これからの働き方を考える

アナログが抱える4大あるあるリスク デジタル化で社会変化に柔軟性を

アナログが抱える4大あるあるリスク デジタル化で社会変化に柔軟性を

2018年に経済産業省から「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」が発表されました。

これを皮切りにDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれるようになり、2019年はデジタル化に向けて各社が取り組みを本格化しました。

大企業ではもともと2020年に予定されていたオリンピックへの対策としてテレワークのインフラが整備され、新型コロナウイルスにより急速にインフラ整備やシステム導入が加速。現在、デジタル化やシステム化は、大きな経営課題となっています。

「アナログからデジタルへ」、このテーマは以前から言われていました。業務の効率化という側面はもちろんですが、実はアナログ業務は大きなリスクを抱えています。

アナログは、様々に起こる予測不可能な「社会的要因」に対応がしきれません。

例えば、2011年の東日本大震災や、今回の新型コロナウイルス。それぞれ、移動が制限され、それに伴った働き方を求められました。

2019年4月からは働き方改革関連法が施行され、ここでも組織や働き方が見直されています。また、経済状況や法律、ルールの変更にも対応することが必要です。

企業経営には、これら予測不能な事態への対応力が求められています。その際、時間・場所にとらわれずに意思決定することや、重要な業務が行えることが重要です。

つまり企業にはBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)がより強く問われています。

今回、改めて抱えるアナログワークフローのリスクについてお伝えしていきます。

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ワークフローの「あるある」問題は大きく4つ

これからお話するワークフローに関する「あるある」を大きく分類すると、カテゴリーは4つ。

そしてリスクの観点で整理すると「規定違反/コンプライアンス」、「決裁遅延」、「バックオフィスの非効率」、「無駄なコスト」となります。とはいえ、「バックオフィスの非効率」や「無駄なコスト」でも内容や規模によっては経営に大きな打撃を与える問題です。

各カテゴリーにいくつかの問題が存在しますが、順を追って「規定違反/コンプライアンス」から事例などに触れつつ解説します。

規定違反/コンプライアンス

規定違反やコンプライアンスは遵守すべき大前提のものですが、上場企業など内部統制を構築している場合はより留意すべきです。とはいえ「あるある」として起こりうる例の一つが、承認者を通さないなどによる横領等のリスク。

例えば、本来は部長の承認を経て発注するフローであるところ、紙で申請している場合はルールがおざなりとなり、課長承認の段階で発注してしまうといったものです。

紙はデータよりも改ざんのリスクにさらされやすく、不正の温床にもなりがちです。

最近でも某ベンチャー企業において、元取締役が約30億円横領容疑で逮捕されるという事件が起こりましたが、横領の発覚を免れるため、容疑者は該当する預金通帳の写しを改ざんしていたそうです。

横領をはじめとした不正を防ぐためには、いつ、だれが、どこで、どういう処理をしたかというログを残すべきであり、そのためには紙ではなくきちんとしたシステムで管理することが重要です。

規定違反の例にはほかにも、担当印を勝手に使われ、本人が実際に申請/承認しているか不明という問題があります。

上長が不在のため、そのデスクにある印鑑を部下が勝手に押してしまうというケースや、上長の印鑑を購入して部下が通してしまう例も実際には見受けられます。

最近のトピックでも、地方自治体の職員が、業務の遅れをごまかすために上長の印鑑を購入して公文書に押印した不正がニュースとなっていました。

そのほかにも、「稟議決裁額以上の支払い」や「事後申請や事後決裁」、「本来の承認者を飛ばすような職務権限規定違反」、「申請者が決裁を行ってしまう自己承認」など、規定違反やコンプライアンスに関わる問題はさまざまなケースがあります。

不正行為への社会の目はより厳しくなり、SNSを通じて情報が拡散される時代となりました。

一方で、透明性やコンプライアンスを高める企業姿勢も広がっています。現在、経営としては強く取り組むべきテーマとなっています。

決裁遅延

システム化されていないことで、決裁遅延が発生する要因にもいくつかの問題が挙げられます。まずは進捗が不明確であること。

これは稟議がどこまで進んでいて、どこで止まっているのかというステータスが見えづらいということです。

遅延に影響を及ぼすだけでなく、提出中のものを修正したくてもどこで止まっているかわからない、急いでほしい旨を誰に催促すればいいかわからない、といったケースは頻繁に起こりうるでしょう。

拠点がわかれている場合は郵送中かどうかという問題もありますし、配送にかかる時間や紛失リスクなども加わります。

また、記載の不備などで差し戻しがあった場合は同じくルートの不透明性に悩まされることとなります。

出張、会議、外出などで承認者が不在となるケースも決裁遅延にありがちな問題でしょう。

そして意外によくあるのが、承認者である上長の機嫌に左右されるということです。これは、「今は上司の機嫌が悪いから申請したら怒られるかもしれない」、「却下されるかもしれないから機嫌が良いときに出そう」といったメンタル的な問題です。

私が聞いたある会社の例に「以前の有休申請は紙の用紙を上司に提出する対面式だったため出しづらかったが、システム化されてから申請しやすくなった」という声がありますし、ペーパーレスには決裁遅延防止以外のメリットもあるのです。

また、物理的な紙を印刷・郵送・捺印できない状況に陥った新型コロナウイルス下において、重要な業務のスピードは明らかに遅くなり、経営に影響を与えました。また、不測の事態への対応はもちろん、変化が激しくスピードが求められる世の中に対応ができません。「スピード」は経営力を表します。特にデジタル化が求められる領域です。

このようにいくつかの事例を挙げましたが、そのほかにも「書類紛失による書き直し」や「申請や承認が時間や場所に縛られる」、「根回しの手間」なども決裁遅延に関わる問題です。

バックオフィスの非効率

仕事が集中するバックオフィスの非効率も大きな問題です。まずは、バックオフィスに書類が回ってきて、承認するという場合、事業部等の申請者ごとに記載内容のレベルに格差があります。

起承転結がわかりやすく論理的な文章を書ける人もいれば、要点がわかりづらい人もいて、差し戻しとなるケースもあるということです。

結果としてできていない人に何度も指導するということになります。これがシステム化されていれば、記入例を表記できたり、入力項目からプルダウンで選べたりできますし、必須項目の入力忘れなども防げます。

更新されるタイプの書類の場合、版が乱立することで最新版がどれかわからないといった問題が生じます。また、書類作成にエクセルを使っている場合は、インストールされているソフトのバージョンが古く申請用フォームに適切な入力ができないという不備も発生します。

組織や担当部署が多岐にわたる会社であれば、誰に承認を得ればよいかわからないという問題があります。

これは、業務提携の場合はこのルート、広告宣伝費の場合はこのル―トといった形で、同じ稟議書でも承認先が内容ごとに違うことで申請先がわからないということです。

システム化されていれば、項目や金額などで自動的に分岐させることができますが、アナログの場合はだれかに聞いたり、組織ルート表のようなものを参照したりといった手間がかかってしまいます。

一つ一つのコストが厳しく求められ、効率化がされていない組織は衰退する可能性が高まります。些細なことかもしれませんが、小さな非効率を改善することが良い会社の文化を作ります。今こそ見直すべきタイミングかもしれません。

そのほか「手書きの書類が見づらくて読めない」、「集計を別で行うなど二重入力の手間がかかる」、「何度も同じことを確認するなど、ナレッジが共有されない」といった問題もあります。

無駄なコスト

冒頭で述べた4つのカテゴリーの最後に解説したいのが、無駄なコストに関する問題です。

ペーパーレス化されていないアナログ式の場合、書類を印刷したり、運んだり、送ったり、管理したりというコストが発生します。印刷、郵送、FAXなどの通信コストに関しては言わずもがなでしょう。

書類の管理に関しては、保管するためのキャビネットやファイルボックス、また倉庫を要する場合はスペースのコストもかかります。

人的リソースとしても、書類を探したりまとめたりする時間と手間があるとすれば人件費が発生しますし、上場企業などはさらに監査コストもかかります。

印刷コストを例に挙げて仮計算してみましょう。毎月3,000枚印刷しているとしたら1枚約10円。月額30,000円となり、1年で360,000円となります。さらに送料、通信料、倉庫代、人件費などが積み重なると考えれば、そのコストは軽く100万円を超えることもあります。ペーパーレスは経費削減に効果的とはよく言われますが、事実として多くのメリットがあるのです。

リスクを減らし、強固な経営体制を

今回、アナログで起きる問題点を4つお伝えしてきました。「従来の方法で慣れているから」「紙の方がわかりやすいから」との理由でアナログを続けていれば、不測の事態への対応は難しいと言わざるを得ません。

デジタル化によってリスクを減らし、強固な経営体制を構築することが可能です。どのような状況、状態でも稟議が進むこと、そしてそのスピードを向上させること。これら積み重ねが経営力を向上させます。

「リスク」の観点からもアナログを見直してみてください。

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この記事を書いた人 ワークフロー総研所長 岡本 康広

ワークフローシステムを開発・提供する株式会社エイトレッドの代表取締役社長も務める。ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いから、ワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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