オンプレミスとクラウドの違いとは?ハイブリッド運用を成功させるワークフローシステムの役割
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ワークフローシステムなどのITシステム・ツール導入を検討しているものの、さまざまな製品・サービスが販売されているため、どれを選ぶべきか迷っている方も多いのでは?
なかでもよく聞くお悩みのひとつが、「オンプレミス型とクラウド型の違いがわからない」というもの。
こちらの記事では、オンプレミス型・クラウド型の特徴(メリット・デメリット)や違い、どんな企業におすすめなのかを解説しています。
また、オンプレミス・クラウドを適材適所で使い分けるハイブリッド運用でワークフローシステムが役立つ理由や、ワークフローシステム選定時にチェックすべきポイント、オンプレミス型・クラウド型それぞれの導入事例についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- ワークフローシステムは大きく2種類
- オンプレミス型・クラウド型の違い・比較
- オンプレミス・クラウドはそれぞれどんな企業に適している?
- オンプレミスとクラウドにまつわる近年の動向
- ハイブリッド運用のハブを担うワークフローシステム
- ワークフローシステム選定時のポイント
- 【クラウド・オンプレ別】ワークフローシステム導入事例
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
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ワークフローシステムは大きく2種類
ワークフローシステムをはじめ、多くのITシステム・ツールは主に以下の2種類に分類することができます。
- オンプレミス型
- クラウド型
まずは、オンプレミス型とクラウド型がそれぞれどういったものかを確認しておきましょう。
オンプレミス型とは?
「オンプレミス型」とは、社内にサーバーや通信回線、システムを構築し、自社で運用を行う形態を指します。
ちなみに、「プレミス(Premises)」は「構内」や「建物」という意味。そこから派生して、自社に設置して運用する方式を「オンプレミス(On-Premses)」と呼ぶようになりました。また、オンプレミスを省略して「オンプレ」や「オンプレ型」と呼ぶこともあります。
後述するクラウド型の登場以前は、システム導入といえばオンプレミス型が主流でした。
近年はコストパフォーマンスや保守性の高さからクラウド型ワークフローシステムが多く普及していますが、オンプレミス型ワークフローシステムならではのメリットもあるため、現在も多くの企業で導入・運用されています。
オンプレミス型のメリット
オンプレミス型の主なメリットとして、以下を挙げることができます。
- 強固なセキュリティ体制の構築
- 機能拡張やシステム連携の自由度
オンプレミス型のシステムは、自社サーバーと社内ネットワークを利用する形態なので、適切な管理さえ行えば情報が外部に漏洩してしまうリスクが少ないと言えます。
アクセス制限を細かに設定したりセキュリティに関する機能を拡張することで、セキュリティ強度をコントロールすることができるでしょう。
また、開発の自由度もオンプレミス型のメリットと言えます。
自社の要望に応じて機能を拡張したり、すでに導入しているシステムや導入予定のシステムと柔軟に連携することができるため、自社の組織体制や業務内容に最適化したシステムを構築することが可能です。
オンプレミス型のデメリット
オンプレミス型のデメリットとしては、以下を挙げることができます。
- 導入コスト
- 保守・メンテナンスの負担
- 外部アクセス設定の煩雑さ
サーバーやネットワークなどのインフラを自社で用意する必要があり、自社の環境に合わせた開発も必要になるため、導入コストが高額になりがちで、構築までにある程度の期間が必要になります。
また、保守・メンテナンスは基本的に自社で行う必要があるため、社内のリソースを確保する必要があります。
そのほか、テレワーク中のシステム利用や、外部パートナーがシステムを利用する際などは、外部ネットワークからのアクセス設定を行う必要があります。
クラウド型とは?
「クラウド型」とは、オンライン上のサーバーで提供されているシステムやサービスを、インターネットを介して利用する形態。2000年代後半から2010年代にかけ、ワークフローシステムに限らず、さまざまなクラウドサービスが登場しました。
ちなみに、インターネット上でサービス利用できる仕組みが「クラウド」と呼ばれるようになった理由には諸説あります。米Google社のエリック・シュミット氏の発言に由来するという説や、エンジニアたちがネットワーク図を作成する際、「オンライン上のどこかにあるもの」を雲の絵で表したという説などが知られています。
クラウド型ワークフローシステムは、自社でサーバーやインフラ環境を用意する必要がなく、低コストかつスムーズに利用を開始できることから、近年多くの企業に普及しています。
総務省「令和7年版情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は2024年度時点で80.6%にのぼり、年々増加傾向が続いています。ワークフローシステムにおいても、クラウド型の普及はこうした企業全体のクラウド活用の広がりと軌を一にしていると言えるでしょう。(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」)
クラウドサービスの3つの種類(SaaS・PaaS・IaaS)
クラウドサービスは、提供される範囲によって主に以下の3種類に分類されます。
- SaaS(Software as a Service):ソフトウェア・アプリケーションそのものをインターネット経由で提供する形態。ワークフローシステムの多くはこのSaaS型にあたります。
- PaaS(Platform as a Service):アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォーム(OSやミドルウェアなど)を提供する形態。
- IaaS(Infrastructure as a Service):サーバーやネットワークといったインフラそのものを提供する形態。
自社が「何を」クラウド化したいのかによって適した種類が異なるため、クラウド型ワークフローシステムを検討する際は、自社に必要な範囲がどこまでかを意識しておくとよいでしょう。
クラウド型のメリット
クラウド型の主なメリットとして、以下を挙げることができます。
- コストを抑えてスムーズに導入
- 保守・メンテナンスの手間が少ない
- 外部アクセス設定が容易
まず、コストを抑えつつスムーズに利用を開始できる点がクラウド型のメリットと言えます。
また、保守・メンテナンスに関しては基本的にベンダー側が対応するため、バージョンアップや法改正に伴う仕様変更なども自社で対応する必要がありません。
さらに、テレワークなどで社内ネットワークを利用できない環境でもアクセス可能な点は、クラウドサービスならではの特徴と言えるでしょう。
クラウド型のデメリット
クラウド型のデメリットとしては、以下を挙げることができます。
- セキュリティをコントロールできない
- カスタマイズに制限がある
- クラウド乱立に陥るリスク
基本的に、クラウドサービスはベンダー側でセキュリティ管理を行うため、自社でセキュリティ強度をコントロールすることができません。
また、オプションで提供されている拡張機能やシステム連携などで多少のカスタマイズはできますが、自社で独自に開発を行うことは基本的にできません。
さらに、詳しくは後述しますが、「クラウド乱立」の状態に陥ってしまい、かえって業務効率が低下してしまったり、システム・サービスが定着しないといったリスクも考えられます。
オンプレミス型・クラウド型の違い・比較
オンプレミス型とクラウド型の概要やメリット・デメリットを紹介しましたが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか。
次は以下の6点に注目し、オンプレミス型とクラウド型の違いを比較していきましょう。
導入コスト
オンプレミス型の導入コスト
オンプレミス型ワークフローシステムは、導入にあたって自社サーバーを保有する必要があるほか、システム利用のためのインフラ構築が必要になります。
そのため、クラウド型ワークフローシステムと比較すると、初期コストが高額になりがちです。
クラウド型の導入コスト
クラウド型ワークフローシステムは月額料金での利用が一般的です。
サーバー設置やインフラ構築などの設備投資が不要で、利用ユーザー数によって月額料金が設定されていることも多いため、初期コストを抑えてスモールスタートが可能です。
保守・メンテナンス
オンプレミス型の保守・メンテナンス
オンプレミス型ワークフローシステムは、保守・運用を行う担当者を社内に確保する必要があります。
稼働状況の監視や災害・障害時に備えるバックアップ体制、定期的なメンテナンスなどは社内で対応し、システムバージョンアップの際は費用が発生するのが一般的です。
クラウド型の保守・メンテナンス
クラウド型ワークフローシステムは、基本的なシステム管理はシステム提供側(ベンダー側)が行うため、専門知識を有する担当者を社内に確保する必要がありません。
また、システムのバージョンアップに関しても、システム提供側が無償で行うケースが一般的です。
セキュリティ
オンプレミス型のセキュリティ
オンプレミス型ワークフローシステムは、自社サーバーに設置し、社内ネットワークを介して利用するため、管理体制が適切であれば外部に情報漏洩してしまうリスクは少ないと言えます。
ただし、社内で厳重な管理を行っていることが前提となるので、セキュリティ対策に十分なリソースを割けるかどうかを事前に見極めておく必要があります。
クラウド型のセキュリティ
インターネットを介して利用するクラウド型は、情報漏洩リスクが高いと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、システム提供側で厳重なセキュリティ対策を行っているケースがほとんどです。
社内でセキュリティ対策にリソースを割くことができない場合でも、安心して運用することができるでしょう。
カスタマイズ性
オンプレミス型のカスタマイズ性
自社サーバーにて運用を行うオンプレミス型ワークフローシステムは、カスタマイズの自由度が高いという特徴があります。
自社の要望に合わせて細かくカスタマイズすることができ、既に導入しているシステムとの連携も可能です。
クラウド型のカスタマイズ性
オンプレミス型と比較すると自由度は劣るものの、クラウド型でもオプション設定によってある程度のカスタマイズは可能です。
また、外部システム連携に対応しているクラウド型ワークフローシステムもあるので、自社で導入しているシステムとの連携が可能か確認してみましょう。
外部アクセス
オンプレミス型の外部アクセス
オンプレミス型ワークフローシステムは、社内ネットワークでの接続が基本となります。
社外から外部ネットワークを介して利用するには、VPN接続(Virtual Private Network:仮想専用回線)などの設定が必要です。
クラウド型の外部アクセス
クラウド型ワークフローシステムは、インターネット環境があれば、PCやスマートフォン、タブレット端末を使用してシステム利用が可能です。
そのため、外出の多い営業職やテレワーク中の社員であっても、円滑に申請・確認・承認といった手続きを進めることができるでしょう。
拡張性
オンプレミス型の拡張性
オンプレミス型ワークフローシステムは、利用ユーザー数の増加や機能追加を行う際、サーバーの増強やライセンスの追加調達といった設備投資・構築作業が必要になります。そのため、事業拡大や組織拡大のスピードに対して、拡張対応にある程度の時間とコストがかかる点に留意が必要です。
クラウド型の拡張性
クラウド型ワークフローシステムは、契約プランの変更やオプション追加によって、利用ユーザー数や機能を柔軟に増減できるケースが一般的です。事業拡大期や繁忙期など、必要なタイミングで迅速にリソースを拡張しやすい点がメリットと言えるでしょう。
オンプレミス・クラウドはそれぞれどんな企業に適している?
上記で説明した特徴を踏まえると、オンプレミス型・クラウド型はそれぞれ以下のような企業に適していると言えます。
オンプレミス・クラウドはどんな企業に適している?
- オンプレミス型が適している企業は?
(1)システム管理体制を社内に整えられる企業
(2)独自のカスタマイズを予定している企業
(3)セキュリティを重視する企業 - クラウド型が適している企業は?
(1)コストを抑えて導入・運用したい企業
(2)保守・メンテナンスはお任せしたい企業
(3)テレワークなど、外部アクセスを想定している企業
それぞれ詳しく確認していきましょう。
オンプレミス型が適している企業の特徴
オンプレミス型が適している企業の特徴として、主に以下の3点を挙げることができます。
オンプレミス型はどんな企業に適している?
- システム管理体制を社内に整えられる企業
- 独自のカスタマイズを予定している企業
- セキュリティを重視する企業
オンプレミス型のシステムは、導入後に自社内で運用していくことが基本となります。そのため、システム運用に十分なリソースを割くことができる中堅企業や大規模組織に適していると言えます。
また、すでに導入している業務システムとの連携や、自社の組織体制や用途に応じた機能改修を想定しているのであれば、カスタマイズ性に優れるオンプレミス型が有力な選択肢となるでしょう。大規模な組織改編や業務変更があった場合でも、柔軟に対応することができるはずです。
そして、セキュリティを重視する企業についても、オンプレミス型のシステムがおすすめだといえます。システム提供側に依存することなく独自にセキュリティ対策を行えるため、自社でセキュリティ強度を担保することができます。
クラウド型が適している企業の特徴
クラウド型が適している企業の特徴として、主に以下の3点が挙げられます。
クラウド型はどんな企業に適している?
- コストを抑えて導入・運用したい企業
- 保守・メンテナンスはお任せしたい企業
- テレワークなど、外部アクセスを想定している企業
システム導入の際、コストを抑えて導入したいというのは多くの企業が抱く要望だと言えるでしょう。
クラウド型のシステムであれば、サーバー設置やインフラ構築などの初期コストを抑えて導入可能です。また、利用ユーザー数に応じた料金体系のクラウドサービスは多いため、まずは組織の一部からのスモールスタートにも適しています。
また、自社で保守やメンテナンスを行う必要がないため、社内リソースが限られている中小企業やスタートアップ企業にもおすすめです。
さらに、インターネット環境さえあれば複雑な設定不要で外部アクセス可能なので、在宅勤務や外出先からの利用を想定している場合には、クラウド型は有力な選択肢となるでしょう。
オンプレミスとクラウドにまつわる近年の動向
ここまで、オンプレミスやクラウドの特徴やどういった企業に適しているかを解説してきました。次は、オンプレミスやクラウドにまつわる近年の動向を見ていきましょう。
一部では「オンプレ回帰」や「脱クラウド」を図る企業も
2000年代後半から2010年代にかけてクラウドが急速に普及を続けてきましたが、近年「オンプレ回帰(オンプレミス回帰)」や「脱クラウド」の動きを見せる企業が表れつつあります。
オンプレ回帰とは、一度はパブリッククラウドに移行したシステムやデータを、オンプレミス環境に移行しなおす動きのことを指します。
クラウドからオンプレミスへ回帰する主な要因として、セキュリティの問題が挙げられます。
もちろん、クラウドサービスを提供する多くのベンダーは徹底的なセキュリティ対策をしています。
しかし、ガバナンスやコンプライアンスの重要性が高まるなか、クラウドサービスでは導入企業側のセキュリティポリシーに沿った運用が難しいケースもあり、自社でセキュリティコントロールが可能なオンプレミス型に戻す選択をする企業もあるのです。
また、運用コストの問題でオンプレ回帰に至る企業も存在します。
クラウドサービスの場合、ユーザー数や利用頻度などで料金が加算される従量課金型の料金体系が一般的で、追加オプションの有無などによって運用コストが変動します。コストの面でメリットを感じてクラウドサービスの導入に至ったものの、利用人数・規模の拡大に伴い、想定よりもコストが割高になってしまったことでオンプレミス型に回帰するケースもあるのです。
オンプレ製品で相次ぐサポート終了(EOL)
一部企業でオンプレ回帰の動きがある一方、オンプレミス製品そのもののサポートが終了(EOL:End Of Life)するケースが近年増えている点も見逃せません。
長年使い慣れたオンプレミス製品であっても、ベンダーのサポートが終了すればセキュリティパッチや不具合修正の提供を受けられなくなるため、サポート終了を機に、オンプレミス環境を刷新するか、クラウドへの移行を検討するかの判断を迫られる企業も少なくありません。
たとえば、多くの企業で基幹システムとして利用されている「SAP ECC」は、標準保守サポートの終了時期が当初の2025年末から2027年末へと延長されたものの、いわゆる「SAP 2027年問題」として対応の検討が急務となっています。サポート終了後は新機能の追加や修正プログラムの提供が受けられなくなるため、SAP S/4HANAへの移行や第三者保守の活用など、早期の方針決定が求められています。
また、ワークフローシステムの領域でも同様の動きが見られます。株式会社コラボスタイルが提供する「コラボフロー」は、パッケージ版(オンプレミス版)について、新規ライセンスの販売を2026年12月31日で終了し、サポート自体も2031年12月31日で終了することを公式に発表しています。サポート終了後はプログラム更新が受けられなくなり、法改正への対応や最新ブラウザへの対応が難しくなるため、同社ではクラウド版への移行を推奨しています。(出典:コラボフロー パッケージ版終了のお知らせ)
このように、オンプレミス製品のサポート終了は業種・規模を問わず進んでおり、多くの企業がクラウドへの移行を含めた今後の対応を迫られていると言えるでしょう。
Fit to Standardの観点で進むクラウド化
一方のクラウドサービスに関しては、「Fit to Standard」の観点から、多くの企業でクラウド化が進んでいる状況です。
Fit to Standardとは、自社の業務プロセスを、システム側の標準機能に合わせて構築していく考え方を指します。従来主流だった、自社の業務プロセスに合わせてシステムを個別にカスタマイズする「Fit&Gap」とは対照的なアプローチです。
クラウドサービスは、多くの企業が共通して利用する標準機能をベースに提供されているケースが一般的で、独自の作り込みを前提としていません。そのため、業務側をシステムの標準機能に合わせていくFit to Standardの考え方と親和性が高いといえます。カスタマイズを最小限に抑えることで、バージョンアップ対応の負担軽減やコストの最適化にもつながるため、Fit to Standardが重視される近年の潮流のなかで、クラウド化は多くの企業にとって合理的な選択肢となっているのです。
「クラウド乱立」の弊害
クラウドサービスの急速な普及の背景で、「クラウド乱立」というキーワードも近年注目を集めつつあります。
クラウド乱立とは、社内のさまざまな業務でクラウドサービス・システムを導入した結果、個々の業務が分断されてしまったり、管理・運用の負担が大きくなってしまう状況を指します。
また、場面に応じてどのサービス・システムを利用すればいいか分かりづらくなってしまうケースや、個々のサービスで利用方法が異なるため使い方が十分に浸透せず、結果として活用が進まないケースも見られます。
なかでも、クラウド乱立の弊害の影響をとくに受けやすいのが業務手続きです。
業務システムには簡易的なワークフロー機能が搭載されているケースが多く、さまざまな業務でクラウドサービスを利用することで、業務上必要な手続きが分散してしまいます。
たとえば、契約締結時には電子契約サービスで社内承認を申請、経費精算を行う際には経費精算システムで申請、休暇を取得する際には勤怠管理システムで申請、といった具合です。
このように各種手続きが分散してしまうことで、現場の担当者はどのシステムで申請すればよいのか迷ってしまい、承認者や管理者もどのシステムで確認・承認すればよいのか迷ってしまいます。
結果的に作業効率が低下してしまったり、導入したものの社内で利用されないという事態に陥ってしまうケースがあるのです。
ワークフローシステムでクラウド乱立の弊害を解消しよう!
こんな人におすすめ
・複数のクラウドサービスを利用している
・システムごとに同じデータを何度も入力している
・今後クラウドサービスの利用拡大を考えている
「ハイブリッド運用(ハイブリッドクラウド)」にも注目
ここまで見てきたように、セキュリティやコストの面からオンプレミスに回帰するケースがある一方、Fit to Standardの潮流を背景に市場全体ではクラウド化が自然な流れとなっている、という一見相反する動きが同時に表れています。
とはいえ、社内のセキュリティポリシーや取り扱うデータの機密性、業界特有の規制、自社独自の業務要件などによっては、オンプレミス型のほうが適しているケースも少なくありません。そのため近年は、こうした要件に応じてオンプレミスとクラウドを適材適所で組み合わせる「ハイブリッド運用(ハイブリッドクラウド)」が注目を集めています。
たとえば、顧客情報などの機密データはオンプレミス型の業務システムで扱い、組織全体で利用・共有するようなデータはクラウドシステムで扱う、といった具合です。
このように、オンプレミスとクラウドの長所を組み合わせることで、強固なセキュリティと業務効率化を同時に実現することもできます。
ハイブリッド運用のハブを担うワークフローシステム
クラウドサービスの利用が主流になるなか、クラウド乱立には注意が必要だとお伝えしました。また、ハイブリッド運用においても、オンプレミスとクラウドが混在する中で同様の課題が発生するケースがあります。
そこでおすすめしたいのが、ワークフローシステムの活用です。
ワークフローシステムとは、各種申請や稟議、報告などの手続きを電子化するシステムのことで、オンプレミス・クラウドを問わず各種システムをつなぐハブの役割を果たし、業務手続きの分散を解消します。
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では、ワークフローシステムがシステム運用の効率化に役立つ理由を見ていきましょう。
オンプレミス・クラウド問わず各種システムとつながる
ワークフローシステムの大きな特徴のひとつが、オンプレミス型・クラウド型を問わず、既存のさまざまな業務システムと連携できる点です。
たとえば、経費精算システムや勤怠管理システム、電子契約サービスといった各業務領域のクラウドサービスはもちろん、社内で運用しているオンプレミス型の基幹システムとも連携させることが可能です。
導入形態が異なるシステム同士であっても、ワークフローシステムを介して申請・承認のプロセスを一本化できるため、ハイブリッド運用のようにオンプレミスとクラウドが混在する環境でも、業務手続きの流れを統一的に管理することができます。
業務手続きの分散を解消するワークフローシステム
先述したとおり、契約締結時には電子契約サービス、経費精算を行う際には経費精算システム、休暇を取得する際には勤怠管理システムというように、業務ごとに異なるシステムで手続きを行っていると、申請者・承認者ともにどのシステムを使えばよいのか迷ってしまい、結果的に業務効率の低下や利用の定着不足を招きかねません。
ワークフローシステムを各業務領域のシステムと連携させることで、こうした分散していた業務手続きをワークフローシステム上に集約でき、個々の業務のつながりを可視化することができます。オンプレミス・クラウドのどちらを主体に運用している企業であっても、ワークフローシステムをハブとして活用することで、システム構成にかかわらず一元的な業務手続き基盤を実現できるのです。
ワークフローシステム選定時のポイント
ここまで、ワークフローシステムがオンプレミス・クラウドを問わず各種システムをつなぐハブとして機能し、業務手続きの分散を解消する役割を果たすことを解説しました。
次は、オンプレミス型・クラウド型のどちらを選ぶ場合にも共通する、ワークフローシステム選定時にチェックすべきポイントを見ていきましょう。
外部システム・サービスとの連携性
ワークフローシステムを業務基盤として活用するためにも、外部システム・サービスとの連携性が重要です。
導入している業務システム・サービスとワークフローシステムを連携することで、各業務領域のつながりが可視化されるとともに、分散しがちな業務手続きをワークフローシステム上に集約することができます。
先述した「クラウド乱立」の弊害を解消するためにも、外部システム・サービスとの連携可否は事前に確認しておきましょう。
どの社員でも簡単に操作できるか
ワークフローシステムを選ぶ際は、使いやすさに注目してみましょう。
ワークフローシステムを導入しても、利用者が使いこなせなければ、かえって業務効率が落ちてしまったり、社内に定着せずに放置されてしまう可能性があります。
ワークフロー製品によっては、契約前の無料トライアル期間を設けていたり、体験利用できるデモサイトを用意していることがあります。これらを活用することで、導入後の運用を具体的にイメージすることができ、安心して導入することができるでしょう。
申請フォーマットを再現可能か
ワークフローシステムの基本機能のひとつが、申請フォーマット作成です。
ワークフローシステムには、汎用的な申請書テンプレートが用意されているもの、直感的な操作で自由にフォーマットを作成できるもの、エクセルなどで作成したフォーマットを取り込めるものなど、製品によって申請フォーマット作成機能の仕様が異なります。
現在使用している申請書や帳票のフォーマットを変更することに抵抗を感じる場合は、自社で運用している申請書フォーマットを再現できるか確認しておきましょう。
承認ルートは柔軟に設定できるか
申請手続きでは、申請から決裁まで直線的に進むシンプルな承認ルートや、申請の種類や内容によって条件分岐する承認ルート、複数の承認者の合議で決裁者へと進む承認ルートなど、さまざまなパターンがあります。
そのため、ワークフローシステムを選ぶ際は、自社で運用されている承認ルートをシステム上で反映できるかどうかが重要になります。
複雑な承認ルートを設定可能か、申請の種類や入力内容から承認ルートを自動判別できるかなど、承認ルートに関する機能をしっかりと確認しましょう。
付帯機能は充実しているか
ワークフローシステムを選定する際は、申請フォーマット作成や承認ルート編集といった基本的な機能以外にも注目してみましょう。
たとえば、
- 入力内容の自動制御機能
- 各種通知機能
- モバイル承認機能
- 集計機能やデータ出力機能
など、ワークフローシステムには数多くの機能があり、製品によって搭載している機能の種類や充実度が異なります。
導入後に、
「こんな機能があれば便利なのに……」
「あの機能がないから作業に時間がかかる……」
などの後悔がないように、導入後の運用をイメージして必要な機能、あると便利な機能を精査しましょう。
【クラウド・オンプレ別】ワークフローシステム導入事例
次に、ワークフローシステム導入事例を、オンプレミス型・クラウド型に分けてご紹介します。
それぞれ、どのような効果を得ることができたのでしょうか。
クラウド型ワークフローシステム導入事例
まず、クラウド型ワークフローシステムを導入した企業の事例をご紹介します。
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Fit to Standardを重視し「X-point Cloud」を採用(レコチョク)
株式会社レコチョクでは以前、長年利用してきたオンプレミス型の既存システムにおいて、保守や開発のベンダー依存によるブラックボックス化と、従業員増加に伴うライセンス追加等による運用コストの高騰が大きな課題となっていました。
既存システムの保守終了を契機に、同社はワークフローシステムの刷新に着手。開発を極力行わず業務をツールに合わせる「Fit to Standard」方針を重視しつつ、複数条件での承認分岐や金額ベースの残高管理など複雑な既存機能を標準機能で再現・内製化できる「X-point Cloud」を選定しました。自社の「インフラを持たない」DX方針に合致した点や、事前に試算した5年間の運用コストが半分以下に削減できる点も選定の決め手となりました。
導入後は保守運用の内製化を達成し、5年間で数千万円規模(半分以下)のコスト削減を見込んでいます。さらに、電子契約や請求書受領、会計システム等の外部システムと柔軟に連携させることで、申請から契約締結・管理、支払処理まで一気通貫でデジタル化し、リモートワーク推進を含む社内業務のDXを大きく加速させました。
SaaS連携を重視し業務のデジタル変革を推進(コアコンセプト・テクノロジー)
株式会社コアコンセプト・テクノロジーでは以前、 受発注や会計、勤怠管理などのシステム間連携が不十分で、非効率な手作業が発生していました。自社開発の旧ワークフローシステムも機能不足で、一括承認ができず、組織改編時の改修に数週間を要する保守性の低さも課題でした。
そこで同社は、基幹システムの刷新とあわせてワークフローシステムのリプレイスに着手。「SaaSをいかに組み合わせ、有効活用するか」という点を重視して製品選定を行った結果、多様な外部製品と容易につながるクラウド型ワークフローシステム「X-point Cloud」の導入に至りました。
導入後、外部SaaSとのシームレスな連携をJavaScript等で実現。さらに電子契約システムや基幹システムとのマスタ連携により、手入力や確認作業を大幅に削減しています。
一括承認による承認業務のスピードアップやGUI構築によるメンテナンスの効率化も進み、社内全体がデータでつながる本格的なERPの構築を推進しています。
オンプレミス型ワークフローシステム導入事例
次に、オンプレミス型ワークフローシステムを導入した企業の事例から見ていきましょう。
【組織改編や業務変更に強いパッケージ型ワークフローシステム】
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「AgileWorks」を中核に据えたハイブリッド体制を構築(ウイングアーク1st)
ウイングアーク1st株式会社は、従来使用していたワークフローシステムの連携性の低さにより、データが散在し手動の二重入力が常態化する「情報の分断」に直面していました。また、アドオン開発コスト、複雑な承認ルートの制御、組織変更時の多大なメンテ負担、内部統制の不備も課題でした。
この解決に向けて、複雑な条件制御やルーティングに対応できる高い連携性・保守性を備えた「AgileWorks」を中核に据え、経費精算など1処理に特化した業務には専門SaaSを充てるという、ハイブリッドな組み合わせを選択しました。
導入後は、SAPや生成AI(Claude)など8つのシステムが連動する「承認エコシステム」を構築。
年間8,000件の支払申請の自動化や、組織変更のメンテナンス時間を数時間から1時間へ短縮することに成功しました。さらに、自己承認防止による内部統制の強化や年間93万円超のコスト削減も実現し、100種類以上のワークフローをわずか2名で安定運用しています。
医療機関特有のセキュリティ水準に対応(刈谷豊田総合病院)
医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院は、事務・管理業務のペーパーレス化と効率化に向けて「AgileWorks」を導入しました。
同病院では以前、事務部門では紙帳票が多用され、回付やExcelへの転記に多大な労力がかかっていました。また既存システムのワークフロー機能は複雑で、改修には外部ベンダーへの依頼が必要となり、システム運用を内製化できないためペーパーレス化が進まない点も課題でした。
そこで同病院は、ワークフローシステムの導入を決断。製品選定の末、医療機関特有の厳格なセキュリティに対応できる「オンプレミス製品」である点に加え、職員ごとの利用頻度のバラつきによるコスト増を防げる「同時接続ライセンス」の課金体系が決め手となり「AgileWorks」の導入に至りました。
導入後、約50業務の申請書を移行し、出張申請書の統合や、設備修理等におけるリードタイムの約20%短縮を達成。専門知識不要で帳票や回付ルートの改修ができる、システム運用の内製化を実現しました。
よくある質問(FAQ)
オンプレミスとクラウドに関して読者が抱きやすい疑問について、Q&A形式で回答します。
Q. オンプレミス型とクラウド型、結局どちらを選べばいいですか?
A. 一概にどちらが優れているとは言えず、自社の状況によって適した形態は異なります。セキュリティを自社でコントロールしたい、独自のカスタマイズをしたいという企業にはオンプレミス型が、コストを抑えてスピーディーに導入したい、保守・メンテナンスの負担を減らしたいという企業にはクラウド型が適しています。本記事の「オンプレミス・クラウドはそれぞれどんな企業に適している?」で紹介した特徴を参考に、自社の優先事項を整理したうえで検討してみてください。
Q. クラウド型は本当にセキュリティ面で心配ないのでしょうか?
A. 基本的なセキュリティ対策はシステム提供側(ベンダー側)が担うため、社内にセキュリティ専門の担当者がいない企業でも安心して運用できるケースがほとんどです。ただし、自社独自のセキュリティポリシーを細かくコントロールしたい場合は、オンプレミス型のほうが適していることもあります。
Q. 一度クラウド型を導入したら、あとからオンプレミス型に戻すことはできますか?
A. 可能です。実際に、セキュリティやガバナンスの観点、運用コストの問題から、一度クラウドに移行したシステムをオンプレミス環境に戻す「オンプレ回帰」を選択する企業も増えています。詳しくは本記事の「一部では『オンプレ回帰』や『脱クラウド』を図る企業も」をご覧ください。
Q. 「クラウド乱立」を防ぐには、どのような対策が有効ですか?
A. 業務ごとに個別のクラウドサービスを導入するのではなく、ワークフローシステムを各業務領域のクラウドサービスと連携させ、申請・承認手続きを一元的に集約することが有効です。詳しくは本記事の「業務手続きの分散を解消するワークフローシステム」をご覧ください。
Q. ハイブリッド運用(ハイブリッドクラウド)は中小企業でも導入できますか?
A. 企業規模を問わず導入は可能です。たとえば機密性の高いデータのみをオンプレミス型で管理し、それ以外の業務をクラウド型で運用するなど、自社の業務内容やリソースに応じて柔軟に組み合わせることができます。まずは自社のどの業務・データにセキュリティ上の優先度が高いかを整理するところから検討するとよいでしょう。
まとめ
今回は、オンプレミス型とクラウド型の特徴や、ワークフローシステムを選定する際にチェックすべきポイントをご紹介しました。
ワークフローシステムで業務改善を実現するには、自社に合った製品を選ぶことが大切です。
今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムの選定に取り掛かってみてはいかがでしょうか。
分散しがちな業務手続きを一元化!
ワークフローシステムでクラウド乱立の弊害を解消しよう!
クラウドサービスの利用拡大による弊害とそれを解決する方法について解説しています。
こんな人におすすめ
・複数のクラウドサービスを利用している
・システムごとに同じデータを何度も入力している
・今後クラウドサービスの利用拡大を考えている

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。









