マスタ管理とは?よくある課題や効率化する方法、役立つシステムを紹介!
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業務効率化やDXの推進を図る上では、データ活用が欠かせません。
そして、データを有効活用するために必要な取り組みが「マスタ管理」です。
しかし一方で、
「そもそもマスタ管理とは?」
「マスタ管理に取り組むメリットは?」
「マスタ管理の方法やよくある課題は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、マスタ管理の意味や必要性、取り組みのメリットや方法、よくある課題や効率化に役立つシステムについてわかりやすく解説します。
マスタ管理について詳しく知りたい方や、マスタ管理に課題を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
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マスタ管理(マスタデータ管理)とは?

マスタ管理(マスタデータ管理)とは、上述したようなマスタデータを一元的に運用・管理することを指し、「MDM(Master Data Management)」とも呼ばれます。
そもそも「マスタ」とは、「マスタデータ(Master Data)」を省略した言葉で、業務で扱う基本データのこと。
企業などの組織が扱うマスタデータにはさまざまな種類がありますが、代表的なものとして以下を挙げることができます。
- 商品マスタ
- 顧客マスタ
- 従業員マスタ
- 給与マスタ など
たとえば商品マスタであれば、型番や商品名、仕入価格、購入ロット、JANコードといった商品に関わるさまざまな情報を登録します。
このマスタデータを適切に管理することは、業務を円滑に行うためにも、ガバナンスを向上するためにも、そしてデータを有効活用するためにも重要です。
DXの必要性が高まる昨今、多くの企業がマスタ管理(MDM)の強化に取り組んでいます。
マスタ管理の必要性
スマートフォンなどのモバイル端末やIoTデバイス、クラウドサービスやSNSなどの普及により、企業が扱うデータの種類・量は以前と比べて格段に増加しています。
しかし、マスタ管理を行っていない場合、データを最大限活用することが難しく、反対に生産性の低下やガバナンスの問題を引き起こす恐れがあります。
たとえば、各部署で扱っているデータの整合性がとれておらず、重複・不足などが多数発生してしまうことで、状況を正確に把握することが難しくなってしまいます。
それにより、正確なデータに基づく意思決定が阻まれ、組織の全体最適化やDXが進まないという状況に陥りかねません。
また、マスタデータの扱いに関するルールが定められていないことで、データ消失や情報漏洩といった問題が発生する可能性も考えられるでしょう。
マスタ管理を行うメリット

次に、マスタ管理(マスタデータ管理)を行うことのメリットについて見ていきましょう。
マスタ管理のメリット
- 業務の効率化・正確性向上
- データガバナンスの強化
- データ分析の精度向上
業務の効率化・正確性向上
マスタ管理を適切に行うことで、業務の効率化や正確性向上が見込めます。
たとえば、ある企業と頻繁に取引を行う場合、取引のたびに企業情報を参照して帳票を作成するのは効率的とは言えないでしょう。
取引先の企業情報をマスタデータとして登録・管理していれば、都度調べたり入力したりといった手間を軽減することが可能です。
帳票の記載項目をマスタデータから選択して入力する方式にすれば、手入力によるミスも回避することができるでしょう。
また、マスタデータを一元管理できていれば、部署・部門を横断してスムーズにデータを共有することができ、組織の全体最適化につなげることができます。
データガバナンスの強化
組織が保有するデータのなかには、機密情報が含まれているケースが多々あります。
マスタデータの管理方法が全社的に統一されていない場合、データの信頼性が担保されないだけでなく、セキュリティ上のリスクが高まってしまうケースもあります。
たとえば、顧客データや従業員データは、関係者以外には閲覧できないように制限する必要があります。
しかし、データの閲覧・編集権限などのルールが定められていない、あるいは徹底されていないと、第三者による閲覧や情報漏洩、改ざんなどの不正が行われてしまう恐れがあります。
マスタ管理を行うことは、こうしたセキュリティリスクを低減し、強固なデータガバナンスを確立する上でも重要だと言えるでしょう。
データ分析の精度向上
マスタ管理を行うことで、精度の高いデータ分析を行えるようになります。
組織全体でマスタ管理を行っていない場合、各部署で管理しているマスタデータがサイロ化(システム間でデータが連携せずに孤立してしまうこと)してしまい、データ同士のつながりが分断されてしまいます。
全社的に統一されたルールでマスタデータを管理し、各部署で扱っているマスタデータを連携させることで、さまざまな角度から精度の高い分析を行うことが可能になります。
組織を横断したデータ活用により、精緻な分析に基づく意思決定を行えるようになるでしょう。
マスタ管理の方法

マスタ管理(マスタデータ管理)を実践する際、どのような手順で進めていけば良いのでしょうか。
次は、マスタ管理の基本的な方法を解説していきます。
要件定義
まずは、マスタ管理を行う目的と要件を定義します。
たとえば、データを探す時間を短縮して業務効率化を図りたい、データの不整合を解消して正確なデータ分析・意思決定につなげたい、あるいはデータの統合や整理を行いセキュリティリスクを低減したいなど、企業によってマスタ管理の目的は異なります。
また、目的を達成するために必要な機能や体制を検討し、目指すべきマスタ管理の形を定義します。
データの現状分析と収集
次に、社内で扱っているデータの現状分析を行います。
「どこで・何のデータを・どのように管理しているのか」を洗い出し、現状のデータ管理・運用体制を把握します。
定義した要件と照らし合わせ、データの品質や配置、プロセスなどに問題がないかを一つひとつ確認しましょう。
データの現状把握が完了したら、目的に合ったデータを整理・収集します。
定義した要件と照らし合わせながらデータの更新や統合、標準化を行い、目的達成に必要なデータを準備します。
運用プロセスの整備
データ収集・登録プロセスから抜け落ちてしまうマスタレコードに対処するため、運用プロセスを定義します。
また、マスタ管理を行う上では、新たにマスタデータを登録したり更新したりといった作業が発生します。
マスタデータの品質や整合性を担保するためにも、マスタ登録・更新に関する統一的なルールやガバナンスポリシーを策定し、各運用担当者に周知しましょう。
また、運用開始後も定期的に運用プロセスを見直し、改善を繰り返すことが大切です。
マスタ管理でよくある課題

ここまで、マスタ管理(マスタデータ管理)の必要性やメリットについてお伝えしてきました。
しかし、マスタ管理の重要性については理解しているものの、上手く実践できていないという企業は少なくありません。
その大きな要因として、システムの散在を挙げることができます。
台帳やホストコンピュータでマスタデータを管理していた旧来の手法では、マスタデータは社内に1つしか存在しないというのが一般的でした。
しかし現在、業種や業務ごとに細分化された業務システム・ツールが多数登場しており、社内の各部署でさまざまなシステム・ツールを使い分けることが一般的になりました。
さらに、比較的安価かつ短期間で導入できるクラウドサービスが普及したことで、社内に多数のシステム・ツールが散在している「クラウド乱立」の状況に陥っている企業も珍しくありません。
これにより、同じ情報であっても各種システム・ツールでマスタデータ登録されており、システム・ツール間でデータの整合性が取れていない状態が発生しやすくなったのです。
また、マスタ登録のワークフローが確立されていないことで、適切にマスタ管理が行えないケースも少なくありません。
通常、マスタデータの整合性を確保し、データの過不足を防ぐためにも、マスタデータを登録する際には然るべき承認を得る必要があります。
しかし、マスタ登録のワークフローが全社的に統一されていない場合、各担当者が自由にマスタデータを登録してしまい、データの整合性が損なわれてしまったり、重複や不足が生じてしまう可能性が高まってしまいます。
ワークフローシステムでマスタ管理を効率化

ここまでは、マスタ管理の意味や必要性、そしてマスタ管理でよくある課題について解説してきました。
次は、先述したような課題を解消してマスタ管理の効率化を実現するソリューションとして、ワークフローシステムをご紹介します。
ワークフローシステムとは、社内で行われる各種申請や稟議などの手続きを電子化するシステムのことで、効率的にマスタ管理を行う基盤づくりにも役立てることができます。
では、ワークフローシステムがマスタ管理の効率化に役立つ理由を見ていきましょう。
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マスタ管理に関連する申請・承認を一元化
ワークフローシステムを導入することで、各部署・システムごとに行われていたマスタ登録申請などの手続きを一元化することが可能です。
従来、各部署・システムごとに行われていた申請・承認作業を、ワークフローシステムに集約することができるため、マスタ管理に関わるルールを全社的に統一することができます。
また、あらかじめ設定したルールに基づき適切な承認ルートで回付することができるため、必要な承認を得ることなくマスタデータを登録したり変更したりといった事態を防ぐことが可能です。
さらに、モバイル端末からの申請・承認に対応しているワークフローシステムもあるので、マスタ登録・更新の申請から承認までの期間短縮にも効果が期待できます。
全社横断でマスタ管理基盤を構築できる
ワークフローは、部署・部門を問わず社内で行われるあらゆる手続きを電子化することが可能です。
さらに、各部署で導入している業務システムと連携することで、ワークフローシステムを介して分断されていた業務につながりを持たせることができます。
これにより、クラウド乱立などにより各システムが独立している状況を解消することができ、全社横断的にマスタ管理を行う基盤を整えることができるでしょう。
分散しがちな業務手続きを一元化!
ワークフローシステムでクラウド乱立の弊害を解消しよう!
クラウドサービスの利用拡大による弊害とそれを解決する方法について解説しています。
こんな人におすすめ
・複数のクラウドサービスを利用している
・システムごとに同じデータを何度も入力している
・今後クラウドサービスの利用拡大を考えている

ワークフローシステムでマスタ管理を効率化・システム化した事例
最後に、ワークフローシステムでマスタ管理を効率化した事例を見ていきましょう。
ワークフローシステムをハブにマスタ連携
ウイングアーク1st株式会社は、DXの加速を目的にワークフローシステム「AgileWorks」を導入しました。
かねてよりDX推進に取り組んできた同社は、コロナ禍以前の2019年にはフルリモート体制を確立するなど、社内業務のデジタル化において一定の成功を収めていました。
一方、以前利用していたワークフローシステムは連携性に乏しく、システム連携に多大な工数を要するなど、さらなる業務効率化やDX推進を阻害する要因となっていました。
そこで同社は、ワークフローシステムの刷新を決断し、連携性の高さや保守性の高さを考慮して「AgileWorks」の導入に至りました。
導入に際して、同社製品である文書管理ソリューション「invoiceAgent 文書管理」やBIダッシュボード「MotionBoard」のほか、基幹システムやSFA、会計システムなど幅広いシステムとの連携を実施。
各種システムのデータを組み合わせることで、業務間に存在する非効率を削減していきました。
営業、マーケティング、会計、販売管理、文書管理など、業務のさまざまな領域をAgileWorksで連携。
AgileWorksの運用を開始し、旧ワークフローシステムで運用していたすべての申請書の移管に成功したほか、AgileWorksをハブに各種システムのマスタを連携したことで大幅な業務効率化を実現。
各システムのマスタをエクセルで管理してデータ更新を行う手間から解放され、マスタメンテナンスの工数を大幅に削減することに成功しています。
マスタメンテナンスの工数削減を実現
東急建設株式会社は、既存の決裁システムからワークフローシステム「AgileWorks」にリプレイスし、DXに向けた基盤を構築しました。
同社では以前、電子決裁システムを利用して申請業務を行っていたものの、工事に関する受注決裁などの一部業務に関しては電子化が進んでいない状況でした。
また、利用していた電子決裁システムは導入から約15年間が経過しており、メンテナンスの負担が大きく、他システムとの連携にも多大な工数が発生していました。
DXや働き方改革を実現するにはペーパーレス化の推進が不可欠だと考えていたことに加え、電子決裁システムのサポート終了が決定したことも重なり、新たなシステムの導入に舵を切ることとなりました。
システム選定においては、多様なシステムとの連携による拡張性、そして組織設定や承認ルート設定の柔軟性が決め手となり、「AgileWorks」の導入に至りました。
以前の電子決済システムの画面や承認フローを再現することで混乱を最小限に抑えつつ、約10か月で導入プロジェクトを完了。
以前は紙で運用していた受注決裁などの業務も含め、41種類の申請書の電子化に成功しました。
また、基幹システムや営業支援システム、電子契約システムなど複数のシステムと「AgileWorks」を連携するなど、旧システムの課題であった他システムとの連携も数多く実現。
基幹システムや営業支援システム、電子契約システムなど、幅広い業務で自動連携を実現。
基幹システムから工事情報を、人事システムから社員の基本情報や所属情報などを連携することで、マスタメンテナンスの工数を削減。
「AgileWorks」と各種システムの連携により、DX推進に向けた基盤を整えることに成功しています。
マスタ登録申請をワークフロー化
ウェーブロックホールディングス株式会社は、ワークフローシステム「AgileWorks」で人事総務や経理関連の社内業務を電子化しました。
同社では従来、マスタ登録申請などを含む申請業務を紙ベースで行っており、回付の停滞や承認に時間がかかる点、そして承認経路の問い合わせや誤りの訂正に迅速に対応できない点などが課題となっていました。
さらに、コロナ禍に入りリモートワークが進められ、申請・承認や書類閲覧などをメールで行うようになったものの、誰宛てにメールを送ればよいかわからないという状況が発生し、ワークフローシステムの導入を検討することに。
組織変更や複雑な申請ルート設定にも対応している点や申請フォームの開発が容易な点、スマートフォンでの操作にも対応している点などが決め手となり、「AgileWorks」の導入を決定。
マスタ登録申請書や休暇取得計画書、社印押印申請書などの人事総務・経理関連業務をはじめとした諸業務をワークフロー化したことで、意思決定の迅速化と業務プロセスの見える化を実現しました。
マスタ管理の効率化を実現
AgileWorks製品カタログ
ワークフローシステムAgileWorksの機能詳細や特長をご紹介します。
おすすめポイント
・申請・承認の手続きを効率化
・シームレスなシステム連携が可能
・決裁データの一元管理で意思決定の精度向上

まとめ
今回は、マスタ管理の意味や必要性、メリットや手法などを解説してきました。
マスタ管理を行うことは、業務効率化だけでなく、ガバナンス強化やデータ活用という観点でも重要です。
そして、ワークフローシステムを活用することで、マスタデータを適切かつ効率的に管理することが可能です。
マスタデータの登録や管理に課題を感じている方は、今回ご紹介した情報も参考にワークフローシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
分散しがちな業務手続きを一元化!
ワークフローシステムでクラウド乱立の弊害を解消しよう!
クラウドサービスの利用拡大による弊害とそれを解決する方法について解説しています。
こんな人におすすめ
・複数のクラウドサービスを利用している
・システムごとに同じデータを何度も入力している
・今後クラウドサービスの利用拡大を考えている


「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。