ビジネスにおける「先祖返り」とは?DXが定着せずExcel・メール運用に戻る原因と解決策
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DXや業務改善を進めるなか、新しいシステムや業務プロセスが定着しないという悩みを抱えていませんか。せっかく導入した仕組みが使われず、以前のExcelやメールに戻ってしまう現象は少なくありません。
本記事では、ビジネスにおける「先祖返り」の原因を紐解きます。人が旧運用に戻る理由を構造的に理解し、定着を促す「仕組みづくり」のポイントを解説します。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- ビジネスで使われる「先祖返り」の意味とは?
- DX担当者を悩ませる「業務プロセスの先祖返り」あるある
- なぜ非合理的な運用に戻るのか?先祖返りが発生する根本原因
- 業務プロセスの「先祖返り」を防ぐ、仕組みづくりの3つのポイント
- 「脱・先祖返り」にワークフローシステムが適している理由
- ワークフローシステムで業務改善を推進した事例
- ビジネスの先祖返りに関するよくある質問(FAQ)
- まとめ
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もうアナログに戻らない!全社を巻き込む変革のポイントは?
こんな人におすすめ
・各種ツールを導入しているが成果に至っていない
・現場でのシステム定着・活用が進まない
・DX推進に対して社内の反発が強い
ビジネスで使われる「先祖返り」の意味とは?
ビジネスシーンで耳にする「先祖返り」には、大きく分けて二つの意味が存在します。それぞれの定義を確認しましょう。
一般的なIT用語としての「先祖返り」
IT分野で使われる「先祖返り」は、更新したはずのデータやシステムが、古い状態に戻ってしまう現象を指します。「デグレード(デグレ)」や「リグレッション」とも呼ばれます。
複数人で同じファイルを編集して上書きしてしまったり、システム改修時に古いソースコードを誤って反映したりすることが主な原因です。この意味での先祖返りは、厳格なバージョン管理で防ぐことができます。
「業務プロセスの先祖返り」とは?
じつは、先述したようなデータ・システムの先祖返りとは別に、業務プロセスにおいても先祖返りが存在します。
たとえば、DXに向けたシステム導入や業務フローの刷新を行ったにも関わらず、新しい運用が現場に定着せず、いつの間にか以前のアナログな運用へ戻ってしまう状況を指します。この「先祖返り」は、ビジネスの成長や業務効率化を阻む大きな壁となりがちであり、注意が必要です。なお本記事では、主に「業務プロセスの先祖返り」に焦点を当てています。
DX担当者を悩ませる「業務プロセスの先祖返り」あるある
業務プロセスの先祖返りは、多くの企業で共通して発生しています。
ここでは、DX推進担当者やバックオフィス担当者を悩ませる、典型的な3つのパターンを紹介します。
SaaSを入れたのに、結局「Excel」で集計・管理している
ひとつめは、せっかく高機能なSaaSを導入したのに、現場では使い慣れたExcelでの運用が続いてしまうケースです。
具体的な例としては、システムからCSVデータをダウンロードし、わざわざExcelでマクロや関数を使って集計し直す「裏Excel」が横行します。結果として、データの一元管理ができず、業務工数も削減されません。
チャットやシステムで完結するはずが、メールや口頭での承認に戻る
ふたつめは、申請から承認までシステム上で完結する運用にしたはずが、気づけば以前のやり方に戻っているケースです。
「システムを見落とすから」「口頭の方が早いから」といった理由で、結局メールで補足連絡を入れたり、口頭で念押ししたりする手間が発生します。システム導入のメリットが薄れてしまう典型例と言えるでしょう。
AIツールや自動化を導入したが、気づけば手作業に頼っている
RPAなどの自動化ツールやAIを導入したものの、エラー対応や目視チェックの手間がかかりすぎるケースです。システムを信頼しきれず、結局人間が手作業でダブルチェックを行うようになります。「自分でやった方が早いし確実だ」という現場の声に押され、自動化の取り組みが頓挫してしまいます。
なぜ非合理的な運用に戻るのか?先祖返りが発生する根本原因
なぜ多くの企業において、より効率的なはずの新しい運用を手放し、一見非合理的な旧運用へ戻ってしまう現象が起こるのでしょうか。
こうした業務プロセスの先祖返りが起きると、「現場のITリテラシーが低い」「新しいものへの抵抗感が強い」と考えてしまいがちです。しかし、根本的な原因は人ではなく「仕組み」にあります。現場にとって新しい運用が「使いづらく、メリットを感じない仕組み」になっていることが、先祖返りの本質的な理由です。
原因1:人が「考えなければいけない」余白が残っている
新しいツールの操作手順やデータ入力ルールが複雑だと、現場の認知負荷が高まります。
「どの画面から入力するのか」「この項目の意味は何か」といちいち考えなければならない仕組みでは、人は疲弊します。その結果、何も考えずに作業できる、慣れ親しんだ旧運用へと戻ってしまうのです。
原因2:例外処理(イレギュラー)に対応できる柔軟性がない
多くのシステムは、標準的な業務フローを前提に設計されています。しかし実際のビジネスシーンでは、イレギュラーな事象がたびたび発生します。
導入したシステムがイレギュラーの発生を前提とした設計になっていない場合、例外処理に対応することができず、システム外でのアナログな対応(電話やメール)に戻らざるを得なくなります。
原因3:責任の所在・承認ルートが曖昧で不安が生じる
新しい仕組みに移行したことで、かえって承認プロセスが見えにくくなるケースがあります。とくに、通常の業務フローはシステム上で処理、先述したようなイレギュラー対応においては従来の紙やメールで対応、といった形でプロセスが分散すると、責任の所在や承認ルートが曖昧になってしまいがちです。
このように、責任の所在や承認ルートがブラックボックス化すると、現場は不安を覚え、確実性を求めて旧運用に戻ろうとする心理が働きます。
業務プロセスの「先祖返り」を防ぐ、仕組みづくりの3つのポイント
ビジネスにおける先祖返りを防ぐためには、人に頼るのではなく、仕組み自体をアップデートする必要があります。ここでは、先祖返りを防ぐ具体的な3つのポイントを解説します。
1.「人が考えなくても進む」強制力のある動線を作る
現場の認知負荷を下げるため、迷わず操作できる動線を設計しましょう。具体的には以下の工夫が有効です。
- 入力必須項目の制御:抜け漏れを防ぎ、後からの確認作業をなくす。
- 選択式の入力フォーマット:自由記述を減らし、入力の手間を省く。
- システムによる業務進行:システムを使わないと次の工程に進めないよう、強制力を持たせる。
2.状況に応じた判断・例外ルートをあらかじめシステムに組み込む
イレギュラーが発生した際にもシステム内で完結できるよう、例外ルートを事前に定義しておくことが重要です。「金額が〇〇円以上の場合は上位承認へ」「急ぎの場合はこのルートへ」といった条件分岐をシステムに組み込みます。現場にその都度判断させない設計が、先祖返りを防ぎます。
3.スモールスタートで現場の心理的ハードルを下げる
新しい仕組みを導入する際は、影響範囲の小さい一部の部門や、シンプルな業務からスモールスタートさせましょう。いきなり全社で一斉導入すると、混乱を招き反発を生みます。
まずは小さな成功体験を積み重ね、「新しい運用の方が圧倒的に楽だ」と現場に実感してもらうことが、定着への近道です。
「脱・先祖返り」にワークフローシステムが適している理由
ここまで「先祖返り」を防ぐ仕組みづくりのポイントを解説しましたが、具体的に何から始めればよいか迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、ワークフローシステムの活用です。ワークフローシステムとは、社内で行われる業務手続きを電子化するツールで、近年多くの企業で導入が進められています。
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では、ワークフローシステムが「脱・先祖返り」に有効な理由を見ていきましょう。
複雑な業務プロセスと条件分岐をシステム上で可視化できる
ワークフローシステムは、自社の業務プロセスをそのままシステム上に再現できます。
組織図や職務権限をシステム上に反映し、業務手続きの種類や内容に応じて承認ルートを自動判別することができるので、現場は「誰に回せばいいか」を考える必要がありません。
また、金額や役職に応じた条件分岐や、承認者不在時の代理承認といったルールを設定できるため、イレギュラーを前提とした仕組みも構築可能です。
責任の所在と承認履歴が明確になり属人化を解消
ワークフローシステムでは、「いつ、誰が、何を承認したか」という証跡が履歴としてすべて記録されます。
承認の進捗状況もリアルタイムで可視化されるため、属人化を防げます。責任の所在が明確になることで、現場の不安が払拭され、旧運用への回帰を防ぐことができます。
他のSaaSや社内システムと連携し、入力の二度手間を防ぐ
ワークフローシステムには、ERPや会計システム、チャットツールなど、さまざまなシステム・ツールとの連携が可能な製品も存在します。申請データがそのまま他システムに連携されれば、処理後のデータをわざわざExcelに転記して集計したり、他システムに入力しなおしたりといった手間がなくなります。
これにより、業務の効率化・自動化が促進され、プロセス全体の最適化を実現します。
ワークフローシステムで業務改善を推進した事例
ワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」を導入して、業務改善を推進した事例をご紹介します。
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停滞していたペーパーレス化が加速(鈴与商事)
鈴与商事株式会社は、「X-point Cloud」を導入し、停滞していたペーパーレス化の推進および保守運用作業の内製化を実現しました。
「X-point Cloud」の導入以前、同社ではワークフローシステムを利用していたものの、適用範囲はバックオフィス系の申請書のみで、それ以外の帳票については紙ベースでの運用が続けられていました。残存する紙ベースの業務が業務効率化の妨げとなっていただけでなく、既存ワークフローシステムの保守運用は外部パートナーに委託していたため、コストの増大にもつながっていました。
そうしたなか、既存システムのサポート終了を機にワークフローシステムの刷新を決定。製品選定の結果、ノーコードで申請書や承認ルートを設定できる「簡易性」と、クラウド製品のためシステム導入が容易な「手軽さ」を評価し、「X-point Cloud」の導入を決めました。
「X-point Cloud」の導入後、停滞していたペーパーレス化が全社的に加速。既存システムで運用していた約50種類の申請書に加え、新たに約60種類の紙の申請書が「X-point Cloud」に移行され、全社的なペーパーレス化が大きく進展しました。
従来4~5日を要していた決裁期間が最短即日に短縮されるなど、業務効率化と意思決定の迅速化を実現。また、以前は外部委託していた保守運用も一部を除き内製化が実現しており、保守運用費の削減にもつながっています。
約2,000万円のコスト削減を実現(えがお)
株式会社えがおは、「AgileWorks」を導入して、ペーパーレス化の範囲拡大や保守作業の内製化に取り組み、約2,000万円のコスト削減を実現しました。
「AgileWorks」の導入以前、同社では経費精算などの金銭が絡む申請をワークフローシステムで運用していたものの、組織改編のたびに外部パートナーに改修依頼をしなければならず、コスト面でも対応スピードの面で課題を感じていました。また、旧システムは同社の組織構造や承認経路を再現することが難しく、機能面でも不満を抱えている状況でした。
こうした状況は同社のペーパーレス化の妨げとなっていたことから、既存システムのリプレイスを決断。役職の兼任や空位などに対応する柔軟性や、ノーコードで構築可能なメンテナンス性を評価し、「AgileWorks」の導入を決めました。
導入にあたり、拡大期に適した社内規定への変更、そして他システムとの連携を実施。手作業で行っていたデータ連携を自動化する仕組みを構築しました。
「AgileWorks」導入後、課題が多かった従来の申請業務は大きく改善。外部委託していた保守運用を段階的に移管し、運用開始から数年で完全内製化を実現しています。また、30種類以上の申請業務がAgileWorksで運用されるなどペーパーレス化が大きく進展し、意思決定の迅速化にも寄与。同社の試算によれば、システム運用の内製化やペーパーレス化に伴う業務効率化により、約2,000万円のコスト削減効果が表れています。
ビジネスの先祖返りに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、ビジネスシーンで起こりがちな、業務プロセスの先祖返りに関するよくある質問とその回答について、改めて整理していきましょう。
Q1: 業務プロセスの先祖返りとは何ですか?
A1:業務プロセスの先祖返りとは、新しいシステムや運用が現場に定着せず、以前のExcelやメールなどのアナログな運用に戻ってしまう状況のことです。
Q2: 業務プロセスの先祖返りの具体例は?
A2: SaaS導入後も裏でExcel集計を続ける、システム完結のはずがメールや口頭で承認・連絡する、AIや自動化を入れたのに結局手作業でダブルチェックする、といったパターンが代表的です。
Q3: なぜ以前のアナログな運用に戻るのですか?
A3: 現場のITリテラシーの問題ではなく、「仕組み」に根本原因があります。操作が複雑、例外処理に対応できない、承認ルートが曖昧で不安が生じるなどが主な理由です。
Q4: 先祖返りを防ぐ仕組みづくりのポイントは?
A4: 迷わず操作できる強制力のある動線を作ること、例外ルートをあらかじめシステムに組み込むこと、そして小さな業務からのスモールスタートで現場の心理的ハードルを下げることの3点です。
Q5: 先祖返り防止に有効なツールはありますか?
A5: ワークフローシステムがおすすめです。複雑なプロセスや条件分岐の可視化、承認履歴の明確化による属人化の排除、他システム連携による入力の手間削減により、定着を促進します。
まとめ
今回は、ビジネスにおける「先祖返り」について解説しました。
先祖返りと聞くと、ITシステムやデータが古い状態に戻ってしまう現象をイメージしがちですが、業務プロセスにおいても発生しがちです。そして、業務プロセスの先祖返りは、DX推進や業務改善を停滞させ、組織の成長を阻みます。
業務プロセスの先祖返りを防ぐには、ITシステム・ツールや従業員のリテラシーではなく、仕組みを見直すことが不可欠です。
新しいシステムや業務プロセスが定着しない、いつのまにかExcelやメールによる運用に戻ってしまう、といったお悩みを抱えている方は、ワークフローシステムで「脱・先祖返り」の仕組み作りを検討してみてはいかがでしょうか。
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。





