休み方改革とは?家族や自分の時間充実を推進

2017年6月、政府は「休み方改革」に乗り出すと発表しました。
昨今、働き方改革という言葉はよく耳にしますが、「働き方改革もこれからなのに」と思った方も多いのでは。
しかし、休み方改革の実現は、家族との時間確保や仕事以外の充実にも繋がります。
そこで今回は、休み方改革とはどんな改革なのか、実現に向けて何が必要かについて紹介します。
休み方改革と働き方改革の違い
休み方改革は働き方改革の一環として語られることがありますが、厳密には目的が異なります。
ワーク・ライフ・バランスの推進や生産性向上等の観点と地域活性化の観点から休み方を見直すのが目的
→休み方改革
労働生産性の向上や長時間労働の是正、柔軟な働き方を浸透させるのが目的
→働き方改革
残業規制を行う企業やテレワーク実施企業が増えるなど、働き方改革は徐々に浸透しています。一方で、休み方改革については、初めて聞くという方や働き方改革の後追いというイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし実際には、政府は2014年に「休み方改革ワーキンググループ」を発足し、その一環として10月を「年次有給休暇取得促進月期間」とする政策も実施しています。おそらく過去に「有給取得促進月だから有給を取得してください」と会社から言われたことがあるという方もいると思います。
今回休み方改革が改めて発表された背景には、国民への認知及び働き方改革の結果として生まれる休みの有効利用促進、それに伴う消費拡大を狙いがあるようです。休み方改革と働き方改革それぞれ厳密な目的は異なりますが、ワーク・ライフ・バランスについて考える際はセットで考えるべきと言えます。
休み方改革における施策案
休みの有効利用促進や消費拡大を実現するべく、政府は現在2つの施策を検討しています。
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休日の分散による大型連休の増加
2017年6月1日に政府は『自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上(第十次提言)』を公表しました。その政策の中に「家庭における子供と向き合う時間の確保-地域ごとの学校休業日の分散化」という項目があります。これが最近よく耳にする「キッズウィーク」導入にあたります。
具体的には、2018年度より夏休みの最終週を授業日にし、その分の休日を他の祝日の前後に振り替え大型連休を作る案や、地域ごとに存在する祝日(例:都民の日、横浜の開港記念日など)の前後2日程度を休みにする案が挙がっています。
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有給休暇取得促進
キッズウィーク導入に際し、子どもの休日に合わせやすくするために、政府は18年度の有給休暇日数を17年度比で3日増やすとしています。さらに取得日数を増やすため、18年度予算案に有給休暇日数を増やす企業への助成を盛り込むことも検討しています。
施策が実現すると
子供が夏休みなどの長期休暇中でも、親と休日が合わずどこへも出かけられないというケースもあります。しかし、キッズウィークや有給休暇取得促進が行われると、目的のひとつである『子供と向き合う時間の確保』が実行しやすくなります。
また、夏休みやゴールデンウィークに集中する観光需要も分散でき、レジャー施設や宿泊施設など観光事業者も年間を通じて利益を生み出しやすくなると考えられています。
このように、休み方改革はワーク・ライフ・バランスに与える影響だけでなく、経済効果も期待されています。
休み方改革実現のために考えるべきこと
休み方改革は、キッズウィークや有給休暇取得促進だけで実現するものではありません。仕事の量が変わらない場合、当然ながら今まで以上に工夫して日々の業務生産性を高めなければ、休み方改革は実現できません。有給休暇を消化するために長時間残業を行っては本末転倒です。
休み方改革の実現のためには、企業側と各個人が業務上の無駄をなくし効率化することが求められます。
そもそも、日本の有給休暇取得率は世界各国と比較しても低水準と言われています。
厚生労働省の調査によると、日本の有給休暇取得率は48.7%。つまり、付与日数に対し半分も取得していないことになります。

有給休暇取得率が低い理由として
- 有給休暇取得に罪悪感がある
- 休みを必要としていない
- 有給休暇支給日数を把握していない
- 上司が有給休暇取得に協力的ではない
- 有給休暇を取得すると業務に支障がでる
といった理由があるようです。
有給休暇は、就業する各個人に与えられた権利です。それにも関わらず、上記のような理由で有給休暇を取得していない人が多いのが日本の現状です。各個人の生産性の向上はもちろん求められますが、企業側も率先して有給休暇取得を促進するような環境をつくることが重要です。
休み方改革に向けて改めて考えておきたいポイント
まずは、実現性が高いところから休み方改革に向けて環境を整えてみてはいかがでしょうか。
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業務は属人化させない
業務を特定の人物に属人化してしまうと、その人が有給休暇を取得した場合業務が回らなくなります。また、本人も有給休暇取得に罪悪感を感じ使用しない可能性があります。
そのため、業務は可能な限り属人化させないことが望ましいです。例えば、部署内で対応できるよう体制が整っていれば、誰かが有給休暇を取得しても業務上大きな支障がないため、有給休暇取得促進に繋がりやすくなります。
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業務は属人化させない
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可能な限りイレギュラー業務を発生させない
通常業務以外の業務や緊急度の高い業務などイレギュラー業務が頻発する環境の場合、業務スケジュールが立てづらく有給休暇取得もしづらくなります。そのため、定期的に業務の棚卸しを行い、必要な業務は定型化しましょう。そうすることで、イレギュラー業務が減り業務スケジュールが立てやすくなります。その結果、有給休暇取得の計画も立てやすくなります。
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可能な限りイレギュラー業務を発生させない
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ルーティン業務を見直す
「昔から決められていたことだから」「入社したときからやってきたから」といったルーティン業務も見直すべきでしょう。代表的な例として会議が挙げられます。会議は、意思決定や個人の意見を主張できる場として重要な役割があります。しかし、中には意見がほとんど出ない会議や、議題はないが何となく行っている定例会議など、時間を無駄にしてしまっているケースもあります。そのような場合、会議の質を高めるのはもちろんのこと、まずは会議の回数や時間、参加者を見直してみると良いでしょう。
このようにルーティン業務を見直し他の業務に時間を充てることで、業務全体にゆとりがうまれ、有給休暇取得もしやすくなります。
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ルーティン業務を見直す
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IT活用
IT活用でこれまでの業務の在り方を見直すことができます。
例えば、郵送・FAXで行っていた書類のやりとりを電子化したり、特定の業務を自動化することで、アイディアの創出など時間をつくることができます。
業務の質が変われば、これまでよりも生産性の高い仕事ができ、結果として休み方改革につながります。
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IT活用
まとめ
休み方改革は、私たちのワーク・ライフ・バランスに大きな変化を与えます。実現のためには、ひとりひとりが休み方改革を理解し環境を整える必要があります。そのために、まずは普段の業務を見直し、場合によってはITなども活用しながら効率化していくと良いでしょう。
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