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電子署名とは?基礎知識やメリット・導入のポイントを解説

電子署名とは?基礎知識やメリット・導入のポイントを解説

テレワークをはじめとした柔軟な働き方の普及や、ペーパーレスの取り組みが活発化したことで、電子署名の導入を検討する企業が増えつつあります。

しかし、
「そもそも電子署名とは?」
「電子署名にはどんなメリット・デメリットがあるの?」
「電子署名を導入する方法は?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、電子署名の基礎知識やメリット・デメリット、導入のポイントについて分かりやすくご紹介します。

電子署名について詳しく知りたい方や、電子契約の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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電子署名の基礎知識

電子署名の基礎知識

そもそも、電子署名とはどういったものなのかを確認しておきましょう。

電子署名と混同されがちな電子サインとの違いについても説明しているので、あわせてご確認ください。

電子署名とは?

電子署名とは、データ化した文書における「本人証明」と「非改ざん証明」を担保するものであり、従来の紙文書における署名や印鑑に相当します。

  • 本人証明(本人が文書を作成したことの証明)
  • 非改ざん証明(文書が改ざんされていないことの証明)

2001年4月に「電子署名法」が施行されたことで、一定の条件を満たす電子署名が手書きの署名や押印と同様の法的効力を有すると認められました。

これにより、企業間の契約書や請求書、納品書などの文書のやり取りをインターネット上で行うことができるようになり、デジタル化が急速に進む近年では多くの企業で取り入れられています。

電子サインとの違い

電子署名とよく似た用語に「電子サイン」があります。混同されがちな電子署名と電子サインですが、意味合いが少々異なるため注意が必要です。

電子サインとは、電子上で行われる証明行為全般を指します。つまり、電子署名は電子サインの一種だと言えます。

電子署名のほかにも、タブレット端末にタッチペンで署名する行為なども電子サインに該当します。

電子署名のメリット・デメリット

電子署名のメリット・デメリット

導入企業が増えつつある電子署名ですが、どういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。

次は、電子署名を導入するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

電子署名のメリット

電子署名を導入することで、主に以下のようなメリットが期待できます。

電子署名のメリット

  • ペーパーレスによるコスト削減
  • テレワークなど柔軟な働き方への対応
  • 契約業務の効率化・迅速化
  • コンプライアンスの強化

では、各メリットについて詳しく見ていきましょう。

ペーパーレスによるコスト削減

電子署名を導入することで、書面で行われていた契約業務などがペーパーレス化されます。

これにより、紙代や印刷・設備コスト、郵送コストなどを削減することが可能です。

また、紙文書の保管スペースが不要になり、管理にかかる人的リソースも軽減することができるでしょう。

テレワークなど柔軟な働き方への対応

電子署名のメリットとして、テレワークをはじめとした柔軟な働き方への対応を挙げることができます。

電子署名を導入することで、契約・承認手続きにおける脱ハンコが促進されます。押印のためだけのハンコ出社が不要になるため、オフィスに縛られることなく業務を遂行することが可能になります。

契約業務の効率化・迅速化

電子署名を導入することで、契約関連の業務を効率化・迅速化することが可能です。

従来の紙文書での契約は、一般的に以下のような手順で行われます。

  • 原本の印刷
  • ハンコによる押印
  • 相手先への郵送
  • 相手先で押印
  • 原本の返送

これらの手続きの途中で、契約内容に関するミスや変更が発生した場合、原本の印刷からやり直す必要があり、多くの時間を要してしまいます。

一方、電子署名を用いた契約であれば、印刷やハンコによる押印、郵送や返送といった対応が不要になるため、スピーディーに契約を進めることができます。

また、修正事項があった場合でも、データ上で速やかに修正を行い、契約手続きを再開することが可能です。

コンプライアンスの強化

紙の契約書では、紛失や改ざんのリスクが付きまといます。

電子署名の場合、電子証明書やタイムスタンプによって本人証明・非改ざん証明が担保されるため不正を防止することができます。

また、電子署名を用いた文書データはサーバーやクラウド上に保管され、セキュリティ強度も自由に設定することができます。そのため、紙文書と比較し、不正な持ち出しや紛失などのリスクを抑えることが可能です。

電子署名のデメリット

さまざまなメリットが期待できる電子署名ですが、以下のようなデメリットも存在します。

電子署名のデメリット

  • 一部の契約では利用できない
  • 取引先の理解を得る必要がある

各デメリットについて詳しく見ていきましょう。

一部の契約では利用できない

電子署名のデメリットとして、特定の契約では利用できないという点が挙げられます。

たとえば、以下のような契約では書面での契約書作成が義務付けられているため、注意が必要です。

  • マンション管理等の委託契約書
  • 定期借地契約・定期借家契約
  • 宅建業者の媒介契約書など

ただし、書面での契約書作成が義務付けられているのは、上記に挙げたような不動産や投資信託など一部の契約であり、企業で一般的に交わされる大多数の契約は、電子署名を用いることが可能です。

取引先の理解を得る必要がある

各業界・業種でIT化が進み、電子契約を導入する企業は増加を続けています。

一方で、現在もハンコ文化が根強く残り、電子契約に難色を示す企業があるのも事実です。

取引先が電子契約に難色を示す場合には、電子署名を用いた契約のメリットや流れを説明し、取引先の理解を得る必要があります。

電子署名の仕組み

電子署名の仕組み

電子署名は以下のような仕組みを用いることで、安全性および本人性・非改ざん性が担保されます。

  • 公開鍵暗号方式
  • 電子証明書
  • タイムスタンプ

それでは、電子署名の主な仕組みについて簡単に確認しておきましょう。

公開鍵暗号方式

電子署名は、「公開鍵暗号方式」を応用して設計されています。

公開鍵暗号方式とは、電子文書がインターネットを介して安全に送信できるようにする仕組みであり、以下の2つの鍵が使用されます。

  • 公開鍵:送信する文書を暗号化する鍵
  • 秘密鍵:暗号化された文書を復号(暗号化を解除)する鍵

万が一、第三者が文書を入手することができたとしても、秘密鍵がない限り復号(暗号化を解除)することができず、情報漏えいを防ぐことができます

電子証明書の発行

電子署名の「本人証明(本人が文書を作成したことの証明)」を担保するために用いられるのが「電子証明書」です。

電子署名が紙文書における「印章」だとすれば、電子証明書は「印鑑証明書」の役割を果たします。

電子証明書は第三者機関である認証局(CA)によって発行され、公開鍵などの情報が送信者本人によるものであることを証明します。

なお、利用する電子契約サービスによっては、電子証明書を取得するのではなく、サービス提供者側が認証を行い、本人性の証明を行う場合もあります。

電子契約サービスのタイプ

  • 当事者型(当事者署名型):認証局が本人確認を行い電子証明書を発行する
  • 立会人型(事業者署名型):サービス提供者が契約の認証を行う

いずれのタイプの法的効力が認められていますが、第三者機関である認証局が本人確認を行う当事者型のほうが、より証明力が高いとされています。

タイムスタンプの付与

電子署名を用いた文書では、タイムスタンプをあわせて利用するのが一般的です。

タイムスタンプとは、第三者機関である時刻認証局(TSA)によって発行される、電子的な時刻証明のこと。

タイムスタンプを付与することによって、文書データの「存在証明(過去のある時点から存在していることの証明)」と「非改ざん証明(過去のある時点から改ざんされていないことの証明)」を担保することができます。

電子契約サービス導入の流れ

電子契約サービス導入の流れ

電子署名を導入する場合、電子契約サービスを利用するのが一般的です。

次は、電子契約サービスを導入する流れについて簡単にご紹介します。

導入の目的を明確化

まずは、電子契約サービスを導入する目的・意義を明確にします。

「なぜ電子署名を導入する必要があるのか」
「どの文書に電子署名を利用するのか」
「導入することでどういった効果が得られるのか」
などを明確にしておくことで、電子契約サービスの選定や導入後の運用・定着がスムーズになります。

電子契約サービスの比較検討

目的が明確になったら、数ある電子契約サービスのなかからどのサービスを利用するのか比較検討します。

その際、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。

  • セキュリティ対策は万全か
  • 電子契約したい書類に対応しているか
  • 視認性・操作性は良いか
  • 他システムとの連携は可能か
  • その他、自社の業務に必要な機能は揃っているか、など

契約フローの見直し・マニュアル作成

電子契約を導入するにあたり、従来の契約フローに変更が生じます。

電子契約サービスによって契約締結までのステップが異なる場合があるため、事前に電子署名導入後の契約フローを整理しマニュアルを作成しておきましょう。

社内・社外へのアナウンス

導入する電子契約サービスが決まり、電子契約における契約フローが定まったら、電子署名を用いた契約の流れを社内および取引先にアナウンスします。

この際、電子契約に切り替える必要性やメリットもあわせて説明しておくことで、導入後の運用をスムーズに進めることができます。

導入・運用開始

上記のステップを経て、いよいよ電子契約サービスの導入です。

初めのうちは慣れない電子契約に現場が混乱してしまうケースも予想されます。

説明会の開催や、マニュアルを随時ブラッシュアップするなどして、運用をサポートしていきましょう。

ワークフローシステムとの組み合わせが効果的

ワークフローシステムとの組み合わせ

電子署名の導入は、ペーパーレスによるコスト削減や柔軟な働き方への対応、業務の効率化・迅速化に効果が期待できるとお伝えしましたが、ワークフローシステムの導入によってその効果をさらに高めることが可能です。

ワークフローシステムとは、社内で行われる申請や稟議を電子化するシステムで、近年多くの企業で導入されています。

次は、電子署名とワークフローシステムの組み合わせが有効な理由について見ていきましょう。

ペーパーレス化・コスト削減が促進

企業が取り扱う文書は、取引先と交わす契約書だけではありません。

むしろほとんどの企業では、契約書よりも各種申請や稟議といった社内文書の方が、はるかに多く作成されているのではないでしょうか。

電子署名によって取引先と交わす文書を電子化することに加え、ワークフローシステムで社内文書を電子化することで、ペーパーレス化およびコスト削減を大きく推進することができるでしょう。

契約に関連する一連の業務が効率化・迅速化

ワークフローシステムによっては、電子契約システムと連携させることが可能です。

ワークフローシステムと電子契約システムを連携することによって、以下のような契約プロセスをオンライン上で完結できるようになります。

  • 契約内容に関する社内承認・決裁
  • 契約の締結(自社・相手先)
  • 契約書(データ)の管理

契約の締結だけでなく、契約に付随する社内業務が電子化されるので、より効率的・スピーディーに契約を進めることができるでしょう。

プレミアムウォーターホールディングス 様の事例

次に、ワークフローシステムと電子契約サービスの連携で業務効率を改善した事例を見てみましょう。

ウォーターサーバー市場を牽引する株式会社プレミアムウォーターホールディングス 様は、社内で行われる申請業務のスピード・正確性向上を目的にワークフローシステムを導入。

社内での業務手続きの効率化に留まらず、クラウド電子契約サービスとの連携によって契約業務の効率化にも成功しています。

事例詳細はこちら

株式会社プレミアムウォーターホールディングス 様 ワークフローシステム導入事例|株式会社エイトレッド

まとめ

今回は、電子署名の基礎知識やメリット・デメリット、導入のポイントについてご紹介しました。

電子署名を導入することで契約業務の効率化やペーパーレス化といったメリットが期待できます。また、ワークフローシステムと組み合わせることで、その効果をさらに高めることができるでしょう。

電子署名の導入を検討している方は、今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムの導入もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

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ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

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