「データの民主化」はなぜ定着しない?開放・統制の両輪で作るデータ活用の仕組み
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「データドリブンな組織を目指してBIツールやデータ基盤を整えたのに、実際にデータを使いこなしているのは情報システム部門やデータ分析チームだけ……。」
このような状況に心当たりはないでしょうか。
現場からのデータ抽出・集計依頼が特定の部署に集中し、依頼から回答までのリードタイムが意思決定のボトルネックになっているケースは少なくありません。「データの民主化」を掲げてツールを導入しても、現場に定着せず、投資が「絵に描いた餅」で終わってしまう企業も多いのが実情です。
本記事では、データの民主化の基本的な定義から、現場に定着しない原因、そして定着させるための具体的な進め方までを解説します。データを「配る」ことと「統制する」ことを両輪として捉える視点が、データの民主化を成功させる鍵になります。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- データの民主化とは?
- なぜデータの民主化は現場に定着しないのか
- データの民主化を現場に定着させる進め方
- データの「開放」と「統制」の両方を実現するワークフローシステム
- ワークフローシステムでデータ活用を加速した事例(ヤンマー建機)
- まとめ
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データの民主化とは?
データの民主化とは、専門部署だけでなく、部署や役職を問わず誰もが必要なデータへアクセスし、活用できる状態を指します。従来、データの抽出・加工・分析は情報システム部門やデータ分析の専門チームが担うケースが一般的でした。しかしこの体制では、現場が「今すぐデータを見て判断したい」と思っても、依頼から回答までにタイムラグが生じてしまいます。
データの民主化が注目される背景には、DX推進の流れがあります。市場や顧客の変化が速い現在、迅速な意思決定のためには、現場の担当者自身が必要なタイミングでデータにアクセスし、判断材料として活用できる環境が欠かせません。
データの民主化を実現できると、次のようなメリットが期待できます。
- 意思決定のスピード向上:
情シスへの依頼・待機時間がなくなり、現場がリアルタイムに近い形で状況を把握し、判断できるようになる - 現場の自走化:
データに基づいた仮説検証や改善活動を、現場主導で回せるようになる - AI活用の推進:
利用可能なデータが整理・解放されることで、全社的なAI活用推進の土台となる。
一方で、「データを現場に開放すれば民主化が実現する」わけではない点には注意が必要です。実際には、BIツールやデータ基盤を導入したものの、現場に定着せずに終わってしまう企業が少なくありません。
なぜデータの民主化は現場に定着しないのか
データの民主化は、「ただ開放する」だけでも「厳格に統制する」だけでも定着しません。システムの使い勝手やデータの状態、ルールの分かりやすさ、利用条件の重さなど、複数の要因が絡み合って現場の利用を止めているためです。
ここでは、データの民主化が現場に定着しない主な理由について見ていきましょう。
BIツール等のシステムの使い勝手が悪い
データを閲覧・分析するプラットフォームは提供されているものの、現場では使い方が分からない、あるいは業務上の必要性を感じていないために放置されているケースです。
ツールを導入した時点で満足してしまい、現場が実際に使いこなせるようになるまでのフォローが不足していると、せっかくの投資が定着しないまま終わってしまいます。
データのばらつきにより活用できる状態ではない
データの定義や入力ルールが部署・担当者ごとにバラバラで、そのままでは分析に使える状態になっていないケースです。
表記ゆれや入力漏れが多いデータでは、BIツールを使っても期待したアウトプットが得られず、「使っても役に立たない」という印象が定着を妨げます。データの質が低いままでは、どれだけ高機能なツールを導入しても活用は進みません。
データ活用に関するルールが不明瞭、または現場の実情に合っていない
データ活用のルールが整備されていない、あるいはルールはあっても現場の業務実態とかけ離れているケースも存在します。
「このデータを見ていいのか」「この使い方は問題ないか」という判断基準が現場に共有されていないと、担当者は不安から利用をためらい、結果としてデータが活用されないまま眠ってしまいます。
データ利用の条件が過度に厳しい
データの閲覧・利用条件が厳しすぎる、あるいはBIツール等の利用申請の手続きが煩雑であるケースです。
せっかく活用の意欲がある現場でも、申請から利用開始までに時間がかかりすぎると、次第に「使わなくても困らない」という状態に落ち着いてしまいます。過度な統制は、データの民主化とは逆方向に作用してしまうのです。
このように、データの民主化を阻む要因は、システムの使い勝手やデータの状態といった活用面の課題と、ルールの不明瞭さや利用条件の厳しさといった統制面の課題の両方から生まれます。
データの民主化を現場に定着させる進め方
データの民主化を現場に定着させるには、現場での利用が自然に促進されるようなデータの開放の仕方が欠かせません。
ただし、開放だけを進めても、現場が安心して使えるだけの過不足ない統制がなければ、前章で挙げたような不安や手間が定着を妨げてしまいます。
ここでは、活用と統制の両方を踏まえた3つの進め方を紹介します。
目的・ビジョンを現場の言葉で共有し、自分ごと化を促す
「データドリブンな組織を目指す」といった抽象的な目標だけでは、現場は自分の業務とデータ活用を結びつけて考えられません。「このデータを見れば、日々のどの判断が早く・正確になるのか」を、現場の業務に即した言葉で具体的に伝えることが、活用を自分ごととして捉えてもらう第一歩になります。
データが活用可能な状態で蓄積・共有される状態を作る
前章で触れたとおり、データそのものの質が低ければ、どれだけ開放しても活用は進みません。入力段階での表記ゆれや入力漏れを防ぎ、誰が見ても同じ意味に読み取れる形でデータが蓄積・共有される仕組みを整えることが、実効性のあるデータの民主化の土台になります。
データガバナンスを整理し、安心して使える状態を作る
現場が「使っていいのか分からない」という不安を抱えたままでは、データは活用されません。誰が・どのデータに・どこまでアクセスできるかというルールを整理し、現場の実情に合った形で運用することで、現場は安心してデータに向き合えるようになります。
ここで重要なのは、統制を強化することではなく、現場の利用を後押しする「過不足のない」統制を設計することです。
データの「開放」と「統制」の両方を実現するワークフローシステム
データの民主化を仕組みとして定着させるうえで、「開放」と「統制」の両輪を1つの基盤で実現する現実的な選択肢になるのが、ワークフローシステムです。
ワークフローシステムとは、各種申請や稟議、報告といった業務を電子化するシステムのこと。
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ワークフローシステムを利用することで、活用可能な状態でデータが蓄積・可視化されるとともに、アクセス権限や証跡の柔軟な管理、および各種システムとのシームレスな連携を実現することができ、データの民主化を後押しします。
ここでは、ワークフローシステムがデータの民主化を実現する基盤としてどのように機能するのか詳しく見ていきましょう。
データが生まれる瞬間の品質担保
ワークフローシステムで申請フォームの入力項目を必須化・選択肢化することで、入力段階での表記ゆれや入力漏れを防ぎます。
データが生まれる瞬間に品質を担保できれば、後工程でのデータクレンジングにかかる手間を減らせるだけでなく、活用できる状態のデータが最初から蓄積されていきます。
承認・処理後のデータの回覧・共有および検索・集計
ワークフローシステムで処理されたデータは検索・集計可能な状態で蓄積され、決裁完了後に関係者に自動で回付することも可能です。
これにより、然るべき人物にデータが速やかに共有されるとともに、必要に応じて過去のデータにアクセスしたり分析したりすることが可能になります。
アクセス権限のコントロールと履歴管理
ワークフローシステムは、組織図や職務権限をシステム上に反映し、データの閲覧・利用範囲を部署や役職、あるいは個別にアクセス権限として設定できます。
また、誰がいつ何を閲覧・利用したかは履歴として記録・管理することができ、現場に過度な負担をかけることなくデータ活用におけるガバナンスを担保することが可能です。
各種システムとのデータ連携
ワークフローシステムで処理されたクリーンなデータをERPや基幹システム、あるいはBIツールなどに引き渡す仕組みも構築可能です。
ワークフローシステムを、データが生まれ、統制され、他システムでさらに活用されるための基盤として位置づけることで、データ開放の範囲をさらに広げていけます。
ワークフローシステムでデータ活用を加速した事例(ヤンマー建機)
ヤンマー建機株式会社は、「AgileWorks」を導入して申請業務を電子化するとともに、BIダッシュボードやデータ分析基盤との連携により大幅な業務効率化を実現しました。
社内に情シス部門を持たない同社では従来、デジタルに苦手意識を持つ従業員が多く、さまざまな業務がアナログな形のまま残されていました。
この状況を打破するため、同社は現場メンバー主導によるDXを提唱。その一環として、紙帳票で運用されていた申請業務の電子化を目的として、ワークフローシステムの導入に動き出しました。
製品選定では、他システムとの連携性を重視。なかでも、以前から利用していたウイングアーク1st社のBIダッシュボード「MotionBoard」やデータ分析基盤「Dr.Sum」との親和性を考慮した結果、「AgileWorks」の採用に至りました。
「AgileWorks」導入後、社内の全部門にシステムを展開し、幅広い業務のデジタル化が実現。
たとえば、従来は紙の申請書を持ち回り、押印で承認を行っていたユニフォーム支給依頼書を電子化したことで、業務負荷が大幅に軽減されています。さらに、「AgileWorks」で処理したデータを「MotionBoard」や「Dr.Sum」と連携することで、決裁後のユニフォーム在庫管理などの作業が自動化。ユニフォームを一着支給するごとの単価や費用対効果まで管理できるようになるなど、大きな成果につながっています。
こうした取り組みにより、同社は年間換算で1000時間以上の業務削減を達成しており、従業員のデジタル化への意識醸成にもつながるなど、同社が目指す「草の根DX」の土壌づくりに「AgileWorks」が貢献しています。
まとめ
データの民主化は、BIツールなどを導入して終わりではありません。システムの使い勝手やデータの状態といった活用面の課題と、ルールの不明瞭さや利用条件の重さといった統制面の課題の両方に向き合わなければ、現場には定着しないのが実情です。
目的・ビジョンの共有、活用可能な状態でのデータ蓄積、そして過不足のないガバナンス整備という進め方を踏まえたうえで、開放と統制を1つの基盤で実現できるワークフローシステムを活用すれば、データの民主化を着実に推進するための土台を築くことが可能です。
今回ご紹介した情報も参考に、ワークフローシステムを活用したデータの民主化に着手してみてはいかがでしょうか。
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