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電子契約を導入しても契約管理が非効率なのはなぜ?「分断」の正体と解決策

電子契約を導入しても契約管理が非効率なのはなぜ?「分断」の正体と解決策

「電子契約サービスを入れたのに、契約まわりの仕事が思ったほど楽になっていない」
そう感じている管理部門の方は少なくないのではないでしょうか。

契約書への押印や郵送はなくなっても、社内の稟議は別のシステムで回し、締結後はExcelの台帳に手で転記し、更新時期は担当者の記憶頼み。契約書の「締結」はデジタルになっても、契約業務全体は以前とあまり変わっていない、という企業は多くあります。

本記事では、契約管理の基本を整理したうえで、電子契約を導入しても契約管理が効率化しない理由と、その根本にある「業務プロセスの分断」をどう解消すればよいかを解説します。

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そもそも契約管理とは?

契約管理とは、契約書の作成・審査・承認・締結から、保管、期限管理、更新・解約までの一連の業務を適切に管理することです。

「契約管理=締結した契約書をきちんと保管すること」とイメージされがちですが、実際の範囲はもっと広く、契約のライフサイクル全体を対象とします。

契約管理の対象範囲

契約管理の対象は、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  • 契約書の管理:
    契約書の原本・電子データを、必要なときにすぐ取り出せる状態で保管する。閲覧できる人の範囲(アクセス権)も管理する
  • 契約内容の管理:
    取引先・契約金額・契約期間・更新条件・解除条項など、契約の中身を把握し、台帳などで一覧化する
  • 契約プロセスの管理:
    契約締結の依頼、法務審査、社内承認、締結、台帳登録、更新・解約判断といった、契約にかかわる業務の流れを管理する

契約管理というテーマにおいては、「契約書の管理」と「契約内容の管理」が中心に語られがちです。しかし、実務の負担やミスが生まれやすいのは、じつは3つ目の「契約プロセスの管理」です。この点は、後ほど詳しく掘り下げます。

契約管理が重要な理由

契約管理が重要とされる理由は、主に次の3つの観点から説明できます。

1. コンプライアンス(法令順守)の観点

契約書は、法人税法上の保存対象となる書類であり、原則として7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)の保存が必要です。また、電子契約で締結した契約書は電子帳簿保存法上の「電子取引」にあたり、電子データのまま一定の要件を満たして保存することが求められます。
(参照:電子帳簿保存法関係(国税庁))

2. 法的リスクの観点

自動更新条項のある契約を見落として不要な契約が継続したり、解約通知の期限を過ぎてしまったりするケースは少なくありません。トラブル発生時に契約書や審査の経緯をすぐに確認できないと、交渉や対応で不利になる恐れもあります。

3. 業務効率の観点

「あの契約書はどこにある?」「この取引先との契約条件は?」といった問い合わせや探しものに時間を取られるのは、管理部門にとって見過ごせない負担です。契約件数が増えるほど、この負担は大きくなります。

電子契約導入後にありがちな課題

ここからは、電子契約サービスをすでに導入している企業で、よく聞かれる悩みを見ていきましょう。

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申請・承認と契約締結がバラバラで二度手間になっている

電子契約サービスを使っていても、契約締結前の社内稟議は、別の稟議システムやメール、場合によっては紙で回しているケースがよくあります。

その結果、次のような二度手間が発生します。

  • 稟議書に取引先名・契約金額・契約期間を入力し、承認後に電子契約サービスへ同じ情報をもう一度入力する
  • 稟議で承認された契約書と、実際に電子契約サービスで送った契約書が同じ版かどうかを目視で確認する
  • 承認が下りたことを担当者がメールで知らせ、それを受けて別の担当者が締結依頼を出す

一件あたりは数分の作業でも、月に数十件、数百件と契約を扱う部署では、積み重なって大きな工数になります。転記ミスが起きれば、取引先に誤った契約書を送ってしまうリスクもあります。

「どこまで進んでいるか」が分からず、更新通知も見落としがち

営業部門などから、「あの契約、今どうなっていますか?」といった問い合わせを受けることはないでしょうか。

申請中なのか、法務審査中なのか、承認済みで締結待ちなのか。稟議システムと電子契約サービスが分断されていると、契約の進み具合(ステータス)をひと目で把握できる場所がありません。確認のたびに、それぞれのシステムを開いたり、担当者に聞いたりする必要が出てきます。

締結後も同様です。更新時期の管理をExcel台帳や個人のカレンダーに頼っていると、担当者の異動や多忙をきっかけに更新・解約の判断が漏れてしまいます。「気づいたら自動更新されていた」という事態は、多くの企業で実際に起きています。

契約データが法務・経理・購買など他部署と共有できていない

契約にかかわる部署は、締結した部署だけではありません。

  • 法務部門:過去の審査履歴や、類似契約の条件を確認したい
  • 経理部門:支払条件や請求サイクルを確認したい
  • 購買部門:取引先ごとの取引条件や契約期間を把握したい

ところが、契約データが締結した部署の中だけに留まっていると、他部署は必要なときにすぐに参照できません。結果として、メールやチャットでの問い合わせが増え、情報を持っている担当者に負担が集中します。こうした属人化(特定の人しか分からない状態)も、契約管理を非効率にする大きな要因です。

なぜ電子契約サービスだけでは契約管理が効率化しないのか

なぜ電子契約サービスだけでは契約管理が効率化しないのか

前章で挙げた悩みは、電子契約サービスの機能が足りないせいではありません。原因は、電子契約サービスが担う役割の範囲そのものにあります。

電子契約サービスがカバーするのは「締結」という一工程だけ

電子契約サービスは、契約書への電子署名と締結、締結済み契約書の保管を得意とするサービスです。押印・製本・郵送といった作業をなくし、締結までの時間を大幅に短縮できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、契約業務全体を工程別に分けてみると、電子契約サービスがカバーしているのはその一部に過ぎません。

  1. 契約締結の依頼・申請:取引先・金額・期間などを記載して申請
  2. 法務審査・社内承認:契約内容の審査、稟議による決裁
  3. 締結:電子署名、取引先への送付・署名依頼
  4. 保管:締結済み契約書の保存
  5. 台帳登録・共有:契約情報の一覧化、他部署への共有
  6. 更新・解約の管理:期限の把握、更新・解約の判断と社内承認

対応範囲はサービスや契約プランによって異なりますが、電子契約の導入で効率化されたのは主に「3. 締結」の工程であり、その前後の工程は導入前とほとんど変わっていない、というケースが多いのです。

締結の前後は手作業のまま残りやすい

締結の前後に残る工程は、いずれも社内の意思決定や部署間の連携に関わる業務です。

どの契約に誰の承認が必要か、どの部署に情報を共有すべきかは、企業ごとの組織やルールによって異なります。社外との締結を担う電子契約サービスだけでは、こうした社内独自のルールまでカバーすることが困難です。

その結果、締結の前後は「稟議は稟議システムで」「台帳はExcelで」「共有はメールで」と、ツールごとに分かれた手作業のまま残ります。電子契約を導入しても効率化を実感しにくいのは、このためです。

契約管理効率化の本当の課題は「業務プロセスの分断」

ここまで見てきたように、契約管理が非効率になる根本原因は、個々のツールの性能ではありません。契約にかかわる一連の業務が、ツールや部署ごとに分断されていることにあります。

個別ツールの追加では根本解決にならない

課題を解決しようとして、「台帳管理用に契約書管理システムを追加する」「更新管理用にリマインドツールを入れる」といった形で、ツールを継ぎ足していく企業もあります。

もちろん、それぞれのツールには役割があります。しかし、ツールが増えるほど、ツール同士をつなぐ転記や確認の作業も増えていきます。その結果、「二度手間」「ステータスが見えない」「共有できない」という悩みは形を変えて残り続けます。

契約に関わる一連の業務プロセスを可視化・仕組み化する発想が必要

必要なのは、工程やツール単位ではなく業務プロセス単位で考える発想です。

「契約締結の依頼から、審査・承認、締結、台帳登録、更新・解約まで」を一本の流れとしてとらえ、その流れを一か所で見える化し、ルールどおりに進む仕組みをつくる。そうすることで、ツールをまたぐ転記や確認が減り、誰が見ても「今どこまで進んでいるか」が分かる状態に近づきます。

冒頭で、契約管理の対象範囲のうち「契約プロセスの管理」で負担やミスが生まれやすいと述べたのは、このためです。

効率化のカギとなる4つの視点

業務プロセスを仕組み化するうえで押さえておきたいのが、次の4つの視点です。

1. 申請・承認の一元化

契約締結の申請から法務審査、社内承認までを一つの流れで処理し、承認された内容をそのまま締結に引き継ぎます。転記をなくすことで、二度手間と転記ミスを同時に防げます。

2. ステータスの可視化

申請中・審査中・承認済み・締結済みといった進み具合を、関係者が同じ画面で確認できるようにします。「今どうなっていますか?」という問い合わせを減らせます。

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3. 更新期限の管理を仕組みに組み込む

契約期間や更新期限を、申請時のデータとして必ず登録するルールにします。期限が近い契約を一覧で抽出し、更新・解約の判断も社内承認の流れに乗せることで、個人の記憶に頼らない管理が可能になります。

4. 他部署とのデータ共有とアクセス権の管理

契約データを一か所に集約し、法務・経理・購買など必要な部署が、必要な範囲で参照できるようにします。閲覧権限を適切に設定すれば、情報共有と情報漏えい対策を両立でき、特定の担当者に問い合わせが集中する属人化も解消しやすくなります。

契約管理を仕組み化するワークフローシステム

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4つの視点を実現する基盤として有効なのが、ワークフローシステムです。

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ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、社内の申請・承認(稟議)といった業務手続きを電子化し、あらかじめ決めたルートどおりに処理を進めるシステムです。

契約管理の観点で見ると、ワークフローシステムには次のような利点があります。

  • 契約の金額や種類に応じて、承認ルート(誰が審査・承認するか)を自動で切り替えられる
  • 申請内容が項目ごとのデータとして残るため、検索・集計しやすい
  • 申請から承認完了までの進み具合や履歴を、関係者が確認できる
  • 他のシステムと連携し、承認後の処理を自動でつなげられる

つまりワークフローシステムは、単なる「稟議の電子化ツール」ではなく、部署やシステムをまたいで業務をつなぐ「ハブ」の役割を果たします。

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電子契約連携により契約業務のプロセスを一気通貫

ワークフローシステムと電子契約サービスを連携させると、締結の前後で分断されていた工程をつなげることができます。

たとえば、次のような流れです。

  1. 担当者がワークフローシステム上で契約締結を申請する(取引先・金額・契約期間などを入力し、契約書PDFを添付)
  2. 金額や契約種別に応じたルートで、法務審査・社内承認が進む
  3. 最終承認が下りると、申請内容が電子契約サービスに自動で起票され、取引先に署名依頼が届く
  4. 取引先が署名すると締結が完了し、関係者に完了通知が届く
  5. 申請時に入力した契約データがワークフローシステム上に残り、契約一覧として検索・抽出できる

承認後に電子契約サービスへ入力し直す必要がないため、二度手間と転記ミスがなくなります。また、申請時のデータがそのまま契約情報として蓄積されるため、別途Excel台帳に転記する手間も減らせます。

電子契約サービスは「締結」を、ワークフローシステムは「締結の前後をつなぐ流れ」を担う。この役割分担によって、既存の電子契約サービスを活かしたまま、契約業務全体を効率化できるのです。

ワークフローシステムで契約管理を効率化した事例

ここからは、GMOサインやクラウドサインなどの電子契約サービスとシームレスに連携可能なワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」を導入し、契約に関わる申請・承認業務を効率化した企業の事例を見ていきましょう。

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電子契約書と社内書類を照合しながら決裁できる仕組みを実現(いえらぶGROUP)

不動産業界向けのITシステムを提供する株式会社いえらぶGROUPでは以前、申請書の書式が整っておらず、メールで申請するたびに文面を一から作成していました。決裁に必要な情報が漏れることも多く、口頭やメールでの承認作業には多くの非効率が生じていました。

そこで同社は、遠隔の拠点にも導入しやすいクラウド型である点などを評価し、2015年に「X-point Cloud」を導入。現在では約60種類の申請書で業務を体系化しています。

X-point Cloudの導入によって、同社では申請業務がデジタル上で完結するようになり、以前のようなメール対応の手間を削減。複数部門が関わる業務を順序立てて回付できるようになり、作業の抜け漏れも解消されました。

また契約業務では、電子契約システム「いえらぶサイン」と「X-point Cloud」を組み合わせて運用。「付随書類提出申請書」に電子契約書のIDを記載することで、承認者は電子契約書の内容と付随書類を照らし合わせながら決裁できるようになりました。電子契約での締結と社内の承認がひと続きの流れでつながり、確認の手間を減らしています。

電子契約と社内承認をひと続きに!
株式会社いえらぶGROUP

株式会社いえらぶGROUPのワークフローシステム導入事例を見る|X-point Cloud

契約に関わる上申書を電子化し、契約業務を迅速化(鴻池組)

総合建設業の株式会社鴻池組では、工事の協力会社と下命契約(工事を発注する際の契約)を結ぶ際に起案する「上申書」を、紙で運用していました。

上申書は、工事現場から本支店、本支店から本社へと郵送で回覧する必要があり、承認までの期間が長期化しがちでした。契約の決定が遅れると、現場の工期に影響が出る恐れもあります。加えて、電子帳簿保存法への対応として、上申書の電子化と、上申書に添付する見積書の電子保管も急務となっていました。

そこで同社は、購買システムからのデータ連携や見積書データの添付が可能な点、柔軟な回覧ルートの設定や複雑な承認フローに対応できる点、直感的に使える画面などを評価し、「AgileWorks」を採用しました。

「AgileWorks」の導入後、同社の申請件数は約8か月で約12,000件に達し、月換算で約1,500件の申請業務がデジタル化されました。郵送による回覧がなくなったことで上申書の承認期間は大幅に短縮され、契約締結までの期間が短くなった結果、工期への影響も抑えられるようになっています。

契約締結前の社内承認という「締結の前工程」をデジタル化したことで、契約業務全体のスピードが上がった好例と言えるでしょう。

上申書の電子化で契約業務を迅速化!
株式会社鴻池組

株式会社鴻池組のワークフローシステム導入事例詳細を見る|AgileWorks

契約締結時の稟議申請を電子化(日鉄ソリューションズ)

東証プライム上場のシステムインテグレーターである日鉄ソリューションズ株式会社では、受発注や経費精算などの申請業務は以前から電子化していたものの、契約締結時に営業職が起案する稟議申請は紙の帳票で運用していました。

2020年5月の本社移転に伴い拠点が分散し、一部の部門でフリーアドレス勤務を導入したことで、紙の帳票を回付する手間が大幅に増えることが見込まれました。さらに、「申請業務のために出社する」というケースが増え、リモートワークの推進に支障をきたす恐れもありました。

そこで同社は、この課題を解消するソリューションの選定を開始。「導入のしやすさ」を重視して選定を行った末、紙の帳票のデザインをそのまま電子化できるフォーム作成機能を評価し、「AgileWorks」を採用しました。

現在、同社では年間1,400件にのぼる契約関連の稟議申請を「AgileWorks」上で処理しており、導入先の営業本部では年間2,000時間の業務時間削減を実現。紙の帳票による申請が不要になったことは、全社的なリモートワークの推進にもつながっています。

申請書の電子化で年間2,000時間を削減!
日鉄ソリューションズ株式会社

日鉄ソリューションズ株式会社のワークフローシステム導入事例を見る|AgileWorks

まとめ

契約管理は、契約書を保管するだけでなく、締結の依頼から審査・承認、締結、台帳管理、更新・解約までの流れ全体を管理する業務です。

電子契約サービスを導入しても契約業務が効率化しないのは、電子契約サービスが担うのが「締結」という一工程に限られ、その前後の工程が手作業のまま分断されているためです。

この分断を解消するには、ツールを継ぎ足すのではなく、契約にかかわる業務プロセス全体を可視化・仕組み化する発想が欠かせません。そして、その基盤となるのが記事内でご紹介したワークフローシステムです。ワークフローシステムと電子契約サービスを連携させれば、既存の電子契約サービスを活かしたまま、申請から締結、契約データの蓄積までを一気通貫でつなげられます。

「電子契約は入れたのに、なぜか楽にならない」と感じている方は、ワークフローシステムを活用した契約業務全体のプロセス改善を検討してみてはいかがでしょうか。

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ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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