「SaaSの死」は本当か?AIエージェント台頭で変わるSaaSの役割とワークフローの真価
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「新しいSaaSを導入したのに、現場の業務が楽にならない」
「アカウント管理やデータ連携の手間ばかりが増えている」
このような「SaaS疲れ」を感じている担当者は多いのではないでしょうか。
その一方で、近年注目を集めているキーワードが「SaaSの死(SaaS is dead)」です。
なかには、
「SaaSは不要になるのか、それとも役割が変わるだけなのか?」
「今まで積み上げてきたSaaS運用は無駄になるのか?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、「SaaSの死」の概要や注目を集める背景を紹介するとともに、「SaaSは不要になるのか」という疑問に答えつつ、これからのSaaSの役割の変化について解説します。
「AI」を活用した次世代のワークフローとは?
こんな人におすすめ
・稟議の質に課題を感じている人
・稟議書の作成・承認に負担を感じている人
・既存システムで改善につながっていない人
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- 「SaaS疲れ」の現場に押し寄せるAIエージェントの波
- AIエージェント時代に変化するSaaSの役割
- 目指すべき「SaaS × AI」の在り方とは?
- SaaSとAIを統合する鍵は「ワークフローシステム」
- 「SaaSの死」にまつわるよくある質問(FAQ)
- まとめ
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「SaaS疲れ」の現場に押し寄せるAIエージェントの波
まずは、現場を悩ます「SaaS疲れ」と、注目を集めている「SaaSの死」について、その概要を見ていきましょう。
「SaaS乱立」により現場と経営の板挟みになる管理部門
冒頭でも触れたとおり、「SaaS疲れ」を感じている担当者は少なくありません。
SaaSの乱立により管理が煩雑化したり、良かれと思って導入したツール群が、逆に業務のサイロ化(孤立化)を招いたりしているケースは多々あります。
また、IT・情報システムなどの管理部門でよく耳にする悩みが、経営層からの「AIを活用して生産性を上げろ」というプレッシャーです。現場からは使い勝手の改善を求められ、経営陣からはAIによる劇的な成果を求められる。管理部門の担当者は、まさに板挟みの状態にあります。
「SaaSの死(SaaS is dead)」とは?
そうしたなか、近年では「SaaSの死(SaaS is dead)」という言葉が注目を集めています。
これは、Anthropic社の「Claude」などに代表される自律型AI(AIエージェント)の台頭により、従来のSaaSが衰退していくのではないか、という予測です。
実際に米国では、一部のSaaS企業の株価成長が鈍化するなどの動きが見られます。
「人間が画面を操作する」ことを前提とした既存のSaaSは、AIが自律的に業務をこなす時代において、その存在意義が問われているのです。
AIエージェント時代に変化するSaaSの役割
「SaaSの死」が注目を集めているとお伝えしましたが、今後、AIエージェントがSaaSに置き換わるのかどうか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、AIエージェント台頭に伴うSaaSの役割の変化について見ていきましょう。
「SaaSは“不要”になる」という誤解
AIエージェントの進化は目覚ましいですが、SaaSが直ちに不要になるわけではありません。これは、AIがすべてをゼロから作り出し、管理できるわけではないためです。
SaaSが持つ「特定の業務に特化した機能」や「堅牢なセキュリティ」は、依然として企業活動に不可欠です。変わるのは、SaaSの「存在意義」ではなく「使われ方」です。
SaaSの役割は「人の操作(UI)」から「データと運用」へ
これまでのSaaSは、人間が画面(UI)を見ながら操作することを前提としていました。しかしこれからは、「AIエージェントがアクセスするためのデータ基盤」へと役割がシフトします。
AIが自律的に動くためには、参照すべき正確なデータが必要です。SaaSは、そのデータを安全に蓄積し、APIを通じてAIに提供する「裏方」として、より重要な役割を担うことになります。
AIによるシステム内製化の罠
「AIを使えば、SaaSを解約して自社専用のシステムを作れるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、安易な内製化には大きなリスクが伴います。
- 法改正への対応:税制や労務などの法改正のたびに、システム改修が必要です。
- セキュリティ対策:日々進化するセキュリティリスクに対し、自社だけで対応するのは困難です。
- 属人化のリスク:開発担当者が退職すると、誰もシステムを保守できない状況、いわゆるブラックボックス化を招く恐れがあります。
SaaSの真の価値は、こうした「継続的なアップデートと保守運用」をベンダーが担保してくれる点にあります。AIによる内製化は、目先の開発コストは下がっても、中長期的な運用コストで破綻する危険性があります。
目指すべき「SaaS × AI」の在り方とは?
先述した通り、SaaSはその役割を変え、企業の業務を支える基盤となり得ます。
次は、目指すべきSaaSとAIの在り方について見ていきましょう。
SaaS資産は「AIを動かすための良質なデータ基盤」に
これまでSaaSの導入やデータ整備に費やしてきた労力は、決して無駄にはなりません。むしろ、これからのAI時代において強力な武器となります。
AIによるアウトプットは、入力されるデータの質に依存します(Garbage In,Garbage Out)。SaaS内に蓄積された正確かつ整備された業務データこそが、AIエージェントを自社に最適化して動かすための重要な資産となります。
SaaSとAIエージェントが「共存・内包」するエコシステムの構築
これからのシステム設計で目指すべきは、SaaSかAIかの二者択一ではありません。SaaSとAIが共存し、互いの強みを活かすエコシステムの構築です。
- AIエージェント:複数システムを横断した作業の自動化、非定型業務の処理
- SaaS:正確なデータの保持、法改正対応、堅牢なセキュリティ
AIが作業・業務の実行・処理を担い、SaaSがデータの蓄積・保守を担う。この連携こそが、次世代の業務基盤の姿です。
AIエージェントに「任せるべき領域」と「任せてはいけない領域」
実際の業務においてはAIエージェントに「任せるべき領域」と「任せてはいけない領域」が存在します。
AIエージェントに「任せるべき領域」
たとえば、以下のような領域は、AIに積極的に任せるべきです。
- SaaS間のデータ転記や同期
- 請求書などの書類からのデータ抽出と入力
- 過去のデータに基づいたレポートの自動生成
このような定型的に行われる業務をAIに委譲することで、人間はより創造的な業務に時間を割くことができます。
AIエージェントに「任せてはいけない領域」
一方で、企業のガバナンスに関わる「承認・決裁(意思決定)」のプロセスに関しては、AIに丸投げしてはいけない領域だと言えます。
- 責任の所在:契約の締結や予算の執行など、AIが誤った判断をした場合、責任の所在が不明確になります。
- ハルシネーション:AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくるリスクが常にあります。
- コンプライアンス:監査の際、AIの判断根拠を人間が明確に説明できなければ、内部統制上大きな問題となります。
最終的な判断と責任の所在は、必ず人間が担保しなければなりません。
SaaSとAIを統合する鍵は「ワークフローシステム」
先に触れたとおり、これからの業務基盤には「AIによる自動化」と「人間によるガバナンス」の両立が求められます。
では、ガバナンスと自動化を両立する仕組みを、どのように構築すればよいのでしょうか。そのソリューションとなるのが「ワークフローシステム」です。
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では、SaaSとAIを統合する基盤としてワークフローシステムが有効な理由を見ていきましょう。
ガバナンスを強化し、SaaS群のハブとして機能
ワークフローシステムは、社内で行われる申請・承認や業務手続きをシステム上に再現し、意思決定のプロセスを可視化します。
申請の種類や内容に応じて適切な承認ルートを判別し、速やかに承認プロセスを開始します。従来の紙とハンコ、口頭やメールでの承認で起こりがちな承認の抜け漏れや、然るべき関係者の承認を経ない不正な決裁を防止し、強固なガバナンスを構築することが可能です。
また、ワークフローシステムは、各種システム・ツールとの連携により、その効果をさらに高めることが可能です。乱立するSaaS群のハブとして機能し、各システム・ツールごとに行っていたアカウントやマスタデータの管理といった手続きを一元化します。
ワークフローシステムが実現する「AIと人間が協働するプロセス」
ワークフローシステムを業務基盤の中心に据えることで「人間の介在点」が担保され、以下のような「自動化」と「ガバナンス」を両立する「AI×人間の協働プロセス」を実現することも、近い将来において決して不可能ではなくなるでしょう。
- 起案(AI):AIエージェントが各種SaaSからデータを収集し、申請書を自動作成する。
- 承認(人間):ワークフローシステム上で、権限を持った人間が内容を審査し、承認・決裁を行う。
- 実行(AI):承認をトリガーとして、AIが関連するSaaS(会計システム等)へデータを自動登録する。
「SaaSの死」にまつわるよくある質問(FAQ)
ここでは、「SaaSの死」にまつわるよくある質問とその回答について、あらためて整理していきましょう。
Q1: 「SaaSの死」とはどのような意味ですか?
A1: 自律型AI(AIエージェント)の台頭により、人間が画面を操作することを前提とした従来のSaaSが衰退していくのではないか、という予測のことです。
Q2: AIの進化によりSaaSは不要になりますか?
A2: 不要にはなりません。AIがすべてを管理できるわけではなく、SaaSが持つ特定の業務に特化した機能や堅牢なセキュリティは、今後も企業活動に不可欠だからです。
Q3: これからのSaaSの役割はどう変わりますか?
A3: これまでの人間が画面を操作する役割から、AIが自律的に動くために必要なデータを安全に蓄積し、APIを通じてAIに提供する「データ基盤」へとシフトします。
Q4: AIを使って自社システムを内製化すべきですか?
A4: 安易な内製化にはリスクがあります。法改正への対応、高度なセキュリティ対策、担当者退職による属人化などの課題があり、中長期的な運用コストで破綻する恐れがあります
Q5: SaaSとAIはどのように共存させるべきですか?
A5: AIが複数システムの横断や業務処理を担い、SaaSが正確なデータ保持やセキュリティを担うエコシステムを構築すべきです。AIによる自動化とガバナンスの両立にはワークフローシステムの活用が有効です。
まとめ
今回は、「SaaSの死」の概要や注目の背景、そしてAIエージェント時代におけるSaaSの役割などについて解説しました。
AIエージェントの台頭により懸念されるSaaSの衰退ですが、SaaSが完全に消滅することはありません。SaaSはその役割を変え、企業の業務を支える基盤の一部となり得ます。自社の業務基盤を見直す第一歩として、まずは自社で利用中のSaaSの棚卸しや、意思決定プロセスを整理することから始めてみましょう。
そして、バラバラになったSaaSをつなぎ、ガバナンスとAI連携を両立させる統合基盤として、ワークフローシステムの導入・刷新をご検討してみてはいかがでしょうか。
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「AI」を活用した次世代のワークフローとは?
AI活用でプロセスと作成の課題を克服し、稟議の質とスピードを底上げする方法を解説します。
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・稟議の質に課題を感じている人
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「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。



