「データ統合=システム連携」の落とし穴。データがばらつく根本原因と解決策を紹介!
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「データドリブン」というキーワードが広く浸透した現在、多くの企業がデータを競争力の源泉と捉え、蓄積や活用に取り組んでいます。
しかし、そうした企業の多くが直面する課題が「データはあるのに活かせない」という現実です。
本記事では、多くの企業が直面するデータドリブンの壁や、データ統合が上手くいかない根本原因、システム連携の前に取り組むべきことについてわかりやすく解説します。データ統合を後押しするITツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
仕組み化(標準化)を実現するワークフローシステムの使い方
こんな人におすすめ
・属人化を解消し、再現性のある仕組みをつくりたい方
・引き継ぎや教育に時間がかかっている方
・システム乱立により情報が分断されていると感じている方
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
- 「データはあるのに活かせない」というデータドリブンの壁
- データがバラつく根本原因は「業務プロセス」
- システム連携の前に「業務プロセスの標準化」
- プロセスの標準化・データ統合を後押しする「ワークフローシステム」
- ワークフローシステムでデータドリブン経営を推進した事例
- データ統合に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ
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「データはあるのに活かせない」というデータドリブンの壁
まずは、多くの企業が陥る「データはあるのに活かせない」という状況について整理していきましょう。
バラバラなデータを手作業で整備
経営層から「リアルタイムなデータ分析」を求められる一方、現場では以下のような状況に陥っているという企業は少なくありません。
- 定義の不一致:営業は「受注日」を基準にし、経理は「請求日」を基準に計上しているため、月次の数字がズレる。
- コードの不統一:取引先コードや商品コードがシステムごとにバラバラで、名寄せ作業に膨大な時間がかかる。
- 手作業の限界:担当者がCSVデータをダウンロードし、Excelで関数を駆使してデータを整形(クレンジング)している。
これでは、迅速かつデータドリブンな意思決定を実現することが難しく、現場の負担が増大してしまいます。
システム連携だけでは解決が困難
「データはあるのに活かせない」という状況に陥った際、「バラバラなデータをつなげれば解決するはずだ」と考え、多額のコストを掛けてEAI(データ連携)ツールやBIツールを導入することを検討される方も多いでしょう。
しかし、元となるデータの品質(入力ルールやタイミング)が揃っていなければ、たとえシステム同士をつなげても、出力されるのは「間違った分析結果」となってしまいます。
これこそが、データ統合プロジェクトが頓挫してしまう最大の「壁」だと言えます。
データがバラつく根本原因は「業務プロセス」
ではなぜ、同じ組織のデータであるにも関わらず、バラつきが生じてしまうのでしょうか。その原因の多くは、システムそのものではなく、「業務プロセス」に潜んでいます。
部門ごとの「ローカルルール」がノイズを生む
多くの企業では、各部門において、部門内の業務効率を最優先にして独自のルールでシステム運用を行っています。それにより、同じ組織であっても以下のような状況が発生してしまいます。
- 入力の任意性:必須項目以外は入力しない部署と、詳細に入力する部署がある。
- 入力内容のバラつき:「株式会社」を「(株)」と略す、「1,000」と「1000」が混在するなど、フリーテキスト入力による表記の揺らぎ。
- 入力タイミングのズレ:申請承認が完了する前に入力してしまう、あるいは月末にまとめて入力するなど、タイムラグの発生。
これらはシステムの設定以前に、「いつ、誰が、どのようにデータを入力するか」という業務プロセスが、全社で標準化されていないことに起因します。
「システム連携=データ統合」という勘違い
先述の通り、「データ統合」という言葉を聞くと、物理的にデータベースを結合したり、APIでシステム同士をつないだりすることをイメージしがちです。
しかし、真の意味でのデータ統合とは、「全社共通の言語(ルール)でデータが生成され、蓄積されていく状態」を作ることです。
プロセスがバラバラな状態でシステムを連携させても、思うような成果を得ることが困難なだけでなく、現場の混乱を招いてしまいます。
まず目を向けるべきはシステムではなく、現場で行われている業務プロセスなのです。
システム連携の前に「業務プロセスの標準化」
真のデータ統合を実現するには、いきなりシステム連携を行うのではなく、「業務プロセスの標準化」に取り組むことが大切です。
データの「入り口」を統制する
「Garbage In, Garbage Out(ゴミが入ればゴミしか出てこない)」という言葉があるように、データ活用における鉄則は入力の質、つまりデータの入り口を統制することです。
後工程でデータを加工・修正するのではなく、データの入り口(入力時点)で品質を担保する必要があります。
そのためには、以下のステップでプロセスの標準化を進めることが大切です。
- 業務の棚卸し:業務の棚卸しを実施し、「いつ、誰が、どういったデータを、どのように処理するのか」を整理する。
- 用語と定義の統一:「売上」「原価」「顧客」などの定義を全社で統一する。
- 入力ルールの厳格化:表記ゆれを防ぐため、フリー入力をできるだけ減らし、選択肢(マスタ)から選ぶ形式を採用する。
- 承認フローの確立:正しいプロセスを経ていないデータ(未承認のデータなど)がシステムに登録されないようにする。
現場の負担を増やさない工夫
業務プロセスの標準化に取り組む際に重要になるのが、現場への配慮です。
「データ分析のために、入力項目を増やしてほしい」「ルールを厳しくしてほしい」と一方的に要請しても、現場は疲弊し、反発を招くだけです。結果として、適当な入力が増え、データの質はかえって下がりかねません。
「業務プロセスの標準化」を成功させる鍵は、現場にとっても「業務が楽になる」「ミスが減る」というメリットを感じられる仕組みで統制を行うことです。
DXの主流「Fit to Standard」という考え方
業務プロセスの標準化を考える上で、ぜひ知っておきたいのが「Fit to Standard(フィット・トゥ・スタンダード)」という概念です。
従来、システム導入においては、現場の独自業務に合わせてシステムをカスタマイズする「Fit and Gap(フィット・アンド・ギャップ)」が一般的でした。しかし、「Fit and Gap」ではシステムが複雑化し、データのサイロ化(分断)を招く原因となります。
近年では、「業務に合わせてシステムを作る」のではなく、「標準的な機能やツールに合わせて業務プロセスを変える」という「Fit to Standard」のアプローチがDXの観点で主流となりつつあります。
独自のやり方に固執せず、業務そのものをシンプルに標準化することこそが、データ統合への最短ルートであり、ひいてはシステム連携をスムーズにする鍵となります。
「Fit to Standard」で業務プロセスを標準化!
こんな人におすすめ
・業務プロセスの標準化に課題を感じている
・レガシーシステムからの脱却を目指している
・「 Fit to standard」と「Fit&Gap」の違いが知りたい
プロセスの標準化・データ統合を後押しする「ワークフローシステム」
業務プロセスの標準化と、現場の負担軽減。この二つを同時に叶え、データ統合の基盤となるツールがワークフローシステムです。
ワークフローシステムは、各種申請や稟議といった業務手続きを電子化するツールとして知られていますが、データ統合の「入り口」として極めて重要な役割を果たします。
では、ワークフローシステムがデータ統合の推進に役立つ理由について見ていきましょう。
ワークフローシステムがデータ統合に役立つ理由
ワークフローシステムがデータ統合に役立つ理由として、以下の3点を挙げることができます。
1. データの「入り口」を一元管理できる
ワークフローシステムでは、業務で発生する各種データの入力フォーム(入力画面)を全社で一元管理できます。
必須項目の指定や、数値の自動計算、マスタデータを利用した選択式入力などをシステム側で制御することで、表記ゆれや入力漏れといった担当者ごとの入力ミスを物理的に防ぐことができます。これにより、後工程でのデータ加工(クレンジング)の手間が削減されます。
2. データの「真正性」を担保できる
ワークフローシステムで処理されたデータは、「いつ・誰が申請を行い、どのように承認・決裁されたか」というプロセス自体がデータとして残ります。
経営判断に使われるデータは確かなデータであることが必須ですが、ワークフローシステムに残された証跡は、データの「真正性(正しいことの証明)」を担保する上で重要な役割を果たします。
適切な承認プロセスを経た確かなデータのみが、基幹システム等のデータベースへ連携されることで、正しいデータに基づく精緻な意思決定の土台となるでしょう。
3. 既存システムをつなぐ「ハブ」になる
ワークフローシステムには、外部システムとの連携機能に強みを持つ製品が存在します。
ワークフローシステムを各種システムをつなぐハブとして活用することで、複数のシステムに手動で転記・二重入力する手間とミスを排除し、システム間のデータ不整合を防ぐことができます。
たとえば、ワークフローで決裁された「受注データ」を、自動的に生産管理システムと販売管理システムに転記する、といった運用も可能になります。
データドリブン企業の9割超が「ワークフローシステム」を重視
実際に、多くの企業がワークフローシステムをデータ統合、ひいてはデータドリブンの足がかりとしています。
株式会社エイトレッドが2024年10月に発表した調査によれば、調査対象となったデータドリブン経営に取り組む大企業(従業員1,000名以上)の9割以上の企業が、「効率的・効果的なデータ活用においてワークフローシステムの活用が重要である」と回答していることが示されています。
調査概要
- 調査名称:大企業のデータ活用に関するレベル別調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2024年10月3日〜同年10月7日
- 有効回答:データドリブン経営をしている大企業(従業員1,000名以上)の経営企画・経営管理・情報システム・DX推進担当者110名
調査の詳細はこちらからご確認ください。
この調査からも、ワークフローシステムによって「業務の入り口」をデジタル化・標準化することが、データ統合・データドリブン経営推進の現実的かつ効果的なアプローチであることが分かります。
ワークフローシステムでデータドリブン経営を推進した事例
次は、実際にワークフローシステムを導入してデータ活用の高度化やデータドリブン経営を推進した事例を見ていきましょう。
ここでは、シリーズ累計5,000社超の導入実績を誇るワークフローシステム「X-point Cloud」と「AgileWorks」の導入事例から、一部をご紹介します。
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社内全体がデータでつながる基盤を構築(コアコンセプト・テクノロジー)
株式会社コアコンセプト・テクノロジーは、基幹システム刷新に合わせて「X-point Cloud」を導入し、社内全体がデータでつながる基盤を構築しています。
同社では従来、受発注や会計、経理、勤怠管理など、それぞれのシステムがバラバラに運用されていたことで、非効率な業務が発生していました。また、自社開発のワークフローで申請業務を行っていたものの、機能不足に起因する業務効率の低下や、組織改編に伴うシステム改修の負担が課題となっていました。
そこで同社は、システム間の連携促進と申請業務の効率化を図り、基幹システムの刷新およびワークフローシステムの導入を決定。ワークフロー領域に関しては、直感的な操作性のUIやサポートの充実度などが決め手となり、「X-point Cloud」の導入に至りました。
導入プロジェクトでは、多様なシステムとの連携を実施。「X-point Cloud」で承認を受けたデータが自動的に基幹システムへと反映されるだけでなく、基幹システムのデータはデータ分析プラットフォームに連携され、リアルタイムでの状況把握や迅速な意思決定が可能になる見込みです。
さらに同社は、「X-point Cloud」をハブに業務管理システムやSFAなどを連携し、社内全体がデータでつながる本格的なERPシステムを構築中であり、大幅な業務効率化やメンテナンス工数削減が期待されています。
「AgileWorks」をハブにデータ活用体制を強化(WorkVision)
株式会社WorkVisionは、「AgileWorks」をデータプラットフォームとして位置づけ、データ活用およびDXを推進しています。
同社では以前、ほぼすべての申請業務をExcelと紙の帳票で運用しており、業務効率の低下や意思決定の遅延を招いていました。
この課題を解消するべく、同社は申請業務の電子化を図りワークフローシステムの導入を決定。「最低限の開発工数」「外部システムとの連携」「投資対効果」といった点を重視して検討を重ねた結果、「AgileWorks」の導入に至りました。
現在、同社では約120種類の帳票を「AgileWorks」上で処理しており、申請業務に要する工数が大幅に削減。
また、紙で保管されていた申請書を電子化したことで組織内の情報が可視化され、データ活用が一気に加速。たとえば、マーケティングに関する予算執行状況を「AgileWorks」で確認して予算配分の調整や合理化につなげるなど、「AgileWorks」をデータプラットフォームとして活用しています。
さらに同社は、「AgileWorks」をハブに各種システムとの連携を推進。現在、電子契約システムや文書管理システム、電子取引システム、基幹システムなどを「AgileWorks」と連携し、見積から受発注、請求処理までをデジタル上で一気通貫につなげる計画に取り組まれています。
データ統合に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、データ統合に関するよくある質問とその回答について、あらためて整理していきましょう。
データドリブンを目指す企業が陥りがちな課題とは?
多くの企業が「データはあるのに活かせない」という課題に直面しています。
「定義の不一致」や「コードの不統一」が発生し、手作業によるデータ整備に膨大な時間がかかり、迅速な意思決定が難しくなります。
社内のデータがバラつく根本原因は?
社内のデータがバラつく根本原因は、多くの場合「業務プロセス」に潜んでいます。
各部門が部門内の効率を最優先した独自ルールで運用するため、「入力の任意性」やフリーテキスト入力による「表記の揺らぎ」、申請承認のタイムラグによる「入力タイミングのズレ」が生じます。
システム連携によりデータ統合を実現できますか?
データ統合を果たすには、システム連携だけでは解決が困難な場合が少なくありません。
元となるデータがバラバラでは、たとえシステム同士をつなげても期待するアウトプットを得ることはできません。
データ統合するには、具体的に何に取り組むべきですか?
データ統合を実現するには、システム連携以前に「業務プロセスの標準化」に取り組むことが大切です。具体的には、用語と定義の統一、表記ゆれを防ぐ入力ルールの厳格化、正しいデータ登録のためのフロー確立が必要です。
データ統合の促進に有効なツールはありますか?
ワークフローシステムは、業務プロセスの標準化と現場の負担軽減を両立させ、データ統合を後押しする基盤となります。
入力フォームを一元管理することで入力ミスを防ぐとともに、承認プロセスの証跡を残すことでデータの「真正性」を担保できます。さらに、既存システムをつなぐ「ハブ」としても機能します。
まとめ
今回は、多くの企業が直面するデータドリブンの壁や、データ統合が上手くいかない根本原因、システム連携の前に取り組むべき業務プロセスの標準化について解説しました。
本質的な意味でのデータ統合を実現するには、現場の負担に配慮しつつ、業務プロセスの標準化に取り組む必要があります。
そして、それを後押しするソリューションのひとつが、ワークフローシステムです。
「システムはあるのに活かせない」というお悩みを抱えている方は、データ統合に向けた第一歩としてワークフローシステム「X-point Cloud」・「AgileWorks」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと知りたい!
続けてお読みください
データ統合の基盤づくりに!
仕組み化(標準化)を実現するワークフローシステムの使い方
業務標準化を進めるための3ステップと、ワークフローシステムを活用した実践例を紹介します。
こんな人におすすめ
・属人化を解消し、再現性のある仕組みをつくりたい方
・引き継ぎや教育に時間がかかっている方
・システム乱立により情報が分断されていると感じている方

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。





