組織図とは？役割や種類、作り方のポイントまでわかりやすく解説！

事業活動を行う上では、人材を適切に配置し、効率的かつ健全に事業を行える体制を整えることが大切です。そして、組織の内部構造を整理・可視化するには、「組織図」を作成することが有効です。

一方で、
「そもそも組織図とは？」
「組織図を作る方法・手順は？」
「組織図の作成に役立つツールはある？」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、組織図の基礎知識から作成方法、役立つツールまでわかりやすく解説します。組織図を変更する際に生じる課題を解消するソリューションも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

組織図とは？

組織図とは、企業などの組織における内部構造を体系的に図式化したものです。

組織図を作成することで、組織を構成する各部署・部門の役割や関係性、指揮系統など、組織の全体像が可視化されます。

組織図にどのような情報を盛り込むかは目的や用途によって異なり、部署・部門レベルで図式化するケースや、従業員レベルで詳細な情報を網羅するケースもあります。

組織図の役割

次に、組織図が果たす役割について見ていきましょう。

役割や関係性の可視化

組織図を作成することで、組織の内部構造が可視化され、従業員は自身の役割や立ち位置、ほかの部署・部門との関係性を認識しやすくなります。

役割が明確化するため従業員のパフォーマンスが向上したり、部署・部門間の連携・協力が円滑になり、組織全体の生産性向上にもつながります。

指揮系統の明確化

組織図の作成は、指揮系統の明確化にもつながります。

結果として、意思決定や戦略実行のスピードが向上するとともに、責任の所在が明確になることで組織運営の透明性・健全性も高まります。

情報伝達の円滑化

部署・部門の役割や関係性の可視化、指揮系統の明確化により、円滑な情報伝達が可能になり、伝達の抜け漏れも生じにくくなります。

人材配置の最適化

組織図を作成し、各部署・部門の役割や関係性、従業員の配置状況を可視化することで、人員の過不足状況や配置の適正性について評価しやすくなり、人材配置の最適化につなげることが可能です。

組織図の種類

組織体制によって組織図の形式は異なりますが、ここでは代表的な組織図の種類として以下の3つをご紹介します。

ピラミッド型（階層型）

ピラミッド型は、社長や取締役会などのトップから下に向かって枝分かれしていくツリー状の組織図です。階層がはっきりと分かれることから、階層型とも言われます。

階層の分け方は、「部長⇒課長⇒係長...」といった役職順で分けるパターンのほか、「部門⇒部署⇒チーム...」のような形で分けるパターンもあります。ピラミッド型の特徴としては、指揮系統が縦割りであり、責任の所在が明確になりやすい点を挙げることができます。一方で、階層が増えるほど情報伝達に時間がかかりがちで、現場の情報が上層部に伝わりにくくなります。

フラット型

フラット型は、ピラミッド型と同様にツリー状の組織図ですが、階層が少ないのが特徴です。「社長⇒マネージャー⇒従業員」や「社長⇒従業員」のように2～3階層であることが多く、現場の裁量権が大きくなります。

上層部から現場の距離感が近いため迅速な情報伝達が可能ですが、一人ひとりの責任範囲が広いため負担が大きくなりやすいとも言えます。

マトリックス型

マトリックス型は、複数の要素の掛け合わせによって構成される組織図です。

一般的には、縦軸にプロジェクトやエリア、横軸に職務という形で図式化されます。プロジェクトやエリア、職務を超えてクロスオーバーするため、イノベーションが生まれやすい点が特徴です。一方で、従業員は縦軸・横軸の2要素で管理者が存在するため、指揮系統が曖昧になりやすいという欠点も存在します。

組織図の作り方

次に、組織図の作り方を以下の6ステップにわけて紹介していきます。

1.目的の明確化

まずは組織図を作成する目的を明確にしましょう。

ここで目的を明確化していないと、組織図の対象範囲や収集する情報の種類が定まらず、形骸化してしまう恐れがあります。

社内向けなのか社外向けなのか、どのような用途で活用するのか、といった点を整理したうえで、組織図作成の目的を明確にしておきましょう。

2.作成範囲の決定

組織図作成に当たり、組織のなかでどこまでの範囲を網羅するのかを決定します。

社内全体を網羅した組織図だけでなく、目的や用途によっては部署・部門など限られた範囲の組織図を作成することもあるでしょう。また、組織図作成の目的を達成するにはどのような情報が必要になるのかも、この段階で明確にしておく必要があります。

3.情報収集

組織図の範囲や必要な情報が決まったら、情報収集に移ります。

情報の収集状況を簡単に確認できるように、Excelなどの表計算ソフトでリストを作成し、収集した情報を入力していく方法がおすすめです。組織図の対象範囲が広い場合には、部署・部門などの単位で担当者を選出し、部署・部門ごとにまとめて情報収集すると効率的です。

4.形式の決定・作成

自社の現在の組織体制に応じて、組織図の形式を選択します。

組織図の形式が決まったら、実際に組織図を作成していきます。基本は大項目（上層）から小項目（下層）に向けて細分化して作成していくのが一般的です。

また、同じ階層の従業員を羅列する際は、入社日順や五十音順など、規則性を統一することで抜け漏れを防止することができます。

5.デザイン・レイアウトの調整・完成

一通りの情報を入力し終わったら、デザイン・レイアウトを調整して完成です。

とくに大規模な組織の場合、内部構造が複雑になりがちで、一目見ただけでは組織の全体像を把握しにくい場合があります。

構成要素の配置やサイズ、色やフォントなどを調整して、直感的に内容を理解できるような工夫をしましょう。

6.見直しと更新

一度作成した組織図は、組織の規模や体制の変化に応じて更新していく必要があります。

組織図と実際の組織体制に乖離があると、指揮系統が正常に機能しなかったり、情報伝達に抜け漏れが生じたりと、さまざまな弊害を招く恐れがあります。

作成した組織図は定期的に見直しを実施し、実際の組織体制と乖離がないかチェックし、必要に応じて都度更新を行いましょう。

組織図の作成に役立つツール

ここでは、組織図の作成に役立つツールとして以下の3つをご紹介します。

Googleスプレッドシート

Googleスプレッドシートは、Googleが無償で提供している表計算ソフトです。

Googleのアカウントさえあればコストを掛けずに利用することができ、複数人による同時編集も可能なので、組織図の作成を複数のメンバーで行う場合に便利なツールだと言えます。

Microsoft Office

Microsoftが提供するOfficeソフト「Word」「Excel」「PowerPoint」のSmartArt機能も、組織図の作成に活用可能です。組織図に適したテンプレートが複数用意されているため、自社の組織体制にあわせて利用することができます。

人事システム

人事システムや人事管理システム、タレントマネジメントシステムなどと呼ばれる、人事領域に特化したシステムを利用するのも一策です。

先述した2つのツールは汎用型のツールですが、人事システムは人事領域に特化しているため、組織図を効率的に作成するのに役立つ機能が充実しています。

組織図の作成・運用のポイント

次に、組織図の作成・運用におけるポイントを確認していきましょう。

組織図の目的を意識する

作り方の章でも触れましたが、組織図を作成する際はその目的を明確にすることが大切です。「どのような用途で使うのか」、そして「組織図を確認することでどんな情報を得られるのか」という点を明確にしておかないと、せっかく組織図を作っても有効活用することができないでしょう。

組織図を企業活動に役立てていくためにも、あらかじめその目的を明確にしてから作成に着手するようにしましょう。

将来を見据えて作成する

組織図は、現在の状況だけでなく、将来を見据えつつ作成することが大切です。

現在の組織体制だけに目を向けて組織図を作成してしまうと、従業員の増減や部署部門の新設・統廃合といった体制の変化に柔軟に対応することができず、大幅な修正が必要になってしまう可能性があります。

更新に関する規程を定めておく

組織図の更新に関する規程を定めておくことも重要です。

組織改編や人事異動などを実施する際、「誰（どの部門）がいつまでに組織図を更新するのか」という点を決めておかないと、「実際の組織体制は変わったのに組織図は更新されていない」といった状況に陥ってしまう可能性があります。

このような事態を防ぐためにも、組織図の更新に関する規程をあらかじめ用意しておくべきだと言えるでしょう。

組織図の変更が業務に及ぼす影響

これまでにもお伝えした通り、企業活動においては、事業の拡大や縮小、経営方針の転換、外部環境の変化など、さまざまな理由から組織図の変更が必要になる場面が訪れます。

組織の持続的成長を目指すうえで組織図の変更はつきものですが、組織図を変更する作業自体はもちろん、組織図変更に伴い人事システムや労務管理システム、給与システムなどの設定変更が必要になるなど、業務に少なくない影響を及ぼします。

なかでも、組織図の変更によって大きな影響を受けるのが、社内で日々行われている各種申請や稟議といった手続き業務です。

基本的に、社内で行われる手続きは、組織図および職務権限規程に基づき、然るべき承認・決裁を経て処理されなければなりません。そして、これらの手続きの多くは日々途切れることなく発生するため、組織図変更の際は新しい組織図に対応する手続きフローへと同時に切り替える必要があるのです。

組織図の変更にスムーズに対応するワークフローシステム

ただでさえ業務負荷が高くなる組織図変更のタイミングで、日々の手続き業務を遅滞・停止させないためにはどうすればよいのでしょうか。

そこで役立つのが、社内で行われる各種申請・稟議といった手続きを電子化するワークフローシステムです。

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ここでは、組織図の変更にスムーズに対応可能なワークフローシステム「AgileWorks」をご紹介します。

組織図をシステム上に反映

ワークフローシステムを導入する際は、システム上に組織図を再現し、適切な承認ルートで手続きが実行されるように設定を行います。つまり、ワークフローシステム導入の過程で、組織体制や職務権限規程が整理・可視化されるのです。

AgileWorksであれば、GUIベースのUIで直感的に組織図を再現していくことができ、複雑な組織体制であっても適切な承認ルートで手続きが実行される仕組みを構築可能です。

また、保存した組織図のデータは履歴として保存されるため、必要に応じて過去の組織図を参照することもできます。

組織改編・人事異動時に役立つ機能を搭載

「AgileWorks」は、組織改編・人事異動時の作業負担を解消する機能が備わっています。

そのひとつが、「未来の組織図」をシステム上に登録できる「先付けメンテナンス機能」です。変更予定の組織図を事前にシステム上に構築できるので、組織改編・人事異動を実施する前から段階的に作業を進めることが可能です。

また、「AgileWorks」は「ステージング環境（検証環境）」を利用できるため、事前に登録した未来の組織図が正常に機能するかどうかを確認することができます。

これにより、新たな組織図での不具合やシステム停止といったリスクを低減しつつ、組織改編・人事異動のタイミングでスムーズに新たな組織図へと切り替えることが可能です。

システム連携で業務を効率化

「AgileWorks」は、他システム・ツールと連携することで業務効率化の範囲を拡張していくことができます。

たとえば人事システムと連携することで、人事関連のマスタデータの受け渡しが可能になり、組織改編・人事異動時の設定変更に関わる入力・転記作業を自動化することが可能です。そのほか、会計システムや給与管理システム、入館システム、契約管理システム、グループウェアなど、さまざまなシステム・ツールと連携することで、各システム・ツールで行われていた手続きをワークフローシステム上に集約することができ、マスタ管理の一元化や定型作業の自動化などにつなげることができます。

組織改編・人事異動へのスムーズな対応を実現した事例

最後に、「AgileWorks」を活用して組織改編や人事異動へのスムーズな対応を実現した事例をご紹介します。

複雑な組織をAgileWorks上で再現（刈谷豊田総合病院）

医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院は、「AgileWorks」の導入により各種帳票のペーパーレス化と業務効率化を実現しました。

電子カルテや医療系システムの導入など、かねてより医療現場におけるデジタル化を推進してきた同病院ですが、事務・管理業務においては紙帳票が使われており、回付や転記作業などに多大な労力が費やされていました。一部の帳票についてはグループウェアのワークフロー機能でペーパーレス化していたものの、メンテナンスに専門知識が求められ、帳票の新規作成や改修の際には外部ベンダーへの依頼が必要でした。そこで同社は既存のグループウェアは残しつつ、ワークフロー機能のみ専用のワークフローシステムへと移行する方針を決定。約2,500名という大規模組織に適した同時接続数ごとの課金形態である点、そして医療機関としての厳格なセキュリティ要件を満たす点などを評価し、「AgileWorks」の導入を決めました。

導入にあたっては、組織構造をいかに適切に設定するかが大きなポイントに。同病院の人事システムでは職員の個人資格を表す「職制」と組織内における役割を表す「役職」という2つの項目が存在しており、従来は明確な使い分けがなされていませんでした。これら2つの項目を分離して人事マスタ連携を行えるようにしたことで、複雑な組織構造をAgileWorks上で再現することに成功し、毎月の人事異動のメンテナンス作業も効率化しています。

また、現在では豊田会のほぼすべての職員が「AgileWorks」を利用できる環境となっており、運用開始から半年間での申請数は約10,000件にのぼるなど、組織運営に欠かせないシステムへと成長しています。

深夜までかかっていた組織改編の作業を解消（トプコン）

医（ヘルスケア）・食（農業）・住（建設）の3分野でDXを推進する株式会社トプコンは、ワークフローシステム「AgileWorks」の導入で開発業務の標準化や経費申請の効率化を実現しました。

29の国と地域に拠点を展開する同社では、国ごとにITインフラや業務システムが異なるために、情報共有や意思決定に遅れが生じることが少なくありませんでした。また、当時利用していたワークフローシステムはスマートフォンなどのマルチデバイスに未対応で、保守運用の属人化や作業工数の増大も課題となっていました。

こうした課題からの脱却を図り、同社はワークフローシステムのリプレイスを検討開始。複数製品を比較した結果、属人化解消や開発業務の内製化に効果が期待できる直感的なUI、そして組織改編時の課題解消に有効な「先付けメンテナンス機能」を有している点を評価し、「AgileWorks」の導入を決めました。とくに、同社では組織改編の際、日付が変わる深夜まで作業を行うことも多かったことから、未来の組織図を作成できる「先付けメンテナンス機能」の存在は導入の後押しとなりました。

現在、同社では約300部署、約1,900人のユーザーに「AgileWorks」が展開されており、スマートフォンからの申請・承認が可能になったことで組織運営の円滑化や意思決定の迅速化が実現。たとえば経費精算においては月間143時間の業務削減効果が表れています。

さらに、保守運用の面でも顕著な効果が生まれています。直感的なUIにより開発業務の属人化が解消され、新たなメンバーでもワークフローの作成や組織図の変更を行うことが可能に。「先付けメンテナンス機能」によって深夜までかかっていた組織改編時の作業が解消されたほか、従来は40時間ほど要していた開発工数が8時間ほどに短縮されるなど、大きな成果を実感されています。

「未来の組織図」でシステムの停止や不具合のリスクを低減（グロップ）

総合アウトソーシングサービスを手掛ける株式会社グロップは、紙ベースで行っていた申請業務を変革するためワークフローシステム「AgileWorks」を導入しました。

同社では従来、社内で行われるほぼすべての申請業務を紙の申請書で行っており、紙ベースの業務フローは事業が拡大するにつれて組織運営の足枷となっていました。とくに、同社では全国60ケ所以上に拠点を展開しており、地方拠点から申請書を回収して処理するのに多大な人的工数が割かれてました。

そうしたなか、2019年ごろから経営層主導による業務改善プロジェクトが始動し、社内で業務効率化の機運が上昇。かねてより社内で期待されていたワークフローシステムの導入に向けて動き出すこととなりました。

製品選定の結果、紙の申請書のイメージをシステム上で再現することができるほか、「未来の組織図」を作成できる「先付けメンテナンス機能」を有している点、他システムとシームレスに連携可能な点などが決め手となり、「AgileWorks」の導入に至りました。とくに、同社では組織改編を毎年度実施しており、「先付けメンテナンス機能」によって組織改編の期日前から保守作業を進めることができる点が高い評価につながりました。

現在、同社では、社内の全部門である約20事業部および5社の子会社にAgileWorksを展開。印刷や押印による承認、原本の郵送などが不要になり、全国どこの事業所からでもスムーズに申請業務を行うことが可能になりました。また、システム連携により入力作業の負担が軽減され、申請書の承認後には各種システムにデータが自動連携される仕組みも構築。

さらに、毎年度実施される組織改編においても、「先付けメンテナンス機能」を活用することでシステム停止や不具合のリスクを軽減することに成功しています。

まとめ

今回は、組織図の基礎知識から作り方、作成・運用のポイントを解説しました。

組織図を作成・活用することは、円滑かつ健全な組織運営につながります。とくに、組織規模が大きくなるほど

一方で、組織改編や人事異動などの際には組織図を変更する必要があり、各種システムの設定変更に多くの工数を要してしまうケースが多々あります。

記事内でご紹介した「AgileWorks」はシステム上で組織図を作成することができ、「先付けメンテナンス機能」や「ステージング機能」により、組織改編・人事異動などで組織図に変更が生じる際もスムーズに対応することが可能です。

組織図の作成・運用や、組織改編・人事異動時の負担に課題を感じている方は、ぜひ「AgileWorks」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。