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与信とは?与信管理の方法やよくある課題、効率化に役立つITシステムを紹介!

与信とは?与信管理の方法やよくある課題、効率化に役立つITシステムを紹介!

ビジネスシーンでは、新たに取引を始める際などに「与信」や「与信管理」といったキーワードを耳にする機会が多くあります。

しかし、
「そもそも与信とは?」
「なぜ与信管理は重要なの?」
「与信管理の方法や手順は?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、与信や与信管理の意味や重要性、方法やよくある課題についてわかりやすく解説します。

与信管理システムや代行サービスを利用するメリットや注意点、与信管理の効率化に役立つITシステムも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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与信や与信管理の意味

与信や与信管理の意味

まずは、与信や与信管理という言葉の意味について確認していきましょう。

与信とは?

与信(よしん)とは、商取引において取引相手に信用を供与することを指します。

企業が行う取引では、商品・サービスを先に納品・提供し、後から代金を請求・回収するケースが多々あります。

このような取引形態は「与信取引(信用取引)」と呼ばれ、売上計上されているものの未回収の代金(回収予定の代金)のことを「売掛金」と言います。

そして、売掛金を回収できるかどうかという点において、与信取引は取引相手の支払い能力や意思に依存していると言えます。

つまり、与信取引は期日までに代金が支払われる(売掛金を回収できる)という「相手方への信用」の上に成り立っている取引形態であり、この「相手方への信用」こそが「与信」なのです。

与信管理とは?

与信管理とは、与信取引(信用取引)におけるリスクを管理することを指します。

先述の通り、与信取引は取引相手の支払い能力や意思に依存する部分が大きい取引形態です。

取引相手を選ばずに与信取引を行っていると、売掛金を回収することができずに損失が生じてしまう可能性も十分にあり得ます。

このようなリスクを抑制するために、取引相手の情報収集を行い信用力を判定し、取引の可否や取引の限度額などをコントロールすることこそが「与信管理」です。

なお、与信管理に付随して取引相手の情報収集を行うことを「与信調査(信用調査)」、収集した情報をもとに与信限度額を決定する社内審査のことを「与信審査」と言います。

与信管理の重要性

与信管理の重要性

与信や与信管理の意味についてお伝えしましたが、その重要性についていまいち理解できていないという方もいらっしゃるかもしれません。

次は、与信管理を行うことの重要性について詳しく確認していきましょう。

与信管理の重要性

  • 与信管理の重要性
  • 資金繰りの安定化
  • 貸し倒れや連鎖倒産の防止
  • 企業としての信頼性
  • 従業員のモチベーション維持

資金繰りの安定化

与信管理を行う目的のひとつが、資金繰りの安定化です。

先述の通り、企業間で行う与信取引(信用取引)には売掛金を回収できないというリスクが付きまといます。

もしも売掛金の回収予定が狂ってしまうと、手元の資金がショートしてしまい仕入先への支払いに影響が出てしまう可能性があります。最悪の場合、十分な売上があるにもかかわらず資金が底をついて倒産してしまう「黒字倒産」に陥ることも考えられます。

仕入先への支払いと売上のバランスを維持しつつ、与信管理を行って売掛金をしっかりと回収できる体制を整えることが、資金繰りの安定化につながると言えるでしょう。

貸し倒れや連鎖倒産の防止

与信管理を行うことで、「貸し倒れ」や「連鎖倒産」のリスクを軽減することができます。

与信取引で取引先が倒産してしまった場合、売掛金を回収できずに損失が発生する「貸し倒れ」や、自社も連鎖的に倒産してしまう「連鎖倒産」に至る恐れがあります。

とくに、売上構成比率の高い取引先が倒産してしまった場合、貸し倒れによる損失や連鎖倒産のリスクは大きくなってしまうでしょう。

そのような事態を避けるためにも、与信管理を行って一部の取引先に売上が集中しないようにコントロールしたり、売掛金の回収が困難になった場合の損害を軽減することが大切です。

企業としての信頼性

与信管理を行うことは、企業としての信頼性を維持・向上するうえでも大切です。

与信管理を行っていないことで貸し倒れが発生して業績が悪化したり、仕入先への支払いが滞ってしまったりすれば、取引先や金融機関といったステークホルダーからの信頼を損なうことになります。

その結果、既存の取引先から取引金額を縮小されたり、新規取引先の開拓が難航したり、あるいは新たな資金調達が困難になったりと、企業経営におけるさまざまな場面でネガティブな影響が表れてしまいます。

このような事態を回避して、ステークホルダーからの信頼を維持・向上を目指すためにも、与信管理の取り組みは非常に重要だと言えるでしょう。

従業員のモチベーション維持

従業員のモチベーション低下を回避するためにも、与信管理は重要です。

たとえば、貸し倒れによって不良債権が発生すると、営業部門や財務・経理部門は後始末や資金繰りの調整に奔走しなければならないだけでなく、場合によっては給与や賞与の削減が必要になるケースも考えられます。

与信管理を徹底することで、上記のような理由による従業員のモチベーション低下を回避することができるでしょう。

与信管理の方法・流れ

与信管理の方法・流れ

次は、与信管理の基本的な方法・流れについて確認していきましょう。

ここでは、以下5つのプロセスに分けて解説していきます。

与信管理の方法・流れ

  • 与信調査(信用調査)
  • 信用力評価
  • 与信限度の申請・決裁
  • 契約締結・取引開始
  • 与信の事後管理

与信調査(信用調査)

与信調査(信用調査)とは、相手先の財務状況や業績、経営方針などの情報を収集して、信用取引を行うか否かの判断材料を集める工程です。

与信調査では、信用調査会社や官公庁から入手できる情報(外部情報)だけでなく、相手先に直接ヒアリングしたりすることで得られる情報(内部情報)も活用することが大切です。

また、信用調査は取引を開始する前だけでなく、すでに取引を行っている場合にも定期的に実施して、信用情報を更新していく必要があります。

信用力評価

取引の可否や取引条件を決定するため、与信調査で収集した情報をもとに信用力評価を行います。

信用力評価では、以下3つの観点から分析を行います。

  • 主に決算書(貸借対照表や損益計算書など)の定量分析
  • 経営方針や事業内容、市場におけるポジションなどの定性分析
  • 商売形態や決済条件、仕入先からエンドユーザーまでの取引の流れなどの商流分析

与信限度の申請・決裁

信用力評価が完了したら、担当者が与信限度申請を行います。

与信限度とは、取引先ごとに設定する売掛金の上限金額のことで、基本的に与信限度を超える金額の取引は行いません。

信用力評価の結果をもとに担当部署が与信限度申請書を作成・提出し、関係者による承認および決裁を経て、当該取引先の与信限度額や取引条件を決定します。

契約締結・取引開始

与信限度額などの取引条件が決定したら、取引開始に向けて相手先と契約条件の交渉を行います。

決裁した取引条件に、債権回収の担保措置として手付金の支払いなどが含まれている場合は、その交渉も同時に行います。

契約内容に双方が合意したら、契約を締結して取引を開始します。

与信の事後管理

取引が始まってからも、与信の事後管理を行うことが大切です。

社内での取引履歴や売掛金の回収状況を把握するとともに、第三者機関から入手する情報なども参考にして、定期的に与信限度や取引条件の見直しを行いましょう。

支払いに遅延が生じている場合や、取引先の財務状況に関する不安情報をキャッチした場合には、速やかに取引条件の見直しや担保の取得などの対策を取る必要があります。

紙ベースの与信管理でよくある課題

紙ベースの与信管理でよくある課題

与信管理の方法・流れについてご紹介しましたが、紙ベースで与信管理を行っているといくつかの課題に直面するケースがあります。

ひとつめの課題は、与信申請から取引開始までに時間が掛かりすぎるという点です。

先に紹介したように、与信管理のプロセスではいくつかの手続きが発生し、フロントオフィスの営業担当部門だけでなく、法務や財務、経理などさまざまな部門が承認・決裁のプロセスに関わります。

これらの手続きを紙ベースで行っていることで、申請書の作成・印刷の負担や手渡しによる回覧、記入情報のミスによる差し戻しや関係者不在による押印待ちなどの無駄が発生してしまい、取引開始までに多くの時間が必要になってしまいます。

ふたつめの課題として、ガバナンス面の不安も挙げることができます。

与信管理に関する申請を紙ベースで行っている場合、誰の承認が必要なのかが不明瞭になりがちで、然るべき承認を経ずに決裁されてしまうリスクが高まります。

また、与信限度額などの取引条件が決まった経緯を調べる際、大量の書類の中から当該の申請書類を探し出すのは大変な労力となるでしょう。

与信管理を効率化する方法は?

与信管理を効率化する主な方法として、与信管理システムや代行サービスの利用が考えられます。

次は、与信管理システムや代行サービスの特徴および注意点について見ていきましょう。

与信管理システムとは?

与信管理システムとは、与信に関わる情報を一元管理するためのシステムのことです。

与信管理システムは、企業情報の収集に強みを持つタイプ、取引先の与信情報の管理に強みを持つタイプ、取引先の信用力評価(スコアリング)に強みを持つタイプなど、製品によって特徴が異なります。

製品タイプによって搭載している機能は異なりますが、主な機能として以下を挙げることができます。

  • 企業情報の自動収集
  • 取引先情報の管理
  • 取引先の信用力評価(スコアリング)
  • モニタリング・アラート
  • 反社チェック など

目的に合った機能を持つ与信管理システムを利用することで、与信管理業務を効率化することができるでしょう。

与信管理の代行サービスとは?

与信管理の代行サービスとは、その名の通り与信に関わる業務を代行してくれるサービスのことです。

与信調査や信用力の評価、与信管理規定の策定など、自社では対応が難しい業務をアウトソーシングすることができます。

代行してくれる業務範囲はさまざまで、与信管理システムと同様、自社の目的に合った代行サービスを利用することで、与信管理にかかっていた社内工数を削減することができるでしょう。

与信管理システムや代行サービスの注意点

活用することで業務効率化が見込める与信管理システム・代行サービスですが、注意が必要なポイントも存在します。

それは、与信管理に関わる業務工数の削減と引き換えに、コストが高額になってしまうリスクです。

与信管理システムや代行サービスを利用する場合、カバーできる業務範囲や利用件数に応じて利用料金が高額になります。

取引件数が多くなればなるほどシステムやサービスのコストも増大化してしまい、費用対効果が見合わなくなってしまうケースがあるのです。

与信管理の効率化にワークフローシステムを活用

与信管理の効率化にワークフローシステムを活用

紙ベースの与信管理にはいくつかの課題があるとお伝えしました。

また、与信管理システムや代行サービスの利用は、与信管理業務に関わる社内リソースの節約につながる一方で、コストが高額になってしまうリスクがあります。

費用を抑えつつ与信申請・管理を効率化したいと考えるのであれば、ワークフローシステムの活用も一策です。

ワークフローシステムとは、社内で行われるあらゆる業務手続きを電子化するシステムのことで、与信管理に関わる各種申請・決裁も電子化することができます

工夫次第では、与信管理システムの一部機能をワークフローシステムで代替したり、システム連携で機能を補ったりすることも可能です。

次は、ワークフローシステムが与信管理に関わる課題解決に役立つ理由について詳しく見ていきましょう。

与信管理の手続きを効率化

与信管理に使えるフォーム ▲ワークフローシステムで使える与信管理のサンプルフォーム

先述した通り、与信管理のプロセスではいくつもの申請・承認作業が発生します。

たとえば、与信調査を開始する際に与信調査依頼書(信用調査依頼書)を作成・申請したり、与信調査の結果を踏まえて与信限度申請を行い、関係者によって承認・決裁が行われます。

また、すでに取引を行っている企業に関しても、定期的に与信限度額の見直しを行うため、与信限度額変更申請書を作成することもあるでしょう。

ワークフローシステムを導入することで、与信管理に伴うこれらの手続きを電子化することが可能です。

申請書類の作成を効率化できるだけでなく、時間や場所に縛られることなく申請・決裁を行えるため、与信調査から取引開始までの期間を大幅に短縮することができるでしょう。

与信管理で使える申請フォームをもっと見る

与信管理の申請書一覧 | 株式会社エイトレッド

与信管理のガバナンスを強化

ワークフローシステムを活用することで、与信管理におけるガバナンス強化にもつなげることが可能です。

ワークフローシステムでは、事前に設定したルールに基づき、申請内容に応じた承認ルートを自動で判別して回付することができます。

そのため、然るべき承認や審査を経ずに取引を開始してしまうといった事態を回避することができます。

また、ワークフローシステムで処理した信用調査依頼書や与信限度申請書、与信限度額変更申請書などの情報は、システム上にデータとして保存されます。

誰がいつ申請を行い、誰が承認・決裁を行ったのかという証跡が残るため、与信管理におけるガバナンスを徹底することが可能です。

また、システム上に蓄積されたデータは、任意の条件で検索・出力することができます。

定期的な与信の事後管理に活用したり、与信に関わる過去のデータを出力して分析したりと、さまざまな用途で活用することができるでしょう。

ガバナンスについてもっと詳しく!

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システム連携でさらなる効率化も可能

ワークフローシステムが与信管理に役立つもうひとつの理由として、システム連携が可能という点を挙げることができます。

ワークフローシステムは、外部システムやツールと連携することで、業務のデジタル化の範囲を拡張することができます。

たとえば、電子契約システムと連携すれば、ワークフローシステムで与信審査および承認・決裁を行い、契約締結まで一気通貫で行うことができるでしょう。

そのほか、会計システムや受発注システムなどと連携することで取引開始に伴う与信管理だけでなく、継続取引における事後管理もまとめて効率化することが可能です。

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まとめ

今回は、与信や与信管理の意味や重要性、方法やよくある課題について解説しました。

与信管理は、連鎖倒産や貸し倒れなどのリスクを抑制し、企業としての信用を高めるためにも重要な取り組みです。

そして、効率的に与信管理を行うひとつの方法が、ワークフローシステムの活用です。

与信管理の効率化が課題の企業は、今回ご紹介した情報も参考にワークフローシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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