SDGsとは?企業が取り組むべき理由やメリット、事例をご紹介!
- 更新 -
近年、「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」というキーワードを耳にする機会が増えてきました。
しかし、
「そもそもSDGsって何?」
「企業がSDGsに取り組むメリットは?」
「SDGsの取り組みとして、何から始めればよいの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、SDGsの基礎知識として、意味やビジネスとの関係性、企業が取り組むメリットなどをわかりやすく解説。
SDGsの取り組みとしてワークフローシステムの導入が効果的な理由や成功事例もご紹介しています。
SDGsについて詳しく知りたい方や、SDGsの取り組み方を模索している方は、ぜひ参考にしてみてください。
これを読めばすべてわかる!
いちばんやさしいワークフローの教科書
ワークフローの基礎知識、導入で業務がどう変わるのかについて解説しています。
こんな人におすすめ
・ワークフローについて詳しく知りたい。
・ワークフローの導入効果を知りたい。
・上司を説得したい。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
SDGsとは?
SDGs(読み方:エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
なお、「持続可能な開発」は、「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に公表した報告書「Our Common Future」のなかで提唱した概念であり、
将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発
(引用元:持続可能な開発 | 国連広報センター)
と定義づけられています。
SDGsは、2015年9月に国連で開催された「持続可能な開発サミット」にて、加盟国193カ国の全会一致で採択された国際目標であり、「17のゴール(目標)」と「169個のターゲット(具体目標)」、「247(※)のインジゲーター(指標)」から構成されています。
(※)2021年8月時点で全247指標(重複を除くと231)
2016年から2030年の15年間で全17項目のゴールを達成し、「持続可能な社会」を実現することがSDGsの最終目標であり、地球上の「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」ことが誓われています。
SDGsで掲げられている17のゴール
- 目標1.貧困をなくそう
- 目標2.飢餓をゼロ
- 目標3.すべての人に健康と福祉を
- 目標4.質の高い教育をみんなに
- 目標5.ジェンダー平等を実現しよう
- 目標6.安全な水とトイレを世界中に
- 目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 目標8.働きがいも経済成長も
- 目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう
- 目標10.人や国の不平等をなくそう
- 目標11.住み続けられるまちづくりを
- 目標12.つくる責任 つかう責任
- 目標13.気候変動に具体的な対策を
- 目標14.海の豊かさを守ろう
- 目標15.陸の豊かさも守ろう
- 目標16.平和と公正をすべての人に
- 目標17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsはMDGsの後継目標
SDGsの前身にあたる国際目標「MDGs」についても触れておきましょう。
MDGs(読み方:エム・ディー・ジーズ)は、「Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)」の頭文字を取った略称で、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで採択されました。
2015年までに達成すべき「8つのゴール(目標)」と「21のターゲット(具体目標)」、「60のインジゲーター(指標)」から構成されており、15年間で一定の成果をあげました。
しかし一方で、国や地域、性別、経済状況などで達成状況に格差があり、依然として貧困などの問題に直面している人々がいる点が課題として残りました。
MDGsで残された課題を解消するとともに、持続可能な社会の実現を目指すための後継目標がSDGsなのです。
MDGsで掲げられた8つのゴール
- 目標1.極度の貧困と飢餓の撲滅
- 目標2.普遍的な初等教育の達成
- 目標3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
- 目標4.乳幼児死亡率の削減
- 目標5.妊産婦の健康の改善
- 目標6.HIV/エイズ、マラリア及びその他の疫病の万円防止
- 目標7.環境の持続可能性の確保
- 目標8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
SDGsとESGの違い
SDGsとしばしば混同されがちな用語に、「ESG」があります。
ESGは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(統治)」の頭文字を取った言葉で、ESGの取り組みは企業の持続的成長につながる重大要素とされています。
近年では、ESGの観点から企業を分析・評価して投資を行う「ESG投資」も注目を集めています。
- SDGsは持続可能な社会を目指すための国際目標
- ESGは主に企業の持続可能性を評価するための観点
という違いはあるものの、どちらも持続可能性(サステナビリティ)に関する用語であり、決して無関係なキーワードではありません。
企業がSDGsに積極的に取り組むことでESG観点でも評価が高まり、企業価値の向上につなげることができるでしょう。
SDGsとビジネスの関係性
SDGsはビジネスにおいても重要なキーワードとなりつつあります。
先述したMDGsは途上国の開発支援などの目標が中心であったため、企業による主体的な取り組みには至りませんでした。
しかし、SDGsは経済・環境・社会の3面から目標が構成されており、とくに経済に関する目標に関しては企業による主体的な取り組みなくして達成が困難です。
また、SDGsで掲げる目標が達成された場合、2030年までに年間12兆ドルの新たな市場機会が創出される可能性が国連開発計画(UNDP)によって示唆されるなど、SDGsへの取り組みは企業にとっても大きなビジネスチャンスであると言えます。
(参照:SDG Impact | United Nations Development Programme (UNDP))
日本国内においても、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が2017年11月に行動憲章を改訂し、「Society 5.0の実現を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成」の内容を盛り込んだことで、その重要性に注目して取り組みに着手する企業が増えつつあります。
このように、SDGsは行政や自治体だけに留まらず、ビジネスとも非常に深い関係があるのです。
企業がSDGsに取り組むメリットとは?
SDGsとビジネスの関係性についてはわかりましたが、企業がSDGsに取り組むことでどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
SDGsに取り組むメリット
- 企業イメージの向上
- 社会課題への対応
- 事業継続性の確保
- コスト削減
- 事業機会の創出
企業イメージの向上
企業がSDGsに取り組むメリットとして、企業イメージの向上を挙げることができるでしょう。
SDGsで掲げられている目標は、社会全体で取り組むべき地球規模の課題だと言えます。
そうした課題に率先して取り組む姿勢は、社会に対する責任を果たす企業としての評価につながり、企業イメージの向上にも寄与するでしょう。
また、企業イメージが向上することにより、従業員のモチベーション向上や、新たな人材の獲得といった効果が期待できます。
社会課題への対応
SDGsには、現代社会が抱える解消すべき課題が網羅されています。
SDGsの取り組みが社会課題への理解を深めるきっかけになり、消費者の隠れたニーズを発見する手掛かりになるかもしれません。
さらに、SDGsで掲げられている「ジェンダー平等」や「働きがいの向上」といった課題に取り組むことで、人材確保や離職防止といった面でも効果が期待できるでしょう。これは、働き方改革で掲げられている「多様で柔軟な働き方の実現」にも通ずる取り組みだと言えます。
事業継続性の確保
事業継続性の確保という面でも、SDGsの取り組みは重要です。
SDGsに取り組まない企業は、社会が抱える課題に無関心な企業と捉えられかねず、将来的にサプライチェーンから外される、あるいはステークホルダーや地域からの支援を得ることができないといったリスクが高まります。
反対に、SDGsに取り組むことで、ステークホルダーや地域からの支持を得やすくなるだけでなく、ESG投資が注目されていることから資金調達の面でも有利になるでしょう。
コスト削減
SDGsの一環として省資源・省エネルギーに取り組むことで、環境問題への社会的責任を果たすことにつながるだけでなく、コストの削減にも効果が期待できます。
たとえば、文書のペーパーレス化が進むことで、紙の印刷や輸送コスト、紙文書の管理にかかっていた人的コストの削減にもつながるでしょう。
また、ペーパーレス化によりテレワークが普及すれば、オフィスの電気使用量の節約、場合によってはオフィス縮小によって設備コストも削減できるかもしれません。
事業機会の創出
SDGsに取り組むことで、新たな事業機会の創出につながる可能性も高まります。
たとえば、SDGsの取り組みのなかで新たな取引先や事業パートナー、あるいは行政や自治体、教育機関などとつながり、新たなビジネスアイデアやイノベーションが生まれる可能性は大いにあります。
また、世界共通のキーワードとも言えるSDGsへの取り組みをきっかけに、グローバル市場への進出や、海外企業との協業といったチャンスを見出せるかもしれません。
国内企業におけるSDGsへの取り組み状況
2021年3月に内閣府地方創生推進事務局が公表した「令和2年度地方創生SDGsに関する上場・中小企業及び海外都市調査報告書」では、国内の上場企業および中小企業におけるSDGsの認知・取り組み状況に関する調査結果が報告されています。
次は、「令和2年度地方創生SDGsに関する上場・中小企業及び海外都市調査報告書」をもとに、国内企業におけるSDGsへの取り組み状況を確認していきましょう。
(参照:令和2年度地方創生SDGsに関する上場・中小企業及び海外都市調査報告書|内閣府地方創生推進事務局)
上場企業の94%がSDGsを認知
この調査では、上場企業におけるSDGsの認知率は94%にのぼることが示されています。そして、SDGsを認知している企業のうち、SDGs達成に向けた取り組みを行っている企業の割合は68%、経営理念・方針がSDGsの理念に沿っていると回答した企業は75%であったと示されています。
このことから、上場企業にとってSDGsは普遍的な企業活動の一部になりつつあることがうかがえます。
中小企業ではSDGsの認知率が42%に留まる
一方の中小企業においては、上場企業と比較してSDGsの認知・取り組みが進んでいないことが示されています。
上場企業におけるSDGsの認知率が94%であったのに対し、中小企業におけるSDGsの認知率は42%。また、SDGsを認知する中小企業のうち、SDGsの達成に向けた取り組みを行っているのは41%となっています。
SDGsの印象に関するアンケートでは、取り組みの必要は理解するものの、「何から取り組むべきかわからない」「取り組む余裕がない」といった回答が挙げられています。
企業ができるSDGsの身近な取り組み
前述のアンケートで、「何から取り組むべきかわからない」「取り組む余裕がない」といったイメージが挙げられたSDGsですが、企業がすぐにはじめられる身近な取り組みもいくつかあります。
環境に配慮したオフィス用品を使う
再生紙を使用したコピー用紙や間伐材でできたオフィス什器など。普段使用しているオフィス用品やオフィス家具を環境に配慮されたものに見直すことで、資源使用量の削減やリサイクル率の向上につながります。
ペーパーレス化
会社では、会議資料をはじめ、各種申請書や帳簿類、取引先との契約書など様々な紙が存在します。そのため、オフィスでの紙の使用をなくすことで、環境に配慮した用紙に置き換えるよりも、さらに資源使用料削減の効果を得ることが期待できます。
また、会社文書や取引先とのやりとりに関連する書類がペーパーレス化されることにより、紙の移動が不要になるため、社内便等で排出されていたCO2を削減することができます。
会議資料をペーパーレス化したい 帳簿類をペーパーレス化したい 申請書類をペーパーレス化したい
働き方改革
リモートワークやワーケーションをはじめとした、それぞれの事情にあった多様な働き方を実現することにより、従業員のウェルビーイングを高めることができます。また、DXを推進し業務を効率化することにより、従業員それぞれが本来注力すべき業務に時間を割くことできるようになり、イノベーションの基盤が整います。
節電
社員が不在のときは電気を消す、休憩中はPCをスリープにするなどはもちろん、リモートワークの導入により、従業員の出社を減らすことで、エネルギー資源の使用量だけではなく企業のコスト削減にもつながります。
SDGs推進最初の1歩はワークフローシステムから
SDGsに対して「何から取り組むべきかわからない」「取り組む余裕がない」といった印象を抱いている企業は、SDGsの取り組みの一環としてワークフローシステムの導入からはじめてみてはいかがでしょうか。
ワークフローシステムとは、稟議や各種申請などの社内手続きを電子化するシステムのことで、近年では多くの企業で導入が進められています。
そして、ワークフローシステムを導入することで、SDGsにもつながるメリットが期待できます。
次は、ワークフローシステムがSDGsの促進に効果的である理由を見ていきましょう。
ワークフローシステムがSDGsに効果的な理由
ワークフローシステムの導入は、業務効率化や内部統制の強化といったメリットのほか、以下のようにSDGs推進につながる効果も期待できます。
ペーパーレス化の促進
まず、ワークフローシステムがSDGsに役立つ理由として、ペーパーレス化が促進される点が挙げられます。
ワークフローシステムを導入することで、日々社内で行われている各種申請や稟議などの手続きが電子化され、紙の消費量や廃棄量を大幅に削減することができるでしょう。
これにより、紙のコスト削減につながるだけでなく、SDGsの重要課題のひとつである環境保全の面でも大いに効果が期待できるでしょう。
多様な働き方への対応
ワークフローシステムは、テレワークをはじめとした多様な働き方への対応にもつながります。
書類の作成や回覧、ハンコによる承認・決裁などをシステム上で行えるようになるため、オフィスに縛られない働き方が可能になります。
これにより、妊娠や出産、病気療養、介護といった個々の事情にあわせた柔軟な働き方に対応できるようになり、SDGsが掲げる「ジェンダー平等」や「働きがい」の実現に一歩近づくことができるでしょう。
ワークフローシステムによるSDGs促進事例①
金融系システム開発を中心としたシステムインテグレータの株式会社ニーズウェル様は、紙の文書に起因する課題解決を目的にワークフローシステムを導入しています。
ワークフローシステムにより申請・稟議などの業務フローが可視化され、内部統制の強化や業務効率化を実現。
持続的成長基盤を構築できただけでなく、組織全体でSDGsやESGへの意識の高まりを実感されています。
ワークフローシステムによるSDGs促進事例②
公益社団法人岡山県環境保全事業団様は、申請業務における「ムダ・ムラ・ムリ」の解消を目的にワークフローシステムを導入しました。
年間約150万円の業務効率化効果のほか、ペーパーレス化や省エネルギーの促進などSDGsの推進も実現しました。
まとめ
今回は、近年注目度が増しているSDGsに焦点を当て、その概要や重要性、企業が取り組むべき理由などをご紹介しました。
SDGsの取り組みは、企業が社会的責任を果たす上で必要なだけでなく、積極的に取り組むことによって多くのメリットが期待できます。
今回ご紹介した情報も参考に、SDGsへの取り組みの第一歩として、ワークフローシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
これを読めばすべてわかる!
いちばんやさしいワークフローの教科書
ワークフローの基礎知識、導入で業務がどう変わるのかについて解説しています。
こんな人におすすめ
・ワークフローについて詳しく知りたい。
・ワークフローの導入効果を知りたい。
・上司を説得したい。
「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。