ウイングアーク1st株式会社のワークフローシステム導入事例
データの力で、一人ひとりの可能性を解き放つ 自社製品・AIと連携する「承認エコシステム」
ウイングアーク1st株式会社は、デジタル帳票基盤「SVF」やAI×BI共存のデータアプリ基盤「MotionBoard」などを擁するデータ活用のリーディングカンパニーです。同社はコロナ禍以前の2019年から100%フルリモート体制を確立し、場所や紙に縛られないデジタル基盤の構築をいち早く進めてきました。
しかし、さらなるDXを推進する中で大きな壁に直面します。当時利用していたワークフローシステム「Questetra(クエステトラ)」は、他システムとの連携性や拡張性に限界があり、データが各所に散在する「情報の分断」が起きていたのです。同社が目指したのは、単なる電子化ではなく、データが有機的に流れる「真のデータ活用基盤」の高度化でした。
そこで、この理想を実現するため、2022年6月、同社は旧システム「Questetra(クエステトラ)」から「AgileWorks」への移行を決断。導入後は、自社製品を含む8種類の外部システムを緊密につなぐ「承認エコシステム」を構築しました。
課題・背景
- システム連携の欠如による二重入力と散在リスク
- アドオン開発によるコストと拡張性の限界
- 組織変更に伴う莫大なメンテナンス負担
- ガバナンスと内部統制の課題
業務効果
- 年間93万円超のコスト削減
- 8,000件の支払申請を自動化・効率化
- 組織変更対応を数時間から1時間に短縮
- 強固な内部統制とデータ連携の両立
【経緯/課題】旧システムの連携性の低さが、「データの流通」を阻害
ウイングアーク1st株式会社は、「情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」をビジョンに掲げ、*国内シェア1位のデジタル帳票基盤「SVF」などを提供する企業です。同社では、2019年の段階で100%フルリモートワーク体制を確立しており、業務のデジタル化自体はワークフローシステム「Questetra」によってある程度進んでいました。
しかし、コロナ禍以降、さらにDXを推し進める上で根本的な課題が浮き彫りになりました。それが「システム連携性の課題」です。ワークフローをハブとして会計システムや文書管理ツールを有機的に結びつけることが難しく、データが各システムに閉じたままになっていました。その結果、マスタ情報の手動入力や二重管理が常態化し、申請データが承認後に分析や活用へ回らない「データが流れない」状態に陥っていました。
さらに、連携のたびにアドオン開発の工数と費用が積み上がる点や、複雑なビジネスルール(金額・種別による動的な承認ルート変更など)をシステムで制御できず運用でカバーせざるを得ない点も重い課題でした。また、上場企業として不可欠な内部統制の面でも、自己承認のリスクが残存していることや、承認済み書類の保管場所が散逸していることに対する抜本的な解決が求められていました。
*デロイトトーマツミック経済研究所株式会社発刊ミックITリポート2025年12月号「帳票設計・運用製品の市場動向2025年度版」図表2-5 【運用】製品/サービスのベンダー別売上・シェア推移2024年度実績( https://mic-r.co.jp/micit/2025/)
【選定/導入】「連携性」と「保守性」を高く評価し、高い開発生産性で一括移行を決断
複数のワークフロー製品を比較検討した結果、同社はAgileWorksの導入を決定しました。決め手となったのは大きく2つのポイントです。
第一に「連携性の高さ」です。自社製品である帳票保管「SVF Archiver」や帳票流通「SVF Transact」はもちろん、SAPなどの基幹・会計システムとも標準機能で柔軟に連携が可能であり、旧システムで課題だったアドオン開発の負担を解消できる点が評価されました。
そして第二に「保守性の高さ」です。AgileWorksには組織図の変更を事前予約できる「先付けメンテナンス」機能が備わっており、辞令発令のたびに数時間から数日を費やしていた管理担当者の負担を劇的に軽減できると見込みました。さらに、JavaScriptを用いた独自拡張により、金額による条件分岐やマスタ連携など複雑な要件をシステム内で完全に制御できる「フォーム設計の自由度」も大きな魅力でした。
2021年6月に開発をスタートした当初は、経理系と営業系で段階的に導入する計画でしたが、開発を進める中でAgileWorksの開発生産性の高さを実感し、すべてのワークフローを一括で移管する方針へ転換。約1年間の開発・テストを経て、2022年6月に本番稼働を開始しました。なお同社では、複雑なルーティングや外部連携が必要な業務はAgileWorksに集約し、経費精算など1処理に特化した専用UIが求められる業務は専門SaaS(バクラク等)へ移行させるという、明確な使い分け基準を設けています。
【活用/効果】8つのシステムとAIが連動する「承認エコシステム」をわずか2名で運用
現在、同社ではAgileWorksを中核として8つの外部システムが緊密に連携する「承認エコシステム」が稼働しています。入力側ではSAPや自社基幹システム(CoWA)からマスタをリアルタイムで反映し、出力側では自社製品のSVF Archiver(文書管理)やMotionBoard(BIダッシュボード)、ITサービス管理システムへとデータを自動送信する構成です。
以下でご紹介する具体的な活用例を含めた多岐にわたる大規模な運用は、Pythonを用いた内製ツールによる組織変更設定の半自動化や、「ユニバーサルロール」を利用した動的ルーティングの仕組みによって、わずか2名の担当者で安定的に支えられています。
このエコシステムにより、AgileWorksは単なるワークフロー承認ツールではなく、企業内のデータを流通させる「基幹インフラ」として機能しています。河竹氏は「もしAgileWorksが突然なくなったら、弊社は大混乱に陥るほど活用している」と語っており,いかに深く業務に根付いているかを示しています。
稟議書ワークフロー(年間約1,500件):承認統制と証跡管理を一気通貫で実現
物品購入、SaaS契約、発注、法人取引の発生など、会社として意思決定が必要なすべての稟議・決裁がこのワークフローに集約されています。金額に応じて最終承認者を自動で引き上げる制御や、役員の相互承認(自己承認防止)を実装。承認後は証憑ファイルがSVF Archiverへ自動保管され、電子帳簿保存法に対応しつつ年間45万円のコスト削減を達成しています。
稟議書(AgileWorks 実画面)
契約書審査WF(年間約1,200件):完全ペーパーレス契約管理
法務チェックをフローに組み込み、承認完了後は自社製品「SVF Transact」を通じて電子署名を依頼。年間960件の電子化により、印紙代だけで年間48万円のコストを削減しました。
契約書審査ワークフロー フォーム(AgileWorks 実画面)
支払申請WF(年間約8,000件):会計システム、生成AI「Claude」との連携で確認工数を大幅削減
同社で最も件数が多い支払申請では、会計システム「SAP/ByDesign」とのマスタ連携により、手動入力や二重入力を排除。さらに、生成AI「Claude」と連携させ、確認事項が複雑な海外送金案件の一次スクリーニングと請求データの自動生成をAIに担わせることで、担当者の確認工数を劇的に削減しています。
【AgileWorksでの解決策と工夫】
・SAP/ByDesign(会計システム)マスタ連携:申請時に取引先マスタ・勘定科目等が自動表示。手動入力・二重入力をゼロに
・Claude AI連携(OneDrive経由):支払依頼申請WFのデータをOneDriveに出力し、ClaudeがAIによる申請内容チェックと請求データの自動生成を実施。特に確認事項の多い海外送金案件の一次スクリーニングをAIが担当
・役員の相互承認:稟議書WFと同様に自己承認を排除する統制機能を適用
【今後の展望】AgileWorksをハブとした連携をさらに深化させ、次世代の業務基盤へ
同社は今後、Agile Worksを中心とした連携をさらに発展させていく計画です。現在、承認された稟議データをもとに自社製品「SVF Cloud」で発注書を完全自動発行する仕組みの構築を進めているほか、請求書の受領から支払申請の自動起票までを一気通貫で行うフルオートメーション化を構想しています。
さらに、グループ企業の拡大に伴い、各社が利用する異なるワークフローシステムを連携させ、インフラのガバナンスと各社の柔軟性を両立する構造を目指しています。2026年秋には特価申請の結果をSalesforceへ直接連携する予定もあり、Agile Worksを基幹インフラとした同社の「承認エコシステム」は、今後もさらなる進化を続けていきます。
お客様の声
ウイングアーク1st株式会社管理本部ITストラテジー統括部DX推進部デジタルソリューショングループ グループマネージャー河竹 正吾郎 様「AgileWorksは汎用的な機能を持つワークフローシステムです。多様な業務要件に対応できる自由度と拡張性は,特定領域に特化したサービスと比べ本当に高い。JavaScriptを活用すれば、市場にある専門SaaSでは実現できない複雑な条件制御もできます。私が2名で100種類以上のWFを運用できているのも、そのおかげです。」
お客様プロフィール
| 会社名 | ウイングアーク1st株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー |
| 創業 | 2004年3月 |
| 従業員数 | 連結1,126人/単体836人(2026年2月末現在) |
| 事業内容 | デジタル帳票基盤「SVF」、BIツール「MotionBoard」「Dr.Sum」、文書管理・電子取引ソリューション「SVF Archiverシリーズ」など、企業のデータ活用を支援するソフトウェア・サービスの提供 |
| URL | https://corp.wingarc.com/index.html |



