株式会社日進製作所グループのワークフローシステム導入事例
電話・口頭・チャットで分散していた問い合わせや報告業務を一元化。X-point Cloud=“申三郎”で、現場が自然に使う仕組みへ。
株式会社日進製作所グループは、京都府京丹後市に本社を置く、1946年創業・今年で創業80周年を迎える製造業で、量産部品や工作機械、医療事業などを手がけ、単体139名・連結3,082名の従業員を擁します。
同グループのITグループは、約6年前に、業務改善(DX)の第一歩としてクラウド型ワークフローX-point Cloud(エクスポイントクラウド)を導入。現在利用フォーム数は約75にのぼります。
本記事では、2026年7月に開催された関西エリアMeetUpへのご登壇の際にお話された内容をもとに、同グループが、いかにしてシステムの全社展開を実現したのか、また昨今話題のAIをワークフロー活用に活かしているのかをまとめました。
▲ ITグループ 主任 井上 絵磨様(左)、小柴 雄揮様(右)
課題・背景
- IT部門への問い合わせが電話・内線・チャット・メール・口頭など多経路に分散
- 誰がどこまで対応中かを把握しづらく、不具合の状況も文章では伝えにくかった
- 交通事故報告と調査報告書で同じ内容を再入力する必要があり、転記ミスも多発。報告データを基幹システムへ登録する作業に手間がかかっていた
- 対応チケットの起票は手作業で行う必要があり、起票漏れが生じることも
業務効果
- 問い合わせ窓口をフォームに一元化し、受付状況・対応履歴を可視化
- 業務影響レベル・画像添付・FAQリンクで状況把握・初動対応・自己解決を促進
- 関連書類機能で交通事故報告と調査報告書の重複する内容を引き継ぎ、再入力・転記ミスを削減
- クエリ機能で基幹システム取込用データを生成し、登録作業を効率化
- Power Automate連携でTeams通知・Redmine自動起票し、起票漏れを防止・品質向上
【運用の工夫】親しみのある愛称が、全社的なシステム定着を促進
日進製作所グループでは、業務改善(DX推進)の「最初の一歩」として、約6年前にX-point Cloudを導入し、ITグループが中心となり、社内システムの運用・インフラ管理・業務改善を担ってきました。
フォームは、基本的に利用部門からの依頼ベースで内製しており、依頼側には「フォーム依頼書」を作成してもらい、業務フローや希望する承認ルートを記入してもらっています。
こうして作成したフォームは現在約75種類にのぼり、PCトラブルの問い合わせや交通事故報告をはじめ、ファイルサーバーのフォルダ作成依頼、資格取得時の報奨申請、海外出張の伺いなど、幅広い業務をカバーしています。
親しみを生むネーミング――「申三郎(しんざぶろう)」
同グループは、X-point Cloud導入時、比較的社員の平均年齢が高いことから、ワークフローシステムに馴染みのないユーザーも少なくなかったため、システムをいかに定着させるかに頭を悩ましていました。
そこで、全従業員にワークフローシステムに親しんでもらうために打ち出したのが、システムのネーミングでした。
社内公募で集まった名称をリストアップして投票を実施した結果、選出されたのが「申三郎(しんざぶろう)」という愛称。申請の「申」の文字と、承認フローをかけ合わせたネーミングです。
現在では「申三郎に申請しておいて」「申三郎を見ておいて」といった会話が自然に交わされたり、役員会議の資料にも登場するなど、全社的に定着しているそうです。
「業務改善の一番はじめに導入したのがX-point Cloudです。6年使っていますが、年々相乗効果でメリットが膨らんでいる感覚があります。平均年齢が高めなので、親しみを込めて『申三郎』と名付けました。」(井上様)

システム名称の変更 : ワークフローシステムに馴染んでもらうため、 システム愛称を「申三郎(しんざぶろう)」と 名付けて運用しています。
【活用の工夫】入力フォームの最適化と システム・生成AI連携による処理の自動化
次に、同グループでのX-point Cloudの活用についてご紹介します。
活用詳細① ── PCトラブル問い合わせフォーム
多経路に分散していた問い合わせをフォームに一元化し、受付状況を可視化
ITグループが最も多く申請を受けるのが、パソコンやソフトウェアの不具合を報告するPCトラブル問い合わせフォームです。従来、メール・内線・チャット・口頭など多様な経路で問い合わせが寄せられ、「今誰がどこまで対応しているか」の把握が難しかったそうです。
そこで、問い合わせの窓口を「PCトラブルお問い合わせフォーム」に一元化。受付状況と対応履歴が可視化されたことで、問い合わせ対応の負荷を大幅に削減されました。
▲ PCトラブル問い合わせフォームの画面。業務影響レベルのコンボボックス、画像添付、FAQリンクなどの工夫
フォームに込めた工夫・仕掛け
・「PCの再起動を試した」へのチェックを必須入力項目にし、再起動で直るケースを申請前に切り分け問い合わせ件数そのものを抑える工夫を行ったり、申請の前段に社内FAQ・ITサポートサイトへのリンクを提示し、まずは利用者自身での自己解決を促すように誘導している。
・「業務影響レベル」を ★(影響なし)〜★★★(業務停止レベル)のコンボボックスで選んでもらうことで、ITグループが受付時点で優先度を即座に判断できるようにしている。
・イメージアップロードで不具合のスクリーンショットを添付できるようにすることで、文章や口頭では伝わりにくい状況を正確に共有できるようにしている。
「文章では伝えにくい不具合も、スクリーンショットを添付できるので状況を把握しやすくなりました。『再起動しましたか』のチェックも、地味ですが一定の効果があります。」(井上様)
活用詳細② ── 申三郎を起点としたシステム連携(Teams・Redmine・生成AI)
Power Automateをハブに、通知とチケット起票を自動化――抜け漏れを防ぎ、チームの品質を向上
迅速な対応が必要な申請について素早く対応するため、外部システムとの連携を進めています。X-point Cloudで承認依頼が進むとWebフックが送信され、連携のハブとなるPower Automateが受信して処理を開始する仕組みとなっています。
▲ 申三郎を起点としたシステム連携の詳細構成。Webフック→Power Automate→Teams/Redmine、X-Point APIと生成AI(Copilot)を組み合わせて自動起票
連携の工夫・仕掛け
・【Teams】申請内容をチャネルへカード投稿。担当者がすぐ気づき、「対応します」「似た事例がありました」とコメントを残すことで、対応履歴やナレッジがTeams上に蓄積される
・【Redmine】承認をトリガーにチケットを自動起票。手作業のコピペをなくし、件数が多くても起票漏れが起きない
・【生成AIの工夫】APIで取得した書類データはJSON形式のままでは読みにくいため、生成AI(Copilot)で人が読める文章に整形してからRedmineへ起票。申請部署名・申請者名など必要な情報が整った形でチケット化される
「API連携は、公開されている使い方を生成AIに読ませて『どうすればいい』と聞くと、わりとすぐにできました。難易度はそこまで高くありません。」(小柴様)
その他の活用業務
上記のほかにも、同グループでは利用部門の依頼に応じて、多様な業務をX-point Cloud(申三郎)でフォーム化しています。代表的なものは次のとおり。
| 申三郎フォーム依頼書 | X-point Cloud(申三郎)に関する新規フォーム作成などの依頼 |
| 共有フォルダ作成依頼書 | ファイルサーバーのフォルダ作成や、アクセス権限の付与依頼 |
| IT備品支給依頼書 |
モニタや映像ケーブル等の支給依頼 |
| 設備決裁書 |
固定資産物品の購入や移動のための決裁書 |
| 社内振替票 |
作業応援での労務費など部門間の振替連絡、外部の生産管理ソフトへの登録依頼 |
| 業務連絡票 | 部署間の業務依頼で使用する汎用申請書 |
| 自己啓発援助申請書 |
資格取得報酬や受験料免除の申請書 |
| 海外出張伺い |
海外出張の日程や費用の申請書 |
【導入効果】連携・自動化による業務品質の向上と 「まず申三郎を見る」社内文化の定着
現在、同グループでは業務内でPCを利用する約800名の社員がX-point Cloudを利用しています。申請書数は75種類。下記のような導入効果を得ています。
定量的な効果
定量的な効果
・総フォーム数 75、利用歴 約6年。年々相乗効果で活用が拡大
・生成AI等を活用し、既存のお問い合わせフォームと周辺システムとのAPI連携を約1か月程度で構築
・問い合わせ窓口の一元化と自動起票により、起票漏れや転記ミスを削減
定性的な効果
・多経路の問い合わせをフォームに一元化し、受付状況・対応履歴を可視化
・関連書類・クエリ連携で再入力・転記ミスを削減し、基幹システム登録を効率化
・Teams/Redmineの自動連携で起票漏れを防ぎ、チームの対応品質が向上
・「まず申三郎を見る」文化が定着し、全社的な業務効率化が進展
「今は『まず申三郎を見て、なければ問い合わせるか作る』という流れになりました。業務ごとにフォーム化することで、全社的な効率化が図れている実感があります。」(井上様)
【今後の展望】
同グループは、今後も利用部門の依頼ベースで対象業務をさらにフォーム化し、相乗効果を広げていく方針だ。あわせて、生成AIとの連携を活かし、より高度な自動化やナレッジ活用へと発展させていく。現場が無理なく使えることを重んじながら、「申三郎」を起点とした業務改善を継続していく。
お客様プロフィール
| 会社名 | 株式会社 日進製作所グループ |
|---|---|
| 本社所在地 | 京都府京丹後市峰山町千歳22番地 |
| 創業 | 1946年9月(今年で創業80周年) |
| 従業員数 | 単体 139名/連結 3,082名 |
| 事業内容 | 量産部品、工作機械、医療事業 等 |
| URL | https://www.nissin-mfg.co.jp/ |



