スマートワーク総研×ワークフロー総研~これからのスマートな働き方を考える~

スマートワーク総研×ワークフロー総研~これからのスマートな働き方を考える~

 本記事はスマートワーク総研 所長 まつもと あつし氏に、ワークフロー総研 所長 岡本が取材した内容をまとめたものです。コロナ禍で浮き彫りになった働き方の問題やこれからの働き方について語っていただきました。

<対談者プロフィール>

まつもとあつし氏
スマートワーク総研 所長

ジャーナリスト・コンテンツプロデューサー・研究者(敬和学園大学人文学部国際文化学科准教授・法政大学/専修大学講師)。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現職。ASCII.JP・ITmedia・ダ・ヴィンチなどに寄稿。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)「ソーシャルゲームのすごい仕組み」(アスキー新書)など。

ワークフロー総研 所長
岡本 康広

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

“攻め”の働き方改革の事例を伝えたい

 まつもと氏も岡本も、両名ともZoomでのテレビ会議は慣れた様子で、和やかに会が始まりました。アイスブレイクの自己紹介を終え、それぞれの総研が始まったきっかけから取材は始まりました。

岡本:今日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、まつもとさんがスマートワーク総研に関わることになったきっかけ、またどういった思いで関わられているのかについて教えていただけますか。

まつもと氏:私がスマートワーク総研に関わってもう4年になりますが、ちょうど関わった頃から日本全体で働き方改革の気運が高まり、各企業も少しずつ取り組みに着手するようになっていました。並行して国では労働基準法改正の議論が始まり、その結果が反映された改正労働基準法が施行されたのは昨年のことです。

 しかしこれらの働き方改革の方向性を見ていると、主に労働時間の管理・制限を目的としています。これは当時メディアでも大きく取り上げられましたが過労死の問題が背景にあり、とにかく働きすぎをなくすという発想で、これまでの働き方改革は進んできているように思います。

 まつもと氏は言葉を続けます。

まつもと氏:このような流れがある中で、スマートワーク総研では様々な先行企業の取材を行ってきましたが、実は彼らの発想は全く異なるものでした。上記のように制限をつける働き方改革を“守り”とするならば、先行企業の方々は“攻め”の働き方改革に取り組んでいたのです。

 “攻め”の働き方改革とは労働時間を制限するのではなく、ITを積極的に活用して障壁を取り除くアプローチで取り組みを推進されていました。かつ変革のゴールは単に労働時間やその中の無駄な時間を削減するということではなく、成果や業績を上げるという積極的な内容を語られていました。もちろん“守り”の面の取り組みもされているのですが、総じて“守り”だけでなく“攻め”もないと企業の未来はないと、危機感を持って試行錯誤をされる先行企業の姿が見えてきました。

 そうした事例や働き方に関する様々な情報を、中立的な立場で研究・分析をしてお伝えすることを目的にこの活動を開始し、今もその思いは変わらず、続けている次第です。

 お話を伺うと、スマートワーク総研とワークフロー総研にはいくつか共通点があることが分かりました。それは中立的な立場で読者に情報を伝えるという指針があること、またそれぞれ「働き方」「ワークフロー」という切り口で働き方に関する課題の言語化から、具体的なソリューションや製品の活用方法までを一貫して読者に提供しているということです。

 働き方に関する課題は業種・業界・職種、組織の規模や文化によって様々です。課題を定義しないままにITツールを導入しても、あるいは課題は発見できたもののITツールをどう使えばいいか分からなくても、問題解決には至りません。双方の総研とも、読者視点で広く適切な情報発信を目指しているということが分かりました。

オンラインへコミュニケーションの場を移せるかが差別化の鍵

岡本:コロナ禍で働き方を改めて見直さざるを得なかったという人や企業は多くいると思います。例えばワークフロー総研では「紙、ハンコ問題」の存在、その背景にある企業の情報共有や意思決定の仕方が目下切り込んでいきたい課題の一つであると考えています。

 スマートワーク総研で特に注目されている問題や、その切り口はありますか?

 ワークフロー総研ではすでにテレワークを導入済みの企業の方を対象に、実態調査を行っていました。結果から、テレワーク導入済みといえども意思決定は電子化されていないなどといった問題が明らかになっています。
(参考:https://www.atled.jp/wfl/article/detail/workflow-reports_2/

まつもと氏:冒頭改正労働基準法にも触れましたが、労働時間の制限で働き方を変えるというアプローチだけで働き方改革を進めるには限界がきていると、今回のコロナ禍で感じる方は多くなっているのではないでしょうか。

 というのはオフィスで働くのがベースであれば「そこにいる」ということで労働時間の管理はできますが、自宅にいると難しくなります。いよいよ仕事の成果をどう定義するのか、その成果をどのように評価するのか、最近ではジョブ型雇用も話題ですが、これまでとは違った角度からの議論が必要になります。

 今後も環境の変化で注目すべき課題は変わってくると思いますので、スマートワーク総研としてはそれを先取りして、備えていくような情報発信はしていきたいですね。

岡本:確かに、先々出てくる課題を読んで、先手で読者に情報提供していくのは私たちの重要な役割ですね。過去ご取材された中で、まさに今参考になるような企業や手法をご紹介いただくことは可能でしょうか。

まつもと氏:完全テレワークに早々から切替え、テレワークベースでいかに成果を上げるかを追及し、成功されている株式会社ソニックガーデンの事例、それからGoogleでも採用されている組織と個人とでどの成果に向かうのかを接続し、合意形成をはかるOKRという手法はどうでしょうか。

 これらの企業事例から、社外の顧客や社内の従業員との関係性をどう築いていくかが、これからの働き方を想像する切り口の一つと言えます。オンラインを基本として、対面はオプションでというコミュニケーションスタイルが増えていくはずですので、オンラインで構築する関係性に即した制度やツールを考える必要があります。

 こうした流れは企業だけにとどまりません。コロナ禍とは関係なく昨年から、私が所属する大学でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていました。具体的には、UNIXベースのレガシーなシステムで運営、また学生との連絡手段も構築されていたところに、GmailやGoogle Classroomというラーニングマネジメントシステムの導入も進めました。無料であること、システムの信頼性もあったということで導入を進めましたが、今回のコロナ禍では映像配信だけでなく学生との密な連絡も必要でしたし、「学び」を止めないための施策として必要なものでした。

<Google Classroom>

岡本:こうした事例を拝見していると、ITツールをうまく活用されて、それぞれいいと思えるような働き方を追及されていることが分かりますね。

 ITツール導入のフェーズがまだ初期の段階であれば、単純にマイナスな面をゼロにするということ、ITツール導入自体が目的になります。しかしその先の段階に進めば、無駄をなくして確保できた時間やリソースで、次に自分たちはどうしていきたいかを考え、議論するようになっていっているように思います。その議論もITツールを活用してスムーズに行っているので、働き方改革を継続していくためのいい循環が作れているように思いますね。

 まつもと氏は岡本のコメントを受けて、次のように議論を引き継ぎます。

まつもと氏:そうなんです。最近イノベーションをどう創出するかということが活発に議論されています。しかしそれができるのは戦略を考えたり実験をしてみたり、そういった時間や人的リソースなどがあってのことです。目の前の仕事に囚われていてはその余裕は生まれません。実は業務改善は直近の生産性を上げることだけでなく、仕事の質を上げ、イノベーションのための余裕を生むために必要なものだと認識しています。

 ここまでのやりとりから、ITツールの活用はあくまで手段であること、しかしITツールの活用が風土として根付けば、単なる危機的状況に対する予防策としてだけでなく、さらなる事業発展やアイデア創出にも貢献できる可能性が見えていきました。

新しいスマートワークを探る

岡本:取材も終盤になりました。まつもとさんは長くスマートワーク総研に関わっていらっしゃっています。当時と今と比べると、社会全体で少しずつDXが進み、目指すべき働き方は少しずつアップデートされていると思うのですが、今思う次の「スマートワーク」とはどのような働き方かお聞かせいただけますか? また、その際活用したいITツールはありますか。

まつもと氏:そうですね、先ほどご紹介したような企業など、先行事例をお手本として、働き方改革の参考にされるのがよいと思っています。個々の施策を真似してみるのも大事なのですが、それ以上に常に変化に対応し続けようという姿勢がとても参考になると思います。

 またスマートワークを支える具体的なツールでいうと、次は組織の意思決定を支援するITツールに注目が集まるのではないでしょうか。

 私自身の大学の事例をお伝えしましたが、すでにメール、チャット、テレビ会議、オンラインファイル共有はスムーズにできるようになっています。その次はより意思疎通に加えて意思決定をオンラインで行う段階にきていると思います。となるとまさにワークフロー総研が取り上げているワークフローシステムは検討に上りますね。

岡本:実は経営者層の方を中心に、そのような回答をいただくことは多いです。すでにオンラインでオフィスにいるのと変わらないような場づくりの検討へ、動き出されているということですね。

 ワークフロー総研が経営者層に対して実施した調査では9割がワークフローの電子化が必須であると回答している結果が明らかになっています。
(参考:https://www.atled.jp/wfl/article/detail/workflow-reports_4/

まつもと氏:スマートワーク総研で様々な企業を取り上げていますが、しかしスマートワークはとても広い言葉で、それを企業が今よりも生産性を高め、働く人たちがいきいきと働けるような働き方であるとすると、企業ごとにそれぞれの合った形があると思います。

 DXが実現のために一定の効果を発揮するということは明らかですので、今後は皆さんに具体的に何をどのようにDXして働き方を変えたいのかということを考えていっていただきたいと思います。

 この答えを受けて、岡本はワークフロー総研のスローガンについて触れ、取材を締めくくりました。

岡本:おっしゃる通りですね。私たちワークフロー総研はその思いを込めて「働き方は、みんなで変えていく」というスローガンを掲げてスタートしました。これまでの働き方はまつもとさんがご指摘されているように、制限型のアプローチで、結果、働き方のバリエーションはあまり増えなかったように思います。これからは減らすものは減らし、投資するところは投資し、働き方のバリエーションを増やしていく方向性へシフトしていく方向性が見えてきました。

 スマートワーク総研とワークフロー総研は、切り口は異なりますが、今日の取材で認識する課題が交差するということが分かりました。この記事を参考に、また、両総研がこれから発信する情報で皆さんの働き方改革が少しでも前に進むと嬉しいですね。

 

この記事はスマートワーク総研との連動対談記事です。
スマートワーク総研サイトにも対談記事が公開されていますのでご覧ください

対談前編:ワークフローが企業を革命してしまう理由 
対談後編:勝負強い会社に変わるにはワークフロー改善が近道

ワークフロー総研 編集部
この記事を書いた人 ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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