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BCP(事業継続計画)とは?意味や策定のポイント、効果的な取り組みをわかりやすく解説!

BCP(事業継続計画)とは?意味や策定のポイント、効果的な取り組みをわかりやすく解説!

自然災害や感染症によるパンデミック、さらにはテロをはじめとした人的脅威など、企業や組織の存続を脅かすリスクは数多く存在します。

そして近年、リスクマネジメントの観点から「BCP」の重要性に注目する企業・組織が増えつつあります。

しかし一方で、
「そもそもBCPってなに?」
「なぜBCPを策定する必要があるの?」
「BCP対策にはどんな取り組みが有効なの?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、企業や組織にとって非常に重要なBCPに焦点を当て、その意味や必要性、策定の流れやポイントをわかりやすくご紹介します。

BCPについて詳しく知りたい方や、BCP策定を検討している企業は、ぜひ参考にしてみてください。

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BCPとは?

BCPの意味と基礎知識を紹介

BCPとは、「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の頭文字を取った言葉で、緊急事態の際に企業が損害を最小限に抑えつつ、中核業務を継続あるいは早期復旧するための計画を指します。

BCPが重要視されている理由

地震や水害をはじめとした自然災害のほか、感染症によるパンデミック、サイバーテロなどの脅威は、あらゆる企業・組織にとって無関係とは言えないリスクです。

また、従業員による不祥事やシステム障害、機密情報の流出など、組織内にも緊急事態につながりかねないリスクは潜んでいます。

そして、緊急事態が発生した際には、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源が制約されてしまうことが珍しくありません。

いつ発生するかわからない緊急事態に備え、有事の際でも事業を継続したり早期復旧したりするための計画、そして内的・外的リスクをできるだけ排除するための体制づくりとして、BCPの取り組みが重要になります。

内閣府では、2005年に公表した「事業継続ガイドライン」でBCPの策定を強く推奨しています。

また、2011年の東日本大震災、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の流行などをきっかけに、BCPの策定や見直しに着手する企業が増えつつあります。

介護業では2024年からBCP策定が義務化

2021年4月施行にされた介護報酬の改定により、2024年から介護サービス事業者にBCPの策定が義務付けられました。

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。

引用元:「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」

介護サービスは、要介護者やその家族などが生活を送るうえで必要不可欠なものです。

そのため、たとえ自然災害や感染症の流行といった不測の事態が発生した場合であっても、利用者に対して安定的・継続的にサービスを提供することが非常に重要です。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年、老人福祉・介護事業を営む事業者の倒産は年間118件に達し、過去最多を更新しました。

介護サービスの利用者やその家族はもちろん、介護サービスに従事する人々の生活に大きな影響を与えたことは想像に難くないはずです。

BCPの関連用語

BCPとよく似た用語に、「BCM」や「BCS」や「DCP」、「企業防災」などがあります。

BCPとも非常に関係が深いこれらの用語ですが、それぞれ異なる意味を持っています。

BCPと混同しやすい4つの用語について、意味やBCPとの違いについて理解しておきましょう。

BCM(事業継続マネジメント)

BCMとは、「Business Continuity Management(事業継続マネジメント)」の頭文字を取った用語です。

BCPが緊急事態下で事業を継続・早期復旧させるための計画を指すのに対し、BCMはBCPの策定から運用・改善まで包括的なプロセスを指します。

BCS(事業継続戦略)

BCSとは「Business Continuity Strategy(事業継続戦略/生き残り戦略)」の頭文字を取った用語です。

策定したBCPを実行するために必要な具体的な戦略を指します。

DCP(地域継続計画)

DCPとは、District Continuity Planの略で地域継続計画を指します。

災害の発生により、電力や上下水同、ガス、交通、通信などのインフラが停止した際に、自治体や地域企業が連携して行う防災対策です。

企業防災

企業防災とは、災害発生時に従業員や取引先、関係企業の安全を守るための災害対策全般を指します。

BCPが「災害発生時の事業継続・早期復旧」を目的としているのに対し、企業防災は「災害発生時の被害を最小限に留めること」を目的としています。

事業継続計画 と業務継続計画

また、「事業継続計画」と似た言葉に「業務継続計画」があります。

ほぼ同じ意味で使用されますが、事業継続計画が主に民間企業を対象に使用されるのに対し、業務継続計画は行政機関や介護業界を対象に使用されます。

BCP(事業継続計画)の必要性・メリット

BCP(事業継続計画)の必要性・メリット

BCP(事業継続計画)の概要についてご紹介しましたが、その必要性について疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

次は、BCPの必要性についてもう少し具体的に解説していきます。

BCPの必要性・メリット

  • 事業縮小や倒産のリスクを軽減
  • 従業員が安心して働ける環境づくり
  • 企業としての社会的信用獲得

事業縮小や倒産のリスクを軽減

事業活動が停止する期間が長くなれば、そのぶん損失は大きくなり、既存の顧客が競合他社へと流出してしまう可能性も高くなります。

そして、事業再開の目途が立ったときには、事業規模を縮小せざるを得ない状況に陥ってしまいかねません。

とくに、経営基盤が盤石とは言えない中小企業の場合、事業を早期に復旧できないことによって廃業に追い込まれてしまう可能性も考えられるでしょう。

反対に、BCPを策定して平時から緊急事態を見据えた体制を整えておくことで、有事の際にも中核事業を継続あるいは早期再開できる可能性が高まり、事業縮小や倒産のリスクを軽減することができます。

従業員が安心して働ける環境づくり

BCPの有無は、従業員が安心して働ける環境づくりという面でも重要な役割を果たします。

緊急事態によって事業が縮小したり倒産に追い込まれたりした場合、従業員は働く場所と収入源を失ってしまいます。

勤めている企業でBCPが策定されていない、BCP対策の取り組みが不十分といった場合、従業員は不安や不信感を抱きかねません。

その結果、優秀な人材が流出してしまうケースも考えられるでしょう。

反対に、BCPの取り組みを積極的に行うことで、緊急事態による倒産・事業縮小のリスクを抑えることができ、従業員の安心感や満足度の向上につなげることが可能です。

企業としての社会的信用獲得

BCPの取り組みは、企業としての社会的信用獲得にもつながります。

BCPを策定し、緊急事態などのリスクに対応できる体制を整えておくことで、取引先や投資家といったステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなります。

さらに、いざ緊急事態が発生した際に迅速かつ効果的な対応を実施できれば、市場における存在感は増し、ブランドイメージの向上にもつなげることができるでしょう。

国内企業のBCP(事業継続計画)策定状況

次に、国内企業のBCP策定状況について見ていきましょう。

大企業・中堅企業におけるBCP策定状況

企業のBCP策定状況(内閣府作成資料)(参照1:企業の事業継続及び防災に関する実態調査結果| 内閣府

内閣府では、民間企業におけるBCPに関する取り組みを隔年で調査しており、大企業(※1)と中堅企業(※2)のBCP策定状況を公開しています。

令和4年1月~2月に実施された調査によれば、令和3年度の時点でBCPを策定している企業は大企業で70.8%、中堅企業で40.2%という結果になっています。

また、大企業・中堅企業のどちらも前回調査と比較して、BCPを策定している企業の割合は増加しています。

一方で、中堅企業においては3社に2社、大企業においても3社に1社は、いまだBCPを策定できていない状況とも言い換えることができるでしょう。

また、すでにBCPを策定済み、あるいは策定中・策定予定の企業を対象に「BCPを策定した(策定する)きっかけ」について調査したところ、大企業・中堅企業のどちらも「リスクマネジメントの一環として」という回答がもっとも多いことが示されています。

このことから、BCP策定に取り組む企業の多くは自発的に策定に着手していることがうかがえます。

(※1)大企業:資本金10億円以上かつ常用雇用者数50人超等
(※2)中堅企業:資本金10億円未満かつ常用雇用者数50人超等

中小企業・小規模事業者におけるBCP策定状況

次に、中小企業・小規模事業者のBCP策定状況を見ていきましょう。

中小企業庁が公開している「2022年版中小企業白書・小規模企業白書」では、中小企業および小規模事業者におけるBCP策定状況について報告しています。

この調査では、2021年(令和3年)の時点でBCPを策定している中小企業は15%に留まっており、大企業・中堅企業と比べるとBCP策定が進んでいない状況が示されています。

中小企業は、大企業・中堅企業と比べて経営基盤が脆弱であり、緊急事態に直面した場合に廃業に追い込まれてしまうリスクは高くなります。

国内の全企業数の99.7%を占め、日本の雇用と経済を支える中小企業こそ、BCP対策に取り組み事業継続性を強化していくことが重要だと言えるでしょう。

(参照2:2022年版中小企業白書・小規模企業白書|中小企業庁

BCP策定の流れとポイント

BCP策定の流れとポイント

次は、BCPを策定する流れやポイントを見ていきましょう。

ここでは、東京商工会議所の「東京商工会議所版BCP策定ガイド」や中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」などの資料を参考に、BCP策定の基本的な流れをご紹介します。

BCP策定の流れとポイント

(1)基本方針の決定
(2)BCP(事業継続計画)の策定
(3)BCS(事業継続戦略)の検討
(4)継続的な見直し・改善

(参照3:東京商工会議所版BCP策定ガイド「BCPを作って信頼を高めよう~あなたの会社が生き残るための戦略づくり~」
(参照4:中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁

(1)基本方針の決定

BCP策定の前に、まずは基本方針を決定する必要があります。

BCP策定における基本方針とは、経営方針の延長に位置するものであり、BCPを策定する目的でもあります。

たとえば、企業がBCPを策定する主な目的として以下を挙げることができます。

  • 従業員とその家族の健康・雇用を守る
  • 顧客や取引先からの信用を守る
  • 地域経済の活力を守る など

上記に挙げたような目的と自社の経営方針を照らし合わせつつ、BCP策定に向けた基本方針を決定していきましょう。

(2)BCPの策定

ステップ(1)で決定した基本方針に基づいてBCP(事業継続計画)を策定していきます。

BCPは、以下のような流れで策定していくのが一般的です。

BCP(事業継続計画)策定の流れ

(2-1)中核事業の選定
(2-2)重要資源の整理
(2-3)リスクの分析と評価
(2-4)目標復旧時間の決定

BCP策定の手順について、詳しく見ていきましょう。

(2-1)優先度が高い中核事業の選定

まず、BIA(ビジネス・インパクト分析)などを用いて、緊急事態の際に優先的に再開・復旧を目指すべき中核事業を明確にしていきます。

中核事業を選定する際に注目すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 事業が占める収益高・売上高の割合
  • 事業の将来性
  • 事業の復旧にかかる時間・コスト
  • 事業が中断した場合の代替可能性

事業がひとつしかない場合には、顧客別に売上高や収益性を考慮し、業務の優先度を検討するとよいでしょう。

(2-2)重要資源の整理

(2-1)で選定した中核事業を進める業務プロセス上で、どのような経営資源(ヒト・コト・カネ・情報)が必要なのかを洗い出します。

そして、洗い出した資源の代替可否や、再調達・復旧に要する時間やコストなどを整理・把握しましょう。

(2-3)リスクの分析と評価

次に「事業がどれくらいの期間中断すると、どれだけの影響が出るのか」という点を分析し、中断期間の限界を評価します。

また、このステップでは売上・利益や市場でのシェアなどの定量的な影響だけでなく、社会的信用などの定性的な影響も分析した上で、許容できる中断期間を検討しましょう。

(2-4)RTO(目標復旧時間)の決定

(2-3)の分析・評価に基づき、事業のRTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)を決定していきます。

この際、事業単位での目標復旧時間だけでなく、事業を構成する業務プロセスごとに目標復旧時間を設定することが重要です。

(3)BCS(事業継続戦略)の検討

ステップ(2)BCP策定が完了したら、より具体的な戦略を構築していきます。

この戦略は、BCS(事業継続戦略/生き残り戦略)と呼ばれ、策定したBCPを実行するために必要不可欠です。

BCS(事業継続戦略)検討の流れ

(3-1)BCSの種類・特徴の把握
(3-2)目標復旧時間を達成可能なBCSの洗い出し
(3-3)洗い出したBCSの実効性を評価
(3-4)実行するBCSを決定

(3-1)BCSの種類・特徴の把握

まずは、BCS(事業継続戦略)にはどのような手段があり、それぞれどういった特徴があるのかを把握しましょう。

たとえば、主なBCSの種類として以下を挙げることができます。

BCS(事業継続戦略)の種類と特徴

  • 在宅勤務
    在宅でも業務を行える環境を整える戦略。会社設備が使えない場合や交通網の麻痺、感染症の流行で出勤できない事態で有効です。
  • 二重化
    オフィスや工場、サーバーセンターなどの設備を、複数拠点に設置する戦略。
  • 他社との相互支援協定
    協力会社や同業他社と、緊急時における委託生産契約などの相互支援協定を結ぶ戦略。
  • アウトソーシング
    事業や業務の一部をアウトソーシングする戦略。
  • 経営統合・合併
    同業者あるいは異業種と経営統合・合併する戦略。
  • 新たな事業へのシフト
    一定以上の被害を受けた事業は復旧せず、新事業の立ち上げに投資する戦略。
  • 現地復旧(復旧支援体制)
    被災状況が軽微な場合に、現地で復旧作業を行う戦略。
  • 代替施設・敷地の準備
    代替施設や敷地を事前準備しておき、有事の際に突貫工事でビジネス環境を整える戦略。

(3-2)目標復旧時間を達成可能なBCSの洗い出し

上記に挙げたBCSの種類と特徴を踏まえつつ、業務ごとの目標復旧時間を達成できる戦略を洗い出します。

このステップでは1つのBCSに絞り込むのではなく、各戦略がどの業務の目標復旧時間を達成できるのかを整理していきましょう。

(3-3)洗い出したBCSの実効性を評価

次は、(3-2)で洗い出したBCSに実効性があるのかを評価するステップです。

各戦略を実行・構築するとなった場合、どれだけのコストと準備期間が必要なのかを評価し、現実的に可能な戦略なのかを検討していきます。

(3-4)実行するBCSを選定

(3-3)で評価したBCSの実効性を考慮し、実際に事業がストップしてしまった際に実行するBCSを選定していきます。

1つのBCSに絞り込むのではなく、あらゆるシナリオを想定して複数のBCSを選定しておくことが大切です。

(4)継続的な見直し・改善

計画や具体的な戦略を検討する流れをご紹介しましたが、BCPは策定して終わりではありません。

市場や経営状況などは常に変化しているため、自社の状況に応じて継続的に見直し・改善を行うことが重要です。

BCM(事業継続マネジメント)に取り組み、効果的かつ実効性が高いBCPを目指しましょう。

BCP運用のポイント

ここまでは、BCP策定の手順についてお伝えしましたが、先述の通りBCPは策定後の運用が非常に重要です。

次は、BCP運用のポイントについて確認していきましょう。

評価・改善を繰り返し精度を高める

BCP策定の際は、はじめから完璧な計画を目指す必要はありません。

策定後も継続的に評価・改善を繰り返し、徐々に精度を高めていくことが大切です。

緊急時を想定したテストを実施し、策定したBCPが有効に機能するのかを評価し、そこで挙がった課題に対して対策を行いましょう。

社内でBCPを周知・教育する

実際に緊急事態が発生した際、策定したBCPを速やかに実行するためには、日頃から社内でBCP意識を醸成しておくことが大切です。

そのためにも、BCPについて社内周知および教育が必要です。

たとえば、BCPに関する社内研修やディスカッションの実施、e-ラーニングを用いた理解度テストなどが効果的です。

また、社内での防災訓練の実施や、社外での防災イベントへの参加も、BCP文化を浸透させる有効な手段だと言えます。

ワークフローシステムがBCP対策に役立つ理由

ワークフローシステムがBCP対策に役立つ理由

ここまでは、BCPの必要性や策定の流れについてご紹介してきました。

しかし、BCP対策として具体的に何から着手するべきか迷ってしまう企業も多いのではないでしょうか。

そのような場合、ワークフローシステムの導入から始めてみるのもひとつの方法です。

ワークフローシステムとは、稟議や申請などの業務手続きを電子化するシステムのことで、業務効率化や意思決定の迅速化など、企業に多くのメリットをもたらします。

次は、ワークフローシステムがBCP対策に役立つ理由を見ていきましょう。

業務の流れを可視化できる

ワークフローシステムを導入する際は、既存の業務の流れを整理し、見直すことになります。

その過程で、業務の停滞を招いているボトルネック業務や、属人化している業務、事故や不正などのリスクとなり得る業務の発見につなげることができるでしょう。

とくに属人化している業務は、緊急事態下で人員が制限された際に中断してしまいやすく、早期に発見・解消する必要があります。

また、ワークフローシステムを導入することで、業務の流れがシステム上で可視化されます。これにより、BCPを継続的に評価・改善するための基盤を整えることができるでしょう。

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テレワークの促進・定着

ワークフローシステムを導入することで、テレワークの促進・定着にもつながります。

昨今の新型コロナウイルス感染症の流行によって、多くの企業がテレワークへの切り替えを余儀なくされました。

しかし、業務手続きが電子化されていないために、紙書類の作成・押印のために出社しなければならず、テレワークを導入できない、あるいは定着しないという企業も多かったのではないでしょうか。

ワークフローシステムによって業務手続きを電子化することで、在宅勤務やサテライトオフィス勤務でも円滑に業務を行うことが可能になり、BCPの強化につながります。

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強固な内部統制の構築

ワークフローシステムの導入は、強固な内部統制の構築情報資産の消失リスクの低減にも効果を発揮します。

紙ベースで文書管理を行っている場合、内部統制の面でさまざまなリスクが存在します。

たとえば、自然災害などによってオフィスに被害があった場合、保管していた紙文書が紛失したり破損したりといったリスクが考えられるでしょう。

また、紙文書を保管する際は物理的なセキュリティ対策が必要であり、閲覧権限や持ち出しに関する管理ハードルが高いという問題もあります。

ワークフローシステムであれば、自社サーバーやクラウド上に文書データが保存されるため物理的に紛失・破損するリスクを防ぐことができ、もしもの場合にはバックアップデータから復元することも可能です。

さらに、承認ルートの自動判別機能や証跡管理機能によって、不正な決裁や改ざんなどのリスクも防ぐことができます。

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ワークフローシステムでBCP対策を実現した事例

最後に、ワークフローシステムを活用してBCP対策や事業継続性の向上を実現した事例をご紹介します。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様のワークフローシステム導入事例

日本を代表するSIerである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様は、承認申請業務の煩雑化解消を図り、2008年にワークフローシステムを導入。

申請書のほぼ完全なペーパーレス化を実現し、導入から7か月で約43,000時間の業務時間および約56,000枚の用紙の削減に成功しています。

さらに、2020年春に発生した新型コロナウイルス感染症の流行拡大の際は、リモートワークの実施にスピーディーに対応するなど、BCPの観点でも効果を得ています。

コロナ禍でスピーディーにリモートワークを実施

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様 ワークフローシステム導入事例|株式会社エイトレッド

学校法人 東洋大学様のワークフローシステム導入事例

「グローバル人材」の育成に努める学校法人 東洋大学様は、教育を支える職員の働き方改革の一環としてワークフローシステムを導入。

導入から半年間で約700件の稟議書を電子化するなど、ペーパーレス化の推進と業務手続きの迅速化に効果を実感されています。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大により急遽実施されたテレワーク期間中も、業務手続きを止めることなく遂行することに成功しています。

コロナ禍における業務手続きの停止を回避

学校法人 東洋大学様 ワークフローシステム導入事例|株式会社エイトレッド

株式会社さくら経営様 のワークフローシステム導入事例

会計から経営改善を提案するさくら経営は、グループ全体で4000社を超えるクライアントを持っていたこともあり、かねてから紙の書類管理について課題を抱えていました。
そのため、比較的早期に文書管理システムを導入したものの、稟議の差し戻しや修正といった書類に紐づくコミュニケーションについては対象外だったため、業務フロー全般を電子化できるワークフローシステムの導入に至りました。

導入当初は、「どうすれば今ある 業務プロセスをシステム化できるか」という視点でワークフローシステムを活用していたが、コロナ渦を経て全社的にBCPの意識が高まったことをきっかけに、「システムを使ってどのように業務をスムーズに行うか」という考え方に切り替わり、現在では経理部門におけるほぼ全ての書類の電子化に成功しています。

BCP意識の高まりをきっかけに、業務の電子化を加速!

株式会社さくら経営様 ワークフローシステム導入事例|株式会社エイトレッド

まとめ

今回は、BCPの意味や重要性、策定の流れなどをご紹介しました。

業種や業界、企業規模を問わず、いつ直面するかわからない緊急事態への備えは、あらゆる企業にとって必要なことです。

BCP対策は、緊急事態下のリスクを軽減するだけでなく、従業員が安心して働ける環境づくり、そして企業としての信頼性向上という面でも重要だと言えます。

今回ご紹介した情報も参考に、BCPの策定および取り組み強化に着手してみてはいかがでしょうか。

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ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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