見積書とは?書き方や作成を効率化する方法を徹底解説!
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企業間取引のなかでやり取りする文書のひとつに、見積書があります。
安心して取引を進めるために重要な役割を果たす見積書ですが、
「見積書はなぜ必要なの?」
「見積書の記載項目や書き方に決まりはある?」
「見積り業務を効率化する方法は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、見積書の基礎知識から書き方、見積り業務を効率化する方法についてわかりやすく解説します。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
見積書とは?
そもそも見積書とは、正式に受注する前に受注側が発行する文書で、取引内容や金額、納期などの条件が記載されます。
見積り内容について双方が合意することで、正式に商取引が開始されます。
見積書の発行は法的に義務付けられているわけではありませんが、取引の円滑化やトラブル防止を目的に、企業間取引で一般的に用いられています。
見積書の作成方法
次に見積書の作成方法として、一般的なテンプレートや記載項目、書き方のポイントをご紹介します。
見積書のテンプレートと記載項目
見積書の形式に法的な決まりは存在せず、自社で独自にフォーマットを作成したり、インターネットで提供されているテンプレートを利用しても問題ありません。
例として、一般的な見積書のフォーマットを紹介します。
企業によって細かな違いはありますが、見積書には以下のような項目を記載するのが一般的です。
- 題目(文書のタイトル)
- 発行日
- 見積番号
- 交付を受ける事業者の氏名または名称
- 発行者の氏名または名称
- 見積りの内訳と金額
- 納品期日
- 有効期限
見積書の書き方
次に、見積書の記載項目別に書き方を確認していきましょう。
題目(文書のタイトル)
題目(文書のタイトル)として「見積書」や「御見積書」と記載します。
書面の中央上部や左上部など、目立つ場所に記載するのが一般的です。
発行日
「いつの見積書なのか」が伝わるよう、発行日を記載します。
西暦でも和暦でも問題ありませんが、社内で表記ルールを統一しましょう。
見積番号
見積書の管理を円滑化するために、見積番号を記載しましょう。
連番などで見積番号を記載しておくことで、後から見積り内容について問い合わせる際や、参照したりする際に該当の見積書を探しやすくなります。
交付を受ける事業者の氏名または名称
「誰宛てに発行した見積書か」を明確にするため、見積書の交付を受ける事業者の氏名または名称を記載します。
個人の氏名であれば「様」を、会社の名称であれば「御中」を敬称として付けることを忘れないよう注意しましょう。
発行者情報
「誰が発行した見積書か」を明確にするため、発行者(自社)の情報を記載します。
会社名や所在地のほか、後から連絡を取れるように電話番号やFAX番号、メールアドレスなども記載することをおすすめします。
また、会社として発行した文書であることを示すため、発行者情報とともに社印(角印)を押すことが一般的です。
見積りの内訳と金額
見積り内容の詳細として、納品予定の商品・サービスの名称や数量、単価を記載します。
見積金額として、小計と消費税額、そして合計金額(小計+消費税額)を記載します。
トラブルを避けるために、できるだけ詳細かつ明確に内訳を記載しましょう。
納品期日
実際に受注した場合の納品期日を記載します。
「発注から〇週間以内」や「発注から〇か月以内」のように記載するのが一般的です。
有効期限
トラブルを防止するためにも、見積書の有効期限を記載します。
「発行日から〇日以内」や「〇年〇月〇日迄」のように、見積り内容が有効な期限を設定しましょう。
見積書を電子化することは可能?
ビジネスシーンにおけるペーパーレス化やDXの動きが活発化するなか、見積書の電子化を検討する企業が増えつつあります。
次は、見積書を電子化することの可否や、電子化する方法について確認していきましょう。
電子化した見積書の有効性
結論から述べると、見積書は電子データで発行・受領しても問題ありません。
ただし、見積書は税法で7年間の保存が義務付けられており、電子データとして保存する場合には、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。
電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類の全部または一部を電子データとして保存することを認める法律のこと。
2022年1月に電子帳簿保存法が改正されたことで電子保存の要件が大幅に緩和され、見積書を含む帳票の電子化に着手しやすくなっています。
見積書を電子化する方法
見積書を電子化するもっとも手軽な方法が、Excel(エクセル)などで作成した見積書をPDF形式で出力する方法です。
PDF形式であれば、見積り内容が改ざんされてしまうリスクを抑えることができ、メールやクラウドサービスを介して取引先に送付することができます。
ただし、電子帳簿保存法の要件を満たすための運用ルールを策定して遵守する必要があり、結果的に負担が大きくなってしまう恐れもあります。
見積書を電子化するもうひとつの方法が、電子帳票システムの利用です。
電子帳票システムとは電子帳票の作成や配信、保管などを行うシステムのことで、電子帳簿保存法の法的要件を満たしている証であるJIIMA認証製品も存在します。
見積書の電子化と電子帳簿保存法への対応を実現したいのであれば、JIIMA認証を取得している電子帳票システムの利用がおすすめだと言えます。
見積書を電子化するメリット
電子帳簿保存法の要件を満たすことで、見積書を電子データとして授受したり保存したりすることが可能だとお伝えしました。
では、見積書を電子化することで、具体的にどういったメリットが期待できるのでしょうか。
次は、見積書を電子データとして運用するメリットとして以下の3点をご紹介します。
見積書を電子化するメリット
- ペーパーコストの削減
- 見積書管理の効率化
- 企業間取引の円滑化
ペーパーコストの削減
見積書を電子化するメリットとして、ペーパーコストの削減を挙げることができます。
紙媒体で見積書を運用している場合、用紙代やインク代などの印刷コスト、封筒代や郵送代などの配送コスト、保管場所の賃料、ファイルやキャビネットといった備品代など、さまざまコストが発生します。
電子見積書で送付したり保存したりすることでペーパーレス化が進み、上記のようなコストを削減することができるでしょう。
見積書管理の効率化
見積書を電子化することで、管理を効率化することもできます。
紙媒体で見積書を保存している場合、過去の見積書について問い合わせがあった際や、後から参照する必要が出てきた際に、大量の書類のなかから該当の見積書を探し出す手間が発生します。
一方、電子化した見積書であれば、ファイル名や文書内の情報で過去の見積書を検索可能です。
必要に応じて速やかに参照・出力することができるため、問い合わせ対応や監査対応の効率化につなげることができるでしょう。
企業間取引の円滑化
企業間取引のスピードアップも、見積書を電子化するメリットと言えます。
紙媒体の見積書の場合、配送の手続きをしてから取引先の手元に届くまでに、数日間のタイムラグが発生してしまいます。
一方、見積書を電子データとして授受する場合、メールに添付したりクラウドサービスを介して送付することができるため、リアルタイムに見積り内容を共有することが可能です。
見積り業務の効率化にワークフローシステムが役立つ理由
見積書を電子化することで、多くのメリットが期待できることがわかりました。
見積り業務をさらに効率化するのであれば、ワークフローシステムの活用が効果的です。
ワークフローシステムとは、社内で行われる申請や稟議を電子化するシステムのことで、社内文書のペーパーレス化や業務効率化、テレワークの促進に効果が期待できます。
次は、見積り業務の効率化にワークフローシステムが役立つ理由を確認していきましょう。
見積書作成の効率化
ワークフローシステムには、帳票の作成機能を備えていたり、帳票のテンプレートが用意されている製品もあります。
帳票作成機能やテンプレートを利用することで、従業員が個々人で作成していた見積書フォーマットを一元化することができ、見積書作成の効率を高めることができるでしょう。
また、製品によっては入力補助機能や過去の帳票を複製する機能が備わっているので、入力ミスを防ぎつつ効率的に見積書を作成することが可能です。
社内承認の迅速化
見積書を発行する際、担当者が見積書を作成して回覧を行い、社内の承認を経て取引先へと送付する流れが一般的です。
しかし、紙の文書の場合、適切な承認を経ずに見積書が発行されてしまったり、承認を得るまでに多くの時間がかかってしまったりといったケースが考えられます。
一方、ワークフローシステムを利用することで、取引内容や金額に応じて適切な承認ルートを自動判別することができ、スムーズに見積書の社内承認を行うことができます。
また、承認者はPCやスマートフォンから見積書の内容を確認したり押印したりすることができるため、外出が多い場合やテレワーク時でも社内承認の停滞を防ぐことができます。
電子帳票システムとの連携で電帳法に対応
見積書の作成から社内承認を効率化できるだけでなく、電子帳票システムとの連携で電子帳簿保存法の保存要件に対応することも可能です。
そうすることで、見積書の発行から承認、取引先への送付、保存までの一連の流れを電子化することができます。
もちろん、見積書だけでなく、請求書や納品書、注文書といった取引帳票をまとめて電子化することも可能になるため、ペーパーレス化を大きく前進させることができるでしょう。
テレワークの促進
ワークフローシステムで見積りにおける一連の流れを電子化することで、テレワーク推進にもつなげることが可能です。
昨今の新型コロナウイルス感染症の流行で、多くの企業がテレワークへの移行を余儀なくされましたが、紙の書類の確認や押印のために出社せざるを得ないという企業も少なくありませんでした。
ワークフローシステムを活用することで見積書の発行から社内承認を完結することができ、オフィスに出社することなく見積り業務を遂行することができるでしょう。
ワークフローシステムで見積り業務の効率化に成功した事例
最後に、ワークフローシステムを活用して見積り業務の効率化を実現した企業事例をご紹介します。
SCSK株式会社様(当時は住商情報システム株式会社)は、「基幹情報システムの刷新」の一環として、ワークフローシステムを導入しました。
ワークフローシステム導入により、「意思決定の迅速化」や「意思決定プロセスの一元化」、「内部統制の強化」といった面で成果を得ています。
まず、正しい権限者が正しい決定を迅速に行える基盤が整い、導入から半年で16,500件の起案を処理するなど、意思決定の迅速化を実現しました。
また、従来の紙ベースの意思決定プロセスに代わる、電子的かつ一元的な意思決定プロセスを全社規模で確立することに成功。
さらに、大型案件の見積り業務や、契約などの重要な意思決定が、適切に行われているかをチェックできる体制が整うなど、内部統制の強化にもつながっています。
まとめ
今回は、見積書の基礎知識、電子化のメリット、見積り業務の効率化にワークフローシステムが有効である理由をご紹介しました。
DXやペーパーレス化が叫ばれるなか、見積書の電子化に取り組む企業は着実に増えていくことが予想されます。
現在、紙媒体で見積り業務を行っている企業は、今回ご紹介した情報も参考に見積書の電子化およびワークフローシステムによる業務効率化を検討してみてはいかがでしょうか。
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。