構造化データがデータドリブン経営に必要な理由|「使えないデータ」を生む原因と解決策
- 更新 -
「BIツールを導入したものの、社内でまったく使われていない」
「データ基盤を構築したのに、分析できる状態のデータがない」
多くの企業が、このようなデータドリブン経営の壁に直面しています。
じつは、データ活用が進まない本当の原因は、導入したツールの性能や分析スキルではありません。問題の根本は、データの「入力プロセス」と「構造」にあります。
本記事では、ビジネスにおける「構造化データ」の重要性や、多くの企業が直面する課題、そして使えるデータを生む仕組みの整え方を解説します。
「AI」活用を推進する次世代のワークフローとは?
こんな人におすすめ
・入力データの質に課題を感じている方
・各種システムとのデータ連携を目指している方
・AI活用の基盤を整えたい方
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- ビジネスにおける「構造化データ」とは?
- なぜ「データ活用」は進まないのか?多くの企業が陥る罠
- データクレンジングの限界。構造化は「後から」ではなく「入口」で決まる
- ワークフローシステムが「構造化データを生む仕組み」に変わる
- 構造化データに関するよくある質問(FAQ)
- まとめ
もっと見る
ビジネスにおける「構造化データ」とは?
データ活用を成功させるためには、まず自社が保有するデータの状態を正しく把握することが不可欠です。検索エンジン対策(SEO)の文脈でも「構造化データ」という言葉が使われますが、ビジネスやデータマネジメントの領域においては意味合いが異なります。
ここでは、構造化データの意味や非構造化データとの違い、そして重要性が高まっている背景について確認していきましょう。
構造化データには大きく2つの意味合いが存在
構造化データには、大きく分けて以下の2つの意味が存在します。
- Web・SEO用語としての「構造化データ(マークアップ)」
Googleなどの検索エンジンに対して、Webページに書かれている内容(会社情報、商品の価格、FAQなど)を正確に理解させるためのHTML記述手法(Schema.orgなど)を指します。 - ビジネス・データマネジメント用語としての「構造化データ」
ExcelのCSVなどのように、行と列で規則的に整理され、集計や分析がすぐにできる状態のビジネスデータを指します。
本記事がテーマとする「データドリブン経営」や「データ活用」の文脈においては、後者の「2.ビジネスにおける構造化データ」を指しています。
ビジネスにおける構造化データの定義と特徴
あらためてビジネスにおける構造化データを定義すると、「行(レコード)」と「列(カラム)」の規則的なフォーマットで整理されたデータを指します。
ビジネスにおける構造化データの最大の特徴は、「機械が処理しやすい状態になっていること」です。あらかじめ項目名やデータの型(数値、日付、文字列など)が厳格に定義されているため、プログラムによる検索、集計、分析を瞬時に行うことができます。顧客マスタデータ、POSレジの売上履歴、基幹システムの受発注データなどがこれに該当します。
「非構造化データ」との違い
構造化データの重要性を理解するには、「非構造化データ」との比較が有効です。非構造化データとは、規則的なフォーマットを持たず、形式が不揃いなデータのことです。
- 構造化データ
定義: 規則的なフォーマットで整理されたデータ
具体例: 顧客マスタ、売上データベース、在庫データv分析のしやすさ: 容易(すぐにBIツールや集計にかけられる)
データ容量: 比較的軽量 - 非構造化データ
定義: 規則性がなく、形式が不揃いなデータ
具体例: 業務日報のテキスト、メール文面、画像、音声
分析のしやすさ: 困難(AIによる自然言語処理やテキストマイニングが必要)
データ容量: 非常に大きい
社内に蓄積されるデータの多くは、非構造化データだと言われています。たとえば、業務日報のフリーコメント欄に書かれた「本日はA社を訪問し、好感触を得た」といったテキストは、人間が読めば状況を理解できますが、そのままでは「A社の今月の見込み客数」として機械集計することはできません。
AI時代に高まる構造化データの重要性
データドリブンな意思決定を行うためには、ビジネスで飛び交うさまざまな情報を、いかに「機械が扱えるデータ(構造化データ)」として蓄積できるかが勝負の分かれ目となります。
そして近年では、生成AIをはじめとしたAI技術の普及により、構造化データの重要性は一層高まっています。AI技術が著しく進化した現在、AIツールを業務に取り入れる企業は増えつつあります。一方で、AIツールを導入したものの「思うような効果を得られない」「使いこなすことができず、社内に定着しない」といった課題に直面している企業が多いのも事実です。
AIツールで質の高いアウトプットを得るには、学習させるデータが重要なのは言うまでもありません。そして、AIツールがデータを正確かつ効率的に学習・蓄積するには、データそのものが構造化されていることが前提条件となります。
AIを活用して成果を出す土台、いわゆる「AI Ready」な体制を整えるためにも、構造化データを生む仕組みが必要不可欠だと言えるでしょう。
なぜ「データ活用」は進まないのか?多くの企業が陥る罠
「データ活用」の加速を目指し新しいシステムを導入したものの、現場に定着しないというケースは後を絶ちません。
ここでは、多くの企業がデータ活用の壁に直面する理由について見ていきましょう。
ツールを入れただけではデータ活用が進まない理由
データ活用の高度化やデータドリブン経営を目指すにあたり、データを可視化する「BIツール」や、データを一元管理する「データ基盤」の導入から着手する企業は少なくありません。しかし、これらはあくまでデータを処理・表示するための「箱」に過ぎません。
どれほど高度な分析アルゴリズムを備えたBIツールであっても、読み込ませる中身(データ)が揃っていなければ、価値のあるアウトプットは得られません。
「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたらゴミが出てくる)」というIT用語が示す通り、質の低いデータをシステムに入れても、誤った分析結果しか出力されないのです。
根本原因は「入力・構造」の欠陥にある
データ活用が行き詰まる最大の原因は、分析手法などの「後工程」ではなく、データが生まれる「前工程」にあります。具体的には、現場での「入力」と、そのデータの「構造」に欠陥があるのです。
多くの企業では、以下のような状態が放置されています。
- 自由入力の乱立:「株式会社A」「A社」「(株)A」など、同じ企業を指す名称が担当者によってバラバラに入力されている。
- フォーマットの不統一:部署ごとに異なるExcelテンプレートで売上や経費を管理しており、全社での統合ができない。
- マスタデータの不在:最新の製品名や単価が適切に管理されておらず、古い情報のままデータが登録されている。
これらの問題が放置されたままシステムだけを刷新しても、蓄積されるのは「再利用できない非構造化・半構造化データ」ばかりです。このような「使えない状態」でデータが存在していることこそが、データ活用を阻む最大の障壁と言えます。
データクレンジングの限界。構造化は「後から」ではなく「入口」で決まる
バラバラに入力されたデータを分析可能な状態にするためには、データの表記ゆれを修正し、欠損値を補う「データクレンジング(データ洗浄)」という作業が必要になります。
しかし、「入力されたデータを後から整える」というこのアプローチには限界があります。
「後でなんとかする前提」のデータ設計が非効率を生む
現状、多くの企業では「現場の入力データは不揃いなもの」という前提に立ち、「集計・分析の段階でデータエンジニアや担当者がなんとかして整える」という文化が根付いてしまっています。
ETL(Extract・Transform・Load)ツールを活用すれば、ある程度のデータ加工は自動化できるでしょう。しかし、限界はすぐに訪れます。
- 莫大な工数とコスト:データのバラつきが一定ではないため、常に新しい変換ルールを人が手動で追加し続けなければなりません。データサイエンティストの業務の多くは、このデータの前処理に奪われているとも言われます。
- 精度の限界:元データが極端に曖昧であったり、必須項目が空白であったりする場合、後からどれだけプログラムを駆使しても正確な推測は不可能です。
データの構造化は、後処理の力技で解決する問題ではありません。元データが不揃いでは、分析のスピードが落ちるだけでなく、ミスや手戻りが増え、経営判断を誤るリスクすら生じます。
データが生まれる起点「日々の業務」の再設計がカギ
では、データの品質を決定づけるのはどのタイミングでしょうか。それは、データが生まれる瞬間、日々の「申請・登録・入力」という業務プロセスの起点(入口)です。つまり、現場の従業員がシステムに何かを打ち込んだ瞬間にデータは生成されます。
後からデータを整えるのではなく、「最初から構造化されたクリーンなデータしか入力できない仕組み」を作ることこそが、データドリブン経営を成立させる効果的なアプローチです。
ワークフローシステムが「構造化データを生む仕組み」に変わる
データを効率的に構造化して活用していくには、「最初から構造化されたデータしか入力できない仕組み」を整えることが大切だとお伝えしました。
そして、「入口で構造化データを作る」ための有効なアプローチが、ワークフローシステムを活用した日々の業務の再設計です。
/
サクッと学ぼう!
『1分でわかるワークフローシステム』
無料ダウンロードはこちら
\
「通すためのワークフロー」から「データを生む基盤」へ
ワークフローシステムとは、社内で日々行われる業務手続きを電子化するツールのこと。
各種申請や稟議、報告業務などをシステム上に反映し、事前に定義したフォーマットや承認ルートに沿って業務の流れを強制する力があります。
従来、多くの企業において、ワークフローシステムは、単に「ハンコを電子化し、承認プロセスを滞りなく通すためのツール」として認識されてきました。業務を回すためのワークフローと、そこで流通する情報を分析するためのデータ基盤は完全に分断されていたのです。
しかし、視点を変えれば、ワークフローで行われる「備品の購入申請」「新規取引先の登録」「経費の精算」といった行為はすべて、先述した「データが生成される瞬間」です。「業務設計=データ設計」という新たな視点を持つことで、ワークフローシステムは「全社の構造化データを生み出す最上流のデータ基盤」へと進化します。
データドリブンを加速させるワークフローの必須機能
ワークフローを「構造化データを生む仕組み」として機能させるためには、各種システムとのマスタデータ連携や、フォーム側での入力データの標準化、強制力を持った入力ルールの統制などが必要になります。
これを実現するためには、ワークフローシステムが以下の特徴・機能を備えている必要があります。
マスタ連動による表記ゆれの根絶
顧客名、部門名、勘定科目などを、常に最新のマスタデータ(ERPやCRM)から直接参照させる仕組みです。「A社」や「(株)A」といった手入力を排除し、全社で統一された一意のコード(ID)とともにデータを生成します。
選択式入力(プルダウン)の徹底
自由記述のテキストボックスを最小限に留め、プルダウンやラジオボタンによる選択式入力を標準化します。これにより、データは自動的に分類・コード化され、非構造化データが入り込む余地をなくします。
入力ルールの内包と統制
「金額が未入力の場合は申請できない」「特定の条件では添付ファイルを必須にする」といった入力ルールをシステム側に持たせます。人間が目視でチェックする前にシステムがエラーを弾くため、欠損値のない完全なデータセットが保証されます。
これらの機能を備えたワークフローシステムを活用することで、処理が完了した瞬間に、「データクレンジングを必要としない、即座に活用可能な構造化データ」が自動的に蓄積される仕組みを整えることができます。
【国内シェアNo.1のクラウド型ワークフローシステム】
>X-point Cloudの製品カタログを今すぐダウンロード(無料)
【システム連携に強いパッケージ型ワークフローシステム】
>AgileWorksの製品カタログを今すぐダウンロード(無料)
構造化データに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、構造化データに関するよくある質問とその回答について、改めて整理していきましょう。
Q1: ビジネスにおける構造化データとは何ですか?
A: 行と列の規則的なフォーマットで整理され、集計や分析がすぐにできる状態のビジネスデータのことです。顧客マスタや売上履歴などがこれに該当します。
Q2: 構造化データの特徴は何ですか?
A: 機械が処理しやすい状態になっていることです。あらかじめ項目名やデータの型が厳格に定義されているため、プログラムによる検索、集計、分析を瞬時に行えます。
Q3: 企業のデータ活用が進まない原因は何ですか?
A: データが生まれる現場での「入力」と「構造」に欠陥があるためです。自由入力の乱立やフォーマットの不統一により、分析に使えないデータが蓄積しています。
Q4: 後からデータを修正して整えるデメリットは?
A: データの前処理に莫大な工数とコストがかかる点です。元データが曖昧だったり空白があったりする場合、後からプログラムを駆使しても正確な推測は不可能です。
Q5: 構造化データを効率よく蓄積する仕組みとは?
A: 最初から構造化されたデータしか入力できない仕組みを作ることです。ワークフローシステムを活用し、マスタ連動や選択式入力を徹底することで実現できます。
まとめ
今回は、データドリブンの成否を左右する、構造化データの重要性やよくある課題、そして構造化データを生む仕組みの作り方について紹介しました。
多くの企業でデータ活用の取り組みが停滞する原因は、ツールの性能やデータ分析のスキルではなく、データそのものが構造化されていないことにあります。
そして、データ活用の取り組みを推進していく上では、データを後から構造化するのではなく、構造化されたデータが生み出される仕組みを整えることが重要です。
データ活用の取り組みに課題を感じている企業は、ワークフローシステムを活用した「構造化データを生む仕組み」づくりに着手してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
構造化データを生む基盤にも!
「AI」活用を推進する次世代のワークフローとは?
AI活用でプロセスと作成の課題を克服し、稟議の質とスピードを底上げする方法を解説します。
こんな人におすすめ
・入力データの質に課題を感じている方
・各種システムとのデータ連携を目指している方
・AI活用の基盤を整えたい方

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。



