建設業の課題解決にワークフローシステム!役立つ理由や活用シーン、選び方や事例まで徹底解説
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本記事では、建設業が抱える課題解決にワークフローシステムが役立つ理由や具体的な活用シーン、システム選定のポイントについてわかりやすく解説します。
ワークフローシステムで業務課題を解決した建設業の企業事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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こんな人におすすめ
・建設業界にお勤めの方
・建設DXの進め方を知りたい方
・紙業務のデジタル化を検討されている方
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- 建設業が抱える業務プロセスの課題
- 建設業の課題解決にワークフローシステムが役立つ理由
- 建設業でのワークフローシステムの活用シーン
- 【建設業向け】ワークフローシステム選びのポイント
- 建設業のワークフローシステム導入・活用事例
- まとめ
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建設業が抱える業務プロセスの課題

多くの建設業の現場では、今なおアナログな業務プロセスが根強く残っており、それが非効率を生む原因となっています。
まずは、ワークフローシステムの必要性を理解するために、建設業でよく見られる業務プロセスの課題を具体的に見ていきましょう。
拠点間で発生する非効率な承認リレー
本社や支店、そして各建設現場など、建設業においては複数の拠点で業務が進められます。そうしたなか、申請書や報告書を承認してもらうため、書類を拠点間で郵送したり、担当者が直接届けたりするケースも少なくありません。
このような運用は、承認までに多くの時間がかかってしまい、承認者が不在であればその時点で業務は停滞してしまいます。このような時間的・物理的な制約による承認の遅れは、プロジェクト全体の進行に影響を及ぼす深刻な課題です。
保管場所に困る膨大な安全書類や図面、契約書
建設業では、安全管理に関する書類(グリーンファイル)や設計図面、契約書、各種申請書など、法律で保管が義務付けられている書類が数多く存在します。
これらの書類はプロジェクト終了後も一定期間保管する必要があり、オフィスの書庫や倉庫を圧迫します。また、紙媒体での保管は、必要な書類を探し出すのに時間がかかるだけでなく、紛失や劣化のリスクも伴います。
属人化しがちな見積もり作成と承認フロー
見積書の作成や、それに伴う承認フローが特定の担当者の経験や勘に依存し、属人化しているケースは少なくありません。
担当者が変わると見積もりの精度が落ちたり、承認ルートが不明確になったりするリスクがあります。また、誰が、どの段階まで承認しているのかが見えにくいため、進捗確認にも手間がかかりがちです。
厳格化するコンプライアンスと内部統制への対応
建設業法や労働安全衛生法など、建設業に関連する法律は年々厳格化しており、コンプライアンス遵守(法令遵守)の重要性が増しています。
紙ベースの業務では、「いつ、誰が、何を承認したのか」という記録(証跡)を正確に追うことが難しく、内部統制の観点から見ても十分とは言えません。適切な承認プロセスを経ていない業務は、後の監査で指摘を受けるリスクも抱えています。
頻繁に行われる組織変更の負担
建設業は、プロジェクト単位でチームが編成されたり、年度ごとに組織改編が行われたりすることが頻繁にあります。その度に、申請書や稟議書の承認ルートを手作業で変更するのは大変な手間です。そして、古い承認ルートのまま申請が出されてしまい、手戻りが発生するといった非効率も起こりがちです。
建設業の課題解決にワークフローシステムが役立つ理由

前述したような建設業でありがちな課題は、ワークフローシステムの導入によって大きく改善できます。ここでは、ワークフローシステムがなぜ建設業の課題解決に有効なのか、その具体的な理由を3つのポイントに絞って解説します。
ペーパーレス化による非効率の解消
ワークフローシステムは、これまで紙でやり取りしていた申請書や報告書を電子化(データ化)します。
これによりペーパーレス化が促進され、以下のような効果が得られます。
- 書類の保管・管理コストを削減:物理的な保管スペースが不要になり、オフィススペースを有効活用できます。
- 書類検索の効率化:必要な書類をキーワードや日付で瞬時に検索でき、探す手間がなくなります。
- 印刷・郵送コストの削減:書面の印刷や拠点間での郵送が不要になり、コストと時間を大幅に削減します。
このように、ペーパーレス化は単に紙をなくすだけでなく、関連するさまざまな業務の非効率を解消する効果があります。
業務標準化・電子化により業務スピードや正確性が向上
システム上で申請フォーマットや承認ルートをあらかじめ設定することで、紙ベースでは属人化しがちな業務プロセスを標準化できます。
誰が申請しても同じ品質の書類が作成され、定められたルートで自動的に承認依頼が回付されるため、業務の属人化を防ぎ、品質を均一に保つことが可能です。
また、スマートフォンやタブレットからも申請・承認ができるシステムを選べば、現場にいる担当者や出張中の管理職も、場所や時間を問わずに業務を進められます。これにより、承認待ちによるタイムロスがなくなり、意思決定のスピードが格段に向上します。
承認ルートの見える化で内部統制強化
ワークフローシステムを導入すると、「いつ、誰が申請し、誰が承認したか」という履歴がシステム上に記録されます。
この承認プロセスの可視化は、内部統制を強化する上で非常に重要です。不適切な申請や承認を防止する牽制機能が働き、コンプライアンスの遵守につながります。また、監査の際には、要求されたデータを迅速に提出できるため、監査対応の工数を大幅に削減することも可能です。組織変更に伴う承認ルートの変更も、システム上で簡単に行えるため、常に適切なプロセスを維持することができるでしょう。
建設業でのワークフローシステムの活用シーン
ワークフローシステムは、建設業におけるさまざまな業務に応用可能です。ここでは、具体的な活用シーンを5つご紹介します。
工事日報・作業報告書の作成と提出

これまで現場事務所に戻ってから作成していた工事日報や作業報告書を、現場の空き時間にスマートフォンやタブレットから簡単に入力・提出できます。写真を添付できる製品であれば、より正確な進捗状況をリアルタイムで関係者に共有することが可能です。
見積書・請求書の発行と承認

複雑になりがちな見積書や請求書の社内承認フローをシステム化できます。
金額に応じて承認ルートを自動で分岐させるなど、社内規定に沿った柔軟な設定が可能です。また、社内回覧中の見積書・請求書の現在の承認状況が一目で分かるため、処理の停滞を防ぎ、取引先への迅速な対応につながります。
経費精算・仮払申請

現場への移動費や資材の立替購入費など、日々発生する経費の精算業務を効率化します。
領収書をスマートフォンのカメラで撮影して申請データに添付できるシステムなら、糊付けや台紙への貼り付けといった手間からも解放されるでしょう。
ヒヤリハット報告書の共有

ヒヤリハット報告をシステム化することで、報告のハードルが下がり、より多くの事例を収集しやすくなります。収集されたデータは即座に全社で共有され、類似災害の防止策を検討するなど、現場の安全意識向上につなげることが可能です。
安全書類の申請・承認・管理
作業員名簿や新規入場者教育の記録など、社内での申請・承認を伴う安全書類(グリーンファイル)のやり取りを電子化できます。書類の不備チェックや差し戻しもシステム上で行えるためコミュニケーションが円滑になり、書類準備にかかる時間を短縮できます。
【建設業向け】ワークフローシステム選びのポイント
自社の課題解決につなげるには、数ある製品の中から最適なワークフローシステムを選ぶことが不可欠です。ここでは、とくに建設業の企業がシステム選定で重視したい3つのポイントを解説します。
現場のITスキルを問わないか
建設業では、現場の職人からオフィスの事務員まで、さまざまな年齢層や職種の従業員が働いています。そのため、ワークフローシステム選びにおいては、誰にとっても分かりやすく、直感的に操作できるシンプルな画面デザインや、プログラミング知識不要で設定を行えるノーコードツールであることが大切なポイントです。
また、現場作業員が使いやすいよう、スマートフォンやタブレットでの操作に完全対応しているかどうかも必ず確認しましょう。さらに、無料トライアルなどを活用し、実際に現場の従業員に操作性を試してもらうことをおすすめします。
建設業特有の帳票・承認ルートに対応できるか
建設業には、業界特有の複雑な帳票や、独自の承認ルートが存在します。システムに用意されたテンプレートだけでなく、現在使用しているExcelやWordの帳票レイアウトをそのまま再現できるか、柔軟なカスタマイズ性があるかを確認しましょう。
とくに、安全書類や工事日報など、自社が求める要件に沿ったフォーマットを作成したり再現したりできるかは、業務効率を左右する大きなポイントです。
外部システムとの連携性
すでに会計システムや原価管理システム、勤怠管理システムなどを導入している場合、それらと連携できるワークフローシステムを選ぶことで、さらなる業務効率化が期待できます。
たとえば、ワークフローシステムで承認された経費精算データを会計システムに自動で取り込めれば、二重入力の手間が省け、入力ミスも防げます。将来的な拡張性も見据え、どのようなシステムと連携が可能か(API連携など)を確認しておきましょう。
建設業のワークフローシステム導入・活用事例
では、実際にワークフローシステムを導入・活用して、業務課題を解決した建設業の事例をご紹介します。
建設業ならではの課題解決に貢献(東亜建設工業)
東亜建設工業株式会社は、「AgileWorks」を導入して150種類以上の申請書をデジタル化し、電子申請の体制を確立しました。
日本各地でさまざまな工事やプロジェクトを展開している同社においては、業務のフローや形式には柔軟性が求められる一方、上場企業としての内部統制も必要な状況でした。そうしたなか、「AgileWorks」の導入以前は稟議書などの各種申請書を紙帳票で運用していたため、承認期間が長期化し、意思決定の遅延を招いていました。
そこで同社は、申請業務のデジタル化を目指しワークフローシステム導入に向けた製品選定を開始。その結果、社内で運用していたリモートアクセスサービスとの連携が可能で、頻繁に発生する組織改編や人事異動にも柔軟に対応できる機能が備わっている「AgileWorks」の導入に至りました。
導入後、150種類にも及ぶ申請業務がデジタル化され、日本全国の支店や営業所の従業員が日常的に「AgileWorks」を利用。たとえば、以前は作成は煩雑で記入ミスも頻発していた「工事合併伺及び報告書」は、工事番号さえ入力すれば各種情報が自動的にフォームに反映される仕組みとなっており、大幅な業務効率化とミスの削減につながっています。

さらに、従来は1か月を要することもあった稟議が1週間ほどで決裁されるようになるなど、承認期間が従来の4分の1まで短縮。申請の種類によっては即日決済も可能になるなど、意思決定スピードが向上し、効率的な組織運営と全社的な生産性向上につながっています。
DXに向けた基盤づくりを推進(東急建設)
東急建設株式会社は、「AgileWorks」を活用して、DXの実現に向けたデータ基盤づくりや業務効率化を進めています。
同社では以前より電子決裁システムを利用して申請業務を行っていたものの、受注決裁などの一部業務は紙で運用されていました。また、システムの老朽化も懸念されており、メンテナンス工数が増大していたほか、数年後にはサポート終了も控えている状況でした。
そこで同社は、新システムの導入に向けて製品選定を開始。検討の結果、拡張性や設定の柔軟性が決め手となり、「AgileWorks」の導入に至りました。
現在、300以上の部署、200以上の作業所にAgileWorksが展開され、従来は紙で運用されていた申請書も含むペーパーレス化が加速。他システムとの連携により、入力作業やメンテナンス工数の削減にもつながっています。さらに同社では、営業支援システムとの連携により、見積書回議箋の申請データが自動的にAgileWorksに連携される仕組みを構築するなど、DX実現に向けたデータ基盤づくりや業務効率化にも「AgileWorks」を役立てています。
まとめ
今回は、建設業が抱える課題やワークフローシステムの有用性、システム選定のポイント、そして実際にワークフローシステムを導入・活用している建設業の事例をご紹介しました。
記事内でもご紹介した通り、ワークフローシステムは建設業でありがちな課題解決に有効なツールであり、建設DXの推進を協力にサポートしてくれます。
今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムの導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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建設DXのはじめの一歩としてワークフローシステムをご紹介させていただきます。
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