グループウェア利用企業がワークフローシステムを導入する理由
昨今、グループウェアと連携してワークフローシステムを導入する企業が増えています。ワークフローシステムが他システム連携を前提に設計されているのも要因のひとつです。しかし、グループウェアによってはワークフロー機能が搭載されている場合もあります。ワークフローシステムを導入し、グループウェア連携して活用する背景やメリットを紹介します。

グループウェアのワークフロー機能とワークフローシステムの違い
導入の背景を知るために、まずグループウェアのワークフロー機能とワークフローシステムの違いを理解しましょう。 グループウェアとワークフローシステムは製品特性が大きく異なります。
- グループウェア:組織内での情報共有やコミュニケーションが目的
- ワークフローシステム:業務手続きを電子化し、負担軽減や業務効率化が目的
つまり、グループウェアは社員同士をつなげるツール、ワークフローシステムは業務をつなげるツールと言えます。 グループウェアの主な機能には、スケジュール管理、ドキュメント共有、社内SNSがあります。これらの機能によって、情報共有の活性化や円滑なコミュニケーションを可能にします。
一方、ワークフローシステムは、文書を起点とした許可・依頼・共有などさまざまな業務手続きを電子化するシステムです。申請・承認の電子化だけでなく、保管・保存・破棄といった完了後の管理業務も電子化され自動で流れていくのが特長です。 業務と人をつなぎ、業務フローを流すことに特化しているため、複雑なフローへの対応、特定の申請から作業依頼を自動で発生させるなど、どのような業務でも発生から完了までスムーズに進められます。
ビジネスにおいて業務フローは必ず発生するため、ワークフローは必要不可欠です。グループウェアのワークフロー機能でも十分対応できる業務もあります。しかし、さまざまな社内業務を管理・運用しようとすると、本来の機能を超えた活用となり、新たなシステム設計・管理運用する業務の制限・業務フローの見直しが発生します。
そのため、グループウェアとワークフローシステムでの運用を行う企業が増えているのです。
グループウェア+ワークフローシステムでできること
上記のようなグループウェアとワークフローシステムの特性から親和性は高く、連携することでシームレスに利用できます。
ホーム画面でワークフロー可視化
グループウェアのホーム画面もしくはトップページにワークフローシステム上の業務状況を表示できます。例えば、X-pointとSharePointを連携すると以下のものなどを表示できます。
- 承認待ちの書類
- 集計グラフ
- 書類検索機能
業務中、常にログインしているホーム画面への表示で、確認漏れがなくなり円滑に業務が進められます。
SSOでログイン
グループウェアからのSSO(シングルサインオン)が可能なので、ワークフローシステム利用時にパスワードを入力する必要がありません。また、グループウェア上にアイコンを設置することでワークフローシステムにも1クリックで移動できます。
データ同期による業務削減
グループウェアで保有しているユーザー情報やグループ情報は、ワークフローシステムへインポートできます。ワークフローシステムの初期設定の省略、設定変更時の抜け漏れ防止など、アカウントの同期を適切に行えます。
ケース別:グループウェア導入企業のワークフローシステム導入目的
1. さまざまな業務手続きを電子化してワークフロー上で運用したい
コミュニケーションを軸とした業務の場合、グループウェアのみでも十分対応できます。しかし、許可・依頼・共有といった業務は文書を回付する必要があるため、ワークフローシステムのような業務手続きを電子化するシステムが必要になります。
さまざまな業務手続きは、業務フローや対象者・作業内容もそれぞれ異なるため、ワークフロー機能で完全対応するのは難しくなります。たとえば、ひとつの申請で複数名に対して異なる作業依頼が発生し、作業完了後、各部門責任者全員の承認が必要といった業務や、異なる作業依頼に対して1枚ずつ作成していた申請をまとめて業務フローを進めるといった業務が当てはまります。
申請・承認・決裁といった直線で進むようなフローではなく、高度なワークフローの実現にはワークフローシステムが必要になります。
2. 対象の申請業務を増やしたい
ワークフロー機能を利用して特定の申請業務を電子化した結果、業務効率化したため、申請業務全般を電子化するよう取り組みが進むことはよくあります。しかし、グループウェアで運用していた申請業務を数種から何百種と増やそうとすると、煩雑になり管理・運用が難しくなります。
(例)
- 検索が適切に行えず必要書類が見つからない
- 複雑な承認ルートに対応できない
- 組織改編の際の権限変更などに手間がかかる
前述したとおり、グループウェアはワークフローシステムと異なり、業務フローの効率を良くするシステムではありません。そのため、ワークフロー機能での対応では追いつかなくなり、ワークフローシステムを導入して、さまざまな申請業務を電子化するといったケースがあります。
3. 業務改善をしたい
ワークフロー上で業務を進めると、入力情報以外にも業務改善に役立つデータがログとして残っていきます。例えば、対象業務にかかった全体の所要時間や1人あたりの対応件数、滞留時間といったデータが取得できます。 そのため、業務のボトルネックが発見しやすく適切な改善が図れます。ワークフローシステムでは手作業での集計が不要で、集計・グラフ化・一覧表が自動で行われます。
昨今、ワークフローシステムでBPMを行っている企業もあり、業務フローを回すためにワークフローを使用するのではなく、業務の可視化・改善のためにワークフロー機能からワークフローシステム導入を行っています。
まとめ
グループウェアのワークフロー機能では実現が難しい業務も、ワークフローシステムを利用すればさまざまな業務に対応できます。それだけでなく、グループウェアとの連携によって生まれるメリットでより業務効率化につながります。また、ワークフローシステムならではの機能を活用することで業務改善を図ることも可能です。グループウェア導入後の次ステップとしてワークフローシステム導入をおすすめします。