SAPとは?意味やERPとの違い、2027年問題への対応や移行時のポイントまで徹底解説
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現在、企業の業務効率化に役立つITシステム・サービスは数多く存在します。ITシステム・サービスに関連する話題のなかで、「SAP(エス・エー・ピー)」というキーワードを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし一方で、
「そもそもSAPとは?ERPと同じ?」
「SAPユーザーが直面している2027年問題とは?」
「SAPの運用を効率化するポイントは?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
記事の前半ではSAPの意味やERPとの違い・関係性、導入のメリットといった基本的な知識を、記事の後半ではSAPユーザーの喫緊の課題である「2027年問題」の概要や対応方法・移行時のポイント、さらに運用を効率化するソリューションをご紹介します。
SAPやERPの導入を検討している方はもちろん、すでにSAPを導入しているユーザーもぜひ参考にしてみてください。
※本文中に記載されている会社名、製品名、サービス名などは、一般に各社の商標または登録商標です。本文中では、(R)や™などの表記を省略している場合があります。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- SAPの基礎知識
- SAP ERPを導入するメリット
- SAP ERPのデメリット・注意点
- SAP版「2025年の崖(2025年問題)」や「2027年問題」とは?
- SAPの「2027年問題」への対応策と移行を成功させるポイント
- SAPとワークフローシステムの連携で業務効率化が加速!
- SAP×ワークフローシステムの連携事例
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
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こんな人におすすめ
・SAPをご利用中の方や導入を検討している方
・ワークフローシステムの導入・リプレイス検討中の方
・SAPとワークフローシステムの連携事例を知りたい方
SAPの基礎知識
まずは、SAPの基礎知識として以下を確認していきましょう。
- SAPとは?
- ERPとは?SAPとの違い
- SAP ERPの特徴
SAPとは?
SAPとは、ドイツ中西部のヴァルドルフに本社を置くソフトウェア開発企業であるSAP社、もしくは同社が提供しているERP製品のことを指します。
SAP社のERP製品は世界中で数多くの企業に採用されており、企業名というよりもERP製品を指して「SAP」と呼ぶケースが一般的です。
なお、この記事では企業としてのSAPを示す場合は「SAP社」、SAP社が提供するERP製品を示す場合は「SAP」または「SAP ERP」と表記します。
ちなみに、SAPの読み方は「サップ」ではなく「エス・エー・ピー」ですので注意しましょう。
SAP社は1972年にドイツで設立され、翌1973年には世界初のERP製品「SAP R/1」をリリースしました。以降、R/2、R/3と製品を進化させながら、50年以上にわたって企業の基幹業務を支え続けています。現在の正式社名は「SAP SE」で、SEは欧州連合の会社法に基づく株式会社の形態を示す表記です。
(参照:SAP とは? | 定義と意義(SAP公式))
ERPとは?SAPとの違い
SAPについて理解を深めるには、ERPの概要を知っておく必要があります。
ERPとは、「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字を取った用語で、「統合基幹業務システム」とも呼ばれます。
販売管理システムや会計システム、人事・給与システムなどの基幹システムの機能を集約・統合し、1つのパッケージにしたものがERPだとイメージするとよいでしょう。
ERPを開発・提供している企業やERP製品は、SAP社の「SAP ERP」以外にも数多く存在します。オラクル社の「Oracle NetSuite」や、国内ベンダーが提供するERPパッケージなども、いずれもERPの一種です。
つまり「ERP」は「統合基幹業務システム」という概念・システムの種類を指す言葉であり、「SAP」はそのERP製品のなかの一つの「ブランド・製品名」という関係になります。SAPは、数あるERP製品のなかでもとくに世界的な導入実績・知名度を誇る製品であり、企業が保有する資源を一元管理して経営の全体最適化を図るうえで有効な選択肢のひとつです。
「ERPという大きな枠組みのなかに、SAPという具体的な製品が存在する」という関係性で理解すると分かりやすいでしょう。
SAP ERPの特徴
次に、SAP ERPの特徴について見ていきましょう。
現在、各社からさまざまなERP製品が提供されていますが、SAP ERPの主な特徴として以下の3点を挙げることができます。
- 豊富な導入実績
- 標準機能の充実度
- 企業規模や利用環境に応じて選択可能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
豊富な導入実績
SAP ERPの特徴として、豊富な導入実績を挙げることができます。
SAP社が本社を構えるドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国だけでなく、世界中で数多くの企業でSAP ERPは導入されています。
業種・業態を問わず、さまざまな国・地域の企業で導入されていることから、各国の法制度や独自の商習慣にも対応できる点は大きな強みと言えます。
また、日本国内においてもおよそ2,000社で導入されているとみられており、安心感・信頼性という面で優れていると言えるでしょう。世界全体で見ると、SAP社の各種ソリューションの利用企業数は約44万社にのぼるとされており、ERP市場において圧倒的な導入実績を持つ製品であることがうかがえます。
(参照:SAP とは? | 定義と意義(SAP公式))
標準機能の充実度
標準機能が充実している点もSAP ERPの特徴です。
SAP ERPは、各業務領域の機能群を示す「モジュール」の組み合わせで構成されます。
SAP ERPに備わっている主なモジュールとして、以下を挙げることができます。
- 財務会計(FI:Financial Accounting)モジュール
- 管理会計(CO:Controlling)モジュール
- 販売管理(SD:Sales and Distribution)モジュール
- 生産管理(PP:Production Planning and Control)モジュール
- 品質管理(QM:Quality Management)モジュール
- 人事管理(HR:Human Resources)モジュール
- 固定資産管理(FI-AA:Fixed Assets Accounting)モジュール
- 在庫購買管理(MM:Materials Management)モジュール
- プラント保全(PM:Plant Maintenance)モジュール
モジュール単位でパラメータ設定やカスタマイズを行うことができ、自社の業務内容に合わせて構築することが可能です。
また、SAP社ではSAP ERPの業務領域を補う個別業務アプリケーションも提供しており、幅広い業務領域の効率化を図ることができます。
企業規模や利用環境に応じて選択可能
SAP社が提供するERPパッケージは、大きく以下4種類が存在します。
- SAP ERP Central Component(ECC)
- SAP S/4HANA
- SAP Business ByDesign
- SAP Business One
主に大企業で10年以上にわたって利用されているオンプレミス型ERP「SAP ERP Central Component(ECC)」、ECCの後継製品でありオンプレミス・クラウドで提供されている「SAP S/4HANA」、中小企業〜中堅企業向けの「SAP Business ByDesign」、スタートアップ企業〜中小企業向けの「SAP Business One」のように、企業規模や利用環境に応じて製品を選べる点もSAP ERPの利点と言えるでしょう。
SAP ERPを導入するメリット
次は、SAP ERPを導入することのメリットについて確認していきましょう。
SAP ERPを導入するメリット
- 業務プロセスの標準化
- データ処理・連携の効率化
- 内部統制の強化
- グローバルビジネスにも有用
業務プロセスの標準化
SAP ERPを導入するメリットとして、業務プロセスの標準化を挙げることができます。
先述の通り、SAP ERPは各部門で行われている業務領域を1つのパッケージに集約したシステムです。
そのため、部門ごとに行われていた業務プロセスをSAP ERP上で一元管理することができ、全社的に業務プロセスを標準化することが可能です。
データ処理・連携の効率化
データ処理・連携の効率化という面でも、SAP ERPの導入は有効です。
経理部門で管理会計システム、財務部門で財務会計システム、営業部門で販売管理システム、人事部門で人事・給与システム、といった具合に各部門で基幹システムを運用している場合、他の部門にデータを引き継ぐ際にタイムロスが生じてしまいます。
場合によっては、各基幹システムの情報を書面に出力して、別の基幹システムに手入力してデータを引き継いでいるというケースもあるかもしれません。
SAP ERPであれば、各部門で扱うデータを一元管理することができ、部門をまたがるデータ連携・処理も効率的に行うことができるでしょう。
内部統制の強化
SAP ERPの導入は、内部統制の強化にも効果が期待できます。
各業務領域で行っている作業がシステムに記録され、部門を横断して作業履歴を一元管理することが可能になります。
そのため、不正なデータ入力や改ざんなどの抑止につながり、万が一不正行為が行われた場合でも速やかに究明することができるでしょう。
グローバルビジネスにも有用
SAP ERPは、世界中の数多くの企業で採用されているシステムであり、グローバルスタンダードな業務体制の構築に適しています。
「IFRS(国際会計基準/国際財務報告基準)」にも対応しているので、海外企業との取引が多い場合や、海外に拠点を展開している場合にも安心して利用できるでしょう。
SAP ERPのデメリット・注意点
SAP ERP導入には多くのメリットがある一方、デメリットや注意点も存在します。
次は、SAP ERP導入のデメリット・注意点を見ていきましょう。
導入コストが高い
SAP ERPのデメリットとして、導入コストの高さを挙げることができます。
SAP ERPは高度な機能が充実している一方で、導入費用は高額です。とくにオンプレミス版の場合、ライセンス料金やサーバー費用、システム構築や開発コストが必要になります。クラウド版においても、オンプレミス版ほどではありませんが、それでも高額の初期費用が発生します。
目安として、大企業向けのオンプレミス型SAP ERPの場合、ライセンス料・システム構築費用などを含めると数千万円規模の投資となるケースも珍しくありません。一方で、中小企業向けの「SAP Business One」など比較的リーズナブルなモデルも用意されているため、自社の規模に合った製品を選ぶことでコストを抑えることも可能です。
システム理解が不可欠
SAP ERPは機能や設定が複雑なため、使いこなすには相応の知識とシステム理解が求められます。
そのため、SAP運用に精通する担当者を社内で確保・育成するか、外部ベンダーに開発・運用のサポートを依頼することになります。
独自言語「ABAP」の習得が必要になる場合がある
SAP ERPの開発・カスタマイズには、SAP社が独自に開発したプログラミング言語「ABAP(エービーエーピー)」の知識が必要になる場面があります。
一般的なプログラミング言語とは異なる独自言語であるため、社内にABAPを扱える人材がいない場合は、外部ベンダーへの委託や、ABAP人材の採用・育成が必要になります。近年はSAPコンサルタント・エンジニアの需要が高まっており、人材確保自体が課題になりやすい点にも注意が必要です。
SAP版「2025年の崖(2025年問題)」や「2027年問題」とは?
多くのメリットが期待できるSAPですが、懸念事項も存在します。
それが、SAP版「2025年の崖(2025年問題)」や「2027年問題」と呼ばれる問題です。
「2025年の崖」とは?
そもそも「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」のなかで提唱されたシナリオです。
このシナリオは、2025年までに複雑化・ブラックボックス化した既存システムから脱却できない場合、DXの推進がままならないだけでなく、2025年以降に多くの事業損失が生じてしまうというものです。
(参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省))
以下の記事では、DXの必要性や2025年の崖について詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
ユーザーが懸念するSAP版「2025年の崖(2025年問題)」や「2027年問題」とは?
では、SAP版「2025年の崖(2025年問題)」や「2027年問題」とはどういったものなのでしょうか。
これは、SAP ERPのなかでも主力製品として普及している「SAP ERP Central Component(ECC)」のサポート期限が2025年末に設定されていたことに端を発しています。
「SAP ERP Central Component(ECC)」は世界中で多くの企業に導入されており、導入企業にとって業務への影響や代替システムに移行(リプレイス)するための負荷は小さくないと言えるでしょう。
この2025年末のサポート期限終了はSAP版「2025年の崖」や「2025年問題」と呼ばれ、SAPユーザーを中心に注目を集めることとなりました。
その後、保守サポート期限を2年間延長して2027年末にすることがSAP社によって発表され、「2027年問題」として導入企業はサポート期限終了後の対応について選択を迫られている状況です。
なお、延長対象となるのは「エンハンスメントパッケージ(EHP)6以降が適用されたSAP ERP 6.0」に限られ、それ以前のバージョンを利用している場合は、延長の対象外となる点にも注意が必要です。自社の利用バージョンがどちらに該当するかは、早めに確認しておくとよいでしょう。
対応を先送りするとどうなる?考えられるリスク
「2027年問題」への対応を先送りした場合、具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか。主なリスクとして、以下の3点を挙げることができます。
- セキュリティパッチ・修正プログラムが提供されなくなる
- 法改正・税制改正への対応ができなくなる
- 新機能の追加が停止し、DX推進が遅れる
サポート終了後は、セキュリティ上の脆弱性が発見されても修正プログラムが提供されなくなるため、サイバー攻撃のリスクが高まります。また、インボイス制度や電子帳簿保存法をはじめとする法改正・税制改正にシステム側が対応できなくなることで、コンプライアンス上のリスクも生じます。
さらに、新機能の追加が停止することで、自社のDX推進やビジネス環境の変化への対応が遅れ、結果として競争力の低下につながるおそれもあります。
SAPの「2027年問題」への対応策と移行を成功させるポイント
ここからは、「2027年問題」への具体的な対応策と、対応を成功させるためのポイントを見ていきましょう。
SAPの「2027年問題」への対応策
現在、「SAP ERP Central Component(ECC)」を導入している企業が検討すべき対応策としては、以下の3つを挙げることができます。
- 「SAP S/4HANA」への移行(リプレイス)
- 他のERP製品への移行(リプレイス)
- 「SAP ERP Central Component(ECC)」の継続利用
まず1つ目が、SAP社が提供する「SAP S/4HANA」への移行(リプレイス)です。
SAP社が推奨する対応策であり、「SAP ERP Central Component(ECC)」の後継製品であることからも、優先的に検討するべき選択肢と言えるでしょう。
2つ目は、他のERP製品への移行(リプレイス)です。
SAP ERPは、一般的なERP製品と比較すると高額な部類だとされています。
現在、SAP以外にも数多くのERP製品が存在しており、保守サポートの終了を機に他のERP製品に乗り換えるのも選択肢のひとつとなりえるでしょう。
3つ目は、「SAP ERP Central Component(ECC)」の継続利用です。
SAP ERP 6.0でエンハンスメントパッケージ(EHP)6以上を利用している場合に限り、2030年末までの保守延長サポートを受けることが可能です。ただし、保守延長料金が発生することに加え、延長期限が2030年末までなので、根本解決にはならないため慎重な判断が必要です。
なお、「SAP S/4HANA」への移行を選択する場合、移行方式にはいくつかの種類があります。既存のデータ・カスタマイズを引き継ぐ「ブラウンフィールド(コンバージョン)」、業務プロセスを見直しながらゼロから再構築する「グリーンフィールド(リビルド)」、必要なデータのみを選んで移行する「選択データ移行」の3方式が代表的で、自社の状況に応じてどの方式を選ぶかが移行の成否を左右します。
2027年末という期限に対し、移行プロジェクトには一般的に数ヶ月〜1年以上の期間を要するとされています。着手が遅れるほど選択肢や交渉の余地が狭まるため、方針決定は早めに進めることが望ましいでしょう。
移行を成功に導くカギは「Fit to Standard」
先述した通り、「2027年問題」への対応策には3つのアプローチがありますが、なかでも有力な選択肢となるのが「SAP S/4HANA」への移行です。
そして、SAP S/4HANAへの移行を成功に導くカギが「Fit to Standard(フィットトゥスタンダード)」です。
Fit to Standardとは、システム導入に際してカスタマイズやアドオン開発を極力行わず、システムの標準機能や仕様に合わせて業務の進め方を変更・標準化するアプローチのことで、SAP S/4HANAへの移行においてFit to Standardが推奨されています。
Fit to Standardを実践することで、不要なカスタマイズによるコストを押さえつつ、スピーディーにSAP S/4HANAへの移行を進めることができるでしょう。
SAP移行とあわせて、周辺システムの見直し・刷新も検討する
SAP S/4HANAへの移行は、基幹システムそのものを入れ替えるだけの取り組みにとどまりません。移行プロジェクトにあわせて、SAP ERPの周辺で稼働している業務システム・ツールについても、見直しや刷新を検討することをおすすめします。
先述の通り、Fit to Standardを推進する場合、SAP ERP本体へのカスタマイズやアドオン開発は極力行わない方針が基本となります。その結果、これまでSAP ERP側の個別開発で対応していた申請・承認業務などの周辺業務は、SAP ERPの外側で担う仕組みをあらためて用意する必要が出てきます。
そのため、S/4HANAへの移行を機に、老朽化した周辺システムの棚卸しや、業務プロセスに合った新たな業務システムの導入もあわせて検討することで、移行後の運用をよりスムーズなものにできるでしょう。
そこで有効な選択肢のひとつとなるのが、次に紹介する「ワークフローシステム」です。
SAPとワークフローシステムの連携で業務効率化が加速!
ここまでは、SAP ERPの概要やメリット、懸念点について解説してきました。
次は、すでにSAP ERPを導入している企業や、「2027年問題」への対応としてSAP S/4HANAへの移行を検討している企業におすすめのITシステムとして、ワークフローシステムを紹介します。
ワークフローシステムとは、社内で行われる各種申請や稟議などの業務手続きを電子化するシステムのことで、SAP ERPなどのERP製品と連携することでさらなる業務効率化を図ることができます。
次は、SAP ERPなどのERPシステムとワークフローシステムの連携が業務効率化に役立つ理由を見ていきましょう。
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煩雑な業務手続きを効率化
ワークフローシステムを活用することで、SAP ERPにデータを入力する前段階の業務を効率化することが可能です。
たとえば、営業部門で新たな取引を開始する際には、与信審査で承認を得てから販売管理モジュールの顧客マスタにデータ登録するというケースがあるでしょう。
また、商品マスタを登録する場面においても、現場の判断で勝手に登録するのではなく、然るべき承認を経てからマスタ登録が行われます。
ワークフローシステムを活用することで、システムに各種データを入力する前の申請・承認作業を電子化することができ、ワークフローシステムで処理したデータをSAP ERPに自動で転記するような運用も可能です。
他システムとの連携で業務領域を拡張可能
ワークフローシステムを基盤として、効率化・電子化する業務領域を拡張していくことが可能で、Fit to Standardの推進にも有効です。
先述した通り、SAP S/4HANAへの移行においてFit to Standardが推奨されています。Fit to Standardによる導入プロジェクトでは、SAP ERPでカバーできない業務領域を補うため、個別にITシステム・ツールを導入するケースが考えられます。
とくに、基幹業務にフォーカスしたSAP ERPでは、申請・承認業務などの周辺業務において機能が不足してしまうケースが多々あります。
ワークフローシステムであれば、SAP ERPでは対応が難しい申請・承認業務を柔軟にカバーすることができるだけでなく、システム連携によってSAPと他システムの業務領域をシームレスにつなげることが可能です。
導入するITシステム・ツールが増えるほど、運用が煩雑になってしまいがちですが、ワークフローシステムを導入していれば、SAP ERPや他システムで行われる各種業務手続きを集約・一元化し、幅広い業務領域を効率化・電子化していくことができるでしょう。
SAP連携に強いワークフローシステム「AgileWorks」
おすすめポイント
・日本型の複雑な業務フローに対応
・スムーズな連携を実現するWebAPIを導入
・同時接続数に応じた料金体系
・組織改編・業務変更に強い
SAP×ワークフローシステムの連携事例
最後に、SAPなどのERP製品とワークフローシステムの連携で業務効率化を実現した事例をご紹介します。
半導体を中心とした電子部品やコンピュータ・ネットワーク機器の販売を手掛ける東京エレクトロン デバイス株式会社は、ワークフローシステムの導入により承認・決裁業務の効率化に成功したほか、SAPとの連携を実現しています。
同社では、2006年にワークフローシステムを導入して承認・決裁業務をシステム上で処理していたものの、複雑な承認フローに対応するのが難しく、運用面でも負担が増加していました。
また、すでに導入していた人事管理システムや、導入予定であった基幹業務システムとの連携を見据え、ワークフローシステムのリプレイスを決定。
帳票設計や承認フローの設計が容易でメンテナンスもしやすく、なおかつ基幹業務システムと柔軟に連携できる点などが決め手となり、オンプレミス型ワークフローシステム「AgileWorks」の導入に至りました。
「AgileWorks」の導入後、承認・決裁に関連する業務全体の効率化に成功した同社ですが、さらなる業務最適化を図り、SAPとの連携に着手。
SAP上で承認が必要な条件が発生すると、共通データベースを介して「AgileWorks」にデータが送られ、「AgileWorks」上で承認作業を実行して承認結果をSAPに戻す、という仕組みを構築しました。
SAPから送られてくるデータに応じて回付ルートが自動判別されるので、利用者が迷わずに作業を進行できる環境となっています。
SAPと連携するワークフローの効率化【東京エレクトロンデバイス様ご登壇】
こんな人におすすめ
・SAPをご利用中の方や導入を検討している方
・ワークフローシステムの導入・リプレイス検討中の方
・SAPとワークフローシステムの連携事例を知りたい方
よくある質問(FAQ)
SAPに関して読者が抱きやすい疑問について、Q&A形式で回答します。
Q. SAPとERPは同じ意味ですか?
A. 厳密には異なります。ERPは「統合基幹業務システム」という概念・システムの種類を指し、SAPはそのERP製品の一つのブランド・製品名です。ERPという枠組みのなかにSAPという具体的な製品がある、という関係性で理解するとよいでしょう。
Q. SAP ERP Central Component(ECC)とSAP S/4HANAの違いは何ですか?
A. 「SAP ERP Central Component(ECC)」は主に大企業で10年以上利用されてきたオンプレミス型ERPで、「SAP S/4HANA」はその後継製品です。S/4HANAはオンプレミス・クラウドの両方で提供されており、インメモリーデータベース技術によって大量データの高速処理やAI・機械学習との連携にも対応しやすくなっています。
Q. 2027年問題に対応しないと、具体的にどうなりますか?
A. サポート終了後は、セキュリティパッチが提供されなくなるためサイバー攻撃のリスクが高まるほか、法改正・税制改正へのシステム対応ができなくなる可能性があります。また、新機能の追加が停止することで、自社のDX推進が遅れる要因にもなりえます。
Q. SAP導入にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 大企業向けのオンプレミス型SAP ERPの場合、ライセンス費用やシステム構築費用を含めて数千万円規模の投資となるケースもあります。一方で、中小企業向けの「SAP Business One」など、比較的リーズナブルなモデルも用意されています。
Q. 中小企業でもSAPを導入できますか?
A. 可能です。SAP社は企業規模に応じて「SAP Business ByDesign」(中小企業〜中堅企業向け)や「SAP Business One」(スタートアップ企業〜中小企業向け)といった製品を提供しており、自社の規模に合った選択肢があります。
まとめ
今回は、SAPの基礎知識や導入のメリット・懸念点などを解説しました。
SAPを含むERP製品の導入メリットを最大限に引き出すには、ワークフローシステムの活用が効果的です。
これからSAPなどのERP製品を導入しようと考えている方は、ぜひワークフローシステムの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
また、すでにSAPを導入している方、あるいはSAPから他のERPシステムにリプレイスしようと考えている方は、ワークフローシステムの導入・見直しもあわせて行うことをおすすめします。
とくに2027年末のサポート終了まで残された時間は限られています。「2027年問題」への対応方針がまだ定まっていない場合は、S/4HANAへの移行と合わせて、ワークフローシステムによる周辺業務の効率化も早めに検討を始めることをおすすめします。
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SAPと連携するワークフローの効率化【東京エレクトロンデバイス様ご登壇】
東京エレクトロンデバイス様にご登壇いただき、オンプレミス型ワークフローシステム「AgileWorks」の導入経緯から運用上の工夫、実践されている SAPとの連携による活用事例をご紹介いただきます。
こんな人におすすめ
・SAPをご利用中の方や導入を検討している方
・ワークフローシステムの導入・リプレイス検討中の方
・SAPとワークフローシステムの連携事例を知りたい方

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。



