株式会社大和総研のワークフローシステム導入事例
5年間で累計100万件を超える申請・決裁業務を遂行。所管部門がセルフ運用できるワークフローインフラは、社内の最重要システムに。
国内有数の総合シンクタンクである株式会社大和総研(以下、大和総研)では、社内の申請・決裁業務を展開するインフラとしてAgileWorksを導入。900種類にもおよぶ申請書を電子化し、入力データを活用して様々な業務の効率化・迅速化・リスク軽減に取り組んでいる。
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リサーチ、コンサルティング、システムの相互連携により、 付加価値の高いサービスを提供する大和総研
―大和総研についてご紹介ください。
大和総研は、大和証券グループのシンクタンクです。
・ 多岐にわたる分野に関して、長年蓄積したノウハウと深い洞察力に基づき、調査・分析を行う「リサーチ部門」。
・ 経営を多面的、総合的にサポートする経営ソリューションを提供する「コンサルティング部門」。
・ 大和証券グループ各社向けの情報システムに関して、設計・構築から保守・ 運用に至るまでトータルサポートを提供する「システム部門」。
これら3つの部門を相互に連携させ、付加価値の高い情報サービスとソリューションを提供しています。また、経済、金融資本市場、経済環境等のリサーチ、海外進出を含めた総合的な経営コンサルティングや、証券システムのグローバル展開を結集したビジネスの支援も積極的に展開しています。
全社標準を目指したワークフローシステム
―AgileWorksを導入した経緯を教えてください。
当社ではAgileWorksを導入する以前から、一部の業務で独自ワークフローシステムを利用していました。しかし、当時利用していたシステムは、利用可能な業務が限定されていたり、メンテナンスが難しかったりしたことから、全社標準のワークフローに発展しませんでした。また、全社標準となるワークフローシステムの検討を開始した時点で、400種類もの申請書を紙ベースで処理していました。そこで、以下をテーマとして製品選定に着手しました。
(1) 紙ベースの申請書から、迅速にペーパーレス化が実現可能なこと。
(2) 申請書を所管する部門が、申請書の電子化(申請フォーム)をセルフ運用できること。
(3) 全社標準となる、わかりやすいワークフローシステムであること。
約100の要件項目を設け、ワークフロー市場シェア上位の製品から選定
―導入するワークフロー製品を選定したときの要件を教えてください。
導入する製品を比較検討するための項目は約100項目ありましたが、まとめると「セルフ運用」、「操作性」、「信頼性」という3つのポイントが挙げられます。
【選定要件1】セルフ運用
全社的に導入・活用していくシステムなので、各業務の所管部門が「セルフ運用」できることは重要な選定要件でした。業務に精通している部門でワークフロー化する「セルフ運用」が、短期間で成果を上げるためには必要不可欠と考えました。
【選定要件2】操作性
利用者にとって使い勝手が悪いと使われなくなってしまうので、年齢や慣れ・不慣れに関わらず使える製品が理想的だと考えました。
【選定要件3】信頼性
信頼性が高く、長期的に安心して利用できるシステムであることも必須要件でした。そのため、市場シェア上位5社の製品に絞り込んで検討しました。
―AgileWorksを採用した理由を教えてください。
まず、市場シェア上位5社の製品から、約100項目での比較を行い、2社の製品に絞り込みました。その後、トライアルで実際にシステムを使って、次の4つのポイントを中心に評価してAgileWorksの導入を決めました。
・だれでも違和感なく、申請フォームを容易に作成できること。
・プログラミングなしで、申請ルートや承認ルートの設定が容易にできること。
・Webベースの製品で、社内展開や保守運用が容易であること。
・ワークフローに特化した製品で、導入実績も多くシステムの信頼性が高いこと。
大和総研グループでは900種類の申請を利用、月に2万5千件のペースで処理を遂行
―大和総研におけるAgileWorksの利用状況について教えてください。
社内の申請・決裁業務をペーパーレス化するだけでなく、業務を自動化するための情報基盤としても、5年前からAgileWorksを活用しています。
社内では「Fase(Framework、Anyone、Simple、Easy)」という名称で呼んでおり、約900種類の申請書を大和総研グループで利用しています。処理件数は、現在、月間約2万5千件のペースで推移しており、累計処理件数は100万件を超えました。
―適用している業務を具体的に教えてください。
代表的な適用業務としては、次のようなものがあります。
・各ビルの来客・入館等の申請
・パソコン提供・メールアドレス作成等の申請
・交通費等の申請
・支払・請求・費用関係の申請
・稟議関係の申請
これらの業務は既存業務のペーパーレス化を図ったものですが、さらに承認・決裁されたデータを抽出して、他のシステムへと受け渡して分析・利用しています。
また、AgileWorksのデータを利用して「他システムへの連携指示」や「セキュリティールームの入室申請と利用実績の自動チェック」といった業務の自動化にも取り組んでいます。
それぞれの業務の詳細は次の通りです。
・他システムへの連携指示の自動化
システムの運用管理者は、各部門からの依頼を受けて、他システムへの連携指示のコマンドを実行しています。コマンドの実行内容に誤りなどがあると、他のシステムや業務データに悪影響を及ぼすこともあるため、各開発部門およびシステム管理部門において承認を経てコマンドを実行する手順となっています。
以前は、紙の申請書で承認をしていたので、コマンドを実行する際の構文を運用管理者が手作業で、管理・実行をしており、作業漏れ・作業ミスを防ぐための確認作業などに手間と時間を取られていました。AgileWorksを利用して自動化したことで、作業漏れ・作業ミスの防止、作業の省力化と迅速な実行が可能になりました。
・セキュリティールームの入室申請と利用実績の自動チェック
セキュリティールームの利用には、事前にセキュリティールームへの入室申請が必要となります。まず、このセキュリティールームへの入室申請をワークフロー化しました。また、当初、セキュリティールームの入室申請と利用実績(ログ)との突き合わせを、人的にチェックしていました。今回、この申請データと利用実績(ログ)データをシステム的に突き合わせする仕組みを構築し、突き合わせ業務を大幅に省力化し、リスク管理面の強化、および効率化を図りました。
―申請フォームが約900種類というのは、申請フォームの作成や承認ルートの設定・管理などが大変そうですが、どのように管理しているのでしょうか。
主に業務部では申請フォームの作成や承認ルートの管理を行っていますが、各所管部門の業務で必要なワークフローは、申請フォームの作成から承認ルートの設定までをそれぞれの部門による「セルフ運用」で実施しています。
これが浸透したことで、徐々に適用する範囲が拡大し、結果的に、これだけの申請業務で利用されるまでに至りました。「セルフ運用」を実現できたからこそ、このような多くの申請業務をワークフロー運用に乗せられたと考えています。
自発的に業務がワークフロー化され、社内の最重要システムに
―AgileWorksの導入効果について教えてください。
AgilwWorksの便利さに気づくと自発的に各部門の業務がワークフロー化されるようになりました。Fase、すなわちAgileWorksは、今や大和総研の業務に欠かすことのできないシステムで、「社内の最重要システム」に位置づけられています。本格稼働後、社内の業務効率化に大いに貢献したと認められ、社長賞も受賞することができました。
具体的には次のような効果が出ています。
【効果1】承認・決裁のスピードアップ
承認者の負担が軽減され、承認・決裁業務のスピードアップや自動化が図られました。特に、紙ベースによる申請の異なるビルへの移動がなくなり、申請・承認・決裁の迅速化が図れ大きな成果が上がっています。
【効果2】業務の精緻化
申請書の必須項目の記載漏れや不備が大幅に減り、業務がスムーズかつ正確に遂行されるようになりました。
【効果3】業務の標準化
業務フローや申請フォームに関して、ひな形をベースに作成したり、既存の業務を応用して新しい帳票や業務を展開できるので、業務や帳票の標準化や統一化が進みました。
【効果4】データの活用・連携
承認・決裁されたデータを様々な切り口で検索・抽出できるようになり、他のシステムとの連携やデータの集計・分析も容易にでき活用範囲が広がりました。
現在、申請フォームの見直しを進め、整理・統合を図っています。また、更に申請データを活用した自動化の拡大と、AI技術への活用を展開していきます。
今後の拡張予定とエイトレッドへの期待
―導入時に苦労したことなどがあれば教えてください。
「セルフ運用」を実現するための所管部門へのトレーニングやマニュアルの作成などにはそれなりの苦労もありました。しかし今では、様々な部門で自らの業務をフロー化することができるようになったので、その苦労も報われたと思っています。
―今後の拡張予定があれば教えてください。
さらなる業務の効率化や自動化を促進するように現場をサポートしていきたいと思います。また、承認者の作業負荷軽減や申請・決裁処理のさらなるスピードアップを図るため、モバイルでの利用環境も整備していきたいと思っています。
―エイトレッドへの期待などがあればお聞かせください。
導入時は基本的な使い方や設定に関する問い合わせが多かったのですが、最近はより複雑なことをしようとする際の問い合わせが増えてきました。このように活用フェーズに入ってくると、より高度で複雑な支援をお願いすることになってきますので、エイトレッドのサポートに期待するところは少なくありません。今後ともよろしくお願いいたします。
※ 取材日時 2016年6月
※ 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
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