医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 のワークフローシステム導入事例
業務の効率化をはかるため ペーパーレスを推進
帳票・回付ルール作成などのシステム運用を内製化
愛知県の刈谷市、高浜市およびトヨタグループ8社が運営する医療法人豊田会刈谷豊田総合病院は、紙の帳票で運用していた業務の効率化をはかるため、ペーパーレス化を推進。
大規模組織向けかつオンプレミスでの運用が可能なAgileWorks(アジャイルワークス)を導入し、事務・管理業務を中心に各種帳票のペーパーレス化を実現した。
その結果、約50業務の申請書をAgileWorksに移行し、大幅な業務効率化を達成。
さらに、従来は困難だった帳票作成やデータ出力などのシステム運用の内製化も可能にしている。
課題・背景
- 事務・管理業務を中心に紙帳票による業務が多数存在
- 紙帳票の決裁やExcelなどへの転記作業が業務効率化を阻害
- 既存システムのワークフローが複雑で院内対応が困難
業務効果
- 約50業務の申請書をAgileWorksに移行し、ペーパーレス化を推進
- 回付処理や転記作業などが軽減され、一部業務ではリードタイムが20%削減
- 帳票・回付ルートの作成やデータ出力など、内製対応が可能に
【経緯/課題】既存グループウェアのワークフロー機能がネックとなり、ペーパーレス化が停滞 内製化によるシステム運用を実現するため、専用ワークフローシステムの導入を決定
愛知県刈谷市に所在する刈谷豊田総合病院は、刈谷市、高浜市、豊田自動織機をはじめとするトヨタグループ8社が共同運営する総合病院。開院は1963年。豊田自動織機、トヨタ自動車の社長などを歴任した石田退三の地域社会への貢献の思いと、初代病院長である古居亮治郎の地域医療への思いが共鳴したことに端を発する。現在は700床以上の病床を有し、西三河エリアの中核病院として、30科目以上の診療科目に対応。また、愛知県がん診療拠点病院にも指定されており、がんに対して腹腔鏡や胸腔鏡、手術支援ロボットであるダヴィンチを3台導入するなど、低侵襲手術にも注力している。
「社会貢献」と「患者第一主義」を理念に地域医療の礎を築いた同病院だが、その一方で、近年では豊田会全体での業務効率化プロジェクトに取り組んでいる。各種業務で利用されている紙帳票をペーパーレス化し、職員の業務負担軽減などをはかるのが狙いだ。その一環として、同病院は2023年からAgileWorksを導入。事務・管理業務を中心に各種申請業務のペーパーレス化を推進。
なぜ、同病院はAgileWorksの導入に至ったのか。その経緯について事務部長の山田達也氏は説明する。
「2021年度に私が事務部長に就任した際に、部門の重要課題として事務・管理業務でのペーパーレス化を取り上げました。当時、医療現場では電子カルテや複数の医療系システムを導入し、デジタル化が推進されていた一方で、事務・管理業務では紙帳票が多用されており、回付やExcelへの転記作業などに多大な労力が費やされていました。一部、既存のグループウェアのワークフロー機能を利用し、ペーパーレス化を行っていたのですが、このシステムはメンテナンスに専用プログラムで記述が求められるなど、システムの運用が極めて複雑で、帳票やデータ出力の新規作成・改修の際には、外部ベンダーへの依頼が必要でした。そのため、既存のグループウェアではペーパーレス化を進めるのが難しく、新たなシステムの導入が必要となりました」(山田氏)。
既存のグループウェアはワークフロー機能では手間を要するものの、医療機関向けの製品であり、看護師のトレーニング機能など日常の業務に欠かせない機能も多数有していた。そのため、刈谷豊田総合病院はグループウェアを刷新するのではなく、ワークフロー機能の製品選定に向けて、各種製品の比較検討に入った。
【選定/導入】「同時接続ライセンス」と「オンプレミス製品」が導入の決め手 人事システムとの連携に工夫を凝らし、複雑な組織をAgileWorks上で再現
ワークフローシステムの選定にあたって、刈谷豊田総合病院は製品の料金体系を重視した。豊田会全体の職員及び関係者は約2,500名にも及ぶ。さらに、職員ごとに申請業務の頻度にはバラつきがあり、1ユーザーごとの課金では大幅なコスト増となるため、ユーザー課金モデルとは異なる料金体系を求めた。
また、オンプレミス製品であることも重要な要件だった。多くの病院と同様に、刈谷豊田総合病院のネットワークセキュリティは極めて厳格。クラウド製品も一部導入しているが、利用するユーザーが限定される場合に限られている。全職員の利用が想定されるワークフローシステムについては、施設内のサーバーで運用できる製品が望ましかった。こうした要件を踏まえ、刈谷豊田総合病院は4製品で比較検討を実施し、選定されたのがAgileWorksだった。AgileWorksはオンプレミス製品であるとともに、システムへの同時接続数ごとに課金する料金体系を採用している。職員ごとに利用頻度が異なる同病院にとって、この課金モデルは特に適していた。
AgileWorksの導入を決めた刈谷豊田総合病院は、総務や人事、購買、システム部門などの担当者を招聘しプロジェクトチームを編成。ペーパーレス化に向けての取り組みに着手する。しかし、その過程では壁となる出来事も少なくなかった。その一つが職員からの反発だった。事務部総務室の山口正氏は導入当初の状況について振り返る。
「既存グループウェアの利用に慣れている職員も多かったことから、AgileWorksの導入には反発もありました。特に、AgileWorksの導入に前後して既存のグループウェアのアップデートが予定されていたことから、『機能がアップデートされれば、既存のグループウェアでもペーパーレス化が進められるのではないか』という声もありました。そこで、グループウェアのアップデート内容を事前にリサーチし、AgileWorksとの比較評価を実施。グループウェアはアップデート後もデータ出力などでは専用プログラムでの記述が継続して必要となり、回付ルートの条件分岐機能も不十分であることが判明しました。加えてAgileWorksを活用すれば業務進捗を管理できたり、台帳作成も自動化できることなども含め、職員に理解を求めました」(山口氏)。
こうした取り組みを通じて、プロジェクトチームは導入を進めていった。
他にも、組織設定にも工夫を凝らした。導入のはじめには、人事システムから人事マスタをCSV連携するなどして、AgileWorks上で組織構造を設定する必要がある。しかし、刈谷豊田総合病院の人事システムでは、職員の個人資格を表す「職制」と、組織内の役割を表す「役職」を明確に使い分けていなかったため、人事マスタをそのまま連携することができなかった。
そこで、山口氏は人事グループに依頼し、人事システム内のマスタとして「職制」と「役職」の2項目を分離してもらうと共に、同一部署で複数の「役職」を保有している職員にはCSVファイルのマクロ処理を活用し、「最上位の役職」のみ抽出してAgileWorksに反映する仕組みを構築。さらに、人事システム側ですべての「役職」に重み付けの数値を割り当て、その数値もAgileWorksに連携することで、同等のランクだが名称の異なる複数の役職を体系的に管理できるようにした。これにより、同病院では複雑な組織構造をAgileWorks上で再現したほか、毎月の人事異動のメンテナンス作業も効率化している。
「役職」の管理画面。名称の異なる複数の「役職」に ついて、ランク値を割り振ることで体系的に管理し、 回付ルール内の条件分岐などで活用している。また 個人資格の「職制」は人事マスタから別途(ユーザー 拡張項目として)、CSV連携している。
【活用/効果】約50業務の申請書をAgileWorksで運用し、ペーパーレス化を推進 帳票・回付ルール作成やデータ出力の内製化を進め、さらなる適用拡大を狙う
約8ヶ月間の導入プロジェクトを経て、刈谷豊田総合病院はAgileWorksの運用開始に至った。現在のユーザー数は約2,400名。豊田会のほぼすべての職員が利用できる環境であり、運用開始から半年間での申請数は約10,000件にのぼっている。
既存のグループウェアで運用していた11業務の申請書はすべて移行を完了。さらに、AgileWorksの機能を活用してペーパーレス化を推進し、約50業務の申請書をAgileWorksで運用している。こうした導入による効果も明らかだ。
総務室総務グループの久野達也氏はAgileWorksの導入効果について述べる。
「従来は出張全体で約90パターンの申請書に分かれていましたが、出張種別や役職ランクを組込んだ条件分岐の活用により、6パターンの申請書に統合したので、申請誤りなども軽減しています。また職員は出張要件によって年間の出張回数が定められているため、従来は各所属長に毎月、実績レポートを配布していたのですが、要件のチェック機能を申請書に付加することでレポート送付を廃止することができました。更に昨年10月から開始されたインボイスの領収書チェック項目を申請書に追記したが、この改修作業も職員だけで対応できました」(久野氏)。
他の申請業務においては、「例えば、病院内の設備の修理や廃棄などの作業依頼は、事務部内の設備管理グループに年間3,000件以上、紙帳票で申請されていましたが、AgileWorks移行後は作業全体のリードタイムが約20%短縮され、加えて作業進捗もみえる化されました。また電話での問い合わせが80%ほど削減したのは想定外の効果でした」と山口氏は付け加える。
また決裁者側の視点から山田氏は、「毎日、私に回付される紙書類は以前と比べ明らかに減ってきており、ペーパーレス化が進捗していることを実感しています。またAgileWorksの回付予定メニューから、私に決裁が回る前に申請内容を確認できるため、早い段階での意思決定が可能となり、私を含めた管理職全体で決裁のリードタイム短縮に繋がっていると思います」と話す。
さらに、刈谷豊田総合病院ではシステム運用の内製化も進んでいる。既存のグループウェアはワークフローの新規・改修時においてプログラミングが求められるなど、院内での運用が困難だった。しかし、AgileWorksは直感的に理解しやすいUIのため、ITの特別な知識がなくても帳票や回付ルールの作成・改修などが行える。事実、同病院では現在、各部署内の運用担当者を育成中。今後はパート職員にも申請書を作成できる体制を築き、システムの展開を加速する方針だ。
出張時などに起票する申請書。
【展望/活用のポイント】
山口氏にAgileWorksの活用のポイントについて尋ねると「組織構造をいかに適切に設定するかがポイントですね」と答えた。
「私自身、AgileWorksを導入する際に、特に時間を要したのが組織設定でした。人事システムの組織構造とAgileWorksの組織構造の整合性をいかに確保するか。特に、病院のように個人資格である「職制」と組織の「役職」の関係が複雑な組織は、その点に留意が必要でしょう。ただ、AgileWorksはCSVを介せばさまざまなシステムと柔軟に連携できるため、連携の仕組みさえ構築すれば、効率的にシステムを運用できるはずです」(山口氏)
最後に今後の展開を踏まえ、事務部長の山田氏は今回のペーパーレス推進プロジェクトについて、以下のように述べられています。
「ペーパーレス化は手段であって目的ではなく、各部門の職員自らが個々の書類の内容や決裁権限の必然性を真摯に考え、改善意欲を持って行動していくことが本質的な狙いです。現時点で着実に紙は減ってきており、当初想定していた目標は達成できていると思いますが、引き続きこのような変革意識を病院全体に醸成しながら業務の効率化を進めていってもらいたい。」
今後、刈谷豊田総合病院はAgileWorksの他部門への展開を目指す。これまでは事務部主管の申請業務を中心にシステムを適用してきたが、今後は診療部門内の管理系書類にも領域を広げ、豊田会全体でのペーパーレス化をさらに推進する。企業だけでなく、病院においても、新たな時代に対応するにはデジタル化が必要不可欠。同病院における次世代の医療体制の一端をAgileWorksが担うことになった。
お客様の声
医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 事務部長 山田 達也 様 「ペーパーレス化はあくまで手段 に 過 ぎ ず 、本 質 的 な 目 標 は 、職 員 一人ひとりが『この仕事の目的は 何なのか』を考え、既存業務を 見直す変革意識を定着させること です。AgileWorksはそのきっかけ を与えてくれました」
医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 事務部総務室山口 正 様「AgileWorksは帳票、回付ルート の設定、データ出力など、ほぼ すべての操作を画面上で行える の が よ い で す ね 。こ う し た 機 能 の おかげでシステムの内製化が進ん でいます。また主管部署、利用部署 の双方から作業進捗のみえる化 が実現しています」
医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 事務部総務室総務グループ 久野 達也 様「従来のシステムでは、人事異動 や組織変更時の手動対応が大変 でしたが、AgileWorksでは負担 を感じず利用しています。また AgileWorks全体の約40%を 占める出張申請では大幅に帳票 数を減らすことができ、利便性が 向上しました」
お客様プロフィール
| 会社名 | 医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 |
|---|---|
| 所在地 | 〒448-8505 愛知県刈谷市住吉町5丁目15番地 |
| 開院日 | 1963(昭和38)年3月 |
| 従業員数 | 1,840名(2023年4月1日現在) |
| 診療科目 | 内科、外科、小児科、整形外科、泌尿器科、産婦人科、他、(全30科目) |
| URL | https://www.toyota-kai.or.jp/ |

