製造業DXとは?必要とされる背景や課題、推進方法や事例を解説
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あらゆる業界でDX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性が高まっている昨今ですが、なかでもDX推進が急務とされている業界の1つに製造業が挙げられます。
そこで今回は、製造業界でDXが必要とされている背景や、製造業DXを推進する方法、企業の取り組み事例などについて詳しく解説したいと思います。
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製造業DXとは?
そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「データとデジタル技術を活用することで、ビジネスモデルの変革や競争上の優位を確立すること」を指します。
つまり製造業DXとは、製造業に関わる事業者および業界全体がデータやデジタル技術を活用し、ビジネスモデルの変革や競争力を高めていくことを意味します。
国際市場における製造業の競争激化という観点に加え、カーボンニュートラルやサステナビリティの観点でも製造業DXの必要性が高まっており、近年ではGX(グリーン・トランスフォーメーション)やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)といったキーワードも登場しています。
製造業が抱える課題

経済産業省は、「ものづくり基盤技術の振興施策」(令和元年度)の中で、昨今の製造業界の課題として「不確実性」の対応を挙げました。
不確実性とは、自然災害や紛争、急激なデジタル革新による影響など予測し難い事態を指しますが、記憶に新しい新型コロナウイルスの世界的パンデミックの際も、日本の製造業の多くが、海外拠点の操業停止や部品・原材料の調達寸断など、変化に弱い姿を露見する形となりました。
実際に、日本国内の製造業においては、2022年上半期から原材料価格の高騰等の影響で業況が悪化し、企業の景況感は低調となっています。
不確実性への対応の重要性が高まっている状況を背景に、経済産業省が2023年6月に公表した「2023年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」では、デジタル技術を活用したサプライチェーン全体の最適化が重要だと示されました。
なぜ不確実性に対応できないのか
日本の製造業が不確実性に対応できないのには、いくつか理由があります。
業務属人化
日本の製造業が不確実性に対応できない原因として、まず業務の属人化が挙げられます。
日本の製造業は従来より、グローバル社会の中で高い技術力を武器に優位性を確立してきました。
しかし、高齢化により労働力や後継者の不足が叫ばれる昨今において、熟練者の経験や勘に頼ったものづくりの体制が業務属人化の温床となり、技術の継承の停滞、ひいては国際競争力の喪失につながっています。
IT化の遅れ
日本の製造業が不確実性に対応できない2つ目の原因はデジタル化の遅れです。
総務省が公表している「令和5年版情報通信白書」では、日本・米国・ドイツ・中国の企業におけるデジタル化の取り組み状況に関する調査結果が示されています。
この調査では、日本においてはデジタル化を「実施している」と回答した企業が48.4%であり、半数以上の企業ではデジタル化を「未実施」となりました。
他の3か国においては、米国企業は78.6%、ドイツ企業は80.6%、中国企業は88.3%がデジタル化を実施していると回答しており、日本企業に比べてデジタル化の取り組みが進んでいることがうかがえます。
かつては優れた技術力を武器に「ものづくり大国」として名を馳せた日本の製造業でしたが、デジタル化による生産性の向上やイノベーションで対抗してくる諸外国に技術力だけで優位性を維持するのが難しくなりつつあります。
固定的なサプライチェーン
固定的なサプライチェーンもまた、不確実性への対応を阻害する要因のひとつです。
日本の製造業においては、設計・開発・製造・販売といった機能を垂直統合的に確保しているケースが多く、サプライチェーンが固定的な傾向があります。
このような固定的な取引関係は、平時においては高い生産性を発揮するものの、市場ニーズの変化や災害等の有事が発生した際にスピーディーかつ柔軟な対応が難しいという一面があります。
変化適応の鍵はダイナミック・ケイパビリティ

それでは、製造業が不確実性に柔軟に対応するには、どのようにすればいいのでしょうか。
総務省では前出のレポートの中で、その答えの1つとして、「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」の強化を挙げています。
ダイナミック・ケイパビリティとは
ダイナミック・ケイパビリティとは、環境の変化に応じて、組織を変えていく力を指し、
Sensing(感知): 絶え間なく変化する環境(競合の動向や市場のニーズ)を分析することで、ビジネスにおける脅威や機会を察知する力
Seizing(捕捉): 既存の経営資源を再利用することで察知した変化に対応し、競争力を獲得する力
Transforming(変容): 競争の中で優位性を確立するために、組織全体を変革していく力
の3つの要素で構成されています。
ダイナミック・ケイパビリティの事例
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ダイナミック・ケイパビリティの有名な事例の1つに、富士フイルムの多角化戦略が挙げられます。
デジタルカメラの急速な普及により、主力である写真フィルム事業に大ダメージを受け経営難に陥った同社は、既存の技術を液晶素材や医薬品など新しい分野に転用することで倒産の危機から脱却しました。
オーディナリー・ケイパビリティとの違い
ダイナミック・ケイパビリティとよく比較される言葉に「オーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)」があります。
オーディナリー・ケイパビリティとは、既存の経営資源を効率的に利用することで利益を最大化する力を指します。
企業として必要な能力であることに違いないですが、「不確実性」が前提となる昨今において、変化に弱い、競合に模倣されやすいといった点で、オーディナリー・ケイパビリティだけでは不十分であるといえます。
不確実性の対応にはDXが不可欠
さて、前述で日本の製造業が不確実性に対応できない原因の1つはIT化の遅れであるといいましたが、じつはIT化すれば不確実性に対応できるのかというとそうではありません。
なぜなら、IT化とはツールやシステムを導入してアナログな作業をデジタルに置き換えることを指すからです。
繰り返しになりますが、ダイナミック・ケイパビリティを強化するには、一部の業務をデジタル化するだけではなく、そこからビジネス上の優位を獲得したり、組織そのものを変革させなくてはなりません。
また、サプライチェーンの最適化という観点においても、業界全体でデジタル技術の活用による取り組みの可視化や企業間のデータ連携を進めていくことが重要です。
つまり、ダイナミック・ケイパビリティの強化、ひいては不確実性に対応するためには、「データとデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位を確立する」DXの推進が不可欠なのです。
製造業DX最初の1歩はワークフローシステム
次は製造業DXの具体的な取り組みについてみてみましょう。
製造業DXの取り組み(例)
- 熟練者の技術をAIで再現
- 工場の稼働状況をIoTで可視化
- 生産管理システムを用いて在庫を削減
- センサーを使い遠隔地から監視
上記に挙げた以外にも、製造業DXの取り組みはさまざまにあるため、自社の事情や目標に合わせて適切な取り組みを選んでいくのがいいでしょう。
しかしながら、中には「何からはじめていいのか分からない」、「とりあえずスタートしたのはいいけど効果をあまり感じない」という人もいるのではないでしょうか。
そこで、そんな人に製造業DXの最初の1歩としておすすめしたいのがワークフローシステムです。
ワークフローシステムとは、稟議をはじめとした業務手続きを電子化するシステムです。
ワークフローシステムを導入することでさまざまな効果を得ることができます。
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ワークフローシステムが製造業DXに役立つ理由

1.ペーパーレス化の推進
製造業は他の業界に比べて業務に用いる書類やそれにともなう意思決定が多いといわれています。
ワークフローシステムを導入することで、その書類の多くをデジタル化することができるので、作成や回付の手間の大幅削減や意思決定の迅速化が見込めます。
2.データ活用ができる
ワークフローシステムを導入することにより、社内文書の情報をデータとして蓄積しておくことが可能になります。
また、それらのデータの検索や集計、共有も効率化できるため、たとえば日報を部内で共有して形式知に昇華したり、クレーム処理の報告を集計して新製品開発のヒントにするといった使い方ができます。
3.DX基盤の構築
ワークフローシステムでデジタル化できる業務手続き(作成・申請・承認・決裁)はあらゆる部署のあらゆる業務に紐づいています。
そのため、ワークフローシステムを導入することで、一部ではなく、組織全体のDX推進を底上げすることができます。
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ワークフローシステムによる製造業DXの推進事例
次は、ワークフローシステムを導入することでDX推進に成功した事例をいくつか見てみましょう。
ここでは、シリーズ累計導入数4,000社以上を誇るワークフローシステム「AgileWorks」と「X-point Cloud」を例に、ワークフローシステムによるDX推進事例をご紹介します。
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株式会社コロナの事例
暖房機器や空調・家電機器のメーカーとして知られる株式会社コロナは、ワークフローシステムを全社展開し、DX推進の一環として利用しています。
同社では従来、サプライヤーやパートナーとのやり取りを主に紙ベースで行っており、意思決定の遅延や管理業務の煩雑化が課題となっていました。
この課題を解消するため、同社は「X-point Cloud」を導入して間接部門のペーパーレス化に着手。導入から約2年間で41種類の申請書を電子化し、年間50,000枚の紙帳票削減を実現しました。
その後、社会全体でDXの機運が高まり、同社でも全社的な業務改革の取り組みがスタート。間接部門のペーパーレス化で一定の成果を得ていた同社は、ワークフローシステムの全社展開を決定しました。
全社展開にあたり、「X-point Cloud」から「AgileWorks」へとリプレイスを実施。現在では全従業員約1,600名が利用しており、紙帳票の削減効果は年間約80,000枚まで増加しました。
さらに同社は、「AgileWorks」を他システムやRPAと組み合わせることで申請業務以外の業務プロセスのデジタル化を推進するなど、「DXの起点」としてワークフローシステムを有効活用しています。
富士フイルムビジネスイノベーションの事例
1962年の創業以来、複合機を中心としたさまざまな商品・サービスを提供してきた同社では、営業品質の向上を目指し働き方改革を推進していました。
当時、営業部門の業務効率化・生産性向上のボトルネックとなっていたのは社内付帯業務、とりわけ、帳票の作成は1商談につき7~8種作成しなくてはならないうえにExcelやWordのフォームを個別に メールで回付するという運用をとっていたため、必要な帳票が何でどこにあるのかを探す、同じ内容を帳票ごとに何度も入力する、 申請から承認までの状況が把握できない、といったさまざまな不具合が生じていました。
そこで、これらの課題を解決するためにワークフローシステムを導入したところ、1帳票あたり30分以上かかっていた作成時間が数分に短縮され、顧客対応に充てる時間の創出に成功しました。
株式会社石垣の事例
上下水道向けの環境機械やポンプで国内トップクラスのシェアを誇る同社では、従来、業務手続きを紙の帳票、e-mail、SharePoint、Notesの4つの 手段に分散して運用していました。
そのため、業務効率面ではどの申請書をどの手段で起票すればいいか分からない、運用面ではそれぞれのシステムで開発手順が異なるため開発効率が悪いなどの課題を抱えていました。
そこで、業務手続きの手段を集約することを目的にワークフローシステムを導入したところ、約800万円/ 年相当の業務時間の削減や、2~3倍程度の開発効率の向上などの効果を得ることが出来ました。
製造業におけるワークフローシステム選定のポイント
ワークフローシステムの導入が製造業DXに役立つ理由が分かったところで、次はワークフローシステム選定のポイントについて解説します。
ポイント1:ノーコード
国内企業のDX推進における1番の課題はIT人材の不足であり、これは製造業界においても同様です。
そのため、ITの専門家がいない中で高度なシステムを導入してしまうと、使いこなすことができず、逆に業務効率の悪化を招いたり、そのうち使われなくなったりするでしょう。
また、ワークフローの開発を外部委託するという方法も考えられますが、これだと膨大な外注費がかかってしまいます。
その一方で、ノーコードと呼ばれる専門的なIT知識を必要としないシステムを選べば、社内に専門の人材がいなくても内製で対応することが可能になり、外注にかけるコストを削減することができます。
ポイント2:スマホ対応
製造業の特徴のひとつとして、従業員の外出が多いことが挙げられます。
そのため、スマホ対応の機能が備わったワークフローシステムを導入すれば、移動時間や隙間時間を有効に使える上に、業務手続きのためにPC環境が整った場所まで戻る必要がなくなるため、大幅な業務効率化、業務停滞の防止につながります。
ポイント3:システム連携
ワークフローシステムは単体で活用するよりも、会計システムやグループウェア、電子契約などさまざまなシステムと連携することでより効果を発揮します。
導入の際は既存のシステムとの連携なども加味して選定を進めるといいでしょう。
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まとめ
今回の記事では、昨今製造業DXが必要とされる背景と製造業DXを加速させるデジタルツールとしてワークフローシステムをご紹介いたしました。
日本を、従来の技術力に加え、変化にも強い「新・ものづくり大国」として再建するためにも、ワークフローシステムなどのデジタルのツールを上手く活用し、製造業DXを推進することを検討してみてはいかがでしょうか。
DX推進に悩むあなたへ
DX最初の一歩はワークフローシステム
DXの基礎知識やDX推進を成功に導くための秘訣をお伝えいたします。
こんな人におすすめ
・DXの基礎知識が知りたい。
・DXの進め方が分からない。
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。