これからの働き方を考える

変革し続ける組織「ワークフロー経営」を目指して

変革し続ける組織「ワークフロー経営」を目指して

前回の所長コラムでは、全社的かつ本質的な変革をもたらすワークフローシステムを、DXの最初の一歩として導入するアクション「ファーストDX」として、これまでとは別の観点から改めてご紹介しました。

本稿ではファーストDXとしてワークフローシステムを導入後、目指していきたい組織像、経営のあり方を提唱したいと思います。その名も「ワークフロー経営」です。

ワークフロー経営は、単にワークフローシステムを導入しただけで実現されるものではありません。以下ではワークフローシステムと一緒に作り上げるワークフロー経営の特徴についてお伝えしていきます。

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ワークフロー経営を提唱する背景

ワークフロー総研を運営しているから、そしてワークフローシステムを開発・提供しているから「ワークフロー経営」を提唱するわけではありません。ワークフローシステムのそもそもの存在意義を振り返ると、今の日本の働き方に必要なエッセンスがたくさん盛り込まれているのです。

2020年から世界中がコロナ禍にみまわれ、日本国内外のあらゆるビジネスがその影響を受けました。非対面・非接触、ソーシャルディスタンスの確保が普段の生活のみならず事業継続のためにも求められたわけですが、この対策は日本のデジタル化の遅れを露呈させました。物理的なハンコがなければ仕事が進まない「ハンコ問題」はその代表例でしたよね。

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しかし、デジタル化の遅れは今に始まったことではありません。もっと前からIT人材不足の課題はありましたし、同時に生産性の低さ、長時間労働といった問題も表面化してきており、日本のデジタル化は急務であると言われてきました。

コロナ禍は元々解決すべきだった課題を、企業に対して改めて突きつけたと言っていいでしょう。

これまでの所長コラムでワークフローはDXのみならず、企業文化も変革する手段であるとお伝えしてきたつもりです。

今回のような新型感染症のみならず天変地異による災害、社会情勢の変化を受け、自社が展開するビジネスをどのように環境や市場にあわせて最適化させ、成長させていくのか。さらにはスピード感を持って実施していけるかといったテーマは、今日の社会において重要性を増しています。

DXを実現し、組織変革のための行動を支えるシステムやツール、そしてそれらを活用して状況に応じ自らを変化し続けられる体制は、今まさに求められる経営です。最適化し続ける経営体制、ワークフロー経営は現代における経営の最適解の一つと言っても過言ではありません。

ワークフロー経営が体現されるには?

ではワークフロー経営が体現されるためには、どういった変化が必要なのでしょうか。DXの変革目的でもある社内の1.業務、2.組織、3.プロセス、4.企業文化・風土、5.1〜4以外、の5つの観点からご説明していきます。

1.業務で起きる変化:形式知が増えている

ワークフローシステムを使うと一人ひとりの業務が見える化されます。結果、それぞれが持つノウハウが、暗黙知から形式知となって組織内に共有されていきます。組織異動や退職などで引き継ぎができず業務に支障が出ることはありませんし、後から参画する人がより早く成長できる環境が整います。

2.組織で起きる変化:現場、管理職、経営の距離が近い

企業規模が大きくなればなるほど、組織構成が階層化され、現場と管理職、経営の距離がどんどん離れていってしまうことがあります。しかし、ワークフローの考え方が社内に浸透していると、状況に応じて現場から経営層までが最短距離でつながっています。

3.プロセスで起きる変化:属人化を脱している

業務プロセスの見える化によって、業務は平準化・効率化されていきます。業務全体で抜け漏れ、無駄ムラが見えるようになるためです。業務で起きる変化とともに、属人化を脱することができるのです。

4.企業文化・風土で起きる変化:オープンな組織

ワークフローは誰もが、いつでも、どこからでも起案、上申できる仕組みです。アイデアが誰にでも見える形で社内に共有され、ディスカッションできるようになるため、オープンで風通しの良い組織風土が形成されます。

5.その他に起きる変化:本業に集中できる組織

効率化によって空いたリソースは、本業に集中できる時間に充てられます。アイデアが生まれ、共有されやすい土壌があるため、新企画・新規事業が進みやすくなることが期待できます。このような状態を継続できれば結果的に事業成長と企業文化の成熟につながります。

5つの変化が組み合わさった組織はどうなるのか

1.業務、2.組織、3.業務プロセス、4.企業文化・風土、5.1〜4以外、の5つの観点で、ワークフローシステムで起きる変化を分解してお伝えしました。それらの変化は、ワークフロー経営と呼ぶ3つの状態を実現します。以下で、ワークフロー経営の3つの特徴をお伝えします。

ワークフロー経営の特徴①:一枚岩の組織

現場、管理職、経営の距離が近く、同じ目標に向かって結束している状態を目指します。いざというときに素早い経営判断と具体的な行動の実施ができるのは、一枚岩の組織ならではです。しかし一枚岩といっても、旧来のピラミッド型の階層組織を想定しているわけではありません。

むしろ部署や役職ががっちりと固められて変えられない組織はリスクであると言えます。状況に応じて様々な部署や役職の人が集まりコラボレーションできるような、有機的に強固につながっている組織を想像してください。同じ目標に向かいながら、必要に応じて組織の最適な人材の能力を余すことなく発揮できれば、組織全体の価値は、個の総和以上に引き出されます。

ワークフロー経営の特徴②:迅速な情報共有・意思決定

社内で個々人が持っている情報量に差がありませんか?そのような状況は意思決定の質が落ちますし、組織内の人間関係にも良くない影響を及ぼしかねません。

情報化社会において迅速な情報共有と意思決定は組織の成長において不可欠です。チャットツールや社内ポータルを使うこともできますが、情報がバラバラに蓄積され、検索性が落ちてしまうのは本末転倒です。

ワークフローは情報を一元管理できて、同時に内部統制も強化することができます。

ワークフロー経営の特徴③:変化適応とイノベーティブな組織

これまでの①、②の特徴を掛け合わせると、変化に強く、かつイノベーティブな組織が生まれます。誰もが発言権を持ち、随時環境の変化に合わせて迅速に行動できる組織は、困難が生じても柔軟に受け止め、より幅広い選択肢から意思決定できるでしょう。

それが組織の可能性を広げ、個人も組織もより多くの学びを得て成長していけるようになるのです。

ワークフロー経営を体現したその先には

ワークフローシステムで実現する、ワークフロー経営の特徴を3つお伝えしましたが、詰まるところ、ワークフロー経営を体現すると、組織はビジネス環境の変化や自然災害などの混乱や危機を乗り越え、繁栄・​存続していく適応力を手に入れられることと同義だと考えています。

現に、脱ハンコなどデジタル化をうまく進められた企業は、今回のコロナ禍でも社員・お客様の健康を守りながら事業継続できています。BCP(事業継続計画)の見直し、強化が叫ばれた一年でもありましたが、そのためには環境への適応力を高めることが必須であり、それはワークフローシステムを基盤とした経営体制・ワークフロー経営を体現することであると考えています。

働き方改革、DXなどバズワードが飛び交う昨今ですが、どの企業も本質的にはリスクに強く、持続的成長が期待できる組織になることが目標のはずです。今回お伝えしたワークフロー経営はあくまで理想像の一つではありますが、目指すべき姿として皆さんのご参考になれば幸いです。

ワークフロー総研所長 岡本 康広
この記事を書いた人 ワークフロー総研所長 岡本 康広

ワークフローシステムを開発・提供する株式会社エイトレッドの代表取締役社長も務める。ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いから、ワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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