これからの働き方を考える

IT投資を活用して新しい企業運営へ

IT投資を活用して新しい企業運営へ

 本記事は、アイ・ティ・アール(以下、ITR)より5月12日に発表された『コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査』を受けて、 ITR シニア・アナリスト三浦氏とワークフロー総研所長岡本が、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の、企業のIT戦略について対談を実施した内容をまとめました。

<対談者プロフィール>

三浦 竜樹氏

株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト。
広告代理店にて、ITベンダーのマーケティング・プラン策定、広告戦略などに携わる。2001年4月より現職。
これまでに、コミュニケーション/コラボレーション基盤の刷新、ワークスタイル変革、仮想デスクトップ導入支援、Web/EC基盤構築・刷新などのコンサルティングに携わる。近年は主に、企業におけるクライアント運用管理(仮想化/DaaS)、Web/EC戦略策定、マーケティングオートメーションやCDP、SAF/CRMなどのマーケティング、SalesTech分野、および主にこれらの業務領域での音声認識などのAIの適用に関するアドバイスやコンサルティングを提供している。

ワークフロー総研 所長
岡本 康広

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

IT投資強化が明確になった緊急調査

岡本:緊急調査ではIT投資へより前のめりになったという企業の意向が見えましたね。

三浦:そうですね。

岡本:業種に関わらずIT投資加速を感じているというのはこれまでなかったのではないでしょうか。

三浦:今回のコロナ禍が確実にIT戦略に関する意思決定に影響を及ぼしていると言っていいでしょう。すでにリードや売り上げが増加しているというITベンダーさんもいらっしゃるようです。

岡本:その投資意欲が実際に、どれくらいの期間で実施に移されるのか、上図の調査結果は興味深かったです。

三浦:はい、テレワークの実施を妨げるもの、またはテレワーク運用中にITインフラの課題としてよく挙がるものが直近の3カ月の投資対象となっていますね。そもそもテレワーク制度がなければ策定する、リモートアクセスできるようにするなど。特にネットワークインフラの強化はよく言われますね。これまで自宅にインターネット回線を引いていなかった、マンションなどの集合住宅ではネットワークが遅いといった声がよく聞かれていますので、これらは今テレワークをするための投資といえるでしょう。すでに「緊急措置として実施し、完了」したという割合も高いです。

岡本:自宅からテレワークをするにはインターネットインフラはじめ、デスクやチェアなど含めた環境整備が必要になりますからね。世代や家族構成、ライフスタイルなどによって個人が持つIT環境は異なりますから、それぞれに合わせて支援が必要です。

三浦:はい、テレワークができる環境の準備の関連項目は完了という割合も高いですが、今後対応予定という回答も多いです。新規投資はもちろんですが、状況を鑑みて追加投資をされる企業も多いのではないでしょうか。

 次に投資対象に上がってくるのは、顧客や採用候補者との対面→オンラインへの切替えです。新入社員研修を従来の集合研修からオンライン研修に急遽切り替えた企業も少なくないと聞いています。B2B企業からのオンライン商談ツールに関する問い合わせも増えていますし、売り上げや企業運営に直接関わってくるところなのではずせないでしょう。そして、中長期的に取り組むという回答含めて最も実施予定として多かったのが社内外文書の電子化でした。弊社へのアドバイザリーサービスにおいても、「どのようなツール/サービスを検討すればよいか?どのように進めればよいか?」といった問い合わせが急増しています。

岡本:ここはまさにワークフローの領域ですね。テレワークになっても押印や社内文書の処理のために出社しなければならない、いわゆる「ハンコ問題」は随分取り沙汰されています。企業のIT担当者の方も、危機感を持たれているということが伺えます。しかし実施中、または3カ月以内に実施予定よりも、時期は未定だが実施予定と回答された方が多いですね。

三浦:取引先の企業の方が対応できないとなった場合は当然導入が難しいでしょう。一方で相手があると言っても同じ社内であれば、スモールスタートで導入し、対象となる書類の範囲を、少しずつでもいいので広げながら進めていくことが推奨されます。

三浦:こちらの図を見ると、「電子決裁/ワークフロー」は新規・既存共に比較的意欲は高いことが分かります。「電子契約/契約管理」は「電子決裁/ワークフロー」に比べて新規・既存共に低いエリアにプロットされる結果が出ていますので、社内外の導入ハードルの高低が反映されているのかもしれません。

岡本:ワークフローを社内で導入するとまずは運用の電子化ができ、テレワークでも業務が止まらなくなるというメリットがあります。それと同時に、稟議をあげたりする情報共有と意思決定のサポートも実現されますので、単一の目的で導入されるシステムよりもユーザーのニーズが喚起されているのかもしれませんね。

 

 しかし現状の市場規模を見ると、ワークフローシステムは他のコラボレーションツールに比べ、それほど市場規模は大きくありません。「ワークフロー」という言葉の認知度はまだまだ低く、活用方法をお伝えできていないように感じています。ワークフロー総研としては今後、普及に注力していってより多くの方にワークフローのメリット、効果を知っていただきたいですね。

テレワークのフェーズによって異なる必要なIT投資領域

三浦:こちらの図は、企業のIT投資動向を、ITRが毎年実施しているIT投資動向調査の結果と、今回発表した緊急調査とで比較したものです。コロナ禍後にIT投資優先度が上がった項目が分かります。

 

 これを見ると対面→オンライン、紙の業務→電子化といったように、単純に対面や物理的なもので処理できなくなったものを電子化してオンラインで処理できるようにするツールへの投資動向が見られます。今後これが実行に移されると、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は確実に進んでいくと言えるでしょう。

岡本:そうですね。特にコミュニケーションをするための領域は、新規投資の数値が伸びています。情報共有は日々の企業活動そのものですから、当然の結果かと思います。Web会議システムやチャットツールはコミュニケーションのデジタル化のはじめの一歩として導入される企業も多いと思いますが、その次はより高度な情報共有、意思決定が必要です。オンラインファイル共有、電子決裁/ワークフロー、電子契約、電子署名と並んでいますから、企業のデジタル化の段階に応じて、ぜひ導入をしていってほしいですね。

三浦:これらの調査結果の中で、これから着手予定のものについては完了予定時期を問うていません。単にアカウントなどを増やせばよいのか、それとも全社的に導入を進めるのかによって、意欲に多少影響があるかもしれません。とはいえコミュニケーション、意思決定を支援するこうしたITツール導入は企業にとって緊急度も重要度も高い領域であると言っていいでしょう。

岡本:はい、単なる紙→電子の置き換えはなく、情報共有から創造性の向上にも貢献することができるのがワークフローの特徴です。新型コロナウイルス(COVID-19)対策の一時的な働き方ではなく、BCP(事業継続計画)の一環として、あるいは柔軟な働き方を実現する有効な手段としてオンラインをベースにした働き方が主流になっていくとすると、承認・決裁といった意思決定のスピード、質、精度の向上をサポートするツールの導入の重要性はますます高まっていくでしょう。

 

 ワークフローはまさにそのためのツールです。単なる紙→電子化による業務改善が分かりやすいメリットといえますが、その次のステップでより高度な活用をし、強みとする企業も増えてくると考えています。

IT投資の相乗効果で自動化、さらなる業務効率化も目指せる

三浦:コロナ禍以前のIT投資動向調査から引き続き、業務の自動化に注目が集まっています。できるだけRPAに業務を任せて、出社の有無などで業務を止めないようにしたいという意図もあるでしょう。この図では、RPAとワークフローを組み合わせた事例を示しています。今はそれぞれのITツールについて単発での導入かもしれませんが、今後はIT投資したツール同士を組み合わせて、一歩進んだ業務改善、生産性向上への取り組みが期待されます。

岡本:はい、すでにRPAとワークフローを組み合わせた事例は、多くはありませんが出てきています。ワークフローで全体の業務の流れを作ってあげて、その中の一つひとつの確認作業などはRPAに任せるという例ですね。人が確認して判断する部分は最終的な承認/否認の部分だけですので、手間を明らかに減らすことができます。人にしかできない部分に集中してもらうことができる好例です。

三浦:これは社外との契約取引と社内のワークフローの組み合わせですね。

岡本:そうですね。社外との契約処理が電子化しても、社内が電子化できていなければ意味がないですし、逆も然りで、契約に関する社内外双方のワークフローを電子化するとこのような流れになります。今年10月には電子帳簿保存法の改正が予定されています。外的要因も加わってこの流れが広まることを期待しています。

三浦:最後はチャットボットとワークフローの例です。チャットボットもRPAと並んで近年関心度の高い技術の一つです。特に情報システム部門やバックオフィスの方はこの組み合わせによって業務効率化が実現できるのではないでしょうか。

岡本:バックオフィスの業務改善はこれからの働き方の一つのテーマであると言えます。社内向けのFAQやチャットボットによるサポートの充実は、バックオフィスの見えない仕事を減らすことにつながります。バックオフィスはフロント業務以外の何でも屋と思われがちですが、企業のほとんどの運営に関わる重要な組織であると言えます。そうした組織ほどITツールを組み合わせて、戦略や意思決定に集中できるようなIT投資が必要と言えます。

三浦:今企業は日々刻々と変わる状況の中で、BCP(事業継続計画)ならびにIT投資戦略の再考を迫られています。とても難しい状況であると言えますが、それぞれが位置する市場の状況や自社が持つリソースを鑑みて、適切なベンダーとツールを選んでいってほしいと思います。

岡本:私たちが関わるワークフローは企業活動に広く関わるツールです。ワークフロー総研を通じてワークフローの認知を高めていくとともに、他のツールとの組み合わせることも含めて各企業に最適なITツール活用方法があると思いますので、そういった可能性も発信していきたいと考えています。本日はどうもありがとうございました。

三浦:ありがとうございました。

ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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