そもそもハンコは必要?ビジネスで使われているハンコとその理由を大解剖
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新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により、一時全国的にテレワークを実施する流れが日本国内でもあったのは記憶に新しいでしょう。
働き方改革の一環でテレワーク制度やテレワーク実施のためのツール類の導入が進んでいたはずですが、それでもこの事態の中紙文書の処理や押印のために出社をやむなくしなければならない「ハンコ問題」が話題になりました。
Adobeの調査によると、テレワークを経験している500名に対するアンケートで、約6割がテレワークでも出社を余儀なくされているという結果が出ています。(参考記事:アドビ「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」を発表)
この記事では、ビジネスで使われているハンコの種類と、ハンコの必要性や使われている理由について解説します。
ハンコに代わる手段や脱ハンコの取り組み事例についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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まだハンコで押印?
非効率な「ハンコ文化」から脱却するには文書の電子化が不可欠!
押印・電子保管など法改正による書類電子化の流れとメリットについてまとめました。
こんな人におすすめ
・社内申請を紙で運用している。
・押印文化を廃止する方法が知りたい。
・ハンコ出社している。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
ビジネスで使われているハンコの種類
皆さんは、社内で使われているハンコの種類とその意味について、説明することができますか?
以下でハンコの種類と利用シーン、なぜそのハンコが使われているのかを整理していきましょう。
対社外文書編
シーン1:契約書で使用する
種類:丸印
利用シーン:契約書、官公庁への届け出など
丸印が指しているのは登記所に届け出た会社の実印、代表者印のことです。契約書の取り交わしの際や外部への届け出等、正式な文書に使用されます。
シーン2:契約書で使用する
種類:角印
利用シーン:発注書や注文書、納品書、その他のビジネス文書全般
角印は法人の認印の一種です。認印とは、印鑑登録がされていない印鑑を指します。荷物の受け取りや、社内回覧の確認など、日常で使用します。
シーン3:自筆の代わりに使用する
種類:ゴム印
利用シーン:会社の封筒やその他ビジネス文書全般
前述したハンコの捺印が必要ではないが、会社名や住所等を記したほうが良いときにゴム印を使うことがあります。
対社内文書編
シーン4:稟議書や承認、決裁で使用する
種類:認め印、シャチハタ、三文判
利用シーン:社内の公式文書、申請書から荷物の授受のチェックなど
個人が確認、あるいは承認をしたという確認のために使われる場合は、認め印等が使われることが多いでしょう。
さらにハンコの種類を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ハンコは法的に必要?
先述のようにざっと挙げただけでも大きく4種類のハンコと押印のシーンが出てきました。
ハンコの利用シーンを改めて分類してみると、大きく以下の2つに分けることができます。
- 社外向け文書(取引関係文書)…契約書、請求書・納品書などの帳票、etc.
- 社内向け文書…稟議書、各種申請書等の決裁書類
このうち、社外向け文書(取引関係文書)の押印については、取引先とトラブルに発展したときなどに備えて合意した内容を記録しておく意味合いや、契約した事実を客観的な記録として残して適正な経理を行うための意味合いがあります。
また、社内向け文書の押印に関しては、適正な承認手順を踏んで決裁されたことを証明する意味合いや、関係者が合意したという意思表示の意味合いなどが含まれます。
しかしこの使い分けや信頼性を示すためにハンコが必須であるとは法律で明確に定義がされているわけではありません。
2020年6月に内閣府、法務省、経済産業省が連名で公表した押印についてのQ&Aも次のように明記されている通りです。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
引用元:押印についてのQ&A
この資料の中では認印や角印にも触れられていますが、押印が本人によってされていること、そして印影から本人の作成した印鑑であることの証明が印鑑の模倣のしやすさなどから難しいため、押印が本当に必要なのか見直しが有意義であるとも提案されています。
ではなぜ社内外でハンコが必要なのでしょうか。
ハンコのほとんどは「なんとなく安心」で使われている
前段の例から分かる通り、「ハンコを押す」行為は文書の取り交わしにおいて、本当に本人(または代理人)が本人の意思に基づいて作成し、同意した文書かどうかということを示すために使われています。
しかしハンコが必須であるわけではないとお伝えした通り、同意している人が本人であることを証明できれば、偽造が難しい署名(手書きの記名)や、双方が内容に同意したことが分かれば信頼性は劣るものの、押印は本来必要ありません。
このことからハンコは本人であることの証明、同意を示す一手段にすぎないのですが、本来の目的もさることながら商習慣の意味合いが強くなり、今ではあらゆる文書にまで対象が広がって習慣が形骸化してしまっている状態であると言えるでしょう。
確かに日本では署名の文化がほとんどなく、署名でなくても苗字などのサインをするよりもシャチハタなどですぐに承認のしるしを残せるのは手間もかかりません。ですが押印のために緊急事態下であっても、テレワークを実施することが出来ず、出社せざるを得ない状況になるのは本末転倒です。
「テレワークできない」を解決する
今から署名の文化を普及させるのか、あるいはハンコ以外に「本当に本人が作成したのか、同意しているのか」を証明でき、かつ日本の商習慣に合った代替手段はないものでしょうか。
見た目はハンコ、紙ライクなワークフローシステム活用という選択肢
では、本人の同意を示すために、ハンコの他にどんな手段があるのでしょうか?
稟議書をはじめとした社内で流通する文書であれば、ワークフローシステムの印影を使う方法があります。
<ワークフローで使われている印影のサンプル>
例えば、エイトレッドが開発・提供するワークフローシステムでは、電子化された稟議書や申請書の書面に、ボタン一つで図のような印影が表示される機能が標準搭載されています。
基本的にハンコはなくとも双方の合意が確認できればよいのですが、組織が大規模かつ構成が複雑になればなるほど、組織運営上、その合意を逐一確認するのは手間がかかることも事実です。紙の文書以外にもメールや、最近ではチャットツール、グループウェアを合意形成に使う方も多いかもしれませんが、最終的に何が承認され何が承認されなかったのか、一元的に検索できないのも不便です。
ワークフローシステムはこのような状況で、システムといえども日本の商習慣に近い形でハンコを代替しつつ、意思決定をワークフローシステム上に集約し、生産性向上へ貢献できるツールと言えます。いきなり押印をやめることも手ではありますが、こうしたツールで代替することも検討してみてください。
ワークフローシステムについて詳しく知る
社外向け文書も脱ハンコが可能
残る社外との文書、契約書のやりとりはどうでしょうか。
電子署名法の第3条では契約の成立について以下のように示されています。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
抜粋元:電子署名法第3条
このように、契約書においてもハンコに代わる手段(電子署名)での本人性の証明が可能です。
契約書だけでなく、請求書や納品書などの企業間取引関係文書についても、ハンコに代わり、タイムスタンプの付与やシステムログ記録を用いることで代替可能です。
なお、2022年1月から適用される改正電子帳簿保存法では、国税関係帳簿書類の電子保存要件が大幅に緩和される予定です。すでに財務省が発表している『税制改正大綱』で要件緩和が盛り込まれており、改正によりバックオフィスに関わるペーパーレス化、脱ハンコ化が一層進むことが予想されます。
ワークフローシステムによる脱ハンコの取り組み事例
次に、ワークフローシステムを使って社内文書の脱ハンコを促進した事例を見ていきましょう。
KMバイオロジクス 株式会社 様の脱ハンコ事例
熊本市に拠点を構える医薬品メーカーであるKMバイオロジクス 株式会社 様は、「攻めの情シス戦略」の一環として、ワークフローシステムによる稟議書の電子化に着手。
導入前、紙とハンコによる稟議では、外出や出張などによる承認の停滞が発生しがちで、別拠点にいる承認者のハンコを貰うために往復2~4時間かけて移動することもあったといいます。
ワークフローシステムの導入により、稟議書の電子化および脱ハンコを実現。業務効率化やペーパーレスの促進だけでなく、DX推進に向けた社内意識改革にも効果を実感されています。
株式会社プレミアムウォーターホールディングス 様の脱ハンコ事例
ウォーターサーバー市場を牽引する株式会社プレミアムウォーターホールディングス 様は、業務効率化の取り組みとしてワークフローシステムを導入。
紙とハンコによる稟議や申請などの社内手続きを電子化し、意思決定の迅速化に成功しています。
また、ワークフローシステムとクラウド電子契約サービスを連携し、契約関連業務の電子化にも着手。社内文書だけでなく社外向けの文書の脱ハンコにも積極的に取り組まれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ハンコは心理的安全性、商習慣によって形骸化している部分が多く、しかしその目的に立ち返れば代替手段はあるということを確認してきました。
今後業務生産性の向上やBCPの見直しをされる企業の皆さんは、脱ハンコに向けた対策をぜひ検討してみてください。
ワークフローシステムには、「脱ハンコ」以外にも様々な効果があります!!
・ペーパーレス ・DX推進 ・テレワークの実施 ・働き方改革 ・バックオフィス業務の効率化 ・BPC対策 ・内部統制の強化まだハンコで押印?
非効率な「ハンコ文化」から脱却するには文書の電子化が不可欠!
押印・電子保管など法改正による書類電子化の流れとメリットについてまとめました。
こんな人におすすめ
・社内申請を紙で運用している。
・押印文化を廃止する方法が知りたい。
・ハンコ出社している。
「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。