これからの働き方を考える

SAPとは?2025年問題への対応やシステム連携による運用効率化の事例を紹介!

SAPとは?2025年問題への対応やシステム連携による運用効率化の事例を紹介!

現在、企業の業務効率化に役立つITシステム・サービスは数多く存在します。

ITシステム・サービスに関連する話題のなかで、「SAP(エス・エー・ピー)」というキーワードを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし一方で、
「よく聞くけれど意味はわからない」
「SAPとERPと同じ?違いはある?」
「SAPを導入するメリットは?」

といった印象や疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、SAPの意味やERPとの違い・関係性、導入のメリットや課題について分かりやすく解説していきます。

SAPの運用を効率化する方法も紹介しているので、すでにSAPを導入している方や、SAPやERPの導入を検討している方は参考にしてみてください。

【セミナー録画配信(無料)】

SAPと連携するワークフローの効率化~東京エレクトロンデバイス様 事例登壇~

東京エレクトロンデバイス様に登壇していただき、オンプレミス型ワークフローシステム「AgileWorks」の導入経緯から運用上の工夫、実践されている SAPとの連携による活用事例をご紹介いただきます。

こんな人におすすめ

・SAPをご利用中の方や導入を検討している方
・ワークフローシステムの新規導入・リプレイスを検討している方
・SAPとワークフローシステムの連携事例について知りたい方

セミナー録画配信を
視聴する(無料)

OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。

SAPの基礎知識

SAPの基礎知識

まずは、SAPの基礎知識として以下を確認していきましょう。

  • SAPとは?
  • ERPとは?
  • SAP ERPの特徴

SAPとは?

SAPとは、ドイツ中西部のヴァルドルフに本社を置くソフトウェア開発企業であるSAP社、もしくは同社が提供しているERP製品のことを指します。

SAP社のERP製品は世界中で数多くの企業に採用されており、企業名というよりもERP製品を指して「SAP」と呼ぶケースが一般的です。

なお、この記事では企業としてのSAPを示す場合は「SAP社」、SAP社が提供するERP製品を示す場合は「SAP」または「SAP ERP」と表記します。

ちなみに、SAPの読み方は「サップ」ではなく「エス・エー・ピー」ですので注意しましょう。

ERPとは?

SAPについて理解を深めるには、ERPの概要を知っておく必要があります。

ERPとは、「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字を取った用語で、「統合基幹業務システム」とも呼ばれます。

販売管理システムや会計システム、人事・給与システムなどの基幹システムの機能を集約・統合し、1つのパッケージにしたものがERPだとイメージするとよいでしょう。

SAPもまた、ERPと呼ばれるシステムのひとつであり、企業が保有する資源を一元管理して経営の全体最適化を図るうえで有効な選択肢となります。

基幹システムについてもっと詳しく

基幹システムとは?ERPとの違いやメリット、導入のポイントを解説

SAP ERPの特徴

次に、SAP ERPの特徴について見ていきましょう。

現在、各社からさまざまなERP製品が提供されていますが、SAP ERPの主な特徴として以下の3点を挙げることができます。

  • 豊富な導入実績
  • 標準機能の充実度
  • 企業規模や利用環境に応じて選択可能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

豊富な導入実績

SAP ERPの特徴として、豊富な導入実績を挙げることができます。

SAP社が本社を構えるドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国だけでなく、世界中で数多くの企業でSAP ERPは導入されています。

業種・業態を問わず、さまざまな国・地域の企業で導入されていることから、各国の法制度や独自の商習慣にも対応できる点は大きな強みと言えます。

また、日本国内においてもおよそ2,000社で導入されているとみられており、安心感・信頼性という面で優れていると言えるでしょう。

標準機能の充実度

標準機能が充実している点もSAP ERPの特徴です。

SAP ERPは、各業務領域の機能群を示す「モジュール」の組み合わせで構成されます。

SAP ERPに備わっている主なモジュールとして、以下を挙げることができます。

  • 財務会計(FI:Financial Accounting)モジュール
  • 管理会計(CO:Controlling)モジュール
  • 販売管理(SD:Sales and Distribution)モジュール
  • 生産管理(PP:Production Planning and Control)モジュール
  • 品質管理(QM:Quality Management)モジュール
  • 人事管理(HR:Human Resources)モジュール

モジュール単位でパラメータ設定やカスタマイズを行うことができ、自社の業務内容に合わせて構築することが可能です。

また、SAP社ではSAP ERPの業務領域を補う個別業務アプリケーションも提供しており、幅広い業務領域の効率化を図ることができます。

企業規模や利用環境に応じて選択可能

SAP社が提供するERPパッケージは、大きく以下4種類が存在します。

  • SAP ERP Central Component(ECC)
  • SAP S/4HANA
  • SAP Business ByDesign
  • SAP Business One

主に大企業で10年以上にわたって利用されているオンプレミス型ERP「SAP ERP Central Component(ECC)」、ECCの後継製品でありオンプレミス・クラウドで提供されている「SAP S/4HANA」、中小企業〜中堅企業向けの「SAP Business ByDesign」、スタートアップ企業〜中小企業向けの「SAP Business One」のように、企業規模や利用環境に応じて製品を選べる点もSAP ERPの利点と言えるでしょう。

SAP ERPを導入するメリット

SAP ERPを導入するメリット

次は、SAP ERPを導入することのメリットについて確認していきましょう。

SAP ERPを導入するメリット

  • 業務プロセスの標準化
  • データ処理・連携の効率化
  • 内部統制の強化

業務プロセスの標準化

SAP ERPを導入するメリットとして、業務プロセスの標準化を挙げることができます。

先述の通り、SAP ERPは各部門で行われている業務領域を1つのパッケージに集約したシステムです。

そのため、部門ごとに行われていた業務プロセスをSAP ERP上で一元管理することができ、全社的に業務プロセスを標準化することが可能です。

データ処理・連携の効率化

データ処理・連携の効率化という面でも、SAP ERPの導入は有効です。

経理部門で管理会計システム、財務部門で財務会計システム、営業部門で販売管理システム、人事部門で人事・給与システム、といった具合に各部門で基幹システムを運用している場合、他の部門にデータを引き継ぐ際にタイムロスが生じてしまいます。

場合によっては、各基幹システムの情報を書面に出力して、別の基幹システムに手入力してデータを引き継いでいるというケースもあるかもしれません。

SAP ERPであれば、各部門で扱うデータを一元管理することができ、部門をまたがるデータ連携・処理も効率的に行うことができるでしょう。

内部統制の強化

SAP ERPの導入は、内部統制の強化にも効果が期待できます。

各業務領域で行っている作業がシステムに記録され、部門を横断して作業履歴を一元管理することが可能になります。

そのため、不正なデータ入力や改ざんなどの抑止につながり、万が一不正行為が行われた場合でも速やかに究明することができるでしょう。

SAP版「2025年の崖」や「2025年問題(2027年問題)」とは?

SAP版2025年問題とは

多くのメリットが期待できるSAPですが、懸念事項も存在します。

それが、SAP版「2025年の崖」や「2025年問題(2027年問題)」と呼ばれる問題です。

「2025年の崖」とは?

そもそも「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」のなかで提唱されたシナリオです。

このシナリオは、2025年までに複雑化・ブラックボックス化した既存システムから脱却できない場合、DXの推進がままならないだけでなく、2025年以降に多くの事業損失が生じてしまうというものです。
(参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)

以下の記事では、DXの必要性や2025年の崖について詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

DXや2025年の崖について詳しく!

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?デジタル化との違いや重要性、事例まで徹底解説

SAPユーザーが懸念する「2025年の崖」や「2025年問題(2027年問題)」とは?

では、SAP版「2025年の崖」や「2025年問題(2027年問題)」とはどういったものなのでしょうか。

これは、SAP ERPのなかでも主力製品として普及している「SAP ERP Central Component(ECC)」のサポート期限が2025年末に設定されていたことに端を発しています。

「SAP ERP Central Component(ECC)」は世界中で多くの企業に導入されており、導入企業にとって業務への影響や代替システムに移行(リプレイス)するための負荷は小さくないと言えるでしょう。

この2025年末のサポート期限終了はSAP版「2025年の崖」や「2025年問題」と呼ばれ、SAPユーザーを中心に注目を集めることとなりました。

その後、保守サポート期限を2年間延長して2027年末にすることがSAP社によって発表され、「2027年問題」として導入企業はサポート期限終了後の対応について選択を迫られている状況です。

SAPの「2025年問題(2027年問題)」への対応策

現在、「SAP ERP Central Component(ECC)」を導入している企業が検討すべき対応策としては、以下の3つを挙げることができます。

  • 「SAP S/4HANA」への移行(リプレイス)
  • 他のERP製品への移行(リプレイス)
  • 「SAP ERP Central Component(ECC)」の継続利用

まず1つ目が、SAP社が提供する「SAP S/4HANA」への移行(リプレイス)です。

SAP社が推奨する対応策であり、「SAP ERP Central Component(ECC)」の後継製品であることからも、優先的に検討するべき選択肢と言えるでしょう。

2つ目は、他のERP製品への移行(リプレイス)です。

SAP ERPは、一般的なERP製品と比較すると高額な部類だとされています。

現在、SAP以外にも数多くのERP製品が存在しており、保守サポートの終了を機に他のERP製品に乗り換えるのも選択肢のひとつとなりえるでしょう。

3つ目は、「SAP ERP Central Component(ECC)」の継続利用です。

SAP ERP6 EHP(Enhancement Package) 6以上を利用している場合に限り、2030年末までの保守延長サポートを受けることが可能です。ただし、保守延長料金が発生することに加え、延長期限が2030年末までなので、根本解決にはならないため慎重な判断が必要です。

SAPとワークフローシステムの連携で業務効率化が加速!

ここまでは、SAP ERPの概要やメリット、懸念点について解説してきました。

次は、すでにSAP ERPを導入している企業や導入を検討している企業におすすめのITシステムとして、ワークフローシステムを紹介します。

ワークフローシステムとは、社内で行われる各種申請や稟議などの業務手続きを電子化するシステムのことで、SAP ERPなどのERP製品と連携することでさらなる業務効率化を図ることができます。

次は、SAP ERPなどのERPシステムとワークフローシステムの連携が業務効率化に役立つ理由を見ていきましょう。


サクッと学ぼう!
『1分でわかるワークフローシステム』
無料ダウンロードはこちら

煩雑な業務手続きを効率化

ワークフローシステムを活用することで、SAP ERPにデータを入力する前段階の業務を効率化することが可能です。

たとえば、営業部門で新たな取引を開始する際には、与信審査で承認を得てから販売管理モジュールの顧客マスタにデータ登録するというケースがあるでしょう。

また、商品マスタを登録する場面においても、現場の判断で勝手に登録するのではなく、然るべき承認を経てからマスタ登録が行われます。

ワークフローシステムを活用することで、システムに各種データを入力する前の申請・承認作業を電子化することができ、ワークフローシステムで処理したデータをSAP ERPに自動で転記するような運用も可能です。

他システムとの連携で業務領域を拡張可能

ワークフローシステムを基盤として、効率化・電子化する業務領域を拡張していくことも可能です。

SAP ERPでカバーできない業務領域を補うため、個別にITシステム・ツールを導入するというケースもあるでしょう。

しかし、導入しているITシステム・ツールが増えると、業務手続きも各システムに分散してしまい、運用が煩雑になってしまいがちです。

ワークフローシステムを導入していれば、SAP ERPや他システムで行われる各種業務手続きをワークフローシステムに集約・一元化することができ、作業の煩雑化を防ぎつつ効率化・電子化する業務領域を拡張していくことができるでしょう。

SAP×ワークフローシステムの連携事例

最後に、SAPなどのERP製品とワークフローシステムの連携で業務効率化を実現した事例をご紹介します。

半導体を中心とした電子部品やコンピュータ・ネットワーク機器の販売を手掛ける東京エレクトロン デバイス株式会社は、ワークフローシステムの導入により承認・決裁業務の効率化に成功したほか、SAPとの連携を実現しています。

同社では、2006年にワークフローシステムを導入して承認・決裁業務をシステム上で処理していたものの、複雑な承認フローに対応するのが難しく、運用面でも負担が増加していました。

また、すでに導入していた人事管理システムや、導入予定であった基幹業務システムとの連携を見据え、ワークフローシステムのリプレイスを決定。

帳票設計や承認フローの設計が容易でメンテナンスもしやすく、なおかつ基幹業務システムと柔軟に連携できる点などが決め手となり、オンプレミス型ワークフローシステム「AgileWorks」の導入に至りました。

「AgileWorks」の導入後、承認・決裁に関連する業務全体の効率化に成功した同社ですが、さらなる業務最適化を図り、SAPとの連携に着手。

SAP上で承認が必要な条件が発生すると、共通データベースを介して「AgileWorks」にデータが送られ、「AgileWorks」上で承認作業を実行して承認結果をSAPに戻す、という仕組みを構築しました。

SAPから送られてくるデータに応じて回付ルートが自動判別されるので、利用者が迷わずに作業を進行できる環境となっています。

\SAP×ワークフローについて動画で学ぼう/
SAPと連携するワークフローの効率化~東京エレクトロン デバイス様 事例登壇~

SAP連携に強いワークフローシステム

AgileWorks製品カタログ

ワークフローシステムAgileWorksの機能詳細や特長をご紹介します。

おすすめポイント

・日本型の複雑な業務フローに対応
・スムーズな連携を実現するWebAPIを導入
・同時接続数に応じた料金体系
・組織改編・業務変更に強い

今すぐカタログを
無料ダウンロード

まとめ

今回は、SAPの基礎知識や導入のメリット・懸念点などを解説しました。

SAPを含むERP製品の導入メリットを最大限に引き出すには、ワークフローシステムの活用が効果的です。

これからSAPなどのERP製品を導入しようと考えている方は、ぜひワークフローシステムの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

また、すでにSAPを導入している方、あるいはSAPから他のERPシステムにリプレイスしようと考えている方は、ワークフローシステムの導入・見直しもあわせて行うことをおすすめします。

もっと知りたい!
続けてお読みください

ワークフローシステムとの連携で相乗効果を生むシステム・ツール8選

【セミナー録画配信(無料)】

SAPと連携するワークフローの効率化~東京エレクトロンデバイス様 事例登壇~

東京エレクトロンデバイス様に登壇していただき、オンプレミス型ワークフローシステム「AgileWorks」の導入経緯から運用上の工夫、実践されている SAPとの連携による活用事例をご紹介いただきます。

こんな人におすすめ

・SAPをご利用中の方や導入を検討している方
・ワークフローシステムの新規導入・リプレイスを検討している方
・SAPとワークフローシステムの連携事例について知りたい方

セミナー録画配信を
視聴する(無料)
ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

紙のような感覚で、直感的に操作ができる
ATLED のワークフローシステム

AgileWorks

組織改編に柔軟に対応できる大企業向けワークフローシステム。他言語に対応。

X-point Cloud

社内の業務・書類手続きを電子化するクラウドワークフロー。1ユーザー月額500円から手軽に導入できます。