
SNSでは今起きていることをリアルタイムに情報収集することができ、移動時間や予定と予定の合間など、細切れの可処分時間にも手軽にコンテンツを消費することが可能になりました。
とくに近年は、TikTokやYouTubeのショート、Instagramのリールなど、短い時間で次々に視聴できるショート動画が人気を集めています。
これは、「時間をかけずに効率的に情報を得たい」という人々のニーズの高まりと言えるでしょう。
働き方に対する価値観の変化
働き方に対する価値観の変化も、タイムパフォーマンスが重要視されている要因のひとつと言えます。
多様な働き方が普及する昨今、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を重視する人々が増えつつあります。
長時間働くことを美徳とする旧態依然とした価値観ではなく、短い時間で効率的に成果を出してプライベートの時間を充実させたい、と考える人は多いことでしょう。
とくにZ世代を含むデジタルネイティブ世代(インターネットが身近にある環境で育った世代)においては、「知りたい情報に効率的に辿り着くこと」、言い換えれば「自分の目的を効率的に達成すること」を重要視する傾向があると言われています。
このような価値観の人は非効率や無駄に対する抵抗感が強く、仕事においてもタイムパフォーマンスが重要な指標となるでしょう。
生産性向上の必要性
企業側の視点では、生産性向上の文脈でタイムパフォーマンスの重要性に着目する企業が増えつつあります。
先述した通り、タイムパフォーマンスは費やした時間に対して得られた効果のことであり、生産性と言い換えることができます。
就業時間に対して得られた効果のことを時間当たり労働生産性と言いますが、日本は先進諸国とくらべて時間当たり労働生産性が低いことが指摘されています。
公益社団法人 日本生産性本部が2022年12月に公開した調査「労働生産性の国際比較2022」によれば、2021年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、49.9ドル(5,006円)であり、OECD加盟38か国中27位という結果が示されています。
この順位は、データ取得可能な1970年以降もっとも低い順位となっています。
(参照:労働生産性の国際比較2022 | 調査研究・提言活動 | 公益財団法人日本生産性本部)
国際市場における競争力を高めていくためにも、今後ますます深刻化していく人手不足に対応するためにも、時間当たり労働生産性、つまりタイムパフォーマンスを高めていく取り組みが重要になるでしょう。
タイムパフォーマンス改善の鍵は「業務のデジタル化」

タイムパフォーマンスは、「費やした時間に対して得られた効果」であることから、タイムパフォーマンスを改善する基本方針は以下の3つとなります。
- 費やす時間を短縮する
- 得られる効果を高める
- 上記の両方を実現する
そして、上記を実現するために有効な手段が業務のデジタル化です。
従来の紙ベースのアナログ業務には多くの非効率や無駄が潜んでおり、作業時間の増加や成果物のクオリティの低下を招く原因となってしまいます。
アナログ業務をデジタル化することで、人手よりも効率的に作業を遂行することができ、得られる効果も高い水準で安定させることが可能です。
また、デジタル化により業務に関するさまざまな情報をデータとして扱えるようになれば、データを集計・分析してさらなる業務改善につなげたり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して定型作業の自動化を目指すこともできるでしょう。
ワークフローシステムがタイパ向上に有効

企業がタイムパフォーマンス向上を図るには、業務のデジタル化が有効だとお伝えしました。
しかし、具体的に何から着手するべきかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合、ワークフローシステムの導入から始めてみるのも一策です。
ワークフローシステムとは、社内で行われるあらゆる業務手続きを電子化するシステムのことで、近年多くの企業で導入が進められています。
次は、ワークフローシステムがタイムパフォーマンス向上に役立つ理由を見ていきましょう。
/
サクッと学ぼう!
『1分でわかるワークフローシステム』
無料ダウンロードはこちら
\
社内業務の工数削減を実現
ワークフローシステムを導入することで、社内で行われる各種業務手続きの工数を大幅に削減することが可能です。
先述の通り、紙ベースの業務では、さまざまな無駄・非効率が発生します。
たとえば、手続きのたびに発生する入力作業や書面の印刷、手渡しによる回覧、誤字脱字や入力漏れによる差し戻し、関係者のオフィス不在による承認待ちなどです。
ワークフローシステムでは、申請書や稟議書の作成から回覧、承認および決裁まで、システム上で完結することができます。
製品によっては業務手続きで発生する作業を効率化する機能が充実していたり、モバイル対応の製品であればノートPCやタブレット、スマートフォンからも作業を行えるので、オフィスに縛られることなく、ちょっとしたスキマ時間を有効活用することが可能です。
結果として、これまで業務手続きにかかっていた作業時間を短縮することができ、タイムパフォーマンスの改善につなげることができるでしょう。
業務の可視化により継続的な業務改善が可能に
ワークフローシステムを活用することで、継続的に業務改善を行う基盤が整います。
ワークフローシステム導入の際は、現状の社内業務の棚卸しを行い、システム上に反映していく工程があります。
その過程で業務の流れやルール・仕組みが可視化され、ボトルネックや非効率な作業を見直すきっかけとなるでしょう。
また、ワークフローシステムの運用開始後も、一連の業務のなかで遅延が発生している工程がないかを確認することができます。
このように、継続的に業務の流れを見直し・改善する基盤が整い、タイムパフォーマンスの向上に役立てることができるでしょう。
デジタル化推進の基盤づくりという面でも効果的
デジタル化推進の基盤づくりという面でも、ワークフローシステムの導入は効果的です。
ワークフローシステムのなかには外部システムやツールと連携可能なサービスも存在し、連携によってデジタル化の範囲を拡大していくことが可能です。
また、ワークフローシステムを他システムと連携することで、システムごとに分散していた手続き方法をワークフローシステムに集約することができ、業務効率をさらに高めていくことができます。
RPAと連携すれば、ワークフローシステムで処理したデータを各種システムに自動で入力することも可能です。
このように、ワークフローシステムを基盤として業務のデジタル化を推進すれば、タイムパフォーマンスを効率的に改善していくことができるでしょう。
ワークフローシステムでタイパ向上に成功した事例
最後に、ワークフローシステムを活用してタイムパフォーマンスの向上を実現した企業事例をご紹介します。
143時間/月の工数削減でタイムパフォーマンスを改善!
29の国と地域を拠点に医(ヘルスケア)・食(農業)・住(建設)の分野でDXを推進する株式会社トプコンは、新たなワークフローシステムへのリプレイスにより月に143時間の工数削減に成功しました。
同社では従来よりワークフローシステムを利用していたものの、旧システムはマルチデバイスに未対応であり、申請承認業務に停滞が生じることも珍しくありませんでした。
また、旧システムは開発・保守にかかるコストも大きかったこともあり、ワークフローシステムの刷新を決断。
「いつでも・どこでも・どんなデバイスでも利用可能なIT基盤を構築する」ことを目指し、モバイル対応のワークフローシステム「AgileWorks」へのリプレイスに至りました。
導入後、スマートフォンからの申請・承認が可能になったことで、意思決定の迅速化を実現。
経費精算業務にも「AgileWorks」は活用されており、月に143時間の業務削減効果が生まれるなど、大きな効果を実感されています。
年間800万円相当の業務時間削減に成功!
上下水道向けの環境機械やポンプで国内トップクラスのシェアを誇る株式会社石垣は、ワークフローシステムの導入により約800万円/年相当の業務時間削減に成功しました。
同社では従来、申請業務が紙の帳票、e-mail、SharePoint、Notesという4つの手段に分散しており、業務効率の低下につながっていただけでなく、開発工数の増加にもつながっていました。
また、紙の帳票による申請業務が残っていたため、コロナ禍で出社率削減を進めるなか、承認者・決裁者の不在による申請業務の停滞が顕在化してしまいました。
そこで同社は、申請業務の集約と業務効率化を図り、クラウド型ワークフローシステム「X-point Cloud」の導入を決断。
導入後、社内の幅広い範囲で活用が進められ、現在のユーザー数は750名、年間申請数は3,000件超にのぼります。
分散していた申請業務の集約に成功したほか、年間約800万円相当の経費削減を見込むなど、大幅な業務効率化を実現しています。
まとめ
今回は、タイムパフォーマンス(タイパ)について解説してきました。
タイムパフォーマンスは若者を中心に広がった観点ですが、近年ではビジネスにおいても重要視されつつあります。
そして、タイムパフォーマンスの向上に有効な手段のひとつがワークフローシステムの活用です。
タイムパフォーマンス向上に取り組みたいと考えている企業は、今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。